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映画 「シン・コジラ」 余計な人間愛をからめない潔さが、あっぱれであります! [映画]

本日のお題は、コジラ、であります。

日本が世界に誇る(かどうか実は私、よく分かりません)スーパー怪獣ですね。ハリウッドでも2回、映画化されました。10年以上前の作品で、英語風「ゴジィーラ」の発音にイラ~ッときた日本人の気持ちを汲み取ってか、渡辺謙さんが「ゴジィーラじゃなく、ゴジラだわいっ!」と正してくださったのが、たしか昨年のこと。

ゴジラにまつわる小ネタはいろいろありますけど、とりあえず、ゴジィーラ/ゴジラ問題は置いといて、本日取り上げるのは、久々、本家本元たる日本で制作されたこの映画でございます。

「シン・コジラ」

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あれれえ、ゴジィーラ問題をやり過ごしたのに、新たな難題、登場ですな。シン・コジラの「シン」って何でしょう。ネットで調べればわかるだろうけど、あえて想像をめぐらせましょう。新作なので「新・コジラ」が妥当センでしょう。あるいは俺こそ本物!つう意気込みで「真・ゴジラ」かも。いま思い出しましたけど「シン・レッドライン」という映画がありましたね。「シン・ドバッドの冒険」・・・ははは、ちょっと無理しちゃいました。

すいません。どうもゴジラネタだと話が脇道にそれますね。その理由は、ワタクシ、ゴジラ映画への思い入れがほとんど「ゼロ」だからでして、ファンには申し訳ないが、食いつきどころが全く分からんのです。水野晴郎先生の「シベリア超特急」シリーズを観るとき同様、つい突っ込みどころを探してしまうんですね。

古くはザ・ピーナッツの歌う「モスラ~やっ!」のビミョー空気。近年ではゴジラを自転車で追いかける新聞記者(新山千春)の暴挙。前作(というべきか)「ゴジラ・ファイナルウォーズ」では、地球防衛隊(!)の隊員(ケイン・コスギ)がライバル隊員(TOKIOの松岡さん)へ放った「お前のその優しさがぁ~命取りになるんだぁ~」の迷言にクラクラしたうえ、最大の見どころが菊川怜さんの美脚・・・こうなると、もはやゴジラはそっちのけ、別な映画として楽しむしかありませんな。

余談を長々書いちゃいましたが、そろそろ本題「シン・ゴジラ」にいってみましょう。

正直、予想を裏切る素晴らしい出来栄えでした。ワタクシにとって初めて腑に落ちたゴジラ映画でした。「絶賛」とか「感動」までは申しませんが(そりゃそうだ、結局、怪獣映画なんだから)おおいに満足でございました。

何が良かったか。それはポイント(テーマ)が絞れていること、そして、過去のくだらないお約束に捕らわれなかったこと、に尽きます。

広い意味でゴジラは「パニック映画」なわけです。このジャンルには未曾有の大災害、宇宙からの侵略者、未知のウイルス、巨大隕石による世界滅亡の危機、など手を変え品を変えて、毎年、映画が量産されてますね。それらの映画で、お約束のように確実に絡めてくるのが「人間愛」です。愛する者を助けようと危険をかえりみないヒトだの、離婚予定の夫婦が災害を乗り越えて愛を取り戻すだの、自らの命を捨てて爆破装置のスイッチを押すジイサンだの、と、家族愛、人類愛、博愛をぐいぐい絡めてくるわけです。

パニック事象そのものの脅威ではなく、危機的状況における家族や恋人の愛情に主眼が置かれているわけですね。要するに「人間ドラマ」としてとらえちゃうんですね。

ところが、「シン・ゴジラ」にはそうした「余計な」人間愛シーンが全くないんです。これこそ見識と思うわけです。主役級3人(竹野内豊さん、長谷川博己さん、石原さとみさん)ほか登場人物たちは、ただただ職務に徹して、家族などスクリーンに現れません。電話シーンもないのです。

そもそも、登場するのは政府関係者と自衛隊員がほとんど。「圧倒的な破壊力を持つゴジラから、どうやって日本を守るか」に特化して描かれているのです。その過程であからさまになる日本の行政機構の拙さ、縦割り弊害、危機管理の甘い閣僚たち、楽観的見通しで傷口を広げる政府関係者の姿に、5年前の大震災での政府や東京電力の体たらくが重なるわけです。

映画の中盤、国連安保理が決定した「ゴジラ駆除のため、東京に核爆弾を落とす」最終手段を回避すべく、登場人物たちは大奮闘を繰り広げます。パニック映画というより、企業ドラマ(ビジネスドラマ)であって、それこそ「ゴジラなどそっちのけ」なんだけど、これがまあ、ちゃんとツボにはまっているんですよね。

登場人物(俳優)が多いのが本作の特徴で、各人各様が見事に役を演じきっております。キャスティングのセンスが抜群ですなあ。

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さて、ここからはワタクシの個人的好みで、どなた、の、何、がすごかったかをご紹介。

(1)石原さとみさんの英語

若い美人で、家系が良く、頭が切れて、英語ペラペラ・・・と、むちゃくちゃハードル高い役を、(実際は苦労あったでしょうけど)こともなげに演じる石原さとみさん。石原さんの「クチビルの色っぽさ」を挙げたいけど、ここはおとなしく「見事な英語力」としておきましょう。恐るべし。

(2)津田寛治さんの「とりまとめる人」の演技

ゴジラ対策チームのTOPは、内閣官房副長官の矢口(長谷川博己さん)なんだけど、チームをまとめる主将的役どころが津田寛治さんであります。いかにも「実務のヒト」で、あのちょっと鼻にかかった声で、「さ~、みんな仕事にかかろう!」というリアル感、いやあ良いですな。

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(3)余貴美子さんの「眼力」

防衛大臣を演じる余貴美子さん。町のおばちゃんから政治家まで、あらゆる役をキッチリこなす名女優だとワタクシは思う。余さんのハイライトシーンは、日本へ上陸した巨大怪獣(ゴジラですね)への自衛隊の攻撃許可を、総理大臣(大杉漣さん)に迫る場面。その「眼力(めじから)」が尋常ではない。「総理、本当によろしいんですね!」と念押しする迫力も特筆もの。ゴジラも怖いが、余貴美子さんも怖い・・・。

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(4) 眼力といえば・・・

リドリー・スコット監督のSFホラーの金字塔「エイリアン」に出てくる冷酷冷血なエイリアンには「目がない」んです。目がないと無感情かつ無機質な絵面になり、恐怖感が倍増します。さすがは天才ギーガーさんのデザイン!で、今回のゴジラはそれを参考にしたのか、おめめ、が限りなく小さい。図体に比べると、まるで点ですが、あなた、ちゃんと周りが見えてます?

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ちなみにゴジラさんの第一段階(二足歩行する前の芋虫状態)だと目は巨大。おめめパッチリ。マンガっぽいお顔でした。成長してそこまで目が小さくなるか?と、つまらんことが気になった次第です。そういやあ「エイリアン」は卵から孵化したばかりのフェイスハガーにも目らしきものは無かったですな。

本日は以上です。はい。


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映画 「白鯨との闘い」。ツッコミは、邦題に対するこの一言!です。 [映画]

公開がとっくに終わった映画で恐縮ですが、今回のお題は

「白鯨との闘い」でございます。

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でっかいハンマーをぶん回すソー、こと、クリス・ヘムズワースさん主演の海洋スペクタクル(という表現もビミョーですけど)であります。

しかし。この作品を観て「え?そうゆうハナシだったの?」と驚いた観客はワタクシひとりではないはず。

だって、ストーリーを一言でまとめれば「大海に投げ出された捕鯨船乗組員たちの漂流記」なんですから。

というわけで、ワタクシの今回のツッコミはこうであります。

ぜんぜん白鯨と闘ってないじゃん!

そう、邦題に無理がある。原題は「In The Heart of The Sea」。ホエールなど入ってません。ちなみに原作のノンフィクション作品は「復讐する海、捕鯨船エセックス号の悲劇」だそうです。観客を呼び込む都合、どうしても映画題名に白鯨を入れたかったのでしょうか。それなら、「白鯨との闘い」ではなく、

「白鯨に、やられっぱなし」

としておきましょうよ。だって、そうなんだもん。闘ってないんだもん(しつこい?)

白鯨との闘い、を文字通りの意味で観たい方は、当たり前ですけどグレゴリー・ペック主演「白鯨(モビー・ディック)」にすべきだし、サイズはちょっと小さいけど、敵の執念深さを堪能するならリチャード・ハリス主演「オルカ」が必見でしょうね(戦う相手は、鯨ではなく、シャチですね)。

以上で書きたいことは終わりです。が、これで記事を締めるのもナンなので「白鯨との闘い」で唯一のワタクシの食いつきどころを記しておきます。

なんたって、作家メルヴィルを演じた、ベン・ウイショーさん、でしょう。

ついに出ました。カメレオン俳優の若手ホープ(こんな言い方されても嬉しくないか)。よーするに、どんな役でも確実にこなす(であろう)超・演技力。スクリーンに現れたときの吸引力が、ハンパない若手であります。

「白鯨の戦い」で演じたメルヴィルはこんな感じ。

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同じ俳優とは思えぬ理系オタク臭を醸しだす「007 スペクター」でのQ役。

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この映画(007)を観たときは、ワタクシの前席に座っていた女子2名が、終映後、「Qが良かったよねえ~」なんて言いあっている。あんたら素晴らしい!と声をかけたくなりました。ボンド役のダニエル・クレイグさんは立つ瀬無しですなあ。

さて、ベン・ウイショーさんといえば主演第一作の「パフューム ある殺人者の物語」は絶対にはずせませんね。超人的嗅覚をもつ孤児グルヌイユ(ベン・ウイショー)。究極の香水をつくるため次々に殺人を犯してゆくエキセントリックな役どころを見事に演じきります。ラストでは、アラン・リックマンさんまでメロメロにした(←映画の中のハナシね)、あれですよ、あれ!

ストーリーも破天荒でしたが、それよりも「なんだ、この俳優は!」とビックリ仰天でしたもんね。

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というわけで、「白鯨にやられっぱなし」・・・じゃなく、「白鯨との闘い」を観る方、ぜひともベン・ウイショーさんにご注目ください。あ、そうだった、キリアン・マーフィーさんの病人芸も必見であります。ちゃんちゃん。


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映画「スター・ウォーズ フォースの覚醒」 家の者の放った一言が腑に落ちた件。 [映画]

こうゆうジャンルが好きか、といえばビミョーですが、2015~16年のトピックスとして、この映画は絶対にはずせません!そうです、

ショーン・ペン主演最新作「The Gunman」(ザ・ガンマン)!

・・・・すいません。無駄なボケに、数行を費やしました。

そうではなくスター・ウォーズ最新作「フォースの覚醒」でございます。ほお、「覚醒」なんぞと難しい単語を使っちゃって、このぉ!と、そこをツッコんでもしょうがない。仮に、AWAKENを、目覚め、と訳すと「フォースの目覚め」。これじゃあ、美少年の萌え映画か、ラウラ・アントネッリ主演「青い体験」みたいで、どうも迫力が出ませんナ。とはいえ、覚醒と言われると、田代まさし主演「パウダー・ウォーズ 白い粉からの覚醒」とか・・・あれ、私はいったい何の話をしているのだ。そろそろ、本題にいってみましょう。

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さて、

申し訳ないですが、昔話から始めます。スター・ウォーズ・シリーズの記念すべき第1作は、なんと1977年の公開です。いやはや39年前ですよ。ワタクシ、中学3年のとき、当時住んでいた地元(札幌)の映画館で拝見しました。あのときの感動はよ~く覚えております。正確には、感動、というより、世界観やスケール感に「仰天した」というべきでしょう。話がデッカイ、宇宙船がデッカイ。そして、ハン・ソロやオビ・ワン・ケノビ、ダース・ベイダーをはじめキャラが立ってましたものね。(レイア姫と、ルークがイマイチいけてない、恨みはあったが・・・)

その後、シリーズ全作をリアルタイム(劇場公開時)に観てきたワタクシ。回を重ねると、悲しいかな、どーしても批判気分が頭をもたげます。(失礼ながら、現時点で年齢40代前半までの映画ファンは、スターウオーズの後追い世代ですから、ワレワレより無批判に作品にハマっているように感じる)

とくにダースベイダーの出自を描いた、シリーズ4、5、6、に至っては、話をややこしくしすぎて茶番っぽくなってくる。痛恨の極みは、5&6でアナキンを演じたヘイデン・クリステンセン。その大根役者っぷりには、怒りで拳が固くなったもんです。

・・・と、まあ、いろいろ感慨深いスター・ウォーズ・シリーズでございますが、本作「フォースの目覚め」・・・じゃなく、「フォースの覚醒」はどうなっているのか。

まず、ストーリーです。昨今のハリウッド定番「前作から間が空いた続編」にありがちな「先祖がえりパターン」でございます。よーするに骨子は1977年の第1作とほぼ同様。そこに、新キャラと、旧キャラをうまく配合し、オールドファンも、初めての観客も食いつけるようにする。このあたりの手練手管はさすがあ!ですね。「攻殻機動隊」も見習ってほしいもんです。

旧キャラ(という言い方も失礼だが)では、ハン・ソロ、レイア、あげくにルーク・スカイウィーカーさえオリジナル俳優が演じており嬉しかった。そうです、世間が何を言おうと、これで良いのだ。酒井法子さんには「ちいにいちゃん」と言ってほしいし、西田敏行さんと杉田かおるさんは「池中源太、最終章」で共演してほしいし、水前寺清子さんと石坂浩二さんは「ありがとう、ザ・ファイナル」で新たな火花を散らしてほしい。

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余計な話が長くてすいませんが、感想をつきつめると以下2点です。

その一。新たなメインキャラ、レイが魅力的。つうか、レイを演じるデイジー・リドリーさんが、めちゃチャーミングで、この点だけでも作品大成功でしょう。ちなみに、宣伝インタビューで髪をおろしたデイジーさんは、小島瑠璃子さんに激似です。ちょっと「しゃくれて」おります。

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その二。これは、一緒に映画をみた家の者の言葉です。いわく、

ハイテクなんだか、ローテクなんだか、わかんないね

そう、そこがスターウォーズの良さなんだ、と改めて実感。「光速飛行できる技術があるなら、ハイテクウエポンでもっと効率よく攻められないの」とか「なんだかんだで、最後はチャンバラかあ」とも言いたくもなる、その味わいが良い。欧米ファンタジー系映画って、往々にして中世の騎士テイストが入るわけですが、エピソード4、5、6で薄れかけたそのフレーバーを、本作が復活させてくれたのは朗報ではないか。

また、映像については、CGに莫大な金をつぎ込んでいるものの、あえて「やり過ぎない」節度が人間味を醸し出して好感が持てます。現在の映像技術に不可能はない、くらい進歩しているのに、そこをセーブする見識。これみよがしの箇所でなく、たぶん観客が思いもよらない細部にドバッと金をかけている(であろう)。

これぞ能ある鷹は爪隠す。能ない鷹は爪もない。ハイテクだかローテクだか、のツッコミは的を射てる。ハイだとかローじゃなく、ものづくりのツボは常に「バランス感覚」なんですね。

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さあ、いよいよ次回取り上げる映画は、どーん!

ショーン・ペン主演最新作「The Gunman」

・・・・そのハナシはもうええわ、と自分に突っ込んだところで今日はお終い。


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映画「ナイト・クローラー」。昨年(2015年)に拝見したベスト映画なのでございます。 [映画]

ブログの更新を、さぼっていたら、おお、なんと前回のアップは、1年以上も前とな!

