SSブログ

映画 「ウオッチメン」、賛否両論でしょうけど、ワタクシのツボに完全にはまった!! [映画]

3月28日(土)公開の「ウオッチメン」を、一足先に試写会で観てきました!

平日で、場所は中野というのに、満席でビックリ。「映画化不可能と言われてきた」とか「何人もの監督が挫折した」「驚異の世界観」「最大の問題作」など、もったいつけた宣伝文句が躍るわりに、内容がサッパリ分からない・・・うむむ、期待と不安が高まります

観終わった感想は、ずばり最高です!心底、素晴らしいと思う!よくぞやってくれた!と声を大にして褒めたい。ただし、あくまで「個人的好み」という条件付き。未見の方に、手放しで推薦するには躊躇があります。。。。さて、なぜか?

ウオッチメン 2009年米

ウオッチメンP(日本).jpg監督 ザック・スナイダー 出演 ジャッキー・アール・ヘイリー、パトリック・ウィルソン、マリン・アッカーマン、ほか

あまりに様々な映画ジャンルのごった煮で、どこから語れば良いか分からない・・・強いていえば、確信犯的に正統から踏みはずしたダークでマニアックな怪作です。ストーリーは違いますが、「シン・シティ」とか、同じ監督の「300」が似ているでしょうね。

この映画の評価は、見る側が、作品の「世界観」や「美学」に、どこまで積極的に入り込めるか?で大きく変わるでしょう。昨年ヒットした「ダークナイト」もそうでしたね。

映画の舞台は1980年代。ただし、米国がベトナム戦争に勝利し(実際は敗北)、ニクソン大統領が三選している(実際にはウオーターゲート事件で失脚)、仮想アメリカです。中心テーマ「人類への脅威」は、テロや宇宙人ではなく、冷戦中のアメリカVSソ連の核戦争危機です。ここが第一関門、妙な”設定”に、ついていけない方も出るでしょう。

ウオッチメンとは何か?1940年代に生まれた街の自警団ですが、いつしか力を持ち、アメリカ政府に協力を要請され、ベトナム戦争を勝利に導き、ケネディ暗殺、ゲバラ革命、アポロ月面着陸にまで関与する。歴史の裏に暗躍する「陰のスーパーヒーロー」・・・それが、ウオッチメン。

彼らは、ガッチャマンよろしく、マントだの覆面だの、コスチュームに身を包む見た目はマンガチックな正義の味方・・・・メンバーには核実験事故で超人に変身し、世界を滅ぼすほどのパワーをもつ科学者ジョンがいる(見た目はブルーマン)。もろにSF映画の世界です。ということは「ファンタスティック4」のような、荒唐無稽なスーパーヒーローものなのか?

ウオッチメン1.jpg

 

いえいえ、とんでもない!ウオッチメンたちの超リアルに「ドロドロ」な生きざまはあまりに人間臭く、複雑怪奇なダーク・テイストすら漂ってくるのです。ハッキリ言って子供に見せてはいけない世界。

たとえば、正義のスーパーヒーローが、スーパーヒロインをレイプ未遂!考えられますか?(このシーンが、リアルなのも凄い)

あるヒーローは献身的に尽くしてくれた女性を捨て、別の女に走り痴話喧嘩。

ある者は、戦地で地元女性を妊娠させ、詰め寄られると相手を撃ち殺す鬼畜っぷり(正義の味方がそれでいいのか!)。

つまり、ヒーローを生身の人間として描く、という、やわなレベルではなく、彼らの屈折・挫折した人生や、イカレ狂人っぷりから、リアルと非リアルのせめぎ合い、人間ドラマとSFの不協和音、カオス世界を展開させるのです。

さらに、元ウオッチメンのジョンが語る哲学的ともいえる難解な世界観が曲者。中国の老子よろしく「宇宙規模の観点でみれば、人間などささいな物事に過ぎない」という、スーパーヒーローとは思えないシニカルなお言葉。おいおいっ!!

