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音楽 スコダさんのピアノコンサートの報告 [音楽]

本日は音楽ネタです。少々マニアックなクラシックコンサートの紹介です。ブログへのアクセス数が減りそうで心配ですが、好きなものは好き!なので、おつきあいを。。。。

ご紹介するのは、10月31日、初台(新宿)のオペラシティにおける、オーストリアのピアニスト、パウル・バドゥラ=スコダさんの「80歳(!)の記念世界ツアー」のリサイタルであります。

80歳に至るも毎年新録音のCDを登場させ、精力的にコンサートツアーを敢行するスコダさんのお姿にはただただ敬服です(上のチラシ写真どおりにお元気そうでした)。ワタクシは過去3回、公演を拝聴し、毎回大いに感銘を受けましたが、10月31日もサイコーでありました。

今回のプログラムは、演奏順にバルトーク、バッハ、ベートーヴェン、シューベルト。18世紀から20世紀までの広い期間からの選曲ゆえ、曲調がずいぶん異なります。コンサート前は「チョット、欲張りすぎ?」と懸念しましたが、そこは、さすがのスコダさん、違和感なく--どころかバッチリとまとめておられました。

1曲目のバルトーク「組曲」は20世紀の前衛的な作品。メロディらしいメロディが無くフレーズの断片の羅列で、正直言って、ワタクシにはついていけませんでした。ホールの他のお客様も、曲の難解さに少々戸惑ったご様子。まあ最初の1曲目は名刺代わり、ということでOKでしょう。

引き続き2曲目のバッハの「イタリア協奏曲」は一転、超有名曲です。食パンCMでおなじみのアレグロ第一楽章から、曲を我が物にしきった余裕の演奏全開です。使用楽器は、おそらくスコダさんのご自分のベーゼンドルファー・ピアノでしょう。スタインウエイの明晰な音と異なり、こもった柔らかい音色が特徴。これがバッハにぴったりね。終楽章のプレストが終わるや、バルトークのフラストレーションを振り払うかのように、ホールは大拍手。パチパチ。

3曲目はベートーヴェンの「ソナタ31番」。4曲目のシューベルトへの橋渡しにベストの選曲と感じました(この曲、ちょっとベートーヴェンらしくない、なよなよ感あります)。ベートーヴェン、あざとくテクニックを見せびらかす若手ピアニストの演奏と異なり、スコダさんは一貫して「自然体」。奇をてらわず体の内側から音楽が湧き出てます。聴いているこちらを曲に引き込み気持ちが盛り上がります。終演後、またもホールは大拍手であります。

15分間休憩をはさみ、ラストはワタクシが大好きなシューベルトの「ソナタ20番」。しびれる選曲です。スコダさん、シューベルトはピアノソナタ全集の録音あるほど、超得意レパートリーです。心の微妙な移りかわりを女々しいくらいに切々と語るところが、シューベルトの魅力と思うのですが、スコダさんは一音一音丁寧に愛情込め「弾き語り」ます。50年間弾き込んだスコダさんの独壇場です。第一楽章の出だしの一発目和音からして、多くのピアニストが(無駄に)強く打鍵する箇所が、気負い無く優しいタッチでこなすなど、バランス重視の気品ある解釈です。出だしで凄い演奏になるな、と予感したのですが、ビンゴでした、演奏バラツキなど微塵もなく曲は感動的に進行。聴衆は完全にスコダさんの演奏にのめりこんでおります。最終楽章は馴染みやすいテーマが繰り返され、いやがうえにも盛り上がります。最後の一音を鳴らしたスコダさんが鍵盤から手を離したとたんに、大げさではなく、割れる大拍手の渦です。日本のクラシックファンの耳の確かさには感動ですね。(例えば、海外有名演奏家も、つまらない演奏に対しては拍手の音が「それなり」に小さいのです。聴衆はなかなか厳しいのです)。

惜しむらくは、モダンピアノではなく、19世紀のグラーフ(のハンマーフリューゲル)を使って演奏して欲しいなあ!と思いますが、そこは我慢我慢。CDで聴く事にしましょう。

とにもかくにも、巨匠パウル・バドゥラ=スコダさんの演奏に酔った、すばらしい一夜でした。いつまでもお元気で、現役引退することなく、90歳、いや、100歳になっても生の名演奏を聴かせてほしいものです。

最後に、ワタクシ、CDのマニアなもので、つい持っているCDを自慢したくなりました。スコダさん演奏のCDは30枚ほど保有してまして、お気に入り(またはレアな)9枚の写真を撮りました(以下)。

いずれも輸入盤で、1980年~1990年代後半の録音です。日本国内で入手は難しく、海外サイトでネット購入できるのかもしれませんが、ワタクシは、CDショップを回って輸入盤コーナーで「発見」するのが楽しみなのであります。そういえば、イエルク・デムスと共演したシューベルトの「2台ピアノの作品集」(写真中段左)、「即興曲集」(上段左)は10年前に、ウイーンの有名CDショップで発見し、即購入。あのときは嬉しかったなあ。

とにかく一押しはシューベルト(上段3枚+中段左)で、ピアノソナタ全集から、13番と21番がカップリングされた1枚(写真の右上)が超お勧め。上段中央の「さすらい人幻想曲」も名盤と言えましょう。オーストリアといえばシューベルトもさることながらモーツアルト!ですが、写真の中段中央はモーツアルトの室内楽。古楽器演奏にしてもあまりにも音色が渋く古色蒼然ゆえ、好みが分かれますがスコダさんらしさが出た佳作と思います。中段右はモーツアルトのピアノ協奏曲23番で指揮もスコダさんがやっております。写真下段は左のハイドンのソナタ、これがまた渋いのです(ところでハイドンのピアノソナタって、どの曲もほとんど同じに聴こえますねーー)。下段中央はスコダさんの録音にしてはあまり見ないショパンのソナタで名演奏とはいえませんが良い味わいがありです。ここでは前出のベーゼンドルファー・ピアノの音色が聴けます。写真の下段右下のCD(8枚組)がワタクシの自慢の品で、これは5年前に出た、スコダさんの「75歳記念企画」のボックスセットであります。さすがに今では手に入らないでしょう。ははは、まいったか。

---という、興味のない方には、まったく面白くもおかしくもないマニアックな話題で、さんざん自慢してしまい大変に失礼しました。

次回は、本来の路線に戻って、映画ネタの予定です。今回に懲りず、ブログ、たまに、のぞいてくださいませ。ではでは。 


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コメント 2

F

下関の某ジャズバーのFです。
先週は本当にありがとうございました。
楽しいお話を聞かせていただき、楽しいひと時を過ごせました。
スタッフ一同感謝です。

ブログなかなか楽しく拝見させていただきました。
ほうほう、この方が先日おっしゃってたスコダさんですね。
読んでいるとまるで洗脳のごとくすごく聴きたくなってくるのはなぜ?
やはりアッシーさんのスコダさんに対する愛のなせる業なのでしょうか(笑)

個人的にミシェル・ファイファー好きなので
「スターダスト」ぜひ観たくなりましたよ。

ジム・ホールのCD見つかりましたか?

またちょくちょく覗かせてもらいます。
ではでは。
by F (2007-11-14 00:04) 

0.1トンの男

音楽ネタにのみ食いつく、0.1トンの男でございます。

音楽ネタに食いつく筈なのですが、
う~む。
残念ながら、クラシックは当方の守備範囲ではございません。
クラシックと言えば・・・

テノール歌手、秋川雅史の「千の風になって」しか
思い浮かばない・・・

お呼びでないですね。
by 0.1トンの男 (2007-11-17 00:28) 

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