・・・と、驚いたふりをしましたが、ここ数年、定常的にこんな感じですなあ。映画について、文章を書くだけの、気合といいましょうか、モチベーションといいましょうか、かなり低下していますね。いかんなあ。

さて、いまさらですが、2015年に拝見した新作映画のうち、一番ツボにはまった作品を取り上げます。

なんといっても「ナイトクローラー」ですね。ミニ・シアター系で地味に公開されたので、見逃した方も多いかもしれません。

主演はジェイク・ギレンホール。最近、ヒューマンな役どころが多いですけど、彼が本領を発揮するのは「ヤバい人」キャラだと私はにらんでいるわけです。「ドニー・ダーゴ」や「ジャーヘッド」のジェイクさんこそが、役にバッチリはまっているわけです。

本作の彼は、体重を落とし不健康ガリガリ姿に変貌しております。顔の陰影が際立ち、ぎょろぎょろした目の怖いこと!まさに狂気の面相で、ぞお~っと寒気が走るくらいです。

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主人公は、大都会の夜を徘徊し、警察の事故無線を傍受すると、真っ先に事件現場へ駆けつけます。警察が来る前に、悲惨な現場映像を撮影し、テレビ局に高額で売り込むハイエナ的パパラッチであります。視聴率を稼ぐため、より過激な映像を欲するテレビ局のプロデューサーの期待に応えようと、異常な情熱で仕事に取り組むうちに、彼は、超えてはならない一線を越えていく・・・と、まあ、こんなお話。

ジェイクさんのヤバさは、映画を観ていただかないと実感できないですが、たとえば、フツウに話をしているシーンなのに、「ああ、こんな人とは関わりあいになりたくない!」と思わせる怪演、とでも言いましょうか。

ジェイク・ギレンホールさんをベタ褒めしましたけど、もうひとつ成功の鍵は、アカデミー賞にもノミネートされた「脚本」でしょう。一方的に善悪を決めつけず、あくまでニュートラル視線で主人公を描いている、この節度が気に入りました。前半で、人間ドラマと思いきや、後半はカーアクションあり銃撃戦あり、のスリリングな場面が続きます。しかし、あくまで「主人公の狂気」を際立だせる材料であり、芯がぶれない。アッパレな脚本!であります。

本作の主人公の所業を、良いと思える観客はおそらく誰もいないでしょう。しかし、現実を振り返れば、無責任で傍観者的なテレビ視聴者(=われわれ)は、つねに刺激的なニュース、を求めてやまないわけです。

高速道路の大事故、飛行機墜落、フェリーの沈没、鉄道の脱線、銃乱射による大量殺人、強盗による一家惨殺・・・それをニュースで知ると、被害者を悼む気持ちの裏で、好奇心として詳細な情報(状況)を欲している自分がいるわけです。悲惨であるほど、自分が当事者でなかった、と安堵する。そう、悲劇を、対岸の火事として「客観視」するためには、「ナイトクローラー」の主人公は、必要悪とも言えるわけです。(もちろん、犯罪を良いとは言わないが)

映画のハナシに戻りますと、中古のボロカメラを抱えて走り回り、同業者にバカにされていた主人公が、憑かれたような勤勉さと行動力で、「一流」へとのし上がり、高価な機材、車を買い揃え、ひたすら夜の街を走り回りスクープをモノにしていきます。やがて、実業家然となるさまは、いびつで皮肉なサクセス・ストーリーですけど、奇妙な感動を覚えてしまいますね。

映画のラストが、月並みでなくて実にヨロシイ。

・・・おっと、本作へのコメントは尽きないですが、このへんで、2015年公開の映画のハナシはお終いにしましょう。次のブログ更新が、1年後にならないよう、さて、2016年はちょっと頑張ってみますか。ははは。


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2015年、あけましておめでとうございます。いまさらの2014年映画総括(俳優編) [映画]

2015年、あけましておめでとうございます
新年のあいさつにかこつけ、どどーんと約4か月ぶりの記事更新です。まずは年賀状を貼り付けます。ひつじ年であろうと、辰年であろうと、我が家の年賀状の主役は、飼い猫「もこ」と決まっております。別にプリンターのCMの桐谷美玲さんをマネしたわけではありません!(きっぱり)。桐谷さんもかわいいけど、ワタクシは北川景子さんファンなのです、と、どうでもいい説明でしたね。
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さて、この歳になると「新年の抱負」など特になく、いつの間にか1年が終わり、新しい1年がはじまるなあ、程度の、アパシーな反応しか持ちえないのです。いまさら、今年の目標でもないしぃ。強いて目標と言えば、通勤電車の沿線(都営浅草線)のどこかに「いきつけの酒場」を見つけたい、ですかね。今年は河岸をかえ、人形町、蔵前、浅草あたりを徘徊しようと思っちょります。はい。

・・・と、こんなダラけた話では、4か月ぶりに映画ブログ更新した意味がありません。さ、映画について書くぞお。

書きたい映画ネタはそれなりにあるものの記事にしづらいなあ。2014年に観た映画の感想だと、第一声は「ニコール・キッドマンが、グレース・ケリーを演じるとはどうゆうこっちゃあ!」と怒り先行になります。ナオミ・ワッツさんがダイアナ妃を演じるのもアリだし、メリル・ストリープさんがサッチャー首相を演じるのもアリ、高倉健さんが、デューク東郷(ゴルゴ13)を演じるのも許します。

しかし!目黒祐樹のルパン3世はありえんだろっ!え?それを言うなら小栗旬だろうって?うーん、小栗さんのルパンも、どうかと思うがなあ。黒木メイサさんの藤峰子、じゃなく、峰藤子は良いんじゃない?って、あれえ?話がどっかでずれましたね。

仕切り直しであります。本日のテーマを決めました。2014年に観た映画のなかから極私的偏見で選ぶ「男優賞」「女優賞」といたしましょう。

最初に「女優賞」のほう行きましょう。受賞者は、若手ながら大御所感が漂う有名女優であります。

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出演作品は「her 世界でひとつの彼女」。いやあ、素晴らしい映画でした。なんと切ない恋愛映画なんでしょうか。ワタクシ、泣きました、というか、号泣しました。離婚したさえない中年男を演じたホアキン・フェニックスさん。心優しい友人を演じたエイミー・アダムスさん。このお二人の演技がアカデミー賞級の名演なんです。しかし、ワタクシはあえてエイミーさんではない出演者に「女優賞」を差し上げたい。そうです、映画を観た方ならお分かりでしょう、

主人公の別れた妻(いやな女!)を演じたルーニー・マーラさんです!

・・・じゃなくってぇ、(話が面倒くさくなるので、もうこうゆうボケはやめましょうね)、女優賞は、

スカーレット・ヨハンソンちゃんであります!

なぜ、「さん」づけでなく「ちゃん」づけか、この際どうでも良いでしょう。本作でスカーレットちゃんの役どころは、タイトルロールの「彼女」。ただし人間ではなく高度な人口知能、実体のない「電子恋人」なんですね。PC画面の二次元恋人でもなく、まさに「声」だけの存在です。その声が、実に良いのだ。少しかすれた、それでいて甘い声質と、遠慮がちにためらう語り口と「間」が、見事としか言いようがないのです。

彼女はスクリーンに一度も登場しませんけど、声だけで存在感ばりばり。超絶の会話演技と申せましょう。アカデミー賞を受賞した脚本の勝利、とも言えますが、とにかくスカーレット・ヨハンソンちゃんには堂々の「女優賞」を差し上げたいっ!パチパチ。

次。「男優賞」であります。

おじさんアクションスターのお祭り映画「エクスペンダブルズ3」から、この方を選出いたしました。

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男優賞はこの方、アントニオ・バンデラスさん、で決まり、であります。どーん!

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傭兵部隊エクスペンダブルズ。なみいる猛者たちの暑苦しさを緩和するスパイス的な役どころですが、ははは、バンデラスさん、最高ですね。監督の指示か、ご自分で考えたか分かりませんが、「ちゃらい感じ」は絶品です。良いヤツだけど、ちょっとオツムが弱くって、のべつまくなし、くだらんおしゃべりを続け仲間をウンザリさせる、アホでんねん、のいい味わい。

今どきありえないオーバーアクションで、観客をきちんとイライラさせる、さすがは名優ですな。「オーシャンズ13」でのマット・デイモンも似た役どころでしたけど、バンデラスさんのハイパーな小芝居には到底及びません。

それにしても、なぜバンデラスさんともあろう方が、こんなオマケみたいな役で出てるのか!?

むしろ、ウェズリー・スナイプスがこの役をすべきではないのか!?(ファンの方、すいません)

どうせなら、悪役を演じたメル・ギブソンを、この役に当てたら面白かったのではないか!?

と、無駄なツッコミを誘発するバンデラスさんの名演(迷演)でございました。堂々の「男優賞」受賞、おめでとうございますぅ。パチパチ!!!

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ここまで書いたところで、これじゃあバンデラスさん、まるでコメディ俳優じゃん、と、ワタクシの内なる声が響きました。そうなると、ワタクシがお奨めするバンデラスさん主演作品をご紹介せざるをえませんな。公開されたのは数年前、2010年のスペイン映画。名匠ペドロ・アルモドバル監督による「私が、生きる肌」です。

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エクスペンダブルズ3、のおちゃらけ芝居など、ツユほども見当たりません。強烈なシリアスドラマでございます。バンデラスさんは主人公の、天才整形外科医を演じています。あまりにも天才なので、勢いあまって変態方向に走っております。この整形外科医ですが、妻は間男と駆け落ちしその後、自動車事故で瀕死状態に。レイプ(未遂)された娘は精神を病んで挙句、その娘にレイプ犯と間違えられ面会謝絶・・・と、不幸の超テンコ盛りなので、変態さんになるのも仕方ないか・・・。

観終わったあと頭クラクラとなる、毒の強い映画ですけど、バンデラスさん好きな方、および変態な方には、必見であります。

こんな雑なまとめで、2015年もよろしくお願いいたします。チャオー。


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8月になると思い出す映画「八月の鯨」(1987年公開)は、ベティ・デイヴィスさんがスゴイのであります! [映画]

毎年ではありますが、今年(2014年)も8月になりました。やっぱり暑い!今年はそれに加えて、大型台風が日本へ上陸し、高知県や三重県は豪雨で大変だったようで・・・まったく日本はどうなるのでしょうねえ。

今月観た映画は「想い出のマーニー」「ゴジラ」、と、ベタなセレクトでございますが、いやあ、どちらも良くできた作品だと思います。

「想い出のマーニー」。マーニーといっても、ティッピー・ヘドレンさんが主演のアレ、ではなくジブリ・アニメであります。ティッピーさんではなく、有村架純ちゃんです(話をややこしくしてるな、オレ)。ジブリ作品にしては、ひねりが少ないストレート結末で、多少の食い足りなさを感じるものの、丁寧で繊細なつくりこみが本当に良いです。舞台がワタクシの地元=北海道なのも嬉しい。子供ダマシ&絵空事&人生観押しつけにウンザリさせられる「〇〇と雪の女王」とか「プレーンズ」より、よっぽど優れている、と私は思いますね。(ま、昨今のディズニー映画に、大人の鑑賞に堪えうる「精神性」を求めるのはオカド違いではありますが・・・)。

「ゴジラ」は、日本発のオリジナル・ゴジラの荒唐無稽さとアナログ感(アナクロ感?)を、良い意味で踏襲くださって好感が持てました。ゴジラの脚は大きいな~、雄叫びがスゴイな~、うわ、火を吹いたぞぉ!と素直に楽しんでしまいました。

ハリウッドにありがちな家族愛をフレーバーしたドタバタ・パニックの域を出てませんけど、「グッドナイト&グッドラック」のデイヴィッド・ストラザーンさんが演じる軍指揮官がカッコ良かったしぃ、「キック・アス」のへなちょこだったアイツ(俳優名覚えてません)が覆面せずにイケてるヒーロー(主役!)を演じており、父親感覚で「がんばれー」と応援しちゃいました。一方、マイナス感動は、芹沢博士役の渡辺謙さんであります。演じる役に良いトコが無いんだもん。ムートーとゴジラに翻弄される役立たず科学者、つう体たらく。貢献したことといえば「怪物の名は、ゴジラだ!」と命名したくらいでしょうか。「バッドマン・ビキンズ」のパチモンなマスター役も残念でしたが、芹沢博士役もパチモン感はかなりのレベル・・・トホホホ。

と、最新作へ、雑~な感想を書いちゃいましたが、仕切り直し。ここからが本題です。

別ブログにも書いた記事の焼き直しでスイマセン。8月、と聞くと思い出す、この名画についてです。

8ga1.jpg映画「八月の鯨(くじら)」であります。どどーん!

今から27年前の1987年に日本で公開されました。神保町の岩波ホールでロングラン上映になりましたっけ・・・。

アメリカの辺鄙な島にふたりで暮らす姉妹(老婆)の日常を、淡々とつづった映画です。とくに事件らしい事件が起きず、正直、ストーリーをほとんど覚えていません。覚えていませんけど、映画全体を覆う明るい空気感と、めちゃ感動した、という記憶が脳内にしっかり刻み込まれています。

この作品の何がスゴイか、といえば、老姉妹を演じる女優がリリアン・ギッシュと、ベティ・デイヴィスということ。

サイレント映画時代から活躍するリリアンさんは映画撮影時点で90歳超。一方、ベティ・デイヴィスさんは1908年生まれですから当時79歳。(現在は、お二人とも亡くなっております)

最近、往時を過ぎたアクション俳優を集めオールドファン(要するにオヤジ)受けを狙った映画が、粗製濫造されていますね。「八月の鯨」はそんな懐古趣味と一線を画してるんです。映画史そのもの、とさえ言える偉大な女優を共演させただけでなく、きっちりと「演じさせた」ところが秀逸なんですね。

とくにベティ・デイヴィスさん。(このお名前を聞いてブルブルッと震えた方、友だちになりましょう!)。

ここからはワタクシの思い入れが炸裂しちゃいますが、ご容赦願います。

ベティ・デイヴィスさんといえば1930~1940年代のハリウッドを代表する美人女優です。この美しさを見よ!ただの美形ではなく、アカデミー主演女優賞を2回受賞し、ノミネートはなんと連続5回、という演技派でもあります。ブルブル。。。

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しかしベティさんの女優としてのすさまじさは、彼女が老境にさしかかってから発揮されます。ブローウエイ女優たちの醜い争いを描いたダークな人間ドラマ「イヴの総て」(1950年)。この作品でベティさんは、大女優マーゴ役を強烈に演じました。私、この映画が大好きでDVDも買っちゃったもんね、へへへ。

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撮影当時42歳の彼女は、まだまだ十分に美しいわけです。しかし映画の中では、新進女優(アン・バクスター)に役を奪われるピークを過ぎた大女優、という損な役回りですから、すでに気持ちは「美」よりも、「技」で勝負!なのが分かります。

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で、いよいよ出ました。1962年、サスペンス映画(ホラー映画とも言える)「何がジェーンに起こったか」で、ベティさんは、姉をいびり倒す醜悪な老女を怪演するのであります。かつての美人女優の看板などブッ飛ばし、化け物メイクに髪ボサボサ、気持ち悪くなるほど真に迫った偏執狂的ハイパーな演技に、「女優魂」を見るのであります。キャリアを失うリスクもいとわず、ここまでやるか!のド根性、はさすがです。

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シャリーズ・セロンさんが体重20kg増やし醜悪メイクでアカデミー賞を獲ったり、ロバート・デ・ニーロさんが極端に痩せたり太ったり(CGではなく実際に)、イザベル・アジャーニさんが精神錯乱したり、するのを見て「スゲエ」と思うかもしれませんが、私に言わせれば、ベティ・デイヴィスさんの「切れ芸」に比べると、どれもかすんで見える、と申せましょう。

ちなみにメグ・ライアンさんも「イン・ザ・カット」で、ベティさんくらい徹底的にやっていれば・・・痛恨です。現役女優で「ベティさん境地」へ到達できそうな方といえば、ウィノナ・ライダーさん(素でいける?)、クリスチーナ・リッチさん。際どい芝居の若手エレン・ペイジさん(←大期待!)。今は、飛ぶ鳥落とす勢いゆえ到底ありえないですが、エイミー・ワトソンさんは絶対に「彼岸」まで辿りつくでしょう・・・って、なんの話だよ。

話がすっかり拡散しちゃいました。「八月の鯨」にハナシを戻しましょう。

いや、ホントにいい映画でした。ベティ・デイヴィスさん、リリアン・ギッシュさんはもちろん、ヴィンセント・プライスさんの愛にあふれた立ち振る舞いが素晴らしい。ホラー映画俳優として有名な方で、マイケル・ジャクソンの「スリラー」で最後の高笑いが彼の声・・・と豆知識を披露してどうする。

27年前に観た映画の懐かしバナシで終わるか、と思いきや、昨年。岩波ホールで本作はリバイバル上映されてたんです。ノーマークでした。知っていたからと言って、観に行ったとも思えないけど・・・。

ハナシは連想ゲーム的に散らかっていきますが、10年ほど前、「ラヴェンダーの咲く庭で」というイギリス映画が公開されました。

8ga5.jpg「八月の鯨」と同じように海辺の田舎に住む二人の姉妹(老女)が主人公でした。ただしストーリーは淡々ではなく、ある日、気を失った美形男子が浜に流れ着くのをきっかけに様々なドラマが生まれるんですね。老姉妹を演じるのは、大女優のマギー・スミスさんとジュディ・ディンチさん。といっても、ハリー・ポッターに魔法を使わせたり、ジェームス・ボンドを送り込んだりはしません。

大御所ふたりの演技合戦っぽいシーンには少々興ざめしますし、「八月の鯨」のイメージがあると評価きつくなりますが、とはいえ「ラヴェンダーの咲く庭で」も素晴らしい映画。とくに、クラシック音楽好きの方なら、ラストシーンには涙することでしょう!

・・・と最後は、違う映画のハナシに行き着いて、収拾つかなくなったところで、今日はお終いです。ごきげんよう。


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「リディック ギャラクシー・バトル」、この映画に続編!?と観る前からツッコんでしまうワタクシ。 [映画]

いかに豊富な人材を誇るハリウッドといえども、映画のネタ創出には苦労しているようですね。相も変わらず、ヒット作の「続編」が続きます。続編にもいくつかのパターンがあります。「ハリーポッター」「ロード・オブ・ザ・リング」などは最初から連作として企画されているし、「アイアンマン」「スパーダーマン」「Xメン」「バットマン」といったアメコミ由来の作品も、続編を前提として作っているのでしょう。

そういえば、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズは完結したかと思いきや、「ホビット」シリーズでさらに観客から金を巻き上げるんですなあ、商魂たくましい。続編といえば御大シルベスター・スタローンさん、老骨に鞭うって「ロッキー」「ランボー」を熱演したと思ったら、新シリーズ「エクスペンダブルズ」まで立ち上げる活きの良さ。もしやシュワちゃんと共演した近作「大脱出」もシリーズ化かな?まさかそりゃないですよね?

当初は、続編の予定がなかったけど、一作目が意外にヒットしたので続編作るかあ?みたいな、文字通り「二匹目のドジョウ狙い」パターンもありますね。1970年代に「エクソシスト」「ポセイドン・アドベンチャー」の続編が登場したのには驚きました、あの映画に続編っすよ?「エイリアン」「ターミネーター」も脈々と続きました。シチュエーション・サスペンス「SAW」シリーズ、続く理由がわからない「パラノーマル・アクティビティ」・・・ま、いろいろありますね。

一方、いくらなんでもこの映画に続編か!?とツッコミたくなるケースもありますね。ケッサクなのはニコラス・ケイジさん主演「ゴーストライダー」。まさか続編が出来るとは・・・アメリカ人って、あれが好きなんですかね。まあ「キック・アス」の続編が出るくらいだから、さほど驚くことでもないか。ならば日本は負けじと「ゴーストライダー」ならぬ「ゴーストライター」シリーズで勝負してはどうでしょう。企画・脚本・主演は佐村河内 守(さむらごうち まもる)。音楽はもちろん代作者が書きます。ゴーストライターに曲を書かせて荒稼ぎする詐欺師Sが、オートバイにまたがり全身火だるまになって、業界関係者と、にわかクラシック音楽ファンを焼き尽くす・・・ああ、なんという痛快なドラマでしょう。

何を書こうとしていたのか自分でも分からなくなってきました、すいません。

そうそう、本日語りたかったネタは「リディック」なんであります。数年前、鳴りもの入りで公開されたSFアクション巨編です。宣伝文句と映画の出来との巨大落差に、マイナス感動を巻き起こした迷作ですが、その続編(正確には三作目)が、な、なんと、3月8日に公開されるというのです。

タイトルは「リディック ギャラクシー・バトル」。タイトルロールのリディックを演じるのはサンプラザ中野さんでも、刑事コジャックでもなく、前作同様、ヴィン・ディーゼルさん、であります。

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公開前なので、ワタクシまだ作品を観ておりません。観てはおりませんが、ものすごく「危険な予感」がします。グダグダなストーリー、キャラのぼやけた登場人物たち、テンポの悪い語り口・・・前作に良い要素をみつけられなかったので無理もないでしょう。いったい誰が続編を作ろうと思ったのか? 日本ポスターのキャッチコピー「銀河の果てで、暴れようぜ。」をみて危険な予感はますます増大し、予感が確信に変わったのはワタクシだけでしょうか?

