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映画 「鉄男 THE BULLET MAN」 あの、カルト映画の名作の心機一転のリメイク! [映画]

20年以上前は、「カルト系」と呼ばれたインディーズな映画がけっこうありました。洋画なら「ピンク・フラミンゴ」とか(極端すぎるか)、デヴィッド・リンチ監督の初期作「イレーザー・ヘッド」とか・・・誰が観るんだよ!?とツッコミつつ、自分がしっかり観ているという・・・うう悲しい。

さて、カルト系の「邦画」といえば、なにがあったでしょう?

「恐怖・奇形人間」?「マタンゴ」?(古いな~)。つーか、当時の邦画って、作り手の真面目な意図とうらはらに、「カルト映画に変貌しちゃった」怪作が多すぎます・・・選ぶのに困ってしまいます。

SFとかホラーはヤバかったなあ。大林宣彦監督「漂流教室」や、小松左京原作「エスパイ」「さよならジュピター」・・・・。観客は苦笑を通り越し、怒りに拳を硬くしたものです。ズバリ、子供だましの詐欺みたいな映画ですから。

ところが!その後、カルト邦画界(そんなんあるか?)に激震が走ったのであります。水野晴郎センセイによるシベ超こと「シベリア超特急」シリーズの登場です。シベ超は「カルト云々以前の、すっとこどっこいな無茶苦茶さ」が度を越して凄く、グーの音も出ません。強いて言えば、堀ちえみの「スチュワーデス物語」のトホホ部分だけをパワーアップしたかのようなテイスト・・・・しかし、これが、真のカルト、でしょうか?

と、長々と前振りをした理由があります。

今回ご紹介する「鉄男 THE BULLET MAN」を観て、”真のカルト邦画”が何かを改めて確信したわけです。それこそが、80年代の塚本晋也監督、田口トモロヲ主演による「鉄男」(オリジナル)です。 

「鉄男って、石立鉄男かあ?」という時代にあって、「人間が鋼鉄に変化する」という、SFともホラーともとれるコンセプトを、個性的映像で存分に見せてくれた名作。作り手と観客の間のズレを楽しむカルトではなく、商業映画にない「個性」で観客をしびれさせた、それこそが、カルト・スリピッツ、だと!

その名作「鉄男」が、20年ぶりに帰ってきたうえに、海外展開を意識し全編英語(舞台は日本)という。塚本晋也監督のファンでなくとも、観ないわけにはいかんでしょう!!

鉄男 THE BULLET MAN 2010年日本

監督・出演 塚本晋也 出演 エリック・ボジック、桃生亜希子、中村優子ほか

てつおP2.jpgオリジナル「鉄男」をすっかり忘れたので、前作とのストーリー差異は書けません(スイマセン)が、かなり、内容が違っていたような(気がします)。

アンソニー(エリック・ボジック)は、日本で働く米人サラリーマン。日本人の妻ゆり子(桃生亜希子)と、3歳の息子トムの3人で、普通の幸せな日々を送っていました。ところが、息子が何者かにひき逃げされ殺されます。犯人を見つけてやるといきり立つ妻。

必死で平静を保とうとするアンソニー。しかし、ふつふつと湧きあがる殺人犯への怒り・・・頭の中に鳴り響く大音響と、体の痛みに苦しむ彼の体に、大きな変化が起き始めます。

体表から黒いオイルを流しながら、歯が金属に変わり、顔半分に金属が「生え」、肉体が鋼鉄化してくるのです・・・恐怖におののくアンソニーに襲いかかる、謎の特殊部隊。息子を殺した犯人は誰か?その意図は何か?地下室から発見された「鉄男プロジェクト」とは何か?

本作は、スリリングにスピーディに展開します。一気呵成、という表現がピッタリ。この「暴走感」は実に心地よい。

上映時間は、最近の映画としては、かなり短めの1時間半程度。でも、不足は感じませんね。予算の都合でしかたなく、だったかもしれませんが、ワタクシは「短さ」を積極的に評価したい。ダラダラ長いより(たとえば「キャシャーン」のような)、短いほうがスッキリする映画もあるってこと。

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人間が金属に変化(トランスフォーム)する荒唐無稽な現象を、中途半端に説明しようとする点には、若干の無理を感じましたが、映画にとって大きな傷ではありません。なぜなら、本作はストーリーより、劇的・破壊的な映像表現に力点を置いているのですから。言ってみれば、ストーリーの無理を、映像でねじ伏せてしまう、というか。。。。

人物の動き以上に激しく揺れる映像、大音響の金属音と、フラッシュバックのような明滅。登場人物にやたら接近するカメラワーク・・・・インディーズ映画っぽい撮影手法には、ゲゲッと拒否反応を示す観客もいるでしょうね。

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しかし!ワタクシは、ものすごーーーく、この映像、というか、映画(のテイスト)を新鮮に感じましたね。

CGのリアル変身シーンを売りにするハリウッド映画より、良い意味の「手作り感」が漂っているからです。塚本監督のように、CGに依存しすぎない映像作家、は、今後、減っていくと思いますので、若い映画ファンにも、本作は是非観てほしいです。

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ひとつ難を言えば、ラストのご都合主義は米国を意識しすぎではないでしょうか?ステーブン・セガールの映画か!?とツッコミを入れたくなりましたよ。塚本監督!

あと、内容とは関係ないですが、主演のエリック・ボセックさんという俳優、ユアン・マクレガー似ですね。塚本晋也監督(重要な役で出演もしている)は、妙に、古田新太に似ている・・・・という2点が、どうも気になってしまった本作でありました。

てつお4.jpg

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アッシー映画男

To tomo様、nice、ありがとうございました~。
by アッシー映画男 (2010-06-04 07:54) 

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