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映画 「RED」 いい歳した大物俳優たちの弾けっぷりは嬉しいが、細かい点のアバウトさが痛恨! [映画]

アメリカも日本に劣らず少子高齢化が進んでいるようです。このところアラウンド60俳優(つまりはジジ、ババ)による、無茶振りアクション映画が目白押しですもの。ダニー・トレホさん御歳66歳の主演「マチェーテ」も凄かったし、65歳スタローンさん主演「エクスペンダブルズ」など、上映後、お祝いのくす玉を割りたいくらい、オジサンたち、画面狭しと弾けてましたねえ~。いやあ、素晴らしい!

一昔前まで、アクション映画の主役といえば、50歳がアッパーリミット。それ以上のお歳だとアクションシーンで体が動かない。ヘヴィーメタル界だと、ジューダス・プリーストのロブ・ハルフォード御大のように「ロボット・アクション」でステージを乗り切る”面の皮の厚い”御仁もいるが、映画じゃあそうもいくまいて。。。

そこで編み出されたのが「高齢俳優に無理なアクションをさせない裏技」の数々であります。

裏技① 高齢であることを「自虐ネタ」にし、観客は、主役のダメっぷりを嘲笑する。

裏技② 主演とは名ばかりで自らアクションはせず、暴れ役は若いヤツに任せる。ご自分は統括役にまわる。

裏技③ マンガチックな、ナンセンス&コメディタッチにして非現実的な「強さ」をご披露。

さあて、本日ご紹介の映画「RED」。REDの意味は「現役を引退した、ひじょうに危険なヤツら」の頭文字らしいけど、ブルース・ウイリス、モーガン・フリーマン、ジョン・マルコヴィッチ、ヘレン・ミレンという功なり名も遂げたオジジ&オババ軍団が、どんな無茶をしてくれたのでしょうーーー。

RED 2010年米

監督 ロベルト・シュベンケ 出演 ブルース・ウイリス、モーガン・フリーマン、ジョン・マルコビッチ、ヘレン・ミレン、メアリー=ルイーズ・パーカー、カール・アーバンほか

REDP.jpgゴールデン・グローブ賞「コメディ・ミュージカル部門」にノミネートされたのもうなづける、コミカル&ご都合主義な、予想通り、いや予想以上のアッケラカーン映画であります。つまり前出の「裏技③」を使ってきたわけね。

当然、ストーリーなんて、あってないようなもんだから、終映後、急速に内容を忘れます。1週間後には、本作を観た事実すら忘れるでしょう・・・って、それじゃ、ボケ老人だよ!

ハナシは至って単純明快。元CIAのトップ・エージェントで、今は地味~な隠居生活をしているフランク(ブルース・ウイリス)。ある夜、完全武装の男たちが彼の自宅に押し入ります。敵は軍団となって重火器で家ごと吹っ飛しますが、スゴ腕スパイのフランクのこと、納屋の床から「そんなこともあろうか用緊急グッズ」を取り出し、余裕しゃくしゃくで脱出に成功。

フランクの年金支払い担当の女性までなぜか騒動に巻き込み、自分を無きものにしようとした組織の正体を暴くため、彼は活動を始めます。

そして明らかになる”敵”と、その意図・・・もちろん黙って殺されるフランクではありません。元CIAの仲間(&敵)であるジョー、マービン、ヴィクトリアと同窓会的タッグを組み、敵をせん滅すべく逆襲に出るのありました。パチパチ。

RED1.jpg

というわけでこの映画。

ダイ・ハード・オジサンことブルース・ウイリスは別として、アカデミー賞レースに絡む超名優=モーガン・フリーマン、ジョン・マルコビッチ、ヘレン・ミレンらが、ふだんのストレス(?)を解消するかのような、ばかばかしい弾けっぷりをしている様は、それだけでも気持ち良いと言えます。

スットコな役を与えられても、さすがは名優たち。自らの立ち位置を正確に理解したアッパッパーな芝居は嬉しくなりますよ。

特に素晴らしいのはジョン・マルコビッチさん。精神を病み、見境なく人を殺したがる疑心暗鬼の元スパイを、「もしかして素ですか?」と思わせる自然体?で演じているのがヨロシイ。「マルコビッチの穴」「コン・エアー」あたりから、何やっても許されるオヤジという絶好のポジションを確保した方ですから、今回もイキイキと役を楽しんでおられますね~。いいなあ。

RED3.jpg

ヘレン・ミレンさんも目力抜群、さすがは「クイーン」を演じたお方です。モーガン・フリーマンさんの好々爺テイストは、本来はすべっているのに、終わってみればキッチリはまってる(日本語変?)。

しかしですよ。

主役連中を引き立てる「脇役」が酷いのです。大物俳優のギャラが高くて、脇役はレベルを下げざるをえなかったのかしら?

黒幕的な政治家のダメダメ感はあまりにも塩辛い。フランクが惚れる一般人女性が、可愛くも無いしイケてない・・・どうなのよ、これ?って感じ。REDを追い詰めるCIAの女性管理職は、貫禄ゼロで、アルバイトのおねえちゃんみたい。その女上司に、使い走りっぽくこき使われるCIA若手エージェント(カール・アーバン)が大健闘しているだけに、虚しさもひとしお。トホホ。

80年代の名優リチャード・ドレイファスさんが、どーでもよい小悪党を演じているのは、逆の意味で納得がいきません。30年前の輝きは失せたとはいえ、こんな関西仕事をやる俳優じゃないよって!

RED2.jpg

脚本の杜撰な点も困りものです。もうちょい練れば、いい線いった映画かもしれないのに。ツッコムのも大人げないけど、過去の悪事がばれないよう「秘密を知る連中を消す」なら、もっとコッソリやろうよって。マシンガン、手榴弾、ロケット砲を撃ちまくったら、逆に注目されヤブヘビやんか?ま、それだけREDが組織から恐れられている、とでも言いたいのかね。アクション映画のお約束ではあるけど、物事には「段取り」ってもんがあるでしょう?

厳しいコメントはしたものの、難しいことを、なーーんにも考えず、ボヤーーッと楽しめるという意味で、全然アリな映画!と、強引なフォローをして本日はお終いにしましょう。あははは。

おっ、そろそろ「RED」を観たことを忘れてきたぜ。ブログに残して正解・・・って、やはりワタクシはボケ老人なのか?


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non_0101

こんばんは。
本当にみなさん楽しそうでしたね~
私はヘレン・ミレンのカッコ良さにニッコリしながら観ていました。
軽く楽しむにはピッタリな作品でしたね☆
by non_0101 (2011-02-19 20:22) 

アッシー映画男

To non_0101様、nice&コメントありがとうございます。
まさにおっしゃるとおり!
大御所俳優たちの「楽しんでいる様子」で、こちらもなごんでしまうという、映画のストーリーそっちのけの楽しみ方の出来る作品でした。
ヘレン・ミレンさん演じるヴィクトリアの、元カレ(?)がまたいい味を出していましたねえ。
そうなるとますます、脇役であるCIA中間管理職(意外に若い女)の存在感無さに怒りがこみ上げますね~~。いったい、どんなキャスティングですかい!・・・と、目くじらを立てる映画ではないのでしたね~~。
by アッシー映画男 (2011-02-19 22:05) 

アッシー映画男

To カズユキ様、niceありがとうございます。
by アッシー映画男 (2011-02-27 10:13) 

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