リディックGB1.jpgこうゆうのも酷ですが主演ヴィン・ディーゼルさんに難があります。どんなに悪ぶって凶悪犯罪者リディックを演じたところで、結局は「力持ちのやさしいスキンヘッドのおにいさん」なんです。要するにヴィンさんは基本「良い人キャラ」だということ。だから違和感バリバリなんです。リディック役には、もっと狂暴さや狂気が感じられる俳優をキャスティングしてほしいです。

もしも万が一、今から数年後に、リディックの続・続編が作られるならスキンヘッド+低音ヴォイスつながりで、ジョン・マルコヴィッチさんに主役を演じてほしい。老境にさしかかったリディックが逮捕されて囚人輸送艇で運ばれるが巧みに脱出する。そして同じ艇に乗っていたニコラス・ケイジさんと死闘を繰り広げるんですね。地上で右往左往するのがジョン・キューザックさん。したがって、映画タイトルは「リディック・リベンジ、コンエアーで逢いましょう」・・・って、まるパクりしてどうする。

長々書きましたが、いずれにしても、映画は実際に観ないと分からんですからね、ネガティヴな方向に決めつけず、3月、虚心に「リディック ギャラクシー・バトル」を拝見することにしませう。ああ、なんと前向きなオレ。

では、ここからはワタクシが「続編を製作してほしい!」と思う映画を書きます。筆頭はダークなSFホラー(?)「スポーン」であります。前作ラストシーンが、あまりにも「次回へ続く・・・」っぽかったので続編がすぐに出ると思ったら大間違い。一作目公開から10年以上は経っていますが、続編にお目にかかってません。数年前、レオナルド・ディカプリオさんが続編を製作(出演も?)なんつう、東京スポーツなみのガセ情報が流れましたが、それも立ち消えて・・・うーん、フラストレーションがたまるなあ。

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次は、キアヌ・リーブスさんの主演作2本であります。キアヌさんのファンというわけでもないですが、なんとなくこれが思い浮かびました。これまた10年以上前の古い映画で、ビートたけしさん共演「JM」であります。B級テイストぷんぷん、近未来SFにありがちな「ご都合主義」と「強引さ」が心地よく、リアルでもない設定だから、続編は作りやすいのでは?ビートたけしさんはさすがに出演は無理でしょうけどね・・・。

もう1本は、「JM」よりも続編の可能性高いとみます。キアヌさんが魔物ハンターを演じる「コンスタンティン」であります。うまくすれば、キアヌさんのライフワークになっていたのでは?もしかして私が知らないだけで続編あるのでしょうか?もしも、キアヌさんが続編出演を望まず、そこで計画が頓挫しているなら、スピンオフ企画でティルダ・スウィントンさん主演の「堕天使」シリーズはどうですかあ?え?彼女、もう天使じゃないって?それなら、レイチェル・ワイズさんと組ませて、女二人組の魔物ハンターはどうですか?・・・と、勝手な妄想企画が膨らんできたところで、今日はお終いっ!

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2014年、あけましておめでとうございます。昨年みた映画でツボにはまったセリフ、ベスト1。 [映画]

いよいよ2014年であります・・・って、なにが「いよいよ」なのかはよく分かりませんが。

更新停滞の当ブログとはいえ、けっして止めたわけではないのだぞ、と「自分に言い聞かせる」意味で、2014年の新年ごあいさつであります。(それなら元旦、せめて1月3日までに記事アップしろよ、というツッコミあろうかもしれませんがキッパリ無視です)

私がやってる別ブログでも同じ手を使っておりますが、年賀状の裏面をそのまま貼り付け、なんたる手抜き。

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我が家の猫、もこ、が主役であります。3コマ漫画仕立てにしてみました。推定年齢12歳のおばあちゃん猫ですが、「おお、可愛い可愛い」と悦に入っている飼い主の私・・・まあ、そのあたりはご愛嬌ということで。

ここで突然話は変わり、映画ブログらしく、とってつけたように映画ネタです。

昨年(2013年)に拝見した映画のうち、いろんな意味で「やるなあ・・・」と唸った作品であります。名作だとか駄作だとか、そうゆう切り口ではございませんので念のため。その作品とは・・・

2013年3月公開された「フライト」。デンゼル・ワシントン主演の感動映画なんであります。

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予告編やポスターから、デンゼル・ワシントンさんは旅客機パイロット役なんだろう、問題を抱えているんだろう、それが話の軸なのね、と予想はつきますが、ネタを知っちゃうと感動半減なのでストーリーは語りません。で、本作への私の食いつきポイントはストーリーではなく、以下の3点なんですね。

その1: ポスターイラストの「芸の細かさ」。映画を観るまでは意識してなかったんですが・・・ありゃま、ヒコーキがちゃんとひっくり返ってる!やるねえ。

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その2: 宣伝コピー「彼は英雄か、犯罪者か」。こう書くからには、映画を観たら観客はそこを悩むんだろうなあ、と予想したのですが、なんのこっちゃない、主人公は議論の余地なく「はい、犯罪者です」。これがアメリカの現実だとしたら、怖くてヒコーキには乗れんだろうよ。。。

その3: 映画のラストシーンが良いです。正確に言えば、ラストシーンの「セリフ」が良い。昨年観た映画のなかで、これほど共感した一言もありませんでした。主人公の息子が、父親(デンゼル・ワシントン)に向かって、いわく「いったいあなたは何者なんだ?」。いや、おにいちゃん、よくぞ言ってくれました。私もまったく同じ質問をしたかった。この一言があるかないかで映画のニュアンスが全く違ったものになりますよね。デンゼル・ワシントンさんの名演技もスゴイけど、こうした「脚本の妙」あってこその名作なんであります。ドンドンドン(←意味不明の太鼓の音)。

・・・と、いい感じに締めくくったところで、本日の教訓、いってみましょう。

皆様も、旅客機を操縦するときは「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」でお願いします。

万が一、へべれけになったら、ディーン・マーチンか、ジョージ・ケネディか、カレン・ブラックに操縦を指導してもらいましょう・・・分かるかな、ワカンネェだろうなあ、って、いい加減にしなさい!

では2014年もヨロシクお願いいたします。


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さあて、ブログ再開だあ!と気合を入れても、そう(SAW)はいくかな~とグズグズなワタクシ。 [映画]

前回ブログ更新は1月6日。今日は8月16日。うわわ、半年以上も放置しちゃいましたね。こんな体たらくじゃいかん、潔くブログを止めようか~と思いつつ、アクセス数をチェックしたら意外や1日数百名の方が当ブログを読んでくださるようで、危ないところで思いとどまりましたよ・・・って、私は富士の樹海に向かう自殺者かっ。当面は「年に2回更新、超スローペース・ブログ」として頑張ろうと思います。それで頑張ってると言えるか微妙ですが。

さて、8年前は年間150本の映画を(映画館で)観てたハイパーなワタクシも、50歳を過ぎてヤキが回り(←日本語が違う気もするが、ドラマっぽい表現ではあります)、最近、めっきり映画を観なくなりました。今は、1ヶ月2本ペースですから1年間でたったの24本。。。本数自慢の場ではないが、これで映画ブログを書くのもおこがましい、って感じますね。

仕事が忙しいとか、映画館から離れた土地に引っ越したという即物的事情はあります。しかし最大の理由は、映画そのものへの興味が減退したこと。充足理由律によれば「すべてのことには理由がある」わけで・・・と小難しい知識をひけらかして、あはは・・・で、一歩突っ込んで「興味が減退した理由」を考えてみますと、

ひとつめ。映画の「先(奥)を見ちゃう感じ」に自分で寂しくなったんです。奥を見ちゃう、といってもワタクシ占い師でもなければ映画関係者でもないので、上映のとたん結末が分かるよ、という意味じゃないです。たとえば、映画を観ながらこう感じるわけです、「この箇所イマイチだけど、作り手はこんな効果を狙ったんだろうなあ(トホホ)」とか「予算の関係で苦肉の策だろうなあ」とか「この俳優を起用したことを監督は絶対後悔したろうなあ」とか、要するに、

下司(げす)の勘繰り、が頭をよぎるのであります。ハマカーン的にいえばゲスの極み・・・いや、そこまで酷くはないけど。いずれにしても映画鑑賞中に、余計な勘繰りが頭をよぎって作品を楽しめないわけ。ま、こんなネガティブ脳内シナプスもいつかは解消されると思うのですがね・・・。

映画への興味減退、ふたつめの理由。日本映画に顕著ですが、ここ数年、全体的に「映画の質が高くなった」んです。そりゃ、めでたいだろ、と反論あるかもしれませんが、天邪鬼なワタクシは「それじゃツマラナイ」のであります。「1800円払って、こんな映画か!」と激怒モードになる作品こそ、私の愛する「ツッコミどころ」が満載ですから。おちゃめな映画(率直に言えばクズ映画)が存在するからこそ、まともな日本映画が光って見えるわけです。全部が全部、均一・均質じゃあつまらんよ、ってことです。

最近めっきり増えたTVドラマの映画版。観る前から「登場人物」「テンポ」から「面白さ」まで約束されているわけでしょ?ストーリーを変え、スケールを大きくしても、根本サプライズはゼロであります。映画館で煮え切らない気分を味わうワタクシであります。

こんなマッタリ状況を打破するには逆療法、ツッコミどころ満載映画の積極生産しかないでしょう。大林宣彦センセイには「HOUSE2」「漂流教室アゲイン」を、あがた森魚さんには「オートバイ少女リターンズ」を監督していただきましょう。本田博太郎さんに北京原人になっていただき、草刈正雄さんはボロをまとって杖ついて砂漠をさまよってほしい。もちろん目黒祐樹さんはルパンを演じてくださいね。最大の目玉作品は、サザンオールスターズ復活との抱き合わせ企画で、桑田佳祐監督「続・稲村ジェーン。ホンモノはオレだ!」で決まり。加勢大周さんと坂本一生さんのダブル主演でお願いしますね。

・・・って、妄想のほうがよっぽど面白いとはどうしたことか、嗚呼。自己満足で失礼。

映画への興味減退の最後の理由。それは、イマドキの情報氾濫です。映画公開前に予備知識どころか、あらかたの情報(ストーリーやオチまで)が耳に入ってしまう。じゃあ事前情報を仕込むなよ、と言われるでしょうが、やっぱり観たい映画に興味がわくのが人情でしてね。

映画ブログを書いてる私が言うのもなんですが、映画紹介記事なんて、際どくネタばれですよね。完全アウト、ってのもありますよね。予告編はそこまで説明するかよ、という露出っぷり。好奇心をくすぐって劇場に来てもらう目的を逸脱し、劇場に行かずして「映画を観た気にさせちゃう」んです。それって本末転倒じゃないすか?たとえば、

ニューヨーク郊外。幸せに暮らすハワード夫妻。食品会社に勤める夫のジョン。妻は中学校教師のメアリー。一見、ごくふつうの二人だが、実はお互いに口に出せない秘密があった・・・

・・・と、これで説明が終わるなら良し、としますが、

夫はアメリカのCIA、妻はロシアのSVRの諜報員なのだった。おりしも、ロシア外交官ダブラチェンコ氏が、ホワイトハウスに向かう途中、完全武装した集団に襲撃され瀕死の重傷を負う。誰が何の目的で・・・疑心暗鬼がつのるアメリカとロシア。ジョンはCIAから、メアリーはSVRから極秘指令を受け、事件の真相に迫っていく。やがて事件の背後に見え隠れするアジアンマフィア。ボスのチャオリーを追ううち、ついにジョンとメアリーはお互いの正体を知るのであった。巨悪にむかってタッグを組む二人。真の黒幕は誰か。目的は何か。それらが白日の下にさらされるとき、二人はいやおうなく壮絶な死闘へと呑みこまれていくのだった。。。。ラスト20分、飛び交う銃弾3万発、本年最大最強、夫婦漫才的超絶アクション巨編。いよいよ公開! (ちなみに、こんな映画ありません。念のため)

と、このレベルまで書かれちゃあ、本編なんて観なくていいや、ってなるでしょう。

あれれ?文章を書いてて、私は自分の間違いに気づきました。上に挙げた理由から、映画への興味を減退させるなど愚の骨頂でした。そうか、それぞれにポジティブな「ツッコミ」をすれば良いのですね。「うわ、映画版もTVドラマとまるで同じじゃん!芸がないのう、わははは」とか、「そこまでネタばれしといて実際にはこれかい!あほんだら」とか、むしろ反作用的な興味、関心をあおっていけばいいのですな。いやあ、気づきませんでした。

突然ですが、ここで関連ネタのご披露です。少々古いハナシですが04年に「SAW」という怖い映画が公開されました。いまで言うシチュエーション・サスペンスってやつです。不条理な状況に陥った主人公(被害者)。姿の見えない犯人。先の見えない展開。低予算ながら緊張感が見事で、ラストのオチ(どんでん返し)がスゴイ。映画館の観客席から「えーっ」って声がでましたもんね。

それゆえ「オチ」を事前に知ると、面白さ半減どころか、観る必要もない・・・という点を念頭に入れていただき、05年正月(映画公開後数か月経過)に某新聞に出た「SAW」の広告を見て下さい。じゃーん。

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うわあ、それ書いちゃうか!?と仰天しました。新宿武蔵野館、なんでもアリ、って感じですなあ。8年前から「映画のネタバレ」傾向は深く着々と進行してたんですね。てなわけで、グダグダ書いちゃいましたが、今日の決めセリフはこれです。

そこの人、死んでますか~?

05年のネタもまだまだ新鮮でしたよ、死んでませんよ~。

いや、ピクッと動いたような

「いや」という二文字が味わいありますね。「いや~ん」という意味か、「いや違う」という意味か。って、どうでもいい感じになったので今日は以上です。チャオ!!


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映画 2013年は銀座シネパトスが閉館であります。。。 [映画]

今更ですが、あけましておめでとうございます。

さきほど気づいたのですが、前回のブログ更新は、昨年の10月28日。わおお、2か月以上も放置でしたか。いよいよ3か月に1回のレア更新ペースが定着したようです。とはいえ、更新頻度を上げるつもりもなく、忘れたころにユルッと記事を書く、今年もこの調子でしょう・・・って、向上心がないですね、おれ。

さて、新年早々、寂しい話題ですが、書かないわけにはいきません。

マニアック&エロチック&エキセントリックな映画道を貫いてきた、愛すべき映画館「銀座シネパトス」が、2013年、ついに閉館なのです。豪華キャストによる閉館記念映画(?)も作られたようですが、その製作費があったら、シネパトスをもっと続けてほしいと、HUMAXさんにお願いしたいのは私だけか。。。

20年以上にわたり、シネパトスさんにはお世話になりました。「花と蛇」シリーズ、「アナコンダ」シリーズ、「ゾンビ」もの、B級ホラー&アクション、超大物俳優が主演したトンチンカン映画・・・たくさんの作品を堪能させていただきました。B級映画が定常的に上映されるからこそ、まれに(というと失礼だけど)傑作に遭遇した時の感動が筆舌に尽くしがたいのです。ああ、なんと文学的な表現!

ウィレム・デフォーとレイ・リオッタ共演の「コントロール」、良かったですよねえ。ウィレム・デフォーが、あの顔で善人役だもん・・・って、そこに食いつくのかよ!

そしてベスト1は、ビル・パクストン監督・主演「フレイルティ 妄執」・・・感激して「妄執斧」「妄執手袋」つうマイ流行語を作っちゃいました。DVD発売になったときは即購入であります。

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いやはや、ハリウッドのメジャー映画からは得られない、映画の奥深さ、変化球的な楽しみ方を、銀座シネパトスさんから学ばせていただきました。

そういえば、私が北海道から関東にきた25年前は、八重洲スター座、三鷹オスカー、川崎国際など名画座がけっこうあったんですよね。シネコンにはない「手作り感」や「独自の味」がすんごく良かったわけです。おっと、オヤヂの思い出話みたいになっちゃった・・・いかんいかん。

さて、あえて最後にもってきたネタであります。東京広しと言えども、ここ銀座シネパトスでしか観ることのできない懲りないオヤヂ=スティーブン・セガール御大主演の「沈黙シリーズ」。このブログでもさんざん、取り上げてきた季節商品ですよね。

閉館前の大サービスか、来たる1月12日よりシリーズ最新作「沈黙の監獄」が銀座シネパトスさんで公開であります!これを観ずして、いったい何を観るのだ?セガール御大の(たぶん)強引で理不尽な雄姿を、いまこそ映画館のスクリーンで、目に焼き付けようではありませんか!

ビバ!沈黙シリーズ!

ビバ!銀座シネパトス!さようなら・・・それはまだ早いか。

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映画友だちのススメ、あるいはアンディ・ラウさんの脚の組み方。 [映画]

私事ですが、ここ2年間、映画を観る本数がめっきり減ったなあ・・・と感じます。7年前の05年は、年間150本もの新作を劇場で観ましたからね(←ここ自慢です)。2日に1回ペースで映画館に通うとは、われながらビックリ。あのころはよほど仕事がヒマだったのか!?

