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映画 「英国王のスピーチ」 コリン・ファースさんと、ジェフリー・ラッシュさんの圧倒的名演に感動です! [映画]

公開を心待ちにしていた「英国王のスピーチ」、やっと拝見しました。ずばり、素晴らしかった!

まず賞賛したいのは、本作でアカデミー主演男優賞に輝いたコリン・ファースさんの名演技です。吃音症に苦しみ、満足にスピーチ出来ない英国のアルバート王子(コリン・ファース)が、やがて国王ジョージ6世として、第二次大戦の開戦に国民に向け感動的なラジオ・スピーチをする・・・あまりにもベタであり、先が見え見えのストーリーなのですが、コリン・ファースさんお得意の「情けないフレーバー」が効を奏し(?)、物語を俄然、ドラマチックに盛り上げてくれましたね。

個人的には、コリン・ファースさんといえば、昨年の「シングルマン」における驚異的名演を圧倒的に支持しちゃいますが(前回アカデミー賞はノミネートしたが受賞できず)、もちろん「英国王のスピーチ」に文句など一切ございません!

   映画「シングルマン」のブログ記事はこちらをクリック

もう一人、脇役というより二人目の主役と言える活躍をするのが、アルバート王子を支え続けた言語治療士ローグ役のジェフリー・ラッシュさん。クセの強い俳優さんなので、出演作によっては辟易したこともありましたが、本作は彼の良さが前面に出ていました。たぶん、ラッシュさんの存在無しに「英国王のスピーチ」は、これほどの名作にならなかったでしょうね。さすがは名優!と唸ってしまいました。ブラボー!

まあ私の戯言に構わず、映画ファンを自称される方なら絶対、見ておくべき作品、と言い切りましょう。

英国王のスピーチ 2010年 イギリス、オーストラリア

監督 トム・フーパー 出演 コリン・ファース、ジェフリー・ラッシュ、ヘレナ・ボナム・カーター、ガイ・ピアースほか

英国王のスピーチ.jpg1920年代の英国。吃音症のため公務のスピーチで失敗を繰り返すアルバート王子(コリン・ファース)。著名な医者の治療を受けますが、吃音症はいっこうに改善しません。ますます内気になり、自分に自信をもてなくなる彼は、妻(ヘレナ・ボナム・カーター)が見つけてきたエキセントリックな治療士ローグ(ジェフリー・ラッシュ)のもとへ、たいした期待もせずに訪れます。礼儀知らずとも思えるフランクなローグの態度に、反発し激怒した王子ですが、ローグの人柄と志の高さに信頼を寄せるようになり、ふたりは吃音症の克服に本格的に乗り出します。

二男ゆえ王位継承はしないアルバートですが、父である国王ジョージ5世崩御後、長男デイビッド王子が王位を返上してしまい、アルバートは望んでいない国王の座につくことになります。そして、ヒトラー率いるナチスドイツとの開戦。アルバート=国王ジョージ6世は、イギリス国民に対し、団結と敵と戦いぬくことを宣言する、一世一代のラジオ・スピーチをすることになりますが・・・。

さて、この映画。

冒頭にも書きましたが、ストーリー自体はベタベタ「ありがち」なのですね。ハンデを負った人間が、まわりの人々に支えられ、努力と熱意でそのハンデを克服し、ラストシーンで大団円のカタルシス・・・つまり、次に何が起きるか分からないワクワクドキドキ映画ではないのです。

予定調和的でありながら、本作がこんなに魅力的なのは、アルバート王子、妻、治療士ローグが織りなす、葛藤、衝突、和解、信頼がシーンごとしっかり表現されているからですね。もう、本当に上手い。吃音症の原因が、幼少時のつらい体験によるものと分かってくるあたりから、登場人物の内面がさらに掘り下げられますが、テイストは暗くならずに、基本「陽」なのも好感が持てますね。

英国王のスピーチ3.jpg

脚本におうところは大きいですが、やっぱり、コリン・ファースさん、ジェフリー・ラッシュさん、ヘレナ・ボナム・カーターさんの適確な演技のなせる技でしょう。

それと、映画前半は「治療する側 VS 治療される側」「王室VS平民」といった対立構図で進めておいて、中間からは、そうした垣根を越えた「友情の物語」に違和感なく展開させた監督はアッパレです。ラストシーンのスピーチよりも、その直前、ジョージ6世が語るローグへの感謝の言葉に、ググ~ッと来ましたもん。いいなあ、あのシーン・・・(思い出してジーンときた)。

英国王のスピーチ2.jpg

ラストを締めくくるのは、宮殿バルコニーから国民に手を振るジョージ6世の後姿を見つめるローグの微妙な表情です。そう、スピーチが終わってもハッピーエンドではありません。戦争がまさにこれから始まるわけですから。ジョージ6世の前途多難を暗示する演出ですが、ジェフリー・ラッシュさんの表情がとにかく秀逸です。このシーンだけでもアカデミー助演男優賞に値する、と思うのですがねえ。