本作の変化球テイストが判明した時点(映画開始後40分?)で、半分の観客は呆然状態でしょう。乗りきれない方は、以後2時間を、文字通りダークな館内で過ごしていただくことになりますね。合掌。。。

ウオッチメン4.jpg

さて映画の内容です。

1980年代、ニクソン政権が自警団活動を禁止したため、ウオッチメンは解散となります。

ウオッチメン2.jpgコスチュームを脱いだウオッチメンたちは、あるものは素性を明かし巨大な財を築き、あるものは政府機関で研究をつづけ、また、あるものはひっそりと一般市民として暮らします。しかし、白い覆面のロールシャッハだけは、「世界を変える」意志を捨てず、一人で、違法となったウオッチメン活動を続けるのです。

この方、顔に布かぶってますけど、「20世紀少年」の”ともだち”じゃありませんので、お間違いないよう。

事件は、ウオッチメンだった「コメディアン」が惨殺されることから始まります。強盗の仕業、という警察の見解に納得できないロールシャッハは、「ヒーロー狩り」を疑いますが、敵の罠に落ち、刑務所に収監・・・そこは、彼が逮捕した凶悪犯罪者が、復讐しようと手ぐすねを引いて待っている地獄でした。

一方、他の、ウオッチメンたちにも、魔手が伸びてゆく・・・・いったい、誰が?何のため?元ウオッチメンたちを追うのか?犯罪者たちの復讐か?それとも・・・

その先は映画館でご確認ください!ちなみに、ラストの「オチ」には、いい意味で仰天しました。お、そうくるのか!?と。

ウオッチメン7.jpgウオッチメン3.jpg

とにかく映像は凄い。

スローモーションを交えたアクションシーンはもちろんですが、80年代っぽいレトロ感を表現し、そこにあえて、アンバランスなハイテクを組み合わせるセンスの良さ。実にエキセントリックです。

オジサン、オバサンになったかつてのウオッチメンたちの、驚異的な身体能力の表現にも度肝を抜かれます。どう見たって、いけてない中年オヤジのダニエル(役のために11kg太った)が、技を繰り出すカッコよさに痺れた!腐っても鯛!ちょっと違うか。

巨大企業を統括する「世界一賢い男」の超美男ヴェイトに至っては、拳銃から発射された弾丸を掴めるほどの素早さ。って、ホントに掴んでるよ・・・

ヒーロー映画であり、SF映画であり、サスペンスであり、社会派ドラマであり、人間ドラマであり、恋愛ドラマであり・・・・・観る側は、めまいのごとき「混乱」に陥るでしょう。

「映画化不可能」と言われたことも素直に納得できます。よく言えば、「通俗映画へのアンチテーゼ」、悪く言えば、「ごった煮カオスの独りよがり」。さあ、皆様はこの作品をどう見るか?

ワタクシの評価は、言うことなし!の満点!

ストーリーを追うので精いっぱいだったので、もう一度、しっかり映画館で観たいなあ~。

ウオッチメンPP.jpg

nice!(4)  コメント(11)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 4

コメント 11

コッスン

わーい、楽しめた私は変化球に乗り切れたんですね。
っていうか乗り切りました。(笑)
エンターテイメントです。
私も好き。
by コッスン (2009-03-21 21:04) 

ふくずみ

1週間とはいえ、公開前に観られるとはウラヤマシイ・・・・
私は不勉強なのか、原作を全然知らなかったのですが、どうやら、かなり込み入った物語のようですね。
アッシー様の記事を読まなかったら、ちんぷんかんぷんかもしれない?
良い予習になりました。

ロールシャッハさん、たしかに、20世紀少年の「ともだち」ですね。
20世紀少年の第3部に登場したら面白いかもしれませんね。
by ふくずみ (2009-03-22 07:10) 

アッシー映画男

To コッスン様、コメントありがとうございます。乗り切れておめでとうございます!!
さては、ワタクシと同じく、中野ZEROホールの試写会で観ましたね?
まさか、そのあと、「ラーメン北国」に寄ったわけではありませんね?

試写会の様子ですが、映画中盤になると「乗り損ねた」あるいは「乗ることを拒否した」観客の皆様が、寝たり、ぐだぐだしたり、で一種異様な様相を呈していました。
あの方々は、家や職場で、この映画のことを、「いやあ、訳わからないし、長いし、まいったよ~」と語っていることでしょう。
そんなやつぁ、映画を観る資格はねえ!といいたいところですが、上記の感想も、それはそれで納得できるわけで・・・・・

しかし、PCにフロッピーディスクを差している時代に、宇宙ロケットで飛び回るわ、瞬間移動はするわ、いやあ、まいったまいった。
さらに、ダニエルは勃たないわ、とりあえず火災現場で救助活動して興奮して「合体」するわ・・・「釣りバカ日誌」の浜ちゃんかよ!?
と、いろいろ突っ込みはしたくなりますが、なにはなくとも、素晴らしい作品でしたね(まとめが強引?)。
by アッシー映画男 (2009-03-22 09:48) 