その後、数年間はなんとか100本ペースを維持したものの、2010年からガクッと半減(年間50本程度)という体たらくです。これじゃあ「映画男」の名が泣くってもんだ。

どうしてこうなったのか?を考えるに、自宅引っ越しで映画館が遠くなったこともありますが、大きな原因は「映画友だちが減った」ってことでしょう。

2010年まではマニアックな映画友だち(女性)がけっこういたんですね。ワタクシだけでは絶対に行かない恋愛映画や家庭ドラマを、彼女たちに引っ張られて観にいったんです。鑑賞本数が増えるだけでなく、苦手な「アメリカンな恋愛コメディ」も克服(?)できました。そして、劇場を出てから感想を話し合うのが楽しいわけです。映画に限らず、趣味というのは気の合う仲間が一緒だと楽しさが倍増しますね。

ワタクシの偏見ですが、男性よりも、女性のほうが「映画のツボ」をとらえるように思えます。たまたま私の知り合いだけかもしれないけど、女性はシビアでありながら、対象への「愛」がありますもん。男性は往々にして「面白い/つまらない」の主観的二元論であっけなく映画を判断しますが、女性は超駄作でさえも、目ざとく「面白ネタ」を見つけますね。「つまらないものを面白がる」のはワタクシの特技でもあり、友だちと一緒に観る映画は、駄作であるほど鑑賞後にハナシが盛り上がります。いやあ、貴重かつ良き友人たちでありました。

(私にとって)残念なことに、彼女たちは次々に結婚してしまい、さすがに既婚女性とふたりで映画もマズイだろう、と連鎖反応的に私の鑑賞本数も減ったんですね。。。ああ、他力本願なオレ。。。

それにしても彼女たちの「ノリ」は素晴らしかった。女優や男優にあだ名をつけたり、バカバカしい場面へのツッコミ(&ネーミング)が最高でしたよ。せっかくですので、その一例をご紹介。

女優ルーシー・リューにつけたあだ名は「いたち」。発祥は単純でして、「チャーリーズ・エンジェル」の一場面で、助平そうなおっちゃんが彼女に「いたちちゃ~ん」(←日本語字幕)と呼びかけたのを「お見事!」と腑に落ちた我々がそのまま命名です。

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同じく女優のスカーレット・ヨハンソンのあだ名は「すもも」。画家フェルメールの名作を題材にした「真珠の耳飾りの少女」で、これまた助平な金持ちがスカヨハちゃんを「すももちゃ~ん」と口説くシーンに、「これだあ!」と反応して、めでたく命名であります。

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あははは、どうでもいい話に拍車がかかってきましたねえ。

我々のお気に入りは、女優ニコール・キッドマンへつけた「ニコール犬(けん)」というあだ名。映画ファンなら気づいたでしょう、そうラース・フォン・トリア監督「ドッグ・ヴィル」であります。寒村に現れた謎の美人(キッドマン)をめぐって村人たちのエゴと欲がむき出しになる気分真っ黒な作品です。ニコール・キッドマンのわざとらしい演技と、映画題名の「ドッグ」が合成され、「なんだ!あのニコール犬は!」とつい口から出たのをきっかけに、以降、われわれの間ではこのネーミングが定着したんですなあ。うーん、語感がいいですね、ニコール犬。

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映画のワンシーンで、われわれの爆笑ネタになったのは、アンディ・ラウ主演「ブルー・エンカウンター」というB級SF映画であります。アンディ・ラウさんは香港のビックネームですが、出演作のバラつきが凄まじい。「インファナル・アフェア」で渋く決めたかと思えば、「マッスル・モンク」では愕然とさせる・・・つかみどころのないスターってことですね。

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で、「ブルー・エンカウンター」の問題のシーン。異星人から地球を守る国際組織に所属する主人公(ラウ)が、陰謀に巻き込まれ拉致されますが、気絶しているときの彼のポーズ、具体的には「脚」がすごい。寝返りをうつ途中のように、不自然にクロスしているんであります。

こんな窮屈な脚の組み方じゃあ、気絶もできないぞ!

というわけで、われわれ、このご様子を「ラウ寝」と命名したんであります。パチパチ。

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「ラウ寝」は本来の意味から転じて「不自然な様子」全般を表すまでに成長して、いつの日か広辞苑に載らないか?と期待しているのであります・・・無理か。

アンディ・ラウさんのこんな写真を発見です。二人の美女を脇にはべらせてますが、手のつなぎ方がややこしくありませんか。普通に肩か腰に手を回すだけじゃだめなんかい!?

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例によって主旨がぼやけた記事になりましたが、結論として、ノリのいい映画友だちは貴重、ということです。気の合う仲間と一緒に、バカバカしいツッコミをすれば、映画への愛がいっそう深まるってもんですよね・・・って、そんなまとめかよ。

蛇足ですが、先日、自宅の猫が、脚を変な形に組んで爆睡しているのを発見です。「こ、これは・・・ラウ寝じゃないか!」。やっぱり人間には無理ですなあ、ラウ寝は。

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映画 「アウトレイジ ビヨンド」 ここまでスゴイのを作られたら、他の映画監督が困るでしょうがっ! [映画]

北野武監督「アウトレイジ ビヨンド」であります。公開したとたん、ぎゅんぎゅんと観客が集まり、大ヒット確定らしいですね。おめでとうございますっ!パチパチ。

のっけから話が脱線しますが、変態的映画マニアなら「ビヨンド」といえば、グロイ怪物造形だけが売りの80年代のC級ホラームービー「フロム・ビヨンド」を思い出すことでしょう。「遊星からの物体X」をチープにしたような超駄作・・・ありゃヒドかったなぁ~と思い出しつつ、久しぶりに観たいです。

・・・って、何の話だよ!

今日のお題は「アウトレイジ ビヨンド」でした。一昨年公開の「アウトレイジ」の続編。やくざ同士の騙しあい、裏切り、殺し合いが畳み掛けるようにスクリーンに展開します。前作のコピーが「全員、悪人」で、本作が「全員悪人、完結」とは上手い!内容、まんまですもんね。

一昔前のやくざ映画-たとえば高倉健さんや高橋秀樹さん主演作ですと、やくざとはいえ、主人公はヒーロー=善であり、相手(敵)=悪の色分けがされてました。観客は主人公の「男気」「義理人情」に喝采を送り、敵と合いまみえる主人公にカタルシスを感じたものです。

一方、「アウトレイジ」「アウトレイジ ビヨンド」はどうか。どいつもこいつも悪党、殺されたって自業自得。観客はどこに(誰に)共感すればいいんだ!?・・・てなわけで、作り手にはハードルが高い設定なんであります。

以下、北野武さん(の才能)への賛辞ばかりになりますが、ご容赦を。

この映画、北野さんが監督、脚本、編集でなければ、とんでもない失敗作になったでしょう・・・というか北野武という天才の「突出した才能とセンス」があったから成立できたシロモノです。懐かしい言葉ですが「作家の映画」だってことです。とはいえ、フランスのゴダール監督の難解・難渋・自己満足映画ではなく、「アウトレイジ」2作は、単純に面白くって、スカッとする娯楽作品ですよね。”作家性”と”面白さ”を両立させちゃうとは、なんたる才能か!

「世界のキタノ」と欧米でも評価が高い方ですが、「この人は天才だ!世界的な映画監督だ!」と私が確信したのは、まさに「アウトレイジ」「アウトレイジ ビヨンド」の二作を観て、であります。

邦画が嫌いの方も、やくざ映画が嫌いな方も、「アウトレイジ ビヨンド」は観てほしい!

現在日本が、世界に誇るべき天才映画人=北野武さんの凄さを、劇場でギンギン感じようじゃありませんか!

アウトレイジ ビヨンド 2012年日本

監督・脚本・編集・製作総指揮 北野武  出演 ビートたけし、三浦友和、西田敏行、中野英雄、加瀬亮、小日向文世、中尾彬、名高達郎、田中哲司、高橋克典、塩見三省、松重豊、ほか

居並ぶ出演者の名前だけで、くらっとする豪華さであります。ほとんどの俳優が「北野映画に出たい!」と自ら志願したそうで、そのエピソードだけでも監督のすごさが分かろうってもんです。

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関東最大のやくざ組織、山王会の頂点にたった加藤(三浦友和)。若頭 石原(加瀬亮)の金儲け手腕により、組織は巨大化する一方で、古参組員への冷遇で組織内には不穏な空気が流れています。

刑事 片岡(小日向文世)は関西山菱会を引っ張り出し、山王会をつぶそうと策をめぐらせます。彼が目をつけたのは、「死んだはずの男」大友(ビートたけし)。服役中の大友は、以前、山王会傘下で汚い仕事ばかりをさせられ、挙句に自分の組は崩壊し、いまは山王会に深い恨みを持っています。片岡は大友を仮出所させ、かつての大友の敵、木村(中野英雄)と和解させると「山王会への復讐」を焚き付けるのでした。

こうして関東の山王会、関西の花菱会、大友、木村、警察の思惑が入り乱れ、醜い裏切り、騙し討ち、殺し合いがエスカレートするんであります。悪党どものオンパレード、どう収拾つくのか分からない・・・。

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さて、この映画。

繰り返しになりますが、北野武監督(脚本、編集も)の偉大な才能に、ただただひれ伏す私です。「映画的リアル」をここまで明確に突きつける邦画はかつてなかったでしょう。

本作にもっともショックを受けたのは、他の映画監督ではないでしょうか。〇〇映画の、〇〇のシーンといえば、お約束の演出を繰り返すばかり、新たなチャレンジもせずに、よく言えば無難、悪くいえば没個性の監督たちのことです。私がエラソーに言うのも変ですが、「アウトレイジ」2作を観たら、今後は、恥ずかしくて映画を撮れなくなるんじゃないか。

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たとえば、これまでのやくざ映画。「組長」がでっかくケバケバしい部屋で、ぶかぶかの椅子に座って子分へ檄を飛ばす・・・こんなシーン、ありがちですねえ。組長のエラさを強調する意図でしょうが、なんですか、それ。舞台の芝居を観るようで作り物っぽいったらありゃしない。ゲンナリです。

「アウトレイジ」はどうか。組織のトップといえども、質素で狭い部屋で会合します。企業の経営者のよう。現実かどうかは別としてすんごく「リアルな感じ」がします。狭い空間には圧迫感が生まれ、登場人物の顔アップは威圧感が満点であります(演じる俳優さんは大変でしょうけど)。

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映画中盤の、大友(ビートたけし)と木村(中野英雄)が山菱会幹部(西田敏行、塩見三省)と面会する場面は、本作のハイライト。話が決裂し、互いに激昂、怒鳴りあいになるのですが、顔のアップという視覚の迫力に加え、テンポよく怒号に怒号をかぶせる「音」のパワーの素晴らしさ・・・やられた!って感じですもん。

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分析チックになってすいませんが、「アウトレイジ ビヨンド」を観ると、相対的に、これまでの邦画のアラが気になってしまい苦言を発したくなります。

そうそう、最たるものは、日本映画にありがちな「変な間(ま)」ってありますよね。敵を殺すシーン、確実に目的を果たすなら、余計なゴタクを並べず「アウトレイジ」のようにさっさと撃てば良い。ところがどっこい、「変な間」を入れたがるんです。銃を突き付けた相手に「死んでいくお前に、良いことを教えてやろう」な~んて、逆襲チャンスを与えたうえに、秘密まで明かすバカがいるかよって。案の定、逆に殺される。もぉう~あほかいな!ってもんです。私だって子供じゃないので、そのセリフが「観客への説明」なのは分かりますが、あまりに手垢にまみれた演出ですよ。

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会話シーンはどうでしょう。これまでの邦画は、相手の言葉をきちんと聞き、驚きや喜びの表情をみせて(←ここで妙な「間」を入れる)、タメを作って言葉を返す・・・つーのがお約束です。登場人物の皆さん、幼少時代の躾が良かったのねえ、と皮肉のひとつも言いたくなります。そうした「のんびりテンポ」が適した映画もあるでしょうが、アクション映画、パニック映画やホラー映画でさえも、同じでやられちゃ芸がないってば。一刻一秒を争う緊急事態にあっても、どこふく風、とばかりに呑気に会話する「海猿」シリーズなどどうすればいいのか、心底、こんなレスキュー隊員に助けられたくない、と思いますねえ。

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おお、またしても話が脱線しましたね。

北野武監督の「間」「テンポ」の素晴らしいこと。過去映画の受け売りではなく、ご自身のセンス(お笑いの経験による?)から自然に生まれたのでしょう。お笑いでは、同じギャグも使う芸人によって面白かったり、つまらなかったりするわけですが、その差は「間」「言い回し」といった、言葉で説明できない何かですもんね。北野監督は「間」「テンポ」を絶妙に積み重ねて、独特の語り口を生み出し、緊張を途切れさせません。脚本も北野武さんだから出来たわけですが、これってほんとスゴイことだと思います。

これ以上、長くなるとグズグズなので、そろそろ記事を終わりましょう。

最後になりますが、「アウトレイジ ビヨンド」のラストシーン、最高でしたね!

一番悪いヤツはいったい誰だ!?

秋田のなまはげは「悪い子はいねが~~」と練り歩くわけですが、この映画も最後に「悪いヤツはお前だ!」と、ビシリとけじめをつけて下さいます。なまはげは出てないけど。。。

北野武さんの脚本、見事であります。

語彙貧困ですいませんが、この作品はすごい。もう一度、劇場で観ちゃおうかなあ。


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映画 「ロック・オブ・エイジズ」 もう~、これだけロックしてくれれば言うことなし!の号泣ミュージカル! [映画]

本日の作品はミュージカル映画「ロック・オブ・エイジズ」であります・・・と、冷静に書きましたが、

ずばり、申し上げましょう、この映画は素晴らしいっ!!!!!(←勢いでビックリマークが五つも並んでしまった)。当ブログ記事を読んだ方、すぐにご近所の映画館に走っていただきたい!スクリーンに展開する80年代ロックのバカで、無茶苦茶で、でもハッピーな世界にど~っぷり浸っていただき、ワタクシがそうだったように、上映時間の80%を号泣&号泣&号泣してくださいっ!

「号泣」は比喩ではございません。変質狂的にロックを愛するワタクシは、畳み掛けるように登場する80年代のロック名曲の数々に激しく感動して泣いちゃうわけです。曲の使いどころも見事ですが、出演者たちがあまりにも上手に歌いこなすので、こりゃてっきり吹き替えだね、と思ったら、そうじゃないと知って二度ビックリ。

若い二人は「歌える」条件でキャスティングされてますが、驚いたのはトム・クルーズさん。こんなに歌が上手かったの?冒頭の「Paradise City」なんて、オリジナルのガンズより、むしろいいじゃん!どうだ、まいったか!アクセル・ローズ・・・って、私が自慢してもしょうがないか。

「ロック・ミュージカルなんてバカバカしい」と決めつける真面目一辺倒の映画ファンもおられるでしょう。たしかにストーリーは紋切り、登場人物はステレオタイプで、全体に下品で暑苦しい・・・作品の面白さを説明するのは難しいです。でも、映画全体にポジティブなエネルギー「ロック愛」が充満しているんです。「観る」より「感じる」映画、キザに言えば「ロックする映画」であります。分かっていただけますかな~。

ロック・オブ・エイジズ 2012年米

監督 アダム・シャンクマン 出演 トム・クルーズ、ジュリアン・ハフ、ディエゴ・ボネータ、キャサリン・ゼダ=ジョーンズ、アレック・ボールドウィン、ポール・ジアマッティほか

Rock of Ages p2.jpgジュークボックス・ミュージカルというスタイルだそうです。既成のヒット曲を組合せて作ったミュージカルなんですね。これまでに、ABBAの曲を使った「マンマ・ミーア」、QUEENの曲を使った「We will Rock You」なんかがありました。

本作で使われるのは、80年代、まさにロック黄金期のヒット曲であります。ロック好きにはたまらんわ~と震えるセットリストであります。曲については後述するとしてストーリー。いたって単純であります。

舞台は1987年のロスアンゼルス。田舎町からやってきたシェリー(ジュリアン・ハフ)はロックが大好きな女のコ。ひょんなことから憧れのライブハウス「バーボンルーム」のウエイター、ドリュー(ディエゴ・ボネータ)と知り合い、一緒に働くうちにふたりは愛し合うようになります(このトントン拍子感がなんともアメリカ~ンである)。

実は、ドリューも、シェリーも、ロックシンガーを夢見てるんですね。ドリューが「君のことを考えながら作った曲だよ」な~んて能書きたれつつ自作曲をアコギで歌うシーンがありますが、これ、もし日本でやったら「末代までの恥」ですけどね、そこはアメリカ~ン、オキ・ドキのノープロブレムなのであります。

さて経営悪化で競売寸前のバーボンルームを立て直すべく、オーナー(アレック・ボールドウィン)は伝説のロックスターのステイシー・ジャックス(トム・クルーズ)のライブを計画します。しかし、ステイシーは、かつての輝きを失ったどころか、呑んだくれて意味不明の発言を繰り返すアル中に成り下がっています。こんな状態で果たしてライブ・ステージに立てるのか?

一方、急遽、前座バンドの代役をつとめたドリューのバンドは大成功。ステーシーのマネージャーにスカウトされ、ついにロックスターへの道が開けた・・・と思ったら、レーベルから「ロックは時代遅れ」と、意に沿わないヴィジュアル系ポップス・シンガーになることを強要されて悩みます。あはは、このくだりは「いかにもありそうだな~」とニヤッとさせられますね。

恋人ドリューを失ったシェリーは、食いつなぐため、いかがわしい店でステージ・ダンサーの職を見つけますが、出口の見えないLAでの生活に疲れはて、ついに田舎へ帰ろうと考え始めます・・・。

さまざまな困難に直面した登場人物たちが、映画中盤から「ロックの力」と「愛の力」により、その困難を乗り越え、栄光へ向かってゆくんですね。お約束だと言われようと、強力なロック名曲群に支えられ、あ~あ~カタルシス、てなもんであります。。。

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この映画、観るべきものは、出演者たちの「なりきり」っぷりですね。

若い主役二人も頑張っていますが、「伝説のロックスター」ステイシーを演じたトム・クルーズさんの前では分が悪い。トムさん、「マグノリア」に匹敵する変態オーラが出まくっておりますもん。何をしでかすか分からない男を鬼気迫る演技で体現し、存在感、威圧感は「さすが!」としか言いようがありません。ステージ・パフォーマンスも、お世辞でもなんでもなく完全ホンモノのロックスターになりきっております。すんげー、です。

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トムさん以外にも、異常な執念でロック排斥を画策する市長夫人を演じたキャサリン・ゼダ=ジョーンズさん。歌も踊りも演技も実にいいすね~。10年前の「シカゴ」のときより、パワフルで、なりきり度が大幅アップ、熟女の色気がむんむん発散してて怖いくらいです、ほんと。

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ステイシーの小悪党マネージャー役のポール・ジアマッティさん、ライブハウスのオーナー役のアレック・ボールドウィンさんなど脇役の素晴らしさについても書きたいけど、ええい、ここは割愛だあ。

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で、いよいよ待ってました!(って誰が待ってたんだ?)

