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映画 「シン・コジラ」 余計な人間愛をからめない潔さが、あっぱれであります! [映画]

本日のお題は、コジラ、であります。

日本が世界に誇る(かどうか実は私、よく分かりません)スーパー怪獣ですね。ハリウッドでも2回、映画化されました。10年以上前の作品で、英語風「ゴジィーラ」の発音にイラ~ッときた日本人の気持ちを汲み取ってか、渡辺謙さんが「ゴジィーラじゃなく、ゴジラだわいっ!」と正してくださったのが、たしか昨年のこと。

ゴジラにまつわる小ネタはいろいろありますけど、とりあえず、ゴジィーラ/ゴジラ問題は置いといて、本日取り上げるのは、久々、本家本元たる日本で制作されたこの映画でございます。

「シン・コジラ」

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あれれえ、ゴジィーラ問題をやり過ごしたのに、新たな難題、登場ですな。シン・コジラの「シン」って何でしょう。ネットで調べればわかるだろうけど、あえて想像をめぐらせましょう。新作なので「新・コジラ」が妥当センでしょう。あるいは俺こそ本物!つう意気込みで「真・ゴジラ」かも。いま思い出しましたけど「シン・レッドライン」という映画がありましたね。「シン・ドバッドの冒険」・・・ははは、ちょっと無理しちゃいました。

すいません。どうもゴジラネタだと話が脇道にそれますね。その理由は、ワタクシ、ゴジラ映画への思い入れがほとんど「ゼロ」だからでして、ファンには申し訳ないが、食いつきどころが全く分からんのです。水野晴郎先生の「シベリア超特急」シリーズを観るとき同様、つい突っ込みどころを探してしまうんですね。

古くはザ・ピーナッツの歌う「モスラ~やっ!」のビミョー空気。近年ではゴジラを自転車で追いかける新聞記者(新山千春)の暴挙。前作(というべきか)「ゴジラ・ファイナルウォーズ」では、地球防衛隊(!)の隊員(ケイン・コスギ)がライバル隊員(TOKIOの松岡さん)へ放った「お前のその優しさがぁ~命取りになるんだぁ~」の迷言にクラクラしたうえ、最大の見どころが菊川怜さんの美脚・・・こうなると、もはやゴジラはそっちのけ、別な映画として楽しむしかありませんな。

余談を長々書いちゃいましたが、そろそろ本題「シン・ゴジラ」にいってみましょう。

正直、予想を裏切る素晴らしい出来栄えでした。ワタクシにとって初めて腑に落ちたゴジラ映画でした。「絶賛」とか「感動」までは申しませんが(そりゃそうだ、結局、怪獣映画なんだから)おおいに満足でございました。

何が良かったか。それはポイント(テーマ)が絞れていること、そして、過去のくだらないお約束に捕らわれなかったこと、に尽きます。

広い意味でゴジラは「パニック映画」なわけです。このジャンルには未曾有の大災害、宇宙からの侵略者、未知のウイルス、巨大隕石による世界滅亡の危機、など手を変え品を変えて、毎年、映画が量産されてますね。それらの映画で、お約束のように確実に絡めてくるのが「人間愛」です。愛する者を助けようと危険をかえりみないヒトだの、離婚予定の夫婦が災害を乗り越えて愛を取り戻すだの、自らの命を捨てて爆破装置のスイッチを押すジイサンだの、と、家族愛、人類愛、博愛をぐいぐい絡めてくるわけです。

パニック事象そのものの脅威ではなく、危機的状況における家族や恋人の愛情に主眼が置かれているわけですね。要するに「人間ドラマ」としてとらえちゃうんですね。

ところが、「シン・ゴジラ」にはそうした「余計な」人間愛シーンが全くないんです。これこそ見識と思うわけです。主役級3人(竹野内豊さん、長谷川博己さん、石原さとみさん)ほか登場人物たちは、ただただ職務に徹して、家族などスクリーンに現れません。電話シーンもないのです。

そもそも、登場するのは政府関係者と自衛隊員がほとんど。「圧倒的な破壊力を持つゴジラから、どうやって日本を守るか」に特化して描かれているのです。その過程であからさまになる日本の行政機構の拙さ、縦割り弊害、危機管理の甘い閣僚たち、楽観的見通しで傷口を広げる政府関係者の姿に、5年前の大震災での政府や東京電力の体たらくが重なるわけです。

映画の中盤、国連安保理が決定した「ゴジラ駆除のため、東京に核爆弾を落とす」最終手段を回避すべく、登場人物たちは大奮闘を繰り広げます。パニック映画というより、企業ドラマ(ビジネスドラマ)であって、それこそ「ゴジラなどそっちのけ」なんだけど、これがまあ、ちゃんとツボにはまっているんですよね。

登場人物(俳優)が多いのが本作の特徴で、各人各様が見事に役を演じきっております。キャスティングのセンスが抜群ですなあ。

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さて、ここからはワタクシの個人的好みで、どなた、の、何、がすごかったかをご紹介。

(1)石原さとみさんの英語

若い美人で、家系が良く、頭が切れて、英語ペラペラ・・・と、むちゃくちゃハードル高い役を、(実際は苦労あったでしょうけど)こともなげに演じる石原さとみさん。石原さんの「クチビルの色っぽさ」を挙げたいけど、ここはおとなしく「見事な英語力」としておきましょう。恐るべし。

(2)津田寛治さんの「とりまとめる人」の演技

ゴジラ対策チームのTOPは、内閣官房副長官の矢口(長谷川博己さん)なんだけど、チームをまとめる主将的役どころが津田寛治さんであります。いかにも「実務のヒト」で、あのちょっと鼻にかかった声で、「さ~、みんな仕事にかかろう!」というリアル感、いやあ良いですな。

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(3)余貴美子さんの「眼力」

防衛大臣を演じる余貴美子さん。町のおばちゃんから政治家まで、あらゆる役をキッチリこなす名女優だとワタクシは思う。余さんのハイライトシーンは、日本へ上陸した巨大怪獣(ゴジラですね)への自衛隊の攻撃許可を、総理大臣(大杉漣さん)に迫る場面。その「眼力(めじから)」が尋常ではない。「総理、本当によろしいんですね!」と念押しする迫力も特筆もの。ゴジラも怖いが、余貴美子さんも怖い・・・。

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(4) 眼力といえば・・・

リドリー・スコット監督のSFホラーの金字塔「エイリアン」に出てくる冷酷冷血なエイリアンには「目がない」んです。目がないと無感情かつ無機質な絵面になり、恐怖感が倍増します。さすがは天才ギーガーさんのデザイン!で、今回のゴジラはそれを参考にしたのか、おめめ、が限りなく小さい。図体に比べると、まるで点ですが、あなた、ちゃんと周りが見えてます?

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ちなみにゴジラさんの第一段階(二足歩行する前の芋虫状態)だと目は巨大。おめめパッチリ。マンガっぽいお顔でした。成長してそこまで目が小さくなるか?と、つまらんことが気になった次第です。そういやあ「エイリアン」は卵から孵化したばかりのフェイスハガーにも目らしきものは無かったですな。

本日は以上です。はい。


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