あのカルト監督 デヴィッド・リンチの「ソロ・アルバム」に・・・うわわ評価ビミョー。 [音楽]
このブログで、久しぶりに映画ではなく、音楽ネタを書こうと思います。とはいえ映画がらみのハナシなんです。
今日取りあげるアルバム(CD)は、昨年11月にリリースされたかなりマニアックな物件です。
なんと、あのデヴィッド・リンチ監督のソロ・アルバムです!
リンチ監督といえば、「エレファント・マン」「ワイルド・アット・ハート」「ブルー・ベルベット」「マルホランド・ドライブ」といったダークかつ悪夢的な匂いのする”カルト映画”の大家ですよね。
「インランド・エンパイア」(2006年)以来、作品を観ていないなあ、もう引退したのかなあ、なんて勝手に想像していたら、いつの間にか音楽活動にご執心だった!それにしても、66歳という年齢で(というと失礼になりますが)、創作意欲が衰えないとは、アグレッシブなお方ですねえ~~。
ソロアルバムのタイトルは「CRAZY CLOWN TIME」・・・狂気の道化の時代ですか。いかにもリンチさんらしい(訳のわからなさが・・・)。アルバムジャケットも「運命」「痛み」「死」をイメージさせるリンチ色濃厚なアートワークです。かなり狙ってるな~~。
映画人が関わるアルバムって、サウンドトラックや、既成曲を集めたオムニバスだったりしますが、本作は正真正銘、デヴィッド・リンチのソロアルバムと言ってよい内容です。
なにせ、リンチさんが楽曲を作詞作曲し、自ら演奏し(打ち込みもある)、歌っているのですから。
考えてみればリンチさん、若いころは画家を目指し、後年、個展もやったはず。映画の世界に身をおいてからも監督一筋ではなく、脚本を書き、俳優もやり、音楽にも手を出し、あげくにコーヒー豆の栽培までする(そこはどうでもいいか)、超マルチな才人です。音楽CDを発表したからと言って、驚くには当たらないんですね。
問題はこのアルバムを買うべきか、買わざるべきか・・・という「こちら側」の悩みであります。
デヴィッド・リンチ監督の大ファンであるワタクシ。映画なら必ず劇場に足を運びますが、”音楽作品”となるとビミョー。もしも内容(楽曲、アレンジ、雰囲気)が映画と同様、不気味かつ陰々滅滅としていたら、2000円の出費は高いよなあ、と。
グズグズと悩んでもしょうがないので、エエイ、CD購入いたしましたぜ!どうだっ!
さっそく、自宅オーディオルームで、そこそこ大音量で聴いてみましたよ。
結果はどうかというと・・・うわわっ、まるで予想どおりやんか!
ゲストシンガーが参加している冒頭一曲目から、気味の悪いヴァイヴが炸裂です。音楽を楽しむ、という言葉からはほど遠く、気が滅入るようなダウナー系ブルージー・サウンド・・・映画的と言えば言えるかもしれませんが、悪夢的で出口無しの迷路にいるごとし。ちょっと寒気がしちゃいましたね。
予想的中は「やったぜ!」ですが、むしろ当たって欲しくなかった予想といえます。
念のために、アルバムを通しで3回聴きましたが、ますます「どう食いつけば良いのか」に困惑している状態ですよん。トホホ・・・。
こうゆう音楽を好きな方を否定しませんし、リンチ・ワールド全開という点で、ある程度はツボにはまったわけです。ただ、映画と音楽は別物ですからねえ・・・意地悪な見方をすれば、「リンチ印」で売ろうとするアザトイ便乗商品とも思えるわけで。
強いて本アルバムの効能をあげるなら、聴いているうち、過去のリンチ映画をもう一度観たくなったってことすかね。たとえば、こんな映画です・・・
映画館で私の脳天に衝撃が走った作品、86年の「ブルー・ベルベット」。イザベラ・ロッセリーニさんの怪しすぎる美しさに加え、デニス・ホッパーの狂気噴出っぷりがスゴイ。冒頭シーンの「野原に耳が落ちている」シークエンスにもインパクトあったなあ。
次に、ナオミ・ワッツの美しさと”名演技”(←意味、おわかりですよね)に震えた01年の名作「マルホランド・ドライブ」。思い出すだけでゾクゾクする迷宮的世界でした・・・ああ、もう一度観たいっ!
ナオミ・ワッツさん、いいですねえ~(しつこい?)
最後は06年の作品「インランド・エンパイア」。リンチ監督のお気に入り女優(であろう)ローラ・ダーンがしだいに精神を崩壊させていく展開の怖いこと。「マルホ・・・」に比べ、難解度合いを増してたけど、リンチ好きにとっては「辛抱たまりません!」。
ソロアルバムから、ずいぶんハナシが逸れちゃったけど、とにかくリンチ監督に強くお願いしたいことは、映画の新作を作ってください!ってこと。うーん、この調子じゃあ、しばらくは無理かなあ。ソロアルバムのプロモーションと称して、コンサートツアーなんか始めないでくださいねっ。
To ta74382様、niceありがとうございました!
by アッシー映画男 (2012-10-13 05:45)