本作を彩る80年代のロック名曲たち。ここに言及せず、終わるわけにはいかないのだ!

映画開始早々、主人公が田舎から長距離バスでLAにやってくるシーン。流れるのはナイト・レンジャーの名曲「Sister Christian」であります・・・この時点で、早くもドバーッと泣いちゃったもんな、オレ。

その後も、パンチのあるキャッチーな曲と、泣かせバラード曲を交互にまぶすという卑怯な手法に、こっちは涙腺が開きっぱなしになるのであります。

エクストリームの「More than Words」で泣き、ボン・ジョヴィの「Dead or Alive」で泣き、ツィステッド・シスターの「I wanna Rock」のサビで思わずシンガロングしそうになり、デフ・レパードの「Suggar on Me」でワタクシもフィル・コリン気分(←そこかよ!)。まだまだ続きますよ~、使いどころには納得しかねるが、Whitesnakeの「Here I go again」、この曲は映画「ザ・ファイター」でも効果的に使われて、このブログでもとりあげたっけ。いい曲だなあーーー。

そして出たあ、REOスピードワゴンの数少ない(失礼)名曲「涙のフィーリング」です。こりゃロック好きでなくとも、泣くでしょうよ。そこから、ジャーニーの「Any Way You Want It」ときたあ!周囲のお客さんが少ないのをいいことに、もう我慢できまへんと、ワタクシ、一緒に歌わせていただきました。

クライマックスはアリーナ・ステージでの文字通りの大団円。ロック・パフォーマンス炸裂です。トム・クルーズ、ジュリアン・ハフ、ディエゴ・ポネータが、ステージで豪快に歌う曲は、ジャーニーの「Don’t Stop believin’」です。うわあ、涙は枯れたと思ってたのに、ワタクシの目から再び涙が星飛雄馬のようにドバーッと出ちゃうのであります。スティーヴ・ペリーが歌うオリジナルもいいけど、皆様の歌唱もイケイケ感がサイコーで、違った意味で気持ちいい~。

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やれやれよく泣いたなあ、ほっ、、、としたら、エンドロールでの締めの曲が、なんと、スコーピオンズの名曲「ハリケーン」ですぜい!ほんとにもう、私のツボをどれだけ強く押しまくるのよ。

映画を観終わっても茫然状態でしたが、はっと気を取り直しiPodのジャンル「Rock」を開き、映画で使われていたジャーニー、フォーリナー、ホワイトスネイク、デフ・レパード、ジャーニー、スコーピオンズ、etcの曲を聴きまくってしまいました~。iPodに入れていたスコーピオンズのアルバムが、2000年のベルリン・フィルとの共演作で、冒頭に「ハリケーン」は入ってるものの、こんなこと言うとなんですが、「ベルリン・フィルさん、今回は余計です」・・・とクラシック音楽ファンに怒鳴られそうな発言だなあ。あははのは。


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ハンドガン(拳銃)の似合う女は誰だ!の特別企画。ちゃんちゃん。 [映画]

昨年のことになりますが、邦画「ワイルド・セブン」を拝見しました。あまりに懐かしい名作コミック(たしか「少年キング」に連載)の、今更なんでえ?の映画化です。世にはびこる凶悪犯たちを、超法規的に「始末」する影の軍団、ワイルド・セブン!ボス役の中井貴一さんがカッコイイ!って、そこに食いつくか。

この映画、瑛太さんが飛葉(主人公)つー違和感はまだしも、な、な、なんと、女暗殺者役が深田恭子さんには、ビックリ仰天なんであります。どうゆうキャスティングなんだ!?

深田恭子さんが悪い、と言ってるのではありません。可愛い方だし、雰囲気のある素敵な女優さんであり、数年前の「ヤッターマン」のドロンジョ(悪役)では、コスプレ系エロ空気を発散、福田沙紀ちゃん(本来のヒロイン)は顔色なし、なのでありました。

で、何を言いたいかというと「ワイルド・セブン」で深田恭子さんの演じた役が、

① 黒のライダー・スーツに身を包み、大型バイクを自在に操り、

② 狙撃銃、ハンドガン(拳銃)で容赦なく悪党を撃ち殺す。

というもので、ハッキリ申し上げて、全然、似合っていないのであります。

相手が悪党とはいえ、無表情で殺すキャラじゃない。そして失礼ながら、深田恭子さん(あくまで見た目ですが)運動神経が優れていると思えないのであります。大型バイクをアクロバティックに使いこなす役なんて無茶振りというものです。(映画では当然、ご本人の運転ではないが)

「ダークナイト・ライジング」のアン・ハサウェイさんもいかがなものか?と思いますが、アメリカ映画だと、高度なCGや、スタントで、どんな女優さんもスクリーンで運動神経超抜群!に「加工」しちゃいます。一方、財力のない日本映画はそんな芸当できないので、出演者のネーム・バリューより、やっぱり役に似合う・的確なキャスティングを目指すべきではないかあ?と考えた次第。

ということで、いよいよ本題です・・・って、いままでは前書きかよ!

映画に登場する「小道具」にハンドガン(拳銃)があります。実生活でお目にかかれませんが、映画世界では、邦画でさえも、じゃんじゃん観ることができる当たり前のブツですね。

この拳銃というやつが、俳優によって「似合う/似合わない」が明確に分かれると思うのです。高級スーツや高級車も同じでしょうけど、いくらご本人が気張ってみても、まったく「サマにならない」こともあれば、バッチリ決まっていることもある・・・。

てなわけで「ワイルド・セブン」の深田恭子さんから、ネタが展開を繰り返し、本日の企画は、じゃじゃーーん。

「ハンドガン(拳銃)の似合う女優は誰だ!」であります。パチパチ。。。。

さっそく日本の女優さんから俎上にあげてみましょう。

なんとなく思いついたのが米倉涼子さん。「交渉人」シリーズでスレンダーボディも相まって、クールに拳銃撃ちまくり、のイメージありますが、こうしてみると・・・・残念ながら「似合ってません」。

2交渉人.jpg

次に、涼子つながり、ではないけど、篠原涼子さん。こちらは「アンフェア」シリーズの刑事役で大活躍。だが・・・拳銃はといえば、「似合いません」。さてさて、なぜでしょう??

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ガンマニアのワタクシ、ちょっとだけエラソーに言わせていただければ、日本の女優さん、つうか映画関係者全般は、拳銃に対する怖れ、敬意、さらにいえば美学や哲学がないんですね。シーンや俳優をカッコよく見せる単なる小道具という発想でしかない。しかし、考えてみてください、片手におさまる「装置」とはいえ、引き金を引けば内部で火薬が爆発し、人間を殺せるだけのエネルギーをもった金属(弾丸)が飛び出すわけです。

いわゆる「凶器」であって、そんなものをおざなりに構えられちゃ、たまらんよ、と思うんであります。

つまり、「銃を使う」という気合みたいなもんが、全然、画面から漂っていないんであります。そこを出演者に求めるのも酷か、とも思いますが、映画とは「細部に神が宿る」表現なのであり、ちょっとのことで訴求力がガラッと変わることに思い至って欲しい。ベタですが「ダーティハリー」や「リーサル・ウェポン」といったハンドガンも立派な主役の映画をもう一度観かえしていただき、「邦画に欠けている感性」に気づいてほしいなあ・・・あれ、上から目線?

では、拳銃の本場(?)である海外映画はどうか??

さすがは名女優!と感じ入るのは「羊たちの沈黙」のジョディ・フォスターさん。圧巻のラスト、シリアルキラー(連続殺人鬼)とのガチンコ・シーンですね~。駆け出しのFBI捜査官という役で、観てくださいよ、この切羽詰まったリアルな表情。拳銃と一体となって敵の動きに集中、おお、拳銃が似合ってます!

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レクター博士つながりで、「ハンニバル」で同じ役を演じたジュリアン・ムーアさんはどうか。残念ながら、イマイチ似合っておりませんねえ。主婦っぽい容姿がいけないのかな?

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さて、ヨーロッパ映画の拳銃ヒロインといえば「ニキータ」 (1990年)で決まりでしょう。

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タイトル・ロールを演じたアンヌ・パリローさん、ステアの狙撃銃の使いこなしもかっこいいけど、レストランでのハンドガンによる銃撃戦シーンが凄まじかった~。使っている銃は、(たぶん)最高威力を持つハンドガンと言われたデザート・イーグル、それも50AEではないか?でっかいなあ~。でも似合ってるよなあ~。

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ちなみにデザート・イーグルというのはこんな銃であります。いかにも強力、って感じですなあ。

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ここで、またぞろ邦画の悪口になります。邦画っていくらリアルを目指しても、銃撃戦シーンは所詮「カッコつけの演技」の枠を出ませんね。それに比べて「ニキータ」はどうだ!高度な訓練を受けている暗殺者が泣きそうになりながら、生きるために必死で銃を撃つ姿・・・両者の落差に愕然とするのはワタクシだけでしょうか?「映画的リアル」とは何か、を、邦画製作者は猛省いただきたい。少なくとも銃撃戦シーンに関しては、ハリウッドの(絵空事の)物真似から脱却してほしい。

いよいよ、このネタも佳境に入ったようです。

ここで少々、変わりネタです。最近観た映画「ハンナ」であります。組織の元エージェントの父親に、殺人マシーンとして育てられた10代の娘ハンナ。単身、ケイト・ブランシェットさん演じる「敵」に挑むのですが、ハンナ役のシアーシャ・ローナンちゃんの可愛い容姿と、でっかいハンドガンの対比、なかなか良い、のであります。似合っているとか、様になっているとかいう基準ではないけど、変わり種としてアリ、ですねえ。

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で、ここから私が激しく推薦する「拳銃の似合う女」。

「ロング・キス・グッドナイト」のジーナ・デイビスさんであります。

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たまにレナ・オリンさんと区別がつかなりますが(私だけ?)、この映画の彼女はスゴイです。記憶を失った元エージェントって役ですが、映画前半(記憶がなく普通の女性)から、記憶がよみがえった後半のドッカンドッカンぶりの対比もよく、そしてまたハンドガンが良くお似合いなのであります。相手(敵)への集中度もヨロシイ。

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そして、撃った瞬間の「おりゃあ!!」といった気合の表情がさらにヨロシイのだ。

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てなわけで、「ハンドガンの似合う女優ベスト」には極私的好みのより、ジーナ・デイビスさんを認定!であります。

・・・で終わろうと思ったら、すいません。別格のスゴイ方がおられました。

「グロリア」で主人公を演じた、ジーナ・ローランズさんです。ジョン・カサベテス監督の名作中の名作であります。これ観ずして今日のテーマを語ることはできないでしょう!どうですか、この目力。そして気合。来るなら来いや!ってなもんです。銃は小口径のリボルバーですが、ジーナさんの迫力で、マグナム44も真っ青の武器になっております。

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てなわけで、結論=「ハンドガンの似合う女優ベスト・オブ・ベスト」は、ジーナ・ローランズさんに決定!

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蛇足ですが次世代を担う候補としてアンジェリーナ・ジョリーさん、スカーレット・ヨハンソンさん、ルーニー・マーラさん、日本では、真木よう子さん(←一押し)を挙げたいと思います。ちゃんちゃん。


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映画 「遊星からの物体X ファースト・コンタクト」 カーペンター監督の名作(82年)の前日譚、期待どおりに・・・? [映画]

前回は名作「エイリアン」の前日譚である「プロメテウス」を取り上げましたが、今回もまたまた、前日譚映画であります。その作品とは、さあて何でしょう・・・って、もったいつけても意味がないすね、ブログ題名に思いっきりタイトルを書いてますもんね。

SFホラー「遊星からの物体X ファースト・コンタクト」 (2011年)であります。

そうです、1982年に作られたジョン・カーペンター監督の名作「遊星からの物体X」のリメイク・・・正確には前日譚ですね。カーペンター監督自身が言うように82年の作品は商業的には失敗でした。でもワタクシは大好きなんですよ~。地球外生物を扱ったSFというより、緊張感に満ちた心理サスペンスとして評価したい。映画全体の陰鬱さもいいし、極めつけは生理的嫌悪を催すドロドロ・テイストの怪物・・・このB級ホラーっぽさがたまりません。(映画の内容については後述)

ところでマニアックな話をすれば、82年のカーペンター監督作は、ハワード・ホークス監督作「遊星よりの物体X」(1951年)のリメイク・・・つまり今回紹介の新作は、60年ごしのリメイクのリメイク、というわけ。アメリカ人はそこまで好きなのかあ、このネタが?と言いたくなります。それとも「The Thing」(原題)は30年ごとリメイクするルールがあるのかしらん?じゃあ次回は、2041年か(!)、うわわ、実感わきません、30年先といったら、近未来SFの舞台ですよ、って、いったい何の話でしたっけ。

前作の話は置いといて、新作の「中身」についてドロ~リと語ることにしましょう。

遊星からの物体X ファースト・コンタクト 2011年米

監督 マシーズ・ヴァン・ヘイニンゲン・Jr. 出演 メアリー・エリザベス・ウィンステッド、ジョエル・エドガートン、ウルリク・トムセンほか

遊星からの物体XファーストP.jpg舞台は南極。ノルウェーの調査基地です。厚い氷の下からUFOと、謎の生物(怪物)に死体が発見されます。隊員たちがその死体を掘り出し、基地に持ち帰ったことから、とんでもない悲劇が始まります。

その不気味な生物は死んではおらず仮死状態なのでした。基地で息を吹き返し、次々と隊員を襲いはじめるのです。襲われた隊員は怪物の体内で消化されてコピーされます。怪物は隊員になりすまして、次の獲物を狙う・・・うわあ、なんていやな展開だ!

隊員たちはヘリコプターを失い、無線装置を破壊され、基地に閉じ込められます。一番の恐怖は怪物そのものより、仲間のなかに「人間に化けた怪物」がいること。それを見破れないこと。いったい誰が怪物で、誰が人間なのか・・・疑心暗鬼にとらわれ、結束して怪物と戦うべき隊員たちは内部から崩壊していきます。

ここまで読んでお気づきのように、プロットは「遊星からの物体X」そのものです。映画ラストで怪物が化けた「偽犬」がアメリカの南極基地に走ってゆきます。このラスト・シーンが、前作(82年)のファースト・シーンにつながるわけですね。

さて、率直に申し上げて、トータル評価としては、82年の前作のほうが、新作より優れていると思います。まあ前作はあまりにも完成されていたので比較するのは酷ですが。。。新作が、首都圏でさえ、たったの1館でひっそり上映されているのも致し方ないか。

もちろん本作にも良い点があります。まず、主人公が女性ということ。謎の生物発掘の情報を受け、基地にやってきたアメリカ人科学者ケイト(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)です。プロメテウスのヒロインとは違って、ちゃんと美人なのであります。ワタクシは、「ホラー映画のヒロインは美人でなければダメ」と信念を持っているので、ひじょうに嬉しいのであります。いいねいいね。

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そのうえヒロインは優秀で、猜疑心と恐怖にかられる隊員たち(男性です)を叱咤激励し、最後は「統率」しちゃうつー、リーダーシップを絵に描いたような大活躍をみせます。これまた、いいじゃないかあ!強い美人に叱られるのはオレは望むところだぜい!って、そうゆうハナシじゃないですね。さらに、「おお、やるねえ」と思ったのは、彼女が「人間と怪物(が化けた人間)を見分ける方法」を見つけるくだり。(82年の前作と同様に)最初は血液検査を計画しますが、怪物に阻止され失敗。そこで彼女は血液検査より簡単な、ある「識別方法」を思いつくのです。

ひげ面のカート・ラッセルじゃあ、これは思いつかんでしょうよ、って、そこをツッコむかよ。

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ツッコムとすれば、せっかく人間に化けたのに、どうしてそのタイミングで「本性」を表すのかね?と不思議になる怪物君の根気の無さでしょう。もうちょっと我慢して人間のふりをしとけば、火炎放射器で焼かれずに済むのになあ・・・と思うのは私だけでしょうか。ああ、そうか、怪物にとっては、人間に化け続けるのはかなりのストレスなんでしょう。一定時間が経過すると、いやでも化けの皮がはがれちゃうってことか?12時になるとみすぼらしい姿に戻るシンデレラみたい・・・ちょっと喩えが違いますね。

遊星からの物体Xファースト3.jpg

さて大きな見どころ=怪物の造形についてです。高度なCGに頼りすぎずに、キッチュでチープな「アナログ感」に満ちているのがナイスです。「人間部分」を残したゲテモノ形状は、相変わらず秀逸、粘液的ドロリと相まって気持ち悪さも抜群です。滑稽なほどのワルノリっぷりは、良い意味で前作と同様ですね。ここは素直に高評価していいんじゃないですかーーー。

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残念ながら、前作を超える名作とはいかなかった「遊星からの物体X ファースト・コンタクト」ですが、これはこれでアリ。「The Thing」ファンを増やすきっかけになれば、と思います。ただ、首都圏唯一の上映館だったお台場 シネマ・メディアージュでも本作の公開は終了してしまい、興味のある方はDVDでご覧いただくことになりそうですが・・・。

って、最後は意外にふつーのまとめでスイマセン。


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映画 「プロメテウス」 本家本元によるエイリアン・シリーズ登場にめちゃ嬉しくなっちゃうけど、それはないだろ!ってか。 [映画]

映画男を自称するからには、これは見逃せまへん、と公開中の「プロメテウス」を拝見しました~~。

監督は巨匠リドリー・スコット。「人類の起源」をテーマにした壮大なSFドラマと聞けば、期待度120%であります!

