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映画 「真夏のオリオン」 戦闘シーンより”愛”中心の戦争映画、泣きました! [映画]

このところ、辛口コメント続きだった本ブログですが、今回はちがいますよ~~。

邦画「真夏のオリオン」を、しっかり褒めてしまいましょう!

ワタクシ、ほぼ全編、泣きっぱなしでした。だって、どの人たちも可哀そうなんだもの。国が始めた戦争で、なんの恨みもない人間どうしが、どうして敵味方に分かれ闘わなくてはならないのか?そして日本にも、アメリカにも、悲しい「別れ」がどれだけあったかを想うと、胸がつぶれる思いがしますね。

「平和」こそが人類に最も大切なのだ・・・・と、ベタですが、つくづく感じてしまうのでした。

真夏のオリオン 2009年日本

出演 玉木宏、堂珍嘉邦、北川景子、吉田栄作、益岡徹、ほか

真夏のオリオンP.jpg突然ですがワタクシ、北川景子さんが大好きなのであります

演技力はそれほどでもないけど、めちゃ可愛いですよね~。また、一瞬の表情の輝きが魅力的です。そんな北川景子さんが、冒頭から登場、かつ、二役まで演じる本作に、ワタクシとしては、はなっから文句あろうはずもないのだ!

・・・と、言いきってしまうと、後、何も書くことがなくなりますね、スイマセン。

1945年7月、第二次世界大戦の末期、太平洋上で繰り広げられる日本海軍潜水艦「イ-77」と、米国駆逐艦の息詰まる(文字通り”酸欠”にもなる)戦いが描かれます。

一昔前までは、日本の戦争映画というと、戦闘シーンのチープさ&脚本の「雑さ」に辟易したものですが、最近は、特撮技術もおおいに向上し、日本人のメンタリティを反映した快作が生まれています。まことに、嬉しい限りです。

本作は、海の中(潜水艦)と、海の上(駆逐艦)の戦いという「構図」が良かった。

真夏のオリオン北川さん.jpg敵(アメリカ)は豊富な物量にモノを言わせ、大量の爆雷を海中に落としてきます。

一方、日本側は、材料や物資の欠乏で、たった一発の魚雷で相手をしとめなくてはなりません。そのためには敵の動きを読み、敵の裏をかく「戦術/作戦」が勝敗のポイントとなるのです。

ドンパチの「力技」ではなく、「知能戦」という点が、ワタクシの好みに合いますねえ

潜水艦の艦長を演じるのは玉木宏。優秀な軍人というだけでなく、リーダーシップ抜群、謙虚で人望も厚い人格者です。あまりにも人間が出来すぎで、そりゃねえだろ!と言いたくもなるが、玉木宏のキャラゆえか意外にすんなり納得できちゃいました~。玉木さん、役にはまっていましたねえ~。

それと脇役では、潜水艦機関長を演じる吉田栄作が良かった。無口で無骨な”職人”を見事に演じていましたねえ。

一方、アメリカ駆逐艦の艦長も、ベテラン軍人です。経験豊富で、優秀で、執念深く、潜水艦を蛇のように追いかけてきます。しかし、ラストで見せる「良い人」っぷりに、これまた「そりゃねえだろ」なんだけど、この際、それは良しとしましょ~。

太平洋での戦闘の合間に、倉本(玉木宏)の思い出シーンが挿入されます。恋人いずみ(北川景子)との思い出。そして、いずみの兄で別潜水艦の艦長を勤める相沢(ケミストリーの堂珍さん)との会話。うーん、月並みといえば月並みですが、すっぴん北川景子さんの「清楚さ」の破壊力で、すんごく、いいシーンに見えるから不思議ですなあ(単に北川さんを好きだから?)。

ドラマは、こうして、米駆逐艦VS日本の潜水艦の「最後の勝負」へとなだれこんでゆくのでありました。ラストは、意外?いや想定内?

