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音楽 ラフマニノフのピアノ協奏曲5番?クラシック音楽の理不尽にプンプン! [音楽]

クラシック音楽の記事を書くと、ブログ閲覧数が激減することを知りつつ、今日はかかせていただきます!

出張帰りに名古屋駅前タワーレコードでCDを物色してたら、ラフマニノフのピアノ協奏曲「5番」というCDを見つけたのです。

ご存じの方もおられると思いますが、ラフマニノフはピアノ協奏曲を4曲しか作曲してません。ところが、そのCDには堂々と「PIANO CONCERTO No.5」とクレジットされており、ご丁寧にもジャケットには5を表す「V」がデザインされています。(下写真)

ラフマニノフP5番.jpg

もしや、埋もれていた楽譜が発見されたのか?と驚いたわけです。輸入盤で日本語補足がなく胡散臭いと思いましたが、急いでいたこともあり、東京のCDショップで手に入る保証はない!と思い購入しました。

さっそく、帰りの新幹線内で、買ったばかりのラフマニノフ「ピアノ協奏曲5番」を拝聴---おっ---あれッ??なんと、中身はラフマニノフの交響曲2番なのです交響曲2番の1,3,4楽章を、ピアノ協奏曲にアレンジしたものなんですね。良く見るとCDのジャケにも、その旨の英文が書かれています。

アレンジ、演奏は決して悪くないです(終楽章、とくにフィナーレはあざといですけど)。編曲者もピアニストも良い仕事をしており、試み自体はクラシックの裾野を広げるものと肯定的に受け止めています。

しかし、私が納得できないのは「ピアノ協奏曲5番」という呼び方です

原曲は交響曲2番であり、編曲したのはラフマニノフ本人ではなく、現代の音楽家。つまりは「交響曲2番をピアノ協奏曲へのアレンジした」に過ぎず、「ラフマニノフのピアノ協奏曲5番」ではありえません。

作曲家の子孫(孫?)がピアノ協奏曲と呼ぶことに同意したらしいですが、子孫なら何してもいいのかよ?と突っ込みたくなります。

その手がまかり通るなら、シェーンベルグが交響曲にアレンジしたブラームスの室内楽曲(ピアノ四重奏曲)は、ブラームスの「交響曲5番」になります。リストがベートーヴェンの交響曲をピアノ用に編曲した作品群は、ピアノ・ソナタ34番、35番、36番--になってしまう。そんなバカな話はないすよね?

これに比べれば、作曲家の残したスケッチスコアから復元したマーラー交響曲10番や、エルガー交響曲3番、チャイコフスキー交響曲7番のほうがまだましです。(ちなみにこれら3曲はCDが出ています)

要するに、今回紹介のCDは、売りたいがため発売元が「ピアノ協奏曲5番」を掲げた噴飯物だということ。買ったことは、ジャケ記載の英文を確かめなかった私のミスで愚痴は言いませんが、首肯しかねるのは、新たなピアノ協奏曲のようなうたい文句で購入者を混乱させ、だまして買わせる詐欺まがいの商法です。

今回は売り方への不満でしたが、このほかもクラシック音楽にはグダグダな混乱があるのです。クラシック音楽関係者は、こうした問題がリスナーの不利益になることを認識の上、猛省・改善いただきたいです

引き続き、今後も、クラシック音楽の悪しき慣習をご紹介しますので、見て笑ってくださいませ。ターカーノ、ツーメーーー。

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コメント 7

ふくずみ

クラシック音楽の記事、大変に興味深く読みました。ご指摘とお怒り、分かります。クラシックは、伝統という殺し文句のもと、整理整頓されていない曖昧な事が多すぎますね。
編曲CDですとオリ・ムストネンのベートーヴェンのピアノ協奏曲 ニ長調、ご存じですか?ヴァイオリン協奏曲を、ピアノ協奏曲に編曲したものですが、これは作曲家自身が編曲したものでOKでしょう。ブラームスのヴィオラ・ソナタ(原曲クラリネット・ソナタ)も許せる範囲かと思います。
ご指摘のラフマニノフのピアノ協奏曲5番は、ネットでチェックいたしましたが、アッシー映画男さんの言う通りですね。レーベルのプロデューサーの思い入れは分かりますが、悪くいえば「ねつ造」ですからね。
ブリリアント・レーベルのCDなのですね?ブリリアント・クラシックといえば、古い音源を他レーベルから買い取り、廉価CDで再発売するリサイクル業者のイメージがありますが、このラフマニノフは通常価格のようですね?
by ふくずみ (2008-03-30 18:39) 

0.1tonの男

中身は交響曲2番の1・3・4楽章をアレンジし直しただけなのに、アルバムタイトルが「ピアノ協奏曲5番」とは、なかなかの「騙し」っぷりですね?