リドリー・スコット監督はアメリカ映画界にあって、いまどき珍しい(?)「ハズレなし」&「名前で客を呼べる」名匠ですよね。作品は変にゲージュツしておらず、まぎれもなく娯楽映画なのに、ハリウッド的な「大雑把さ」「幼稚さ」が皆無なのが嬉しいです。シリアスな空気と重厚感が漂って、安っぽくないんですよ。これはスゴイことです。スコット監督ならではの美学、世界観が確立されているからですね。

スコット作品のほぼ総てを拝見しているワタクシですが、一本選べと言われたら、79年の「エイリアン」で決まり、でしょう!未知の惑星に着陸した輸送船という閉塞空間で、たった一匹の狂暴な異生物(エイリアン)に追い詰められてゆく乗組員たちの恐怖・・・。重苦しいウエットな空気感がたまりません。そしてエイリアンのコンセプトが秀逸です。卵から孵化したフェイスハガー(他生物の顔面に張り付く幼虫)を経由し、人体内で成長してチェストバスターとなり腹を食い破って飛び出す・・・見事なアイディアです。その最終形が、H.R.ギーガーのデザインによるエイリアンですね。異生物(異星人)を「話せば分かり合える仲間」ではなく、「徹底的に残忍なケダモノ」と位置付けた潔いセンスにも脱帽です。

私事ですが、現在50歳のワタクシ、映画「エイリアン」を観たのは高校2年(17歳)のときでした。同級生5人で「どうせ他愛のない宇宙人映画だよ」と冷やかし半分で映画館に入りましたが、終わってみると、全員が緊張と興奮で疲れきっていたのを覚えてます。あれから33年、地球外生物を扱った映画で、これを超える作品は生まれていないのでは?と思うほど「エイリアン」はよくできた作品です。(個人的にはジョン・カーペンター監督「遊星からの物体X」を推したいけど・・・賛同得られない?)

前ふりが長くなりましたが、本題の「プロメテウス」であります。

なんと、劇場で映画が始まってから分かったんですが、この作品、33年前の「エイリアン」とつながってたんですねえ。続編ではなく、時系列的には「前の出来事」を描いた、いわゆる前日譚ってやつ。それなら題名を「エイリアン・ゼロ」とか「エイリアン・ビキニング」「エイリアン/ザ・ビフォア」にしてくれれば良いのになー。

リドリー・スコット監督が、なんでまた、30年以上もたって同じネタに取り組んだのか?ファンとして嬉しい反面、元祖「エイリアン」に入れ込んでるワタクシ、新作が、「今どきハリウッド大作」にありがちな間抜けストーリーに堕してるのでは?と不安も否めません、ああ、ドキドキ。

プロメテウス 2012年米 

監督 リドリー・スコット 出演 ノオミ・パラス、マイケル・ファスベンダー、ガイ・ピアース、シャリーズ・セロンほか

プロメテウスP2.jpgさすがはリドリー・スコット監督です、子供だましのハリウッドSF大作とはひと味もふた味も違った「大人の鑑賞に堪えうる」作品を作ってくれました。パチパチ!

素晴らしい、よくぞやってくれた、と思います。なにせ他監督による「エイリアン」の続編は回を重ねるごとにサスペンス要素が後退して、アクション映画化されていったからです。

その点、「プロメテウス」は意識的に原点回帰しており、サスペンス&グロイ生物を中心にそえ、コンセプトもストーリーも「エイリアン」を、まんまなぞっている、といえます。派手な銃撃戦や、エイリアンとのバトルシーンもありません。

「エイリアン」との共通点ばかりをあげつらうのもなんですが、

① 登場人物たちは宇宙船で未知の惑星へ向かう、② シーンのほとんどが宇宙船内、または謎の建築物内である、③ 乗組員のなかにアンドロイドが1名いて、こいつが腹黒い、 ④ 乗組員は謎の建造物へ調査に向かって、⑤ そこにあった「卵」からエイリアン(の幼虫)が乗組員の体内に侵入、 ⑥ そのエイリアンさんが成長して大暴れ・・・・

そして、最大の共通点がヒロインのキャラ。それほど美人ではない女性乗組員が、驚異的な精神力と機転で、次々に難事をクリアしていくわけです。「エイリアン」ではシガニー・ウィバーさんが、「プロメテウス」では元祖リスベットことスェーデン出身ノオミ・ラパスさんが演じてますが・・・ううっ、申し訳ないけど、ノオミさん、風貌が、おばちゃんっぽくイマイチなんですよね~。ヒロインは分かりやすい美人がいいんだけど・・・。

あれれ、そこを言わないのが大人の礼儀ですか??

正直、脇役で登場する美人女優シャリーズ・セロンさんをヒロインにして欲しかったな。あ、オスカー女優は半裸で血まみれになったり、不気味な幼虫にからまれたりは出来ないんですか?映画「モンスター」で10㎏以上太った彼女ならアリだと思うけど・・・って、今更どうにもなりませんが。まあ、今回はアンドロイド役の男性が美形なので許しましょう(「エイリアン」ではヴィジュアル的にいけてない、イアン・ホルムおじさんが演じてました)。

プロメテウス6.jpg

話を戻しますが、ここまで書くと、「エイリアン」の焼き直しじゃん、とツッコミあるかもしれませんね。答えはある意味でYES、ある意味でNO、です。33年が経ったとはいえ、オリジナル作品のまんまじゃ芸がないよ、と思ったか、今回はメインテーマ=「人類の起源は何か!?」が激しく掲げられてるんです。

まさかあの化け物エイリアンが、人類の起源じゃないので、カギを握る「別の異星人」が登場します。その異星人とエイリアンの関係は?・・・と、そこが上手~く話ができていて、それがオリジナル「エイリアン」にもつながるという、ほほ~やるねえ~と感心です。(こうゆう「脈絡」をつけるのは、日本映画にできない芸当と思います)

プロメテウス0.jpg

核心的なネタばれしない程度に本作を褒めてきましたが、以下、「そりゃないでしょ」のツッコミであります。大作映画なので、完全リアル=地味にできなかったんでしょう。「プロメテウス」よ、お前もか、じゃないけど、それなりにツッコミ・ポイントが満載なんであります。

まずひとつめ。大金をかけて巨大宇宙船を建造し、未知の惑星に乗り込むビック・プロジェクトのわりに、乗組員たちのグダグダっぷり、統率のなさ、修学旅行生なみの自由行動に呆れちゃいますよ。目的地に着いたら、状況分析・把握してミーティングしましょうよって。着いたなりに、矢も楯もたまらず、謎の建造物に突進していくなんざ、立派な社会人のやることかね!?

あまつさえ、現場で怖くなった二人が「おれたちは先に船へ戻る!」と、これまた好き勝手に撤収。仲間とはぐれて、あげくに道に迷い、エイリアンの最初の犠牲者に・・・。ハイ、ご苦労さんでしたね。映画の性格上、乗組員が一人づつ化け物の餌食になるのが常道ですが、あまりにもねえ・・・って。

異星人さんのキャラもなんつーか、ですね。あれだけの宇宙船を建造する高度な技術力を持っているわりに、性格が粗暴でいけませんよ。子供のころ不幸が重なりキレやすい性格のまま大人になったか・・・三つ子の魂、異星人も、ってそこでボケてどうする。

プロメテウス1.jpg

最後のツッコミですが(これが最も納得いかないのですが)、鎌首をもたげたミミズの化け物に、「可愛いね~怖がらなくていいんだよ~」なんて言いながら寄っていく乗組員よ、お前はどうかしているぞ!ウサギやリスみたいな外観ならまだしも、あれに一番似ている地球上の生物は「コブラ」ですよ。どうみても危険でしょうが!いや、それ以前に、単純に気持ち悪いし・・・。案の定、その「可愛い生物」に襲われてあの世行きの彼氏・・・自業自得つーか、お茶目さんというか。。。

このあたり、さすがのリドリー・スコット監督も「ハリウッドのお約束」に抗しきれないってことか。。。

どうでもいい話ですが、謎の建造物内を「地球と同じ空気に維持」していた理由、あるんでしたっけ?エイリアンさんはもちろん、異星人さんもヘルメット無しでぐんぐん「外」に出ていたようだけど・・・地球の空気なんていらないじゃん?

と、なんだかんだ謎が残った「プロメテウス」であります。人類も映画も、奥が深いってことですかね?って無理やりまとめかよ。

プロメテウス5.jpg

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ブログ更新へ向けて頑張るぞー! [映画]

日々の仕事と、その他もろもろ雑事(といっても酒飲んでるだけ?)にかまけ、例によってブログ更新をさぼっております。前回アップしたのが4月初め・・・ってことは、3か月以上放置していたんですねえ。嗚呼嗚呼。

正直なところ、ここ2か月ほどは土曜、日曜も出張だったりで、それも映画館のない地方都市、ブログアップする以前に、取り上げるネタ=「映画」を観れない、という切実なる問題がありまして・・・ま、それも言い訳であります。

さて、書いてる本人の私でさえ存在を忘れかけた映画ブログでしたが、先般、久しぶりにアクセスしたところ、「あれまあ!」、ソネットの映画ブログ内でのアクセスランキングが、いまだに20位あたりにいるようです。(7月21日時点で、18位)

ブログアクセス数とか、ランキングには完全無関心なワタクシですが(そりゃそうだ、気にしていたら、もっとマメに更新しますよね)、「こんなイイカゲンなブログでも、それなり読んでくれている方がいるのだなあ」と、ちょっと感激&反省した次第であります。

ということで、当映画ブログ、新作・旧作織り交ぜて、7月中には怒涛のアップ・アップ攻撃(←溺れてるみたい)しちゃおうと思いますよ。

「ワイルドセブン」の”あの役”が、なぜ深田恭子なのか!

「バトルシップ」の宇宙人はあれだけの技術を持っていながら、なぜ接近戦で負けるのか!

「私が、生きた肌」の、ATG映画顔負けの”死にたくなるような展開”に、笑えるのはなぜか!

など考察をしていきたいと思います。

・・・という予告で終わりかよ!こりゃまたブログ更新は4か月後かあ。


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あのカルト監督 デヴィッド・リンチの「ソロ・アルバム」に・・・うわわ評価ビミョー。 [音楽]

このブログで、久しぶりに映画ではなく、音楽ネタを書こうと思います。とはいえ映画がらみのハナシなんです。

今日取りあげるアルバム(CD)は、昨年11月にリリースされたかなりマニアックな物件です。

なんと、あのデヴィッド・リンチ監督のソロ・アルバムです!

リンチ監督といえば、「エレファント・マン」「ワイルド・アット・ハート」「ブルー・ベルベット」「マルホランド・ドライブ」といったダークかつ悪夢的な匂いのする”カルト映画”の大家ですよね。

「インランド・エンパイア」(2006年)以来、作品を観ていないなあ、もう引退したのかなあ、なんて勝手に想像していたら、いつの間にか音楽活動にご執心だった!それにしても、66歳という年齢で(というと失礼になりますが)、創作意欲が衰えないとは、アグレッシブなお方ですねえ~~。

ソロアルバムのタイトルは「CRAZY CLOWN TIME」・・・狂気の道化の時代ですか。いかにもリンチさんらしい(訳のわからなさが・・・)。アルバムジャケットも「運命」「痛み」「死」をイメージさせるリンチ色濃厚なアートワークです。かなり狙ってるな~~。

リンチCD2.jpg

映画人が関わるアルバムって、サウンドトラックや、既成曲を集めたオムニバスだったりしますが、本作は正真正銘、デヴィッド・リンチのソロアルバムと言ってよい内容です。

なにせ、リンチさんが楽曲を作詞作曲し、自ら演奏し(打ち込みもある)、歌っているのですから。

考えてみればリンチさん、若いころは画家を目指し、後年、個展もやったはず。映画の世界に身をおいてからも監督一筋ではなく、脚本を書き、俳優もやり、音楽にも手を出し、あげくにコーヒー豆の栽培までする(そこはどうでもいいか)、超マルチな才人です。音楽CDを発表したからと言って、驚くには当たらないんですね。

問題はこのアルバムを買うべきか、買わざるべきか・・・という「こちら側」の悩みであります。

リンチCD3.jpg

デヴィッド・リンチ監督の大ファンであるワタクシ。映画なら必ず劇場に足を運びますが、”音楽作品”となるとビミョー。もしも内容(楽曲、アレンジ、雰囲気)が映画と同様、不気味かつ陰々滅滅としていたら、2000円の出費は高いよなあ、と。

グズグズと悩んでもしょうがないので、エエイ、CD購入いたしましたぜ!どうだっ!

さっそく、自宅オーディオルームで、そこそこ大音量で聴いてみましたよ。

結果はどうかというと・・・うわわっ、まるで予想どおりやんか!

ゲストシンガーが参加している冒頭一曲目から、気味の悪いヴァイヴが炸裂です。音楽を楽しむ、という言葉からはほど遠く、気が滅入るようなダウナー系ブルージー・サウンド・・・映画的と言えば言えるかもしれませんが、悪夢的で出口無しの迷路にいるごとし。ちょっと寒気がしちゃいましたね。

予想的中は「やったぜ!」ですが、むしろ当たって欲しくなかった予想といえます。

念のために、アルバムを通しで3回聴きましたが、ますます「どう食いつけば良いのか」に困惑している状態ですよん。トホホ・・・。

こうゆう音楽を好きな方を否定しませんし、リンチ・ワールド全開という点で、ある程度はツボにはまったわけです。ただ、映画と音楽は別物ですからねえ・・・意地悪な見方をすれば、「リンチ印」で売ろうとするアザトイ便乗商品とも思えるわけで。

強いて本アルバムの効能をあげるなら、聴いているうち、過去のリンチ映画をもう一度観たくなったってことすかね。たとえば、こんな映画です・・・

映画館で私の脳天に衝撃が走った作品、86年の「ブルー・ベルベット」。イザベラ・ロッセリーニさんの怪しすぎる美しさに加え、デニス・ホッパーの狂気噴出っぷりがスゴイ。冒頭シーンの「野原に耳が落ちている」シークエンスにもインパクトあったなあ。

ブルーベルベット.jpg

次に、ナオミ・ワッツの美しさと”名演技”(←意味、おわかりですよね)に震えた01年の名作「マルホランド・ドライブ」。思い出すだけでゾクゾクする迷宮的世界でした・・・ああ、もう一度観たいっ!

マルホランドドライブ.jpg

ナオミ・ワッツさん、いいですねえ~(しつこい?)

マルホランドドライブ2.jpg

最後は06年の作品「インランド・エンパイア」。リンチ監督のお気に入り女優(であろう)ローラ・ダーンがしだいに精神を崩壊させていく展開の怖いこと。「マルホ・・・」に比べ、難解度合いを増してたけど、リンチ好きにとっては「辛抱たまりません!」。

インランドエンパイア.jpg

ソロアルバムから、ずいぶんハナシが逸れちゃったけど、とにかくリンチ監督に強くお願いしたいことは、映画の新作を作ってください!ってこと。うーん、この調子じゃあ、しばらくは無理かなあ。ソロアルバムのプロモーションと称して、コンサートツアーなんか始めないでくださいねっ。


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この映画女優が好きだ!・・・と、ちょっと懐かしいアクトレス列伝。 [映画]

先般。居酒屋で、映画仲間の女性と、果てるともない映画談議に花を咲かせていたわけです。

いつの間にか話題が「最近、スクリーンでお見かけしない女優さん」になりました。これがメチャ、私のツボにはまりました。アカデミー賞3回ゲットのメリル・ストリープさんは例外中の例外で、女優業で第一線にとどまるのは至難ですね。若手がどんどん登場しますから。ヒット作で脚光を浴びても、いつの間にか消えてゆく女優が大半でしょう。気づいてみると、あのひと最近見てないなあ・・・なんて、むしろ当たり前なんです。

口火をきった友人の言葉は「ジュリエット・ルイスって、今、どうしてるんでしょう?」。ワオオ~~、こりゃまたスゴイ名前が出ました!