真夏のオリオン1.jpg

いずれにしても、「戦争アクション映画」とみると、この作品、突っ込みドコロ満載で、ケチつけほうだいなんですよ。

しかし、極限状況下でも「愛」と「敬意」と「優しさ」を失わなかった男たちのヒューマン・ドラマ、と捉えるべきなんですね。その視点では、十分にスリリング、かつ、素晴らしい映画といえましょう。

真夏のオリオン2.jpg真夏のオリオン5.jpg

「甘っちょろい」とか「戦争はもっと悲惨なものだ」と評する方もおられるでしょう。そんな方は、もっと非人間的な人物が跋扈する”戦闘”映画をご覧になればよろしいのですよ。たとえば、キューブリックの「突撃」や「フルメタル・ジャケット」、オリバー・ストーンの「プラトーン」、または「ハンバーガー・ヒル」で、リアル戦争を堪能されればよろしいと思います。

ところで、潜水艦映画といえば、過去にも、いろいろありましたね。ひたすら暗い「Uボート」をはじめ、「U-571」「クリムゾン・タイド」「レッド・オクトーバーを追え!」などが思い出されます。が「真夏のオリオン」と似た設定(潜水艦VS駆逐艦の一対一勝負)から連想するのは、超名作「眼下の敵」(1957年、古いな~)となりましょう。(未見の方、絶対に「眼下の敵」は観るべきです!)

真夏のオリオン3.jpg真夏のオリオン4.jpg

「真夏のオリオン」が、「眼下の敵」以上の名作とは申しません。申しませんが、日本映画界が、こうしたテーマに真っ向から挑戦し、これだけ手ごたえある作品にできた事実だけでも素晴らしいと思うし、スタッフ、キャストへ惜しみない拍手を送りたいと思います。

玉木宏さん、北川景子さん、そして堂珍さん、関係者の皆様、お疲れ様でした。皆さまの思いは、ワタクシにはしっかり伝わりましたよ~~!


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azm

おお!もう見たんですね。
私、潜水艦というとなぜか惹かれてしまいます。潜水艦ものの小説は片端から読んでおります。イ-77、米国駆逐艦(たしか・・)インディアナポリスを撃沈したんで有名ですね。
潜水艦官庁に玉木があの髪形で・・というのが今一つ興をそぐ感じですが、なかなかの出来だったようですね。
写真を見るとずいぶん広い艦内のようですが。イー77は結構大きな潜水艦だったと思いますが、中はぎゅうぎゅうでしょう(^^;
先日、BSでU-ボート(Das Boot)をやっており録画してみましたが、ありゃ窮屈でした。
しかし、日本といえばやはり潜水艦ですね。ドイツからレーダーの設計図を運んだのもイ号潜水艦だったかと。吉村昭の小説にもありますね。
周りが見えず、音だけに集中。雷撃震度をかわせば、船体がきしむ。魚雷の替わりに、ゴミや毛布を排出して、沈没と見せかけたり。いやぁ、潜水艦に興味は尽きませぬ。
by azm (2009-07-01 01:41) 

アッシー映画男

To azm様、おおお、潜水艦マニア?ですね~。
是非、この映画、観てください。たぶん「?」となろうかと思いますが、記事にも書いたように、「愛」のドラマですので。

登場人物の「髪型」については、微妙な空気ですね。まあ、本作に関しては、丸刈りにする必要はなさそうですよ。
船内はかなりキュウキュウとせまく、かなり圧迫感がありますね。

まあ、本格戦争映画を求めると、フラストレーションがたまるかもしれませんが、私は、これはこれで十分に意味(と意義)のある作品だと思いました。ぜひ劇場へ!
by アッシー映画男 (2009-07-02 02:08) 

azm

ども!。
誤字が多くお恥ずかしい。
潜水艦官庁→潜水艦艦長、雷撃震度→雷撃深度。これもマイクロソフトのIMEのせいです・・・なんて。
そうそう史実では伊58潜水艦なんですね。巡潜乙型潜水艦である伊五四型潜水艦の同型艦。伊58は電探と回転を搭載。航空機も搭載できたようです。
原作が池上司著「雷撃深度一九.五」だったんですねぇ。映画の公式HPを見て知りました。

北川景子さん。深夜ドラマの「モップ・ガール」がなかなか良かったです。はい。
by azm (2009-07-03 00:42) 

Yakoha

こんにちは。
ノーマークだったのですが、記事を拝見して興味が出てきました。
最初、

> すっぴん北川景子さんの「清楚さ」の破壊力で、

の「清楚さ」を読み飛ばしてしまい、「北川景子さんは破壊力のあるすっぴんだ」という解釈をしてしまいました。(失礼;)

「眼下の敵」は名作らしいですね。(ゴメンなさい、未見です。)とかく暗い印象のある潜水艦物ですけど、邦画でこれをやるとどんな仕上がりなのでしょうか?

