映画 「チェンジリング」、感動でイスから立てなかった大推薦の映画 [映画]
すごいです。すばらしいです。この映画は!
終映後、劇場内が明るくなっても、感動で席から立てませんでした。褒めたいことが多すぎますが、強いて挙げればアンジェリーナ・ジョリーの名演でしょうか。
ワタクシ、はじめて、アンジーは偉大な女優と認識した次第。本作でオスカーを逃したのは無念でなりません。とにかく、自信をもってお薦めする本年の必見作です。
チェンジリング 2008年米国
監督 クリント・イーストウッド、 出演 アンジェリーナ・ジョリー、ジョン・マルコビッチ、ほか
「実話にもとづく物語」とテロップが出ますが、それを抜きに、映画として見事です。
予告編から、ベタな親子愛系メロドラマと思ってました。どっこい一筋縄ではいかないのが、本作の凄さ。
アンジー演じるコリンズ夫人と失踪した息子の「親子愛」に加えて、権力VS個人の社会派要素あり、意外なクライムサスペンスあり、法廷ドラマありで、「人間の尊厳」「絶望の中の希望」「愛と憎しみ」を描くのでした。生きることの根源にせまる人間ドラマなのです。
こんなに、ネタ風呂敷を広げたら、作品自体がガタガタになりそうですが、さすがは、名監督クリント・イーストウッド。感情に溺れず、客観的に、淡々と映画を進めます。ノリとしては「ミスティック・リバー」に近いといえましょうか。
ストーリーが進むにつれ、映画がギア・アップしていくのも圧巻です。息子を失った母の悲しみがメインの比較的、静かな前半。息子を名乗る謎の子供が現れサスペンス色を強める中盤。「あれは息子ではない!」という彼女の言葉を黙殺し、事件にケリをつけたい警察の保身---この辺りから、映画は俄然、骨太になり、活発に動きはじめます。
後半、コリンズ夫人は、頼もしい味方(ジョン・マルコビッチ演じる神父)をえて、超人的な精神力と信念で権力に立ち向かうのですが、そのスリリングな展開にはワクワクしてきます。そして、ストーリーを大きく動かす、殺人犯の登場。。
これ以上は完全ネタバレになるので止めますが、メロドラマではないことは、お分かりいただけたと思います。
本作の素晴らしいのは、全編通じ、すべての場面とセリフに、細心の注意がはらわれ、不要に重たくならず、さりとて安っぽくならないバランス感覚です。
暗いテーマのうえに、ハッピーエンドでもないのに、ラストシーンのヒロインの「やっと確かなものをつかんだ、それは希望!」というセリフを聞き、溜飲の下がる思いでした。スッキリと晴れ晴れした気持ちにさえ、なりました。
優秀な監督、俳優、撮影、脚本、音楽の「職人技」と「チームワーク」から生まれた名作、しっかりと拝見させていただきました。
くどいですが、最大の功労者は、主演アンジェリーナ・ジョリー!彼女を観るだけで劇場にいく価値ありです!
イーストウッド監督作品の中でも、個人的にはベストと感じましたよ。
ぜひ、映画館へ!!
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必ず、見ます。今週中に
by コッスン (2009-03-01 23:43)
アッシー様、どうもです。
「20世紀少年」をボロボロに否定した翌日に、「チェンジリング」を大絶賛とはお見事です!(狙った?)
アンジー、化粧はけばかったですが名演技。最初は、わざとらしさが鼻につくなあ、と思ったら、話がすごくなって、後半はすっかり映画に引き込まれ感動しました。
では、アッシー様の次回記事を楽しみにしております。
by 博多ちわわ (2009-03-03 07:51)
見てきました。感動したーー
by コッスン (2009-03-03 21:31)
To コッスン様、コメントありがとうございます!
おお、さっそく観られたのですね?記事には書きませんでしたが、映像の湿っぽくない乾いた感じがよかったですよね。無理に感動を盛り上げようとしない演出が、見識というか、品というか・・・最近観た映画のなかでは群を抜いていました!
by アッシー映画男 (2009-03-04 00:44)
To 博多ちわわ様、コメントありがとうです。
「20世紀少年」でマイナス感動、「チェンジリング」でプラス感動したので、そのあとに、どっちに転ぶか分からないようなナンセンスドタバタ邦画「激情版 エリートヤンキー三郎」を拝見しました。
いやー、楽しかったですよ~。あまりのバカバカしさに嬉しくなりました。
やっぱり映画はジャンル偏らずに、なんでも観るのがいいですね。これ、当方の主義です!!
by アッシー映画男 (2009-03-04 00:48)
こんにちは。
私も先週末に観てきました。
記事を拝見させていただきましたら・・・
感想はまったく同感!で、驚きました。(100%同じ)
>溜飲の下がる思いでした。スッキリと晴れ晴れした気持ちにさえ、なりました。
本当にそのとおりですね。
私も観終わったときには、晴れ晴れとした気持ちになりました。
だからこそ、この映画が一層素晴らしく感じられたわけですが。
ところが、いつまでもグスグス泣いている人が多くて、ちょっと驚いてしまいました。
「これって、泣くような映画なのかなあ?」
でも、映画なんて、自分の人生にかぶせて観たりもするものだから、きっと何かとかぶって、涙が出てきたんでしょう。
・・・なんて思いもしたのですけど、あんなに晴れ晴れしいエンディングだったのに、どうして泣くのかなあ????
大半の女性が泣いているのになんとも合点がいかないワタクシでした。^^;
そういえば、トム・クルーズの新作映画「ワルキューレ」は、観る予定ですか?
