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映画 「オーケストラ!」 クラシック音楽好きでなくても、必見のハートフルコメディ! [映画]

ワタクシ、この映画を2回、観たのです。

最初に観たとき、あまりにも感動、ブルブルと肩が震え、ボーボーと涙を流し、ブログに書かねば!と大興奮したのですが、いや、ちょっと待てよ。と。

ワタクシ、クラシック音楽マニアなので、オーケストラの奮闘や、演奏家の芸術魂に過剰反応したのでは?「感動が本物だったか」を自らに問うため(かっこいい表現だ!)、先週、改めて、銀座シネ・スイッチで2回目を観たわけです。

結果・・・・一度目以上の大感動でありました。

めちゃくちゃ良い。やはりワタクシのツボにはまりまくり。

2度目ですから、会話の細部さえ覚えているのに、またしてもボーボーと頬を伝わる涙・・・ヨーロッパって、どうしてこんなチャーミングで、心打つ名画を作れるのか、と、感動の二乗状態、であります。

未見の方。本作を見逃してはいけません~。ラストのチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲の演奏シーンはDVDではなく、劇場の大スクリーンで観て頂きたいっ!

ストーリー良し、演出良し、俳優良し、公開が終わる前に、もう一回、観にいっちゃおうかな~~。

オーケストラ! 2009年仏

監督 ラディ・ミヘイレアニュ 出演 アレクセイ・グシュコフ、メラニー・ロラン、フランソワ・ベルレアン他

オーケストラP1.jpgオーケストラP2.jpg 

ロシアの名門オーケストラ、ボリショイ管弦楽団。30年前、天才指揮者とうたわれたアンドレイ(アレクセイ・グシュコフ)は、いまは劇場の清掃員。当時、ブレジネフ体制に逆らい、ユダヤ人演奏家を擁護してコンサートを開いたことから「国民の敵」と指弾され、楽団員たちとともに解雇、音楽家としての道を閉ざされたのでした。

ある日。

パリの有名コンサートホールから、急な、ボリショイ管弦楽団への出演依頼が舞い込みます。掃除中に、依頼FAXを見つけたアンドレは、天の与えたチャンスとばかり、支配人に内緒で、30年前の団員たちを寄せ集め「ボリショイ管弦楽団」と偽り、パリ公演に乗り込もうと奮闘します。

オーケストラ8.jpg

演奏曲は、30年前、政府に踏みにじられたコンサートの演目、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。ソリストに選んだのは、フランスの若手天才ヴァイオリニスト、アンヌ=マリー(メラニー・ロラン)

クラシック音楽演奏どころか、救急車運転手、ポルノ映画のアフレコ、不法携帯電話売買などで、糊口をつないできた団員たちに、果たして、一発逆転はあるのか!?

本作は、(フランスの)コメディらしく、登場人物たちは戯画化され、ケレン味たっぷり。感情の起伏が大きく、実にわかりやすいお芝居をしてくれます。つかみ合いの喧嘩どころか、銃撃戦など、観る人によってはついていけないでしょう。

なんたって、天才指揮者と優秀な楽団員もいえども、30年間のブランクを、たった2週間でとり戻せるかよ!とか、ビザや契約問題といった事務手続きは「偽者」には無理だろ!という突っ込みもありましょう。

ところが、この映画。

そんな瑣末なことはぶっ飛ばしてしまう「情熱」と「愛」に満ちているのです。

それは、人間への愛であり、音楽への愛。

音楽を愛するものの誇り。

「映画はストーリーを楽しむ娯楽」と思っている観客には、粗ばかり見えて、この映画の「心」はけっして届かないでしょう。まあ、そんな人は、DVDで「アバター」を楽しんでいればよい。

「オーケストラ!」には褒めたいことが山のようで、困ってしまうのですが・・・

まずは脚本、とくに会話シーンが絶品です。個人的な泣きツボは、指揮者アンドレイと、ソリストのアンヌ=マリーが、公演前日に食事するシーン。アンヌに尋ねられるまま、30年前の「事件」、当時のソリストにおきた悲劇を語るアンドレイ・・・これは映画的なハイライトですが、ワタクシが泣いたのは、その前の会話からなんです。