興味ありますな・・・。

by Yakoha (2009-07-04 00:26) 

アッシー映画男

To azm様、本当にマイクロソフトのIMEはダメですよねえ。ビル・ゲイツは日本語をもっと勉強してほしいものですな、って、そうじゃないよ!

潜水艦のネタは奥が深いですよねえ。
光人社NF文庫など、潜水艦ネタの宝庫で、ついつい手が伸びます。
「鉄の棺-日本最後の潜水艦」(題名うろ覚え、すいません)、潜水艦に同乗していた軍医さんの書いた、比較的、淡々とした記録なのですが、伊ー56、で展開された「酸欠になりそうな」様子にドキドキしてしまいます。
やっぱり日本の潜水艦といえば「伊」号ですなあ・・・

北川景子さんのモップガール、良かったですね~。現実離れした能力の主人公に合っていましたねえ。
谷原章介の、せこい上司役も良し。高岡蒼甫も役にあっててカッコ良かったです。でも、再放送はないですね、あれは。
by アッシー映画男 (2009-07-04 23:16) 

アッシー映画男

To Yakoha様、コメントありがとうございます。
「北川景子さんのすっぴん」、ある意味、破壊力がありました。
いずれにしても、すっぴん、でスクリーンに登場できるとは、すごいことですねえ。

「真夏のオリオン」、決して暗くはないですよ。それに、ボロボロに悲惨でもありません。(ちょっと「美談」っぽいのが、鼻につく方もいるでしょうけど)
少なくとも、数年前の「ローレライ」(潜水艦ものの邦画です)に比べれば、はるかにまともな映画、と思いますね。

まあ、北川景子さんの「破壊力」を確かめに、映画館に行ってみてくださいませ~~~。
by アッシー映画男 (2009-07-04 23:22) 

azm

ども!。
光文社NFですかぁ。マニアックな。ちょっとやばそうなので手を出していませんが・・・・・手を出してしまいそう。
日本の潜水艦もの読んでいるとどのような艦か知りたくなるので、Gakken「日本の潜水艦パーフェクトガイド」を参考にしておりますです。いいですよぉ。
伊号など、今どきの涙滴型潜水艦には無いフォルムの美しさがありますねぇ。

モップガール、マギーさんもなかなかでしたね。
by azm (2009-07-06 00:34) 

アッシー映画男

To azm様、コメントありがとうございます~。
いやあ、戦時モノといえば、光人社NF文庫ですよお~~。
別に、この会社からお金をもらっているわけではないですが、光人社のシリーズの良いのは(テーマにもよりますが)、「文学」しておらず、あくまで「理系」のノリで、事実や数字重視、ということですね。

で、そこから見えてくる(透けてくる、というべきか)、ある「事」が戦争の本質に近かったりするわけで、そこが見事ですね。

あと、本筋とあまり関係ない「こぼれ話」が多いのも嬉しいです。潜水艦黎明期に、欧米に有名な潜水艦設計者がいたそうで、彼の名の冠した「タイプ」があるくらいなのに、会社を首になり、本人がいない会社は、それでも「その名」の潜水艦を作っていた・・・・うーん、なんとも「サラリーマンの悲哀」を感じる話です。
(実は、このような出来事が、兵器設計の世界ではしょっちゅうあるようで、軍事に関しては、技術屋が、いかに低く見られていたかの証左ではないでしょうか)

モップガールのマギーさん、良いキャラでしたね~~。あの時間帯のドラマは、その後、どうも低迷しているようで、やはり北川景子さんをカムバックさせねばなりますまい。
by アッシー映画男 (2009-07-11 11:11) 

0.1tonの男

>モップガール・・・再放送はないですね、あれは。

東京ではありませんが、実はKBS瀬戸内海放送で、毎週土曜日14時から「モップガール」再放送中なのです。
先日、山口へ出張している時に偶然見ました。
by 0.1tonの男 (2009-07-13 02:14) 

アッシー映画男

To 0.1tonの男様、コメントありがとうございます。

し、渋い・・・KBS瀬戸内海放送、それも土曜14時とは、「誰を狙った放映?」と突っ込みそうですね。

しかし、首都圏ですと、2時間サスペンス、「検察医●●」とか、「窓際警視●●」なんてやっている時間帯ではないですか!それよりは「モップ・ガール」のほうが遥かに良いかもしれない。。。

それにしても、山口出張時に、それを観てしまった、0.1ton様も渋いですねえ~~。
貴重な情報、ありがとうございました!!!
by アッシー映画男 (2009-07-20 07:27) 

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