しかし、レコード・CDでの「騙し」といえば、やはり元祖「アルファレコード」を忘れてはいけません。

アルファレコードとは、ユーミン(荒井由実時代)やカシオペア、YMOなどが在籍していた、今は亡きレーベルです。
このレーベルから販売されたCD全部という訳ではありませんが、なかなかの「騙し」っぷりなのです。
新作アルバムだと言いつつ、中身は過去にLPで販売済みのファンには「周知」のテイクであったり、3枚組CDボックスなのにCD1枚あたりの収録時間が長くて8分程度という、思いっきり「水増商品」なCDだったり・・・などなど。

ちなみに、「アルファ」にしてやられた方々が、自分たちはこんな目に遭ったのだと後生に語り伝える為に、下記の様なサイトも存在します(笑)

アルファレコード被害者の会
http://kurumi.sakura.ne.jp/~yen-raku/alfa/higai.html

買う側からすれば、どれも大迷惑ですね?


by 0.1tonの男 (2008-03-30 23:26) 

アッシー映画男

To ふくずみ様、
よくご存知ですねーー。ご指摘のとおり、このCD、ブリリアント・クラシックで、価格はこのレーベルにしては異常にエクスペンシブな1780円也、でした。
ムストネンがピアノを弾いてるベートーヴェンの「ピアノ協奏曲 ニ長調」は、デッカから出ているやつですよね?持っていますが、これは良い企画で、演奏も二重丸!でした。ブラームスのヴィオラ・ソナタはヴェロニカ・ハーゲンのグラムフォン盤を所有しています。
ふくずみさんのおかげで、また、クラシックネタを書く気がおきてきました、ありがとうございます!

by アッシー映画男 (2008-03-31 00:20) 

アッシー映画男

To 0.1tonの男様へ、
いやはや、アルファレコード、ここまでかましているとは知りませんでした。
あくどいですなあ、被害者の会というのは痛快(失礼)ですね。

版権を持っている昔のネタを、手をかえ品をかえ、遺伝子組み換え発売、そのうえコストダウンするため粗悪品ときては、外タレの口パクステージ以上の「完全な騙し」と申しあげてよいでしょう。
つまり、音楽業界に騙しはつきもの、ということでしょうか?

次回のワタクシのクラシック記事で紹介予定の「騙し」は、確信犯ではなく、無知から生まれたものだけに、逆に罪が重いとも言えます。
「不幸には、その数だけ物語がある」とはよく言ったものですね。


by アッシー映画男 (2008-03-31 00:35) 

NAO

ラフマニノフは、私も大好きです。
(聴く分には。弾くことになったら、譜面見ただけでうんざりしてしまいますが・・・(笑))

もし、その詐欺まがいに私もひっかかってしまったら… 
やはりいつまでもぶつぶつ文句言って、納得いかない気持ちでいっぱいになるでしょうね。(笑)

さらに私の悪いところは、そういう気持ちになったところで、聴かなくなってしまうとこ。

聴けば案外それなりによかったりするのかも知れませんが・・・


by NAO (2008-04-03 13:02) 

アッシー映画男

To NAO様、 
コメントありがとうございます。ラフマニノフは、いいんんですよねえーー。日本人の琴線に触れる何かがあります。
それを逆手に取ったかのような、今回の「ピアノ協奏曲5番」。ちょっと、ちょっとーーーと言いたくなった次第です。
ただし、編曲者の名誉のために申し上げますと、これ「意外に良い」のです。長大といわれる交響曲2番の全部でなく、1、3、4楽章を抜粋したところは見識と思いますね。「5番」のネーミングは余計でしたね。
by アッシー映画男 (2008-04-04 02:59) 

尾崎

音だけ聞いていると、これってオリジナリティーが交響曲だったっけというほどしっくりきます。ラベル編曲のムソルグスキー「展覧会の絵」みたいに楽しんでおります。昨年8月、反田恭平さんのソロによる日本初演も聞きに行きましたが、素晴らしかったです。


by 尾崎 (2019-09-22 16:03) 

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