アッシー映画男

To ふくずみ様、コメントありがとうございます。
ぜひ、公開したら劇場で、ロールシャッハと、ともだちの違いを確かめてきてください。
ラスト、ロールシャッハさんの男の生き様・・・・感動です。でも~、いえ、あの、その~と、ビックリですが、それまでの2時間、ブルーマン・ジョンが、建物より大きくなったり、火星に瞬間移動してたので、「もう何がおきても平気」になっていた自分が、ある意味、怖いです。
by アッシー映画男 (2009-03-22 09:53) 

non_0101

こんにちは。
私もなんとか乗り切りましたが… かなりへとへとでした(笑)
かなりダークな上に、奥が深くて面白かったです。
あの世界観は凄いですね~
そしてこの作品が全米No.1になっているのも凄いです。
原作を読む勇気はありませんが、チャレンジして良かったです(^^ゞ
by non_0101 (2009-03-22 11:11) 

Betty

はじめまして^^
どうも。。この手の映画は苦手なのですが興味が沸く記事を読ませていただきました☆
最近では「ダークナイト」ソワソワと落ち着かない気持ちが上映中続き、ヒースの演技に目がグルグルしました。
この映画も私には向いていない映画のようですが、映画の感想記事にナイス付けさせて頂きます!!

他の記事もゆっくり読ませて頂きますね。
そしてこれからも宜しくお願いします♪
by Betty (2009-03-23 12:37) 

アッシー映画男

To non_0101様、コメント&nice、ありがとうございます!
non様の記事、拝見し、まさに同感、でした。やはり中野ZEROホールでの試写会だったのですね?
ご指摘のとおり、この映画が全米1位になるということがビックリです。
米国民には、1980年代(70年代?)へのノスタルジイがあるのか、あるいは、「神の力」がアメリカを正しい道に導く、といった宗教的な潜在願望があるのでしょうか?うーーん、わからない。

「1を殺して、1000を救う」・・・ウオンテッドのアンジーのせりふみたいな世界ですけど、それにしても無駄に殺しすぎではないか!?というツッコミをしてはいけませんよね。

いずれにしても、ここ1年で観た映画の中で、良い意味でも、そうでない意味でも、衝撃的な作品でした。
これからの、non_0101様のブログ記事も楽しみに拝見します。
by アッシー映画男 (2009-03-24 07:02) 

アッシー映画男

To Betty様、コメント& nice、どうもありがとうございます!
うむむ、ダークナイト以上に、どろっとして混乱気味の展開ですので、この映画はかなりキツイかもしれませんね。
あとは、無理やり(?)、深読みするしかない・・・ともいえますが。
たまにはこうゆう映画も楽しいです。(立て続けに、同じテイストの映画はきついですが)
また、ゆるりと遊びに来てくださいませ。長いコメント、短いコメント、どちらも歓迎であります。
ではでは!
by アッシー映画男 (2009-03-24 07:05) 

アッシー映画男

To Yakoha様、niceありがとうございます~。
更新が超不定期な当方のブログですが、読んでいただきどうもです!!
by アッシー映画男 (2009-04-05 08:37) 

Kelly

ども、です。
ウォッチメンの記事、面白く拝読させていただきました。

ワタクシもやっとこさ先週末拝見。
想像以上の出来栄えに大満足です。
それにしても凄い映画でした。

アッシー様は、ダークな世界について述べられてらっしゃいますが、実に是、人間の日々の生活そのものではないか?!と感じながら観ておりました。

さらにブルーマンならぬ、Dr.マンハッタンは、人間には理解不能な(故に神のように崇められているわけですが)思考の持ち主。

そのブルーマンでさえ、ちっぽけな人間の、大きすぎるほどの欲望によって動かされていた時期があったわけで。

出来事そのものを考えるより、私はなんだか「宇宙意志」みたいなものを一生懸命追いかけながら観ていた気がします。

とするとこの原作者って、なんだか物凄い思想の持ち主なのではないか?!と。

映画ではほとんど端折られていたミニッツメンのキャラクターや解散原因。 原作でじっくり観察してみたい気になりました。
by Kelly (2009-04-14 18:38) 

アッシー映画男

To Kelly様、コメントありがとうございます。
評判自体があまり聞こえてこない本作、やはり日本には受け入れがたいものがあるのか?と思っていたので、Kelly様のコメント、大変うれしゅう存じます。
どうも、最近は、映画にしても音楽にしても、人気が出るとみなその方向に走る傾向がありますよね。世の中には(と大きなことを言うつもりはないですが)、いろんなものがあってよいと思うわけです。
ウオッチメンも、「その道の人には」人気があるけど日本ではマイナーゆえ、とたんに食いつかないのが日本のメディアです。

いずれにしても、いろんなことを考えさせてくれる作品でしたよね!


by アッシー映画男 (2009-04-16 07:15) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。