すいません、いつもの癖で、気に入った映画について書き始めるときりがなくなります。書き足りないことはいろいろありますが、この辺で今日の記事はお終いにします。

とにもかくにも、安心して見ていられる名作。個人評価100点満点!でありました。パチパチ。

英国王のスピーチ1.jpg

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ハッシュ

アッシーさんのレビュー、ずっと心待ちにしていました。

先日、シングルマンでコメントを寄せた者です。

レビューを読ませて戴いて、思わず膝を打ちました。
私と同じところを注目して下さっている!!
(しかも表現が極めて明瞭、エラそうにすみません)

スピーチ直前のバーティからの感謝の言葉、それに対してライオネルは
照れたのか、”ナイトの爵位くれる?”←このシーンですよね?間違って
いたらすみません。
ホロリとさせておいて、すぐ切り返す絶妙な会話。アッシーさんが
おっしゃるように、基本”陽”を忘れていないんでしょうね。

ラストのライオネルの表情を言及なさっているのは、アッシーさんだけ
だと思います。私も同じように読みとりました。
英国だけで、50万人の戦争犠牲者だったんですから・・・・

長いコメント失礼致しました。
by ハッシュ (2011-03-11 12:46) 

亮

こんにちは。
非常に大きな地震が東北を襲いました。
被災された方を思うと、心が痛みます。
アッシーさんは、ご無事でしょうか。
非常に心配しております。


by (2011-03-13 08:19) 

アッシー映画男

To ハッシュ様、コメントありがとうございました。
私の記事より感動的なコメントでありますね、素晴らしいです。
バーティ=ジョージ6世と、ライオネル・グートの、ラストのからみは最高でしたよねえ。戴冠式の「練習」でのぶつかり合いと和解が、見事な伏線になっていて、これはもう、脚本、演出(監督)、俳優、と三位一体の名人芸としか言いようがありません。
そのうちのどれか一つが欠けても、実にダサイ小芝居になっていたことでしょう。
その意味では、本当に「映画らしい映画」だと思いますよね~~。

ジョージ6世の、本番ラジオ・スピーチが、それほどスラスラじゃないところも素晴らしいですよね。
それと、ラストのローグの表情は絶対に注目ですよね。「タクシー・ドライバー」のラストシーン、デ・ニーロの目の演技、それ以来の名演(名表情?)ではないでしょうか。

あえて記事に書きませんでしたが、ヘレナ・ボナム・カーターさんも良かったですよね。今回は、猿でもなく、ジャンキーでもなく、悪い魔法使いでもなく「普通の人」(といっても王室だけど)だったのが新鮮でした。

ご丁寧なコメント、ありがとうございました。
今後のコリン・ファースさんにも大いに期待でありますね!
(とはいえ、アメリカの俳優だとやりがちな、アカデミー賞をとったあと、B級っぽいアクション映画に出演するのだけは止めてほしいですね)
by アッシー映画男 (2011-03-13 15:12) 

アッシー映画男

To 亮様、コメント&ご心配いただきありがとうございます。
大地震のとき(11日PM)は、ワタクシは大阪に出張しておりました。
大阪もけっこう揺れました。11日は新幹線が止まったので、無理して帰京しようとせず、大阪に一泊し、12日AMに関東に戻りました。
自宅内はスピーカーが倒れ、ガラス食器が破損したくらいで、幸いなことに、大きな被害はなく、家の者も無事でした。
TVを観ると、東北方面、とくに沿岸部は被害甚大であり本当に辛いですね。
とりあえず、ワタクシは無事でしたので、お知らせまで。
ありがとうございました!
by アッシー映画男 (2011-03-13 15:17) 

Cecilia

もしかしてご覧になっているかな、と思いましたが、やっぱり~!(笑)
昨日観た記事を書きました。
http://santa-cecilia.blog.so-net.ne.jp/2011-04-01
うちの娘たちにライオネル・ローグが人気でした。
こちらの記事を紹介させていただきますね。
by Cecilia (2011-04-01 10:43) 

アッシー映画男

To kiyo様、niceありがとうございました!
by アッシー映画男 (2011-04-02 14:15) 

アッシー映画男

To Cecilia様、nice&コメントありがとうございます。
素晴らしかったですからねえ、この映画は。
こうゆう映画こそが「つぼにはまった名作」ということで。
Cecilia様の記事、拝見しました~~。
当方のブログに言及いただき恐縮であります。
ローグが、シェイクスピア好きの「下手な素人役者」というところも味になっていますよね~~。
うーん、月並みな言葉になりますが、ホント、良い映画でありますね。
by アッシー映画男 (2011-04-02 14:19) 

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