アンドレイが淡々と音楽の素晴らしさを語る場面。音楽とは、人と人の心がつくるハーモニー・・・「調和」である。その究極が協奏曲なのだと・・・上から目線でなく、芸術への愛にあふれる、とつとつとした語りに、ワタクシ、涙ボーボーであります。

オーケストラ7.jpg

なにせアンヌ=マリー役の、メラニー・ロランが素晴らしい。「イングロリアル・バスターズ」の凛とした美しさに、すっかりファンになったワタクシですが、本作は、それ以上に光り輝いています。すごいオーラですよね~~この女優さん。

と感動させといて、ノーテンキな「にせ」楽団員たちはリハーサルにも現れず観光三昧・・・。さすがに、無謀な計画だったと、後悔しはじめるアンドレイ。アンヌ=マリーまでキャンセルすべき、と言い出し、コンサート直前に絶体絶命の大ピンチです。

それを救うのは、かつての盟友。そして、30年前に政府の手先となって、アンドレイの音楽人生を奪った共産党幹部すら・・・。

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紆余曲折を経て、ついに、パリのステージに立った「にせ」ボリショイ管弦楽団。

振り下ろされるアンドレの指揮棒に、ダメ楽団、というより、ニセ楽団の面々、やっぱり30年間のブランクは大きくガタガタの音。観客席からもれるのは苦笑です。

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登場人物のひとりがつぶやきます。「神よ、もしも、おられるのなら、いまこそ、そのことをお示し下さい!」

オーケストラの音がパウゼ(休止)してから、アンヌ=マリーの弾く、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲の、あの低い、ゆったりした最初の音が入ります・・・・そして、優しく加わるオケの音・・・・

「神は・・・・いた」

それからは、指揮者、オケ、ヴァイオリンソロの怒涛の感動ハーモニー。結果オーライどころではない劇的一発大逆転!に、びりびり震える大団円なのであります。

・・・・と、興奮して、もろにネタばれ記載してしまいました。

うひゃーー、申し訳ありません!・・・てなわけで予告編は以下です。

 

 


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コメント 8

F30

こんにちは!
アッシー様が、ここまで大絶賛なら間違い無しと、昨日、友人を誘って観てきました。
銀座シネスイッチは大盛況でした。
本当に素晴らしい映画ですね!私も涙ですが、友人は隣で号泣でしたよ。
フランス映画って、起承転結がイマイチなことが多いのに、オーケストラ!は、良い意味でイギリス映画っぽいコメディに思えました。
バイオリニスト役のメラニー・ロランの知的な美しさといったら最高ですよね。
チャイコフスキーの協奏曲を弾き終わって、万雷の拍手のなかで、指揮者とメラニー・ロランが泣きながら抱き合うシーンは、グッときちゃいました。

フランスではアバターを抜いて興行収益トップの大ヒットらしいですけど、すごく納得です。
アッシー様が二度観られたのもわかります。
良い映画をご紹介いただきありがとうございました。
by F30 (2010-05-17 13:44) 

アッシー映画男

To F30様、コメントありがとうございます。
そうです!この映画のテイストはフランスよりも、イギリスの「キンキー・ブーツ」とかに近いですよね。
ダメな連中が、力をあわせて、最後の一発大逆転、というのはイギリス映画のテイストです。
それにしても、いけしゃあしゃあとしたストーリーなんですけど、音楽部分のリアリティと、30年前のソ連、ブレジネフ政権時代の、芸術家たちの過酷な運命。
共産党の支持率が100%という、国家への反逆を許さない、歪んだ政治倫理・・・この悲しさが、コメディとはいえ、物語をすごい力で支えていましたね。

ソリストが、演奏後に感極まって泣くという、ありえなさも、全然リアルに感じられ、結論=やっぱりメラニー・ロランは良い!!!ってまとめでスイマセン。
by アッシー映画男 (2010-05-19 06:06) 