ジョニー・デップとディカプリオ共演の名作中の名作「ギルバート・グレイプ」で、主人公ギルバートが恋心をよせる女性を演じたジュリエット・ルイスちゃん。出番は少なくても思い出すだけで、キュン、ときますねえ。決して美人ではないけどエキセントリックで独特の”雰囲気”を持った女優でしたねえ。

で、私は知っている!ヘヴィメタ野郎ですから。ジュリエット・ルイスちゃんは「ジュリエット・アンド・ザ・リンクス」というロックバンドをやってるんですぜ!もちろん彼女がヴォーカル。ぶっ飛び度は、女優時代の比ではございません。今の彼女、こんなんですから。

ジュリエットルイス1.jpg

もはや、ご本人かどうかの判別も困難であります。なにも、ここまで無理な姿勢をとらなくても良いのでは?ちなみに「ジュリエット・アンド・ザ・リンクス」は、コミックバンドではありませんよ、念のため。

さあて今回の企画は「最近、どうしているのかしらん?」というご無沙汰女優さんをアトランダム、思いつくまま書き連ねる、というもの。誰のことを書こうかなあ、とワクワクであります。皆様の心の琴線に触れる、あの方がいるかもしれませんねえ。

まずは、エミー・ロッサムちゃん(1986年生)であります。

そう、2004年のミュージカル映画「オペラ座の怪人」で、ヒロイン、クリスティーヌを演じてスターダムにのし上がった、歌の上手いあのコであります。

エミーロッサムさん.jpg

クリスティーヌのイメージが強烈すぎたか、エミーちゃん、どうも出演作に恵まれませんね。「オペラ座の怪人」の前後に撮影された「ミスティック・リバー」は映画は素晴らしいものの、彼女は登場するなり、すぐに殺されちゃう”被害者役”なので印象はほとんどなし・・・。

最後にスクリーンで観たのは、2年ほど前の「ドラゴンボール エヴォリューション」(日本アニメの映画化)の女戦士ですぜい。誰が演じたって同じやんか、という役でガックリです。そのうえ共演者をダメにする俳優=チョウ・ユンファとからんでしまった時点で”危険水域”に入ったといえます。「リプレースメント・キラー」のミラ・ソルビーノの二の舞にならなければ良いが・・・。

ちょっとだけ真面目に考えますと、エミー・ロッサムちゃんって、「お顔が間延び」してて、賢そうにみえないのがネックではないか。ポカンとしたお顔というか・・・表情が乏しく、にこにこ笑うのはOKでも、シリアスな人間ドラマに向かない感じ。うーーん、どなたかエミーちゃんにピッタリの役を探してくださいませんか。ここで、改めて「オペラ座の怪人」の名場面を観てみましょう。クリスチーヌ(エミーちゃん)が主役に大抜擢され、名曲「Think of Me」を歌って拍手喝采・・・というシーン。彼女の良さが出ていますよネエ。

次の女優さんに行きましょう。ヘザー・グラハムさんです。

現在42歳の彼女ですが、相変わらずお美しい(らしいです、見てないので分からない)。ヘザー・グラハムさんといえば、誰が何と言おうと「キリング・ミー・ソフトリー」で決まりでしょう。激しいセックスシーンが注目された本作ですが、映画のツボはヘザーさんの美しさ、それに尽きます。

ヘザーグラハムさん.jpg

もう1本、彼女の出演作で大好きなのが(世間的には、それほど評価されてないけど)、ジョニー・デップと共演した「フロム・ヘル」。彼女は娼婦役だったと思いますが、役柄とは裏腹に、お色気シーンほぼゼロで、美しさと清楚さがジンジンと響いてきちゃいました。舞台は19世紀、当時のコスチュームもばっちり決まってましたねえ。連続殺人鬼をテーマにしたスリラーなので、もしや彼女が殺されるんでは・・・とドキドキしたもんな。あの映画のヘザーさんは良いです。いや、ホント。

ヘザーグラハム1.jpg

演技派というより、美貌を売り物にする女優とみなされているので、年齢40オーバーは立ち位置ビミョーでしょうけど、是非ともスクリーンで再会したい女優さんです!

おや、ここまででかなり長い記事になっちゃいましたね。でも、かまうもんかい!

次の女優は、リュディヴィーヌ・サニエちゃん。1979年生まれのフランスの女優。2002年の映画「8人の女たち」で、可愛い女のコだなあ、と注目したんですが、カトリーヌ・ドヌーヴさんはじめ大御所との共演に全然ものおじしない「強さ」にも感心したものです。

サニエさん2.jpg

そして、2003年のあの映画、そう「スイミング・プール」で、”元祖脱ぎっぷりの良い女優”ことシャーロット・ランプリングさんを向こうに回し、サニエちゃんも脱ぐわ脱ぐわの大盤振る舞い。行きずりのおっさんとの豪快セックスなど必然性ほぼゼロのサービスシーンまで織り交ぜ、完全に前作の”可愛い”イメージを覆しました(やり過ぎ)。小悪魔というより、大悪魔ですな、この人。

サニエさん.jpg

そうかと思えば、日本でエステのCMに登場したり、バリバリのハリウッド映画「ピーターパン」に出演するなど、どこを目指しているか分からんサニエちゃん(まあ、この感じがフランス人らしいとも言えますが)。彼女も30代に入り、さて、今後どうゆう女優になっていくのか?が楽しみなんですが、残念なことに日本でほとんど出演作が公開されていない有様。責任者、出てこいーーと申し上げたい。

ちなみにサニエちゃんを見ると、若い頃のソンドラ・ロックさん(クリント・イーストウッド映画に多数出演)を思い出すのは私だけでしょうか?ソンドラ・ロックさんはこの方です。

ソンドラロック.jpg

さて、次行きましょう!デニズ・リチャーズさんであります。

ズバリのお色気美女であります。泣く子も黙るボンド・ガール。「007 ワールド・イズ・ノット・イナフ」で、どう見ても無理がある学者役を演じ、その年のラジー賞(最低主演女優賞)をゲットしちゃったツッコミどころ満載の美人女優さん。

デニスリチャーズさん.jpg

久しくスクリーンでお目にかかっていませんね。私生活がドロドロで映画出演どころではない、という説もありますが、デニスさんの「あっけらん」「ノーテンキ」なテイスト、嫌いじゃありません、いや、むしろ大好きであります!

”演技以前”とコテンパンに低評価されるのも分からなくはないが、いいじゃん可愛ければさ。ジェシカ・アルバちゃんを見たまえよ!

彼女の出演作で、ポール・ボーホーベン、あれれ、バーホーベンだっかたな、ベートーヴェン?じゃないね、ま、そんな名前の監督(代表作「ロボコップ」)が撮ったSF映画「スターシップ・ツルゥーパーズ」が大好きです。巨大昆虫軍団VS人類の壮絶な戦いを描いたスットコ映画ですが、観ようによっては面白い(どうゆうこっちゃ)。私の記憶によれば、デニス・リチャーズさんは、この映画で士官学校エリートのパイロットを演じたはず・・・ほらほら、どうして全然そう見えない女優さんに”知性的”な役を与えるんでしょう。そこがダメなんだってば。

小倉優子さんに大学教授役が合わないように、デニスちゃんに「空軍エリート」は無理あるでしょうって。まあ、そのギャップを楽しめってことかいな。いずれにしてもデニス・リチャーズさん、最近、とんとスクリーンでお目にかかっていませんので、昔とった「ボンドガールの杵柄」を活用してでも、ぜひ新作をお願いしたいっ!

さて、最後に「私が大好きだった女優」の筆頭、故リン・フレデリックさんの美しさで口直しといきましょう。「さすらいの航海」、良かったなあ。私生活ではピーター・セラーズの奥さん、てのが、いまだにひっかかるけど。

リンフレデリック.jpg

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映画 「POV~呪われたフィルム」 志田未来ちゃんと、川口春奈ちゃんが可愛ければいいじゃないか! [映画]

思いのほか仕事が早く終わり、外出先近くのシネコンに寄ると、この映画の上映10分前でした。「ちょうど、いいじゃん!」と、な~んの予備知識もなく(洋画か邦画かも知らず)、チケットを購入し拝見・・・観終わって、ああ、ブルブル。

乱暴にまとめちゃうと”学校の怪談”と、”ブレアウィッチ・プロジェクト”と、”リング”を混ぜて3で割ったベタな和製ホラーなんですね。ネガティブなコメントに聞こえたかもしれませんが、これ、決して駄作ではありません。

「バカバカしいわっ」と憤慨する方もおられるでしょうが、どうして、しっかり作られております。夜の中学校で悪霊に追いかけまわされるシーンなんて、素直に怖いもん(もうネタバレ)。映画にどれだけ感情移入できるか?が評価の分かれ目でしょうね、って、まとめすぎたかな?

本作の素晴らしい点は、ずばり、これ、

主演のおふたり、志田未来(しだみらい)ちゃんと、川口春奈ちゃんが可愛い!ということである。10代の主演女優が可愛い!それだけで良いじゃん、何の文句があるのよ!(と、語気を荒らげる)

本ブログで以前も書きましたが、ホラー映画で怖い目にあう主人公は、可愛くて初々しい女性に限るのであります。そこは、どうしても譲れないのであります。たとえば、アメリカン・ホラーで世の中をなめきったセックス好き高校生どもが、斧で殺人鬼に殺されようと、どーでも良いのであります。あんなヤツラ、死んでしまえばいいんじゃあ!(暴言?)

「この子が酷い目にあうのはかわいそう・・・」と思わせてこそ、ホラー映画であります。

その意味で、志田未来ちゃんと川口春奈ちゃん(あえて”ちゃん”付け)は、ホラー被害者に適役なんであります。ちなみに「川口春奈って誰すか?」という低アンテナ読者のため、今回に限り、春奈ちゃんをご紹介しましょう。(三井のリハウスポスターより)

川口春奈さん2.jpg

うーん、可愛いなあ。あれれ、大きなお世話でしたか・・・。

話があっちこっちに飛びましたね。少しは映画ブログっぽいコメントを書かなきゃ。

POV~呪われたフィルム 2012年 日本

監督 鶴田法男 出演 志田未来、川口春奈 ほか

POVP.jpg題名にあるPOVってなんだあ?と疑問が解けませんでした。PONといえばポンジュース、ですけど、POVなんて聞いたことありません。

調べてみると、Point of View、日本語で”主観撮影”と言うそうです。商業映画のように”神の視線”から物語が俯瞰的に描かれるのではなく、その場に居合わせた人物がホームビデオで撮影したという、最近流行りの体裁ですね。

低予算映画「ブレアウィッチ・プロジェクト」から端を発し、「アブノーマル・アクティビティ」など、画像ブレブレで画質も悪いけどリアル感が売り。考えようによってはちょっとアザトイ手法なんです。

しかし、今回の「POV~呪われたフィルム」は、題名にPOVを掲げるだけあって、この手法を上手に使っていて好感が持てました。(内容が内容なので、”好感”というのはビミョーですが)

女優の志田未来(本人が演じる)と、川口春奈(本人が演じる)が携帯向け番組「志田未来のそこだけは見ラいで」を収録する現場から映画が始まります。番組メイキングを作るため、ADさんがホームムービー用カメラで「収録の様子を撮影する」わけです。

この日の収録は、志田さんと川口さんが「視聴者から送られてきた心霊ビデオ」を観てコメントするという企画です。志田さんは怖いもの大嫌いなのを仕事だと頑張ります(けなげだ・・・)、が、そこに写っていたものは・・・そして、ビデオを再生したことから二人(+スタッフ)を襲う恐怖体験とは・・・。

投稿動画に写っていたのは、なぜか川口春奈さんの出身中学校。女子トイレとシャワー室でした。紆余曲折の末、取材と称し怪談話が絶えないその学校を訪れた面々。そこで明かされる”真実”・・・には、ちょっと無理があるけど、後半の盛り上げ方はナイスですねえ。

POV2.jpg

前出のように、志田、川口&撮影スタッフが、夜の校舎で、悪霊たちに追いかけられる終盤がリアルです。パニック状態になった中学の先生が「ありえない!」を連発して頭を抱えこんだり(なるよねえ、そうゆうふうに)、全員が離れ離れになりたくないっ!とひと塊りになるところ、腑に落ちるわけです。

アメリカ映画にありがちな、主人公の謎の行動、いかにも悪霊がいそうなところに自ら入っていく(どんな好奇心だよ!)とは大違いであります・・・って、そこを高評価もどうかと思うが。

悪霊の親玉(?)が「リング」の貞子っぽいのはご愛嬌として、映画のオチは「そこまでするか」のやりたい放題。蛇足とも言えるシーンですが、志田さんと川口さんは、撮影中、まじ怖かったのではないでしょうか。

番組メイキング映像という体裁ゆえ、主演のふたりはほぼ画面に出ずっぱり状態。過酷だったと推察します。走ったり、叫んだり、怒ったり、めいっぱいの頑張り。プロ根性に拍手を送りたいです。

POV.jpg

和製ホラー好きの方、そして、志田未来ちゃんと川口春奈ちゃんのファンはワタクシが言うまでも無く「必見」の映画でしょう。

例によって、まとまり記事を無く終わりますが(やっぱりね)、最後にひとこと。学校のユーレイさんが、「トイレ」「シャワー室」「プール」など水周りが好きなのは何故なんでしょう?陰湿さ→湿っぽさ→水周り、って連想かな?校長室のソファーに、父兄のふりして座ってても良いのでは・・・良くないか。


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映画 「ドラゴン・タトゥーの女」 カップルで観てはいけないエキセントリックな作品・・・ルーニーさんがスゴイっ! [映画]

別ブログに掲載した記事を、ほぼまるごと転用する、とんだ”手抜き記事”であります。ああ、スイマセン。(別に謝らなくてもいいか・・・)

本日のテーマは、ダニエル・クレイグ主演の話題作「ドラゴン・タトゥーの女」です。いやあ、やってくれましたね~。見事!です。大好きだなあ、こういう映画。

ドラゴン・タトゥーの女P.jpgただし、未見の方に申し上げたい、「この映画を、カップルで観てはいけない」と。ダークでシリアスな内容は良いとしても、スクリーンに展開する性暴力、変質者、猟奇殺人のオンパレードに、女性はウンザリするのではないでしょうか?必然を感じる内容なので、それらのシーンも含めワタクシは高評価しますが、いずれにしても、異性や家族と一緒に観る映画ではないですね。ご注意を。

雑誌記者ミカエル(ダニエル・クレイグ)は、悪徳実業家の悪行について暴露記事を発表しますが、相手から名誉棄損で訴えられて敗訴。罰金支払で一文無しになった上に、職を失うピンチ。そんな彼に舞い込んだ”仕事”は、スウェーデンの大富豪一族に起きた事件の調査です。40年前に、富豪の孫娘ハリエットを殺した”犯人”を探してほしいというもの。ちなみに大富豪を演じるのが名優クリストファー・プラマーさん、いい味出してます!

殺人犯は一族(身内)のなかにいる。その確信のもと、ミカエルは怪しげな一族の面々を調査するうちに、やがて危険な猟奇の世界へ巻き込まれていく・・・というストーリー(まとめすぎかな?)。

こう書くと「ツイン・ピークス」「羊たちの沈黙」「ゴーストライター」といった”その手の映画”の良いとこどりかあ?な~んて思うでしょうけど、とんでもない。本作はそれらと一線を画す「ぶっ飛び映画」なんです。

ぶっ飛びの立役者はタイトルロール=”ドラゴン・タトゥーの女”であり、その圧倒的な存在感なんです。

ドラゴン3.jpg

背中一面に竜の入れ墨(ドラゴン・タトゥー)を入れたリスベット(ルーニー・マーラさんが大熱演!)は、精神病院に収監された過去をもつ、無教育な23歳の”異常者”なんです。異常者ですが、超人的な記憶力、推理力、行動力をもつ天才ハッカー。映画前半は「犯人探し」とかかわりがなく、彼女自身が、さんざん酷い目にあっちゃうのですが、ミカエルの助手としてハリエット事件の調査に加わるところから、俄然、輝きを放ちます。

最新007シリーズで主役を張る、主演ダニエル・クレイグさんがかすむほどに、強烈インパクトのヒロインです。いやあ、ベタな感想ですがほんとスゴイなあ。

ミカエル&リスベットのチームは、綿密なデータの調査・分析、そしてヒラメキにより、おぞましい事件の核心に肉薄していきます。暗いテーマに引きずられてテンポがにぶることもなく、良い意味で「ナショナル・トレジャー」みたいなサクサク謎解きっぷりが気持ちよい。

ドラゴン2.jpg

終始、落ち着いた演出ながら、畳みかけるようなドラマ展開にすっかりドキドキでしたねえ。ベストセラーの原作は読んでいませんけど、映画的に実~に、うまくまとめていますもんね。脚本、演出、脚色、撮影、そして俳優さんの演技がバッチリかみ合った成果です。

描かれている世界がなんであれ、キッチリ&綿密に作られてた作品は、それだけで高評価しちゃうワタクシなのであります。

   すぐれたものを認めないことこそ、すなわち野蛮である (ゲーテ)

と、名言を引用し、ちょっとエラソーな気分になってみました、ふふふのふ。

あまり書くと、未見の方の興味を殺ぎますから、この辺で記事を終えましょう。

おおっと、そうそう、”ドラゴン・タトゥーの女”=リスベットを演じたルーニー・マーラさんは、本作でアカデミー主演女優賞候補にノミネートされているんですよね、パチパチ。そして、受賞者の発表は2月27日(明後日)。ぜひ獲って欲しいなあ、オスカー!

ドラゴン1.jpg

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ブログ更新さぼりがちなワタクシでありますが・・・・ [映画]

いやあ、前回のブログアップ(昨年12月)から、ホントに2カ月経過してしまいましたねえ。どんなん不精だよって。

すなわち、2カ月に1回更新のペースすらおぼついていないイイカゲンな本ブログであります。

コメントくださった方への返信も遅くって、ほんとうにすいません。

映画ファンとしては、映画は観ているんですが、「心境の変化」か「ブログに書きたいと思う映画に遭遇しないのか」(たぶん両方かな?)ブログ更新が異常に滞っている、という体たらくであります。強制されるものでもないし、それはそれでいいのかな?と考える次第ではありますが。

しかし!

さきほど、久しぶりにこの映画ブログのアクセス数をチェックしたら、おお!もうすぐ累計100万アクセス!ちなみに(全然、記事を更新していない今でも)1日に1000アクセスくらいあることを知り、かなり驚いたのです。

いまだにワタクシのブログをのぞいてくださる方がいる、という事実に「これではいかん!」と反省しました。幸い仕事も少し落ち着き、これまでのような、1週間に5日間出張という無茶はなさそうなので、是非、記事更新のペースアップをしたいと思っております。

本日は、特に映画を語るわけでもなく、そんな「決意表明」で終了であります。ちゃんちゃん!