私は是非観てみたいと思っているのですが・・・1つちょっとした懸念が。
ドイツの映画なのに、予告を観ると全部英語で会話されています。
なんかドイツ映画を英語で撮ることに、非常に違和感を感じるのです。
(中国映画を日本語で撮るようなもの。その点、「禅」は、良かったですよぉ。)
なんか、「ワルキューレ」、イマイチなのかなあ?なんて・・・。^^;
それとも、たまたま予告のシーンだけが英語なのか。
トム・クルーズが、全部ドイツ語で演りとげられたら、凄いんですけどね。
by Kelly (2009-03-04 12:44)
To Kelly様、コメントありがとうございますぅ。。。
Kelly様のブログ拝見しましたが、「チェンジリング」への感想、まさに同じでうれしくなりました。キーワードは「HOPE」であり、どんな悲劇のなかにも、希望を見出せることで、その人間は不幸ではない、ということが、押し付けがましくなく、ひしひしと伝わってきましたね。
この映画を観たときのこと、劇場内で隣に座ってた見知らぬおっさん(50歳代?)は、映画前半、つまらなさそうに腕時計を眺めたりしていたのに、映画が終わった時点では、なんと号泣していました。
Kelly様のおっしゃるとおり、号泣も妙ですよねえ~。
とはいえ、ワタクシも、この映画の後半は、実はかなり泣きました。
ただし、ストーリーにではなく、これだけ見事な作品を作れるという「映画の可能性」に感動したというべきでしょうか・・・
この涙は、20年以上前に「パリ・テキサス」を観たとき、5年ほど前にホラーですが「妄執(フルエルティ)」を観たときに流れたものでしょうか。
さて、トム君主演の「ワルキューレ」なかなか面白そうですよね。
ご指摘のように、ドイツなのに全員、英語という。むちゃ、違和感なんですけど、実は欧米では、この点にあまり頓着していないようなのです。特に戦争映画では。
「レニングラード」はソ連軍が全員が英語で話します(主演がジュード・ロウ)。それに比べると往年のTVシリーズ「コンバット」はドイツ人がドイツ語を話していてリアル・・・と思ったら米兵が日本語でしゃべってるよ!
アカデミー賞をとった「戦場のピアニスト」も舞台はドイツで、全員が映画で会話でしたねえ。欧米のかたがたにとっては、この点は「映画的当たり前」なのでしょうね。
ちなみに、ドイツの映画館では、アメリカ映画はドイツ語吹き替えで上映されているのでは?ずいぶん前、ドイツ出張のとき、出張メンバーの一人が日曜に「ミッション・インポシブル」を映画館で観たのですが、トム・クルーズがドイツ語ぺらぺらだったそうです。というより登場人物全員が。。。「さすが、国際スターは違うなあ」・・・って、それが違うよ!みたいな。
韓国で買ったDVDでは、トム・クルーズは韓国語がぺらぺらだった。要するに、映画に関しては言語に違和感ないのかもしれませんね。
しかし、ドイツ語でいまいちの言葉もあります。
「007」、英語読みだと「ゼロ・ゼロ・セブン」ですが、ドイツ語読みだと「ヌル・ヌル・ズィーベン」、これちょっと変じゃないですかあ?
by アッシー映画男 (2009-03-04 23:44)
アッシー様、おはようございます。
まだ観てませんが、評判は良いですね。
アッシー様記事を読んで、おおいに興味がわきました。
今日の会社帰りに、観てこようと思います。
by ふくずみ (2009-03-05 07:33)
こんにちは。
先月末に東京行った時に「007」を観てしまったのですが・・・こっちにすればよかったかなぁ?(泣;)
by Yakoha (2009-03-06 22:37)
アッシー様、平日は仕事で観れず、昨日、チェンジリング、観ました。
期待以上に感動しました。
アンジェリーナ・ジョリーはアクション系映画で、ストレートに強い女を演じますが、今回は、「強さを内に秘めた」女性で、これが驚くほどはまっていましたね。
ラスト、「今年のアカデミー賞はどの映画がとるか?」が話題になるシーンに、イーストウッドの映画愛を感じました。ちなみに「ある夜の出来事」は良い映画ですよね
by ふくずみ (2009-03-08 09:06)
To ふくずみ様、観てこられましたか。
ワタクシが書きたかったようなネタをコメントに書いておられますねえ。
アカデミー賞のネタは、ちょっと嬉しかったです。あの効果は、時代性をよく表していることですよね。
とくに「実話をもとにした」場合は、その時代のイメージを観ている人間に与えなくてはいけないので、当時はやった音楽を入れたりしますが、本作に余計な音楽はNG。となれば、コモンセンスとして映画ネタ、というのは素晴らしい選択ですものね。さすがはイーストウッド!
by アッシー映画男 (2009-03-08 09:36)
Yakoha様、コメント&niceありがとうございます!
いえいえ、「007 慰めの報酬」は映画のテイスは違うけど、めちゃくちゃ良かったと思いますよ!とにかくダニエル・クレイグの生身のアクション。それに、「チェンジリング」のコリンズ夫人(アンジー演じる)にも通じますが、ジェームス・ボンドの「心の中に封じ込めた強い気持ち」は、なかなかに人間ドラマです。
まあ、前シリーズまでのボンドはどんな窮地に陥っても、余裕しゃくしゃくで、軽口を叩いていたので、どうもワタクシは気に入らなかった、ということもありましょうが。。。
話はずれましたが、チェンジリングは、良いです。ぜひ!
by アッシー映画男 (2009-03-08 09:41)