亮

名古屋では・・・  まだ公開は先なんですよ。
見るまでは、こちらの記事を読まないでおこうと思ってたのですが、読んでしまいました。
そして、ますます観にいきたくなりましたねー。
うーん、一日も早くみたいなぁ。
ワクワクしてきました。
by (2010-05-23 06:10) 

アッシー映画男

To 亮様、コメントありがとうございます~~。
おお、名古屋ではまだ上映が始まっていないのですね。
で私の記事を読んでしまったとなると・・・・スイマセン。ねたばれでしたが、大丈夫、ストーリーを追う映画ではないのと、肝の部分は、記事には書かずにおきましたので!
とにかく、メラニー・ロランは本当に良い!!
往年のカトリーヌ・ドヌーヴや、アンナ・カリーナ、イザベル・アジャーニのような、ものすごいオーラを放っています。すっかり大ファンであります。


by アッシー映画男 (2010-05-29 08:12) 

広太家

初めまして。
金沢に住む広太家と申します。
たまたま、このブログにたどり着きました。
「オーケストラ!」いいですよね~
私も号泣し、感動しまくりました。
全国の知り合いの音楽関係者に、薦めまくっております。

アッシー映画男様の記事からも、この映画への熱い思いが伝わって来て
嬉しくなります。
しっかり二度観に行こうと思っています。
by 広太家 (2010-06-02 01:17) 

アッシー映画男

To 広太家様、コメントありがとうございます~~。
超不定期で、更新インターバルがむちゃくちゃな、ワタクシの、ずさんなブログへようこそおいでくださいました。

いやあ、「オーケストラ!」で泣ける方、それも号泣される方、素晴らしいです。ラストの、アンヌ=マリーと、アンドレイの、ステージでの抱擁シーンなどは、思い出しただけでも涙ぐんでしまいますよね~~。
途中、ダメ楽団員たちにイライラしただけに、反作用的にスッキリ度は倍増!でした。

ところで、6月2日、サントリーホールで、フィルハーモニア管弦楽団と、美人ヴァイオリニスト、ヒラリー・ハーンさんの共演を聴いたのです。
曲はチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲、ヒラリー・ハーンさんのドレスは真っ赤で、映画「オーケストラ!」を彷彿とさせました。
見事な演奏、そして、クラシックのコンサートで初めて見たのですが、演奏後に、指揮者とソリストの抱擁!まさに、「オーケストラ!」の世界でありました。

ちなみに、そちらのレポートは、ワタクシのやっている別ブログに記載しております。ご興味があればのぞいてみてください。って、宣伝かよ!?

http://monzen-t.blog.so-net.ne.jp/2010-06-02

by アッシー映画男 (2010-06-04 07:53) 

Justin

私も二回観ました。
そして二回号泣しました。
肩をひくひくさせながら。
まったく同じ方がいて嬉しいです。
コンサート前にラテン系の男がジャケの前で陽気な曲を弾いてから、突然素晴らしい曲を奏でるシーン。
そして不安げな出だしから、30年前には達せられなかった高みへ・・
みんなの眼が輝いてくる
奏者も観客も最高の高みへ・・
頬を伝った涙がアゴからぽたぽたと落ちました。
本当に素敵な映画ですね。
Justin

by Justin (2010-06-06 11:09) 

アッシー映画男

To Justin様、コメントありがとうございます~~。
まさに、号泣仲間、ですね!素晴らしい映画でしたものね。
本当に、登場人物全員の目が輝いていましたよね~~。

ラテン系のコンマスがアンヌ=マリーのことを知らずに、本番前にステージでヴァイオリンを弾きまくるシーン、良かったですね。
観客は「このバカ、世界的ヴァイオリニストの前で・・・」と、ハラハラさせておいて、次の瞬間のアンヌ=マリーのセリフが良い、「今の倍音のアルペジオ、いったいどうやって弾いたの?」・・・これはピリッと利いてましたね~~。
音楽家としての人生を奪われ30年たっても、おれの技はどうだ!って、男気を感じました。
こーゆー細かい点がしっかりしている脚本がほんとに嬉しいです。
それにしてもシビレル映画ですね~。もう一度見ても、号泣してしまいそうです。
by アッシー映画男 (2010-06-06 20:30) 

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