と言いつつ、映画の話題をひとつ。

70年代にワタクシが大好きだった少年キング連載の漫画「ワイルド7」が映画化されました(公開は数ヶ月前か?)。主演の瑛太さんを嫌いではないのですが、ヒバちゃん=瑛太さんは、どうも結びつきません。

映画をまだ観ていない(たぶんこのまま観ない)のですが、ご覧になった方の感想をお聞きしたいものです。ちなみに、細かいことですが、ヒバちゃんはコルトのウッズマン(拳銃の名称)を使っていたでしょうか?ワタクシにとっては、そこはひじょうに重要であります。

では本日はこのへんで。

映画、万歳!ビバ、ビバ。

・・・って、そんなまとめかよ。と自分にツッコミ。


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映画 「カウボーイ・アンド・エイリアン」 後半はトホホでも、ダニエル・クレイグのカッコ良さでOKとしましょう! [映画]

本ブログの前回記事アップ、な、なんと「9月」じゃないですかあ!(って、自分でも忘れてたのかいな)

ということは丸2カ月間も、更新をせず、酒ばかり飲んで放置プレーってこと。不精も度が過ぎる・・・と反省(感心?)しきりです。まあ、誰かに期待されてるブログでもありませんから、忘れた頃に、ぽっ、と更新する姿こそ奥ゆかしけれ・・・日本のわびさびってこと。って、何の言い訳だよ。。

ブログ更新をさぼってた2カ月の間も、しっかり映画は観ていました。ツボにはまったのは断然、「スーパー!」でしたねえ。低予算のミニシアター系映画ゆえ、見逃した方も多いでしょう。それは残念。コスプレヒーローのパロディ・コメディで、設定はニアリー「キック・アス」ですが、下品でグロなフレーバーがなんともいえずナイスでした。最後はポロッと泣かせるとこも良い。エレン・ペイジちゃんのファンには絶対に観てほしいです(ワタクシが、まさにそうですが・・・)。あと、ケヴィン・ベーコンのファンの方にも。

「スーパー!」を褒めときながら、これから書くのはメジャー映画「カウボーイ・アンド・エイリアン」についてであります。なんだったんだ、さっきの前振り・・・。

「カウボーイ・アンド・エイリアン」の舞台は19世紀末、アメリカ開拓時代。つーことは「西部劇」なんですね。でもストーリーは、人間VSエイリアンの戦い・・・あれまあ、SFでしたか。殺人鬼ジェイソンが宇宙に行ったり、エイリアンとプレデターが戦ったりと「なんでもあり!」の映画界ですが、その中でもかなり奇抜な設定と言えましょう。よく企画が通ったものだ。

とんでもないC級映画?と思いきや、人間側(という表現も変だけど)を演じるのが最新007シリーズの主役をはるダニエル・クレイグさん。それに「インディ・ジョーンズ」ことハリソン・フォードさん。ビックネーム二人の競演となると、いくら「すべってる予感」がしようと、映画館に行かずにはいられません!

カウボーイ・アンド・エイリアン 2011年米

監督 ジョン・ファヴロー 出演 ダニエル・クレイグ、ハリソン・フォード、オリビア・ワイルド、サム・ロックウェル、ほか

カウボーイ&エイリアンP.jpg19世紀末の北米アリゾナ。一人の男が砂漠でハッ!と目覚めるシーンから物語は始まります。この男ロレガン(ダニエル・クレイグ)は、自分が何者で、ここで何をしているのか、全く覚えていません。そして左腕には謎の金属の腕輪・・・。やがて、ある町に流れ着いた彼。そこで地元権力者ダラーハイド(ハリソン・フォード)の不遜な息子とひと悶着を起こし、さらに、自分がお尋ね者の大悪党であることを知るのでした。

凄腕のロレガンも、多勢に無勢、保安官に逮捕され馬車に押し込められます・・・そこに、ダラーハイドが現れます。ロレガンは全く思いだせないのですが、彼はダラーハイドの金貨を強奪したらしい。緊迫した空気のなか、突然、夜の空に現れる飛行物体の群れ。それらは地上を攻撃しながら、次々に人間を捕獲していきます。

敵に対し拳銃、ライフルはまったく歯が立たず、ただただ逃げまどう人々・・・しかし、ロレガンの腕輪の光が点滅すると、そこから発射される光線が、敵の一機を見事に撃墜します。いったい、この腕輪は何か?ロレガンは自らの過去を解き明かすため、ダラーハイドは連れ去られた息子を救うため、未知の強敵を追って彼らは砂漠へと向かいます・・・・。

・・・と、ここまでのストーリーをなぞってみましたが、ハッキリ言って、この映画、スリリングで面白いのは「ここらあたり」までです。敵(題名まんま「エイリアン」なんですがね)の正体が分からずに、いったい、この先どうなるの?どう戦うの?と、登場人物も観客もハラハラしているうちが花ってこと。

前半、姿をみせないエイリアンですが、話を進める都合、いつかはスクリーンに登場しますよね、で、その造形がねえ~。あのぉ、そのぉ、ちょっとぉ~、もはやツッコミようがない(惨憺たる)レベルというか。

他の星を侵略(?)するような悪~いヤツらだとしても、あれだけの飛行船を飛ばす「科学力」「文明」は持ってるはずですよね。しかし造形がバケモノというか、ゲテモノというか。腹がパクっと割れて追加の2本の手が出てくるとこなんざ、誰だよ、お前って。イイカゲンにしなさいって感じです。

カウボーイ&エイリアン4.jpg

百歩譲って「進化の不思議」と、エイリアンの「お姿」を許しても、彼らの「腰砕け」っぷりというか、「脇の甘さ」には、つくづくイラっときちゃいます。レーザー光線まがいの強力兵器を持っているくせに、人間側の浅知恵に、まんまとしてやられる阿呆っぷり、どうかしてますよ。責任者、出てこいって。

自分たちのアジト(ベタな洞穴的加工)に容易に人間の侵入を許したうえ(セキュリティ・システムもないのか?)、中で待ち構えるロレガンに、なんの工夫もなくイノシシのように突進し、TVゲームよろしく次々に殺されていくんです。思いだしました、これ「ゾンビ」のシーンと同じです。あるいは「沈黙のテロリスト」でセガールに特攻し”順番に”せん滅させられるテロリストたち。まったくもって「やられ上手なエイリアンさん!」と一声かけたくなる体たらくです。

カウボーイ&エイリアン3.jpg

共通の敵を倒すため、対立していた白人どうし、さらには、白人とインディアンまでが力を合わせる・・・というくだりは、それなり感動場面であり、一応、その盛り上がりにに乗っかった私ですが、後半がこれじゃあねえ・・・終わってみれば、エイリアンに「愛」と「勇気」と「友情」で打ち勝つというコンセプトがどだい無茶なんじゃないのって。

いかんいかん、非建設的なツッコみばかりでは、世の中、何も始まりません。

前向きに、この映画の素晴らしい点を書きましょう。それは、

ダニエル・クレイグさんがめちゃくちゃカッコいい!

ということに尽きます。

カウボーイ&エイリアン2.jpg

無表情、無感動、孤独でクールな「できる男」を演じ切っておりますね。007シリーズのジェイムス・ボンドを演じた俳優たちは、その呪縛に苦しんだものですが、ダニエル・クレイグさんにそんな心配は無用でしょう。役選び&役作りが上手いですよ、彼は。申し訳ないけど、ハリソン・フォードさんは「添え物」に感じちゃいました。

カウボーイ&エイリアン5.jpg

もうひとつ、マニアックなツボですが、「グリーンマイル」で凶悪異常犯を、「アイアンマン」「チャーリーズエンジェル」で小悪党を演じたサム・ロックウェルさんが、本作では、気の弱い善人役なのであります!そ、そんなバカな!最初気がつきませんでしたもん。まあ、ゲイリー・オールドマンさんが「ダークナイト」で正義感あふれる警部を演じたり、「コントロール」ではウィレム・デフォーさんが”あの顔”で善人役ですから、映画のキャスティングというのは実に奥が深いですなあ。

以上、収拾つかないまとめでスイマセン。ブログアップ2カ月ぶりのブランクのせいかしらん?

次回のブログアップは、きっとまた2か月後でしょう。おいおい、今からそれですかい。


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ジョン・カーペンター監督最新作 映画「ザ・ウォード 監禁病棟」が素晴らしい! [映画]

今回は手抜きです。ワタクシのやっている別ブログから、記事をそのままコピペ&修正します!うーん、省力化。なんとエコなブログだ・・・って、不精なだけだよ。

別ブログの7月8日記事で、大好きな映画監督ジョン・カーペンターさんをご紹介しました(記事はこちら→クリック)。私にとって、カーペンター監督といえば80年代の名作「遊星からの物体X(原題The Thing)」です。SFホラーの金字塔であります。ちなみに、そのリメイク版が、来月からアメリカで公開です、監督はカーペンターさんじゃないけど・・・。

本題に戻りましょう。

カーペンター監督9年ぶりの新作「ザ・ウォード 監禁病棟」が公開されたという話題です。ファンのワタクシ、さっそく拝見しました!ほぼ全編、閉塞された精神病院内を舞台に展開するサスペンス・ホラー。逃げ場のない中で追いつめられる主人公、という設定は、同監督の「遊星からの物体X」「要塞警察」「パラダイム」に通じます。監督、9年ぶりのメガホンでも、ぶれることなく、ご自分の土俵で勝負した、といったところでしょう。さて、その出来栄えは・・・。

ザ・ウォード 監禁病棟 2011年米 

監督 ジョン・カーペンター 出演 アンバー・ハード、リンジー・フォンセカほか

ファンのひいき目をぬきにしても、新作は、予想以上に素晴らしかったです!

ザ・ウォードのポスター.jpg最近多い「ドキュメンタリーを模したバカホラー」や「やたら大きな音で観客を脅かすビックリホラー」とは違います。古典的ともいえる、プロット重視。観客をじわじわ追い込むタイプの作品で、これぞ、”私が待っていた映画”なんですね。

農家に放火した女性クリステーン(アンバー・ハード)が精神病院の監禁病棟に収容されます。彼女はなぜか過去を覚えていません。しかし「自分は狂人ではない」と信じている。何度か脱走を試みますが失敗。やがて、彼女は気付きます。そこ(監禁病棟)には患者以外の「不気味なもの」がいることを。

クリステーンの訴えを、狂人の妄想と一蹴する医者と看護士。病棟の患者たちも同じです。が、やがて「不気味なもの」は病棟の患者を一人づつ殺しはじめます・・・このプロットは、同監督の名作「ハロウィン」「遊星・・・」の流れを汲んでいます。しかし決して自作のマネに終わらないのがカーペンター監督なんですねえ。さすが!

映画後半は逃げるクリステーン、追う看護士たち、そして「不気味なもの」の三つ巴の逃走劇となります。緊張感抜群で、主人公の恐怖もリアルです。そしてラストは・・・。

うーん、素晴らしい!女優さんたちの演技といい、テンポといい、オチといい・・・この記事を読んだ方、すぐに地下鉄 東銀座駅近くの「銀座シネパトス」に向かうように。早くしないと上映が終わってしまいますよーーーー。

主人公クリステーンを演じたアンバー・ハードさん、お顔に記憶がないのですが、水川あさみさんに似た美人。本作の成功の多くが彼女のおかげですねえ。お見事です。今後、間違いなくブレイクします(断言)。容姿だけの女優ではなく、しっかりした実力を感じますもん。今後、大注目です。

ザウォード2縮.jpg

いずれにしても、老いてなおジョン・カーペンター監督の「ホラーの帝王」の座は揺るがない、ということです。サム・ライミ監督に負けるな!!(なんのこっちゃ)

以下は映画と直接関係ないおまけネタです。「ザ・ウォード」のPVで、カーペンター監督が日本のファン向けに語っているのですが、いい感じなので、それを紹介しましょう。

PVは監督の下手な日本語「ニホンのミナサン、コンニチワ・・・」で始まります。最後は「映画、ぜひ観てね!」みたいに締めくくるのですが、ツボにはまるのは”中間部分”です。

日本のことを褒めようとしたのでしょう、「日本は美しい国です」と、切り出した監督。

その次のコメントが渋い。

「何といっても、ゴジラ、ラドン、キングギドラ・・・」

ん?日本ってそのイメージなの?さらに監督はこう続けます。

「そしてAKB48の生まれた国です」

ガクッ!これ比喩でなく、ほんとにガクッ!と来ました。キングギドラ発言も凄いけど「AKB48を生んだ」ことで日本が褒められちゃたよ~~。うーーん、カーペンター監督の自発的発言なのか、誰かの入れ知恵かは分かりませんが、笑えるPVに仕上がりましたね。以下、YouTubeより、「問題の箇所」抜粋です。あははは。

カーペンター監督のおちゃめ.jpg

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映画 「シャンハイ」 残念ながら駄作。本年観たワースト映画です・・・とほほ。 [映画]

自称映画ファンのワタクシ、大不評の映画で、実際に観て「ひでえなあ」と思っても、上から目線でけなしたり、おとしめたりするのは気が引けるわけです。だって、どんな映画も作り手は熱意と努力をつぎ込んだ(はず)ですから・・・そんな建前発言の一方、「1800円払うからには、最低限の水準はキープしてほしい」という本音もありますね。

本日、ご紹介する「シャンハイ」という映画。

残念ですが、ずばり、ひどい映画、ひどすぎる映画です。未見の方に先入観を与えたくないですが、チケット代が500円としても、ご勘弁いただきたい低レベル。大戦前夜のシャンハイを舞台に、ある女性の悲劇が描かれます。しかし、本当の悲劇は、1800円を払った観客に降りかかった、といえましょう。

「シャンハイ」は今年観た映画のなかで断トツのワースト作品です。なお、ワースト2は「ザ・ライト エクソシストの真実」なんですが、なんと同じ監督の作品です。うわあ、なんなんだ、この一致は!

シャンハイ 2010年米 

監督 ミカエル・ハフストローム 出演 ジョン・キューザック、コン・リー、チョウ・ユンファ、渡辺謙ほか

シャンハイP.jpg観終わって、あまりにもガックリきたので、何も書く気が起きない映画ですが、一応ワタクシなりに「何が悪かったか」を考えてみたいと思います。

まず本作のあらすじです。舞台は1941年の中国上海。大戦前夜のシャンハイには不穏な空気が充満しています。支配を強める日本軍、日本軍に抵抗する中国レジスタンス、そして列強国のスパイ達が暗躍しています。さて、アメリカのスパイ、トニーが何者かに殺されます。殺人犯と背後の真相をさぐるべくトニーの親友ポール(ジョン・キューザック)が、新聞記者(じっさいはアメリカのスパイ)としてシャンハイに派遣されます。

ポールは地元の実力者ランティン(チョウ・ユンファ)とその妻アンナ(コン・リー)と知己を得ます。実はアンナは日本軍に抵抗する組織のキーメンバー。日本軍の将校、田中(渡辺謙)は抵抗組織を根絶やしにするべく、行方不明になったひとりの女(菊池凜子)を探しています。彼女はすべてを知る女・・・抵抗組織と、日本軍の間で、彼女をめぐる「戦い」がはじまります。

一方、ポールは親友の死を調査するうち、日本軍の大きな「計画」を知ることになります。こうして、映画は複数の登場人物の思惑を軸にして、悲劇の結末へと突き進んでいくのです。

・・・と聞くと、なんとな~く異国を舞台にしたスリリングな群像劇を想像するでしょう。

とんでもございません!登場人物はステレオタイプに「役を割り付けられた」かのごとく、奥行きがまったくありません。ジョン・キューザックは、世界崩壊パニック映画とおんなじ”能面演技”をご披露、コン・リーはもったいつけてるわりに芝居は一本調子(ジョン・キューザックの病気がうつった?)で、結局は「ただの浅はかな女」だし・・・。スリリングどころか、映画に感情移入できないのです。救いといえば、日本軍将校を演じた渡辺謙さんの熱演くらいでしょう。存在感じゅうぶん、お一人で気を吐きましたね。

シャンハイタナカ.jpg

何から何までひどいので、思い出すだけで疲れますが、出来事のうわっつらをなでた平板な脚本は大問題。眠気を催すに低レベルに加えテンポの悪いこと。こうゆうのを「観客をバカにした本」というんですよね。

日本軍に疑われ(かつ夫にも疑われ)監視されているアンナが自由に(?)活動する「無理」を、どう説明するのか?事件に深入りしたポールは、トニーが殺されたのと同じ理由で殺されて仕方ないはずなのに、どうして生きながらえているのか?そして田中の言動ときたら支離滅裂ではないか?要するに、ストーリー以前の「設定」がユルイんです。

シャンハイ1.jpg

それ以上にひどい点は、魔都と呼ばれたシャンハイの混沌とした空気、一触即発の緊張感、不安感・・・これらが画面から全く感じ取れないこと。街の俯瞰シーンもほとんどなく、やたら登場人物をアップで撮るために、場面に広がりがありません。あえて「閉塞感」を表現しているのかといえば、そうではない。

舞台は中国でも、アメリカのスタジオでテキトーにセット組んで撮りました、あはは・・・というキッチュでチープな仕上がりは噴飯ものです。まじめに映画の途中で、頭が痛くなってきましたね。

作り手を弁護するとしたら「予算の関係」と想像するしかありません。大スターを並べた結果、出演料だけで膨大な出費となり、シャンハイの俯瞰シーンも撮れず、雰囲気を醸し出すセットも組めなかったんでしょう。もしそうだとしたら、存在意義が不明の添え物キャラ=チョウ・ユンファ演じるランティンなど、まるごと削ればよかったんです。

シャンハイ4.jpg

戦時(または戦前&戦後)の”不安な空気”を表現した名作は、過去にいくらでもあるわけです。たとえば同時期の中国を舞台にしたアン・リー監督「ラスト・コーション」(2007年)。トニー・レオン、タン・ウエイの究極演技が注目されますが、なんといっても時代の空気感が見事ですよね。ベルナルド・ベルドリッチ監督の「1900年」「ラスト・エンペラー」も素晴らしい。70年代だとビスコンティ監督「地獄に堕ちた勇者ども」が圧巻でした。73年にはシャーロット・ランプリングが究極の狂気を演じた「愛の嵐」がすごかった・・・・。映画の出来を決定的に左右するのが、戦争にからむ抑圧感や不条理だとしっかり認識し、重要視しているから名作となりえたわけです。

どうして、「シャンハイ」製作スタッフは、過去の名作を参考にもせず、高額ギャラ俳優を「並べただけ」の駄作を作っちゃったのでしょうか?主演がジョン・キューザックというだけで「終わったな・・・」という予感はしてましたが、ここまで、その通りとは。ある意味、確信犯かい?

いやはや、いまどき珍しく「作り手にこだわりのない映画」でした。どうせなら、主人公がエイリアンだった、とか、すべては渡辺謙の睡眠中の「夢」だった、とか、大逆転のオチをつけてほしかったなあ。いくらなんでも、それは無理か、あははは。では本日はこのへんで。

シャンハイ3.jpg

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