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映画 「なくもんか」 阿部サダヲさんの頑張りに応えていない、まずい脚本と演出にトホホ。 [映画]

「イングロリアル・バスターズ」絶賛でパワーを使い果たし、他映画をブログアップする気力がわかず・・・・アッシーブログを楽しみにしている方(いるの?)、更新滞ってすいません。

さて、気を取り直して。ワタクシが大好きな主役級の邦画男優は、阿部サダヲさん。玉木宏さん。玉山鉄二さん。堺雅人さん。小出恵介さん。特に阿部サダヲさんは、強烈な個性で出演作を「阿部色」に染め上げ、ストーリーを牽引するパワーに毎回脱帽しています。

阿部サダヲさん最新主演作「なくもんか」・・・・「舞妓Haaa~n」のチーム再集結のコメディ!の宣伝文句に、おおいに期待して劇場へ向かいました。

しかし残念ながら手放しでほめられない出来・・・。以下、辛口コメントになりますが、ご容赦ください・・・

なくもんか 2009年日本

監督 水田伸生、 脚本 宮藤官九郎、 出演 阿部サダヲ、竹内結子、瑛太、いしだあゆみ、ほか

なくもんかP.jpg幼い頃、父に棄てられ、離れ離れになった祐太、祐介の兄弟。兄の祐太(阿部サダヲ)は、幼少に預けられたハムカツ屋の主人に認められ店を譲り受け、肥満から生まれ変わった(?)妻の徹子(竹内結子)と、下町商店街で平和に暮らしています。一方、弟祐介(瑛太)は、お笑いコンビを結成し人気芸人となりました。

主人公の祐太は、涙もろく、熱く、オーバーアクション・・・・阿部サダヲさん以外に演じられない「超不自然キャラ」ですが、これは良いです。明るく世話好き&お人好しという、表の顔の陰で、父に棄てられた寂しさに、神社の境内でこっそり泣く・・・ハートウオームなコメディに、ぴったりなキャラともいえますね。映画の出だしでは良いですなあ~。

ひょんなことから、祐太は、生き別れた弟、祐介の存在を知ります。感動的再会を期待しますが、有名芸能人となった弟から「今更、実の兄なんていらないよ。俺にかかわらないでくれよ。」の残酷な一言を受け・・・ガーン!

ここからドラマは一気呵成に、祐太と妻徹子、商店街の人たち、祐介と相方芸人、大臣までを巻き込み、ドタバタな笑いと、家族愛に満ちた怒涛の展開を見せるのでありました!

・・・コメントは、ここで終わりたい。しかし、そうはいきません。

映画(脚本)の「言いたいこと」は分かりますが、全体としてNGと言わざるをえません。

なくもんか1.jpg

まず、時間が長いのが良くない(私のブログ記事も長いけど)

長さに必然性がないんです。余計なエピソードが多すぎます。祐太の妻徹子の「エコ好き」ネタ。ラストへの伏線(のつもり)でしょうけど全く不要。秘伝ソースのネタ。映画の本筋に関係ありません。

小ネタを詰め込み過ぎ「締まりない作品」になったんです。余計な部分を刈り取って、45分間、短くすれば名作でした、きっと!

なくもんか2.jpgなくもんか3.jpg

次に、それこそが大問題ですが、この映画は、阿部サダヲさんのキャラクターに依存しすぎなんです。たしかに阿部サダヲさんはすごい俳優です。場面もストーリーもしっかり作ってくれる、という期待は分かります。

だからといって、主演俳優に甘えてはいけません。

俳優の力量と関係なく、脚本や演出自体がしっかりしているからこそ、素晴らしい俳優とあいまって、映画が二倍にも三倍にも輝くのです。逆にいえば、脚本や演出の甘さを、主役俳優で「補っても」名作は生まれないのです(本作が、その失敗例です)。

なくもんか5.jpg

前半の散発的ドタバタが、ラストに収斂し、感動的な大団円でパチパチ!というのが、この手の映画のお約束で、製作側もそれを狙っています。

ところがどうでしょう!肝心のラストの、この安っぽいステージ・シーンはなんですか!?どうしょうもないじゃん。

くどいですが、阿部サダヲさん(&共演者)は文句なしに頑張っています。だからこそ、彼の良さを引き出せなかった罪は重いのです。

なくもんか4.jpg

未見の方に先入観を与えて申し訳ないですが、「主役キャラ頼みで駄作を量産」した、70年代~80年代の邦画が踏んだのと同じ「地雷」を、踏んだのはショックです。興業的にヒットしていても、製作側が、同じような映画作りを続ければ、せっかく盛り上がった邦画ブームを「氷河時代」に逆戻りさせてしまうでしょう。

映画好きとしては、そんな悲劇が繰り返されないことを祈るばかりです。

ところで、いきものがかりのうたう主題歌は素晴らしいですね(と無理やりフォロー?)。映画に、いきいきした息吹を与えています。最後に予告編をどうぞ(↓)


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コメント 4

ふくずみ

アッシー様らしい、鋭くきついご指摘ですね。

まったくおっしゃるとおりです。
共演者も頑張ってはいたけど、準主役の瑛太は、映画のノリに全然合っていないと思いました。おしなべて阿部サダヲに対抗できる強いキャラクター(脇役)がいないと感じました。
私も邦画氷河期が再来しないことを祈っている映画ファンです。
そのためには映画館に行くことが大切ですね。
年末年始の映画三昧と、アッシー様ブログが楽しみです。
by ふくずみ (2009-12-23 10:29) 

亮

なるほどぉ~
なかなか厳しい指摘ですね。

自分は、なんとなく嫌な雰囲気を読み取ったのか、
この映画は観てないんです。
DVDになったら、アッシーさんの指摘を一つずつ確認しながら観ようと思います。

by (2009-12-27 22:06) 

アッシー映画男

To ふくずみ様、コメントバック遅くなり申し訳ありません。
ワタクシの言いたいことを、まるっと補足いただき恐縮です。

そう、阿部サダヲさんに対抗(映画全体でみればバランス)する脇役がいないんですよねえ。
竹内結子さんもステキなのですが、破壊力というかなあ、パンチはないんですよね。ましてや瑛太・・・演出のせいもあって、やけに真面目というか、浮いている感じすらします。
「舞妓Haaaan」の、柴咲コウさん、伊東四朗さん、堤真一さん、のような、パズルがぴったりはまった感じが欲しいですよね!
ちょっと厳しい要求ですが・・・・

後半崩壊した当ブログですが、2010年は、週2回の更新を目標に、頑張ります!
by アッシー映画男 (2010-01-01 22:18) 

アッシー映画男

To 亮様、あけましておめでとうございます。
さすが、この映画の宣伝etcから、いやな雰囲気を読み取るとは・・・
ハッキリいって、TVドラマの年末スペシャル、いや、それ以下の出来栄えです。
勝手な想像を巡らせると、関係者が忙しかったのだと思います。
率直にいって、時間切れで見切り発車したかのような、「雑」な感じが目立ちますので・・・
まあ、観ること自体をお薦めしませんが、気が向いたら、DVDで確認いただけるとよいかと。
阿部サダヲさんの次回作に期待いたしましょう!
by アッシー映画男 (2010-01-01 22:21) 

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