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映画 「シュアリー・サムデイ」 小栗旬監督の才能と熱意があふれる一作。 [映画]

公開が終わりましたが、俳優 小栗旬さん好きのワタクシとしては書かざるをえません!そう、小栗さん初監督作品「シュアリー・サムデイ」であります。

小栗さん自ら、活発にTVや雑誌でプロモーションをされていましたね~。彼がクレバーで熱意にあふれているのは分かりますが、作品を観るまではかなり不安でした。(結果は杞憂に終わりましたけどね)。

なにせ、過去に、俳優やミュージシャンが映画監督に挑戦して「滑った」(沈んだ?)事例は数知れず・・・ホント、思い出しても怖いくらいです。

ファンの方には申し訳ありませんが、サザンの桑田佳祐さんが監督した「稲村ジェーン」、いやはや最悪でしたよねえ。さらに上をいく(下をいく?)のはオフコース小田和正さんの監督作「いつかどこかで」・・・まあ、当時の邦画は、本職の映画監督のも酷かったけど・・・。ジョニー・デップが初監督した「ブレイブ」、かなり微妙でした。自分が前面に立って表現する俳優やミュージシャンと、現場を統率して作品を作り上げる監督とでは、必要な才能が違うのでしょう(製作上の諸事情もあるでしょうし・・・)。

もちろん、俳優が監督した映画にも素晴らしいものは沢山あります。今や大御所クリント・イーストウッドの初監督作「恐怖のメロディ」は見事だった。ロバート・レッドフォードもしかり。昨年公開の岸谷五朗さん監督「キラー・ヴァージンロード」(2009年)も良かったです。ケビン・スペイシー監督「アルビノ・アリゲーター」、ビル・パクストン監督「妄執 フルエルティ」などはマイナーながら必見ですよ~~。

おっと、そろそろ話を戻し、小栗旬さん初監督作「シュアリー・サムデイ」について書きましょう。

シュアリー・サムデイ 2010年日本

監督 小栗旬 出演 小出恵介、小西真奈美、勝地涼、綾野剛、竹中直人、遠藤憲一、吉田鋼太郎、モト冬樹、岡村隆史、妻夫木聡、津田寛治、上戸彩、ほか

シュアリーP.jpg名作とは言いませんがこの映画素晴らしい!コミカルでありながら、シリアス・フレーバーを随所にまぶし、確信犯的「ベタ」っぷりすら心地よい。どちらかといえばワタクシの苦手な「暴走系青春映画」ですが、今回ばかりはめちゃくちゃ気に入りましたね!

ストーリーは割愛し(末尾の予告編を参照ください)、小栗監督を中心に書きます。

これほどストレートに言いたいこと、やりたいことを映画という「有形」に出来たとは、小栗旬監督バンザイ!と言いたい。

前出の「稲村ジェーン」「いつかどこかで」といった駄作の何が悪いのか?といえば、各シーンの意味が不明確で、ノリで作った雰囲気がアリアリという点なんです。悪い意味で勢いまかせなんですよ。勘違い映画(マスタベーション映画?)の元凶は、まさにそことにらんでいます。

一部の作り手が考えるほど、観客はバカじゃない、(結果的であっても)作りが雑な作品に対しては、素直にネガティブな反応をしてしまうものです。感性の赴くままに撮った・・・と言えば聞こえはよくても、そりゃあ他人に見せるもんじゃないだろうって。

一方、小栗旬監督。素晴らしいのは展開をしっかり把握しながら、勢いに流されず場面をきちんと丁寧に作りこむ点です。クドイ、とも言えますが「一貫性」「ブレの無さ」はおおいに評価したい。シーンが映画全体に与える意味を掴んでいるから、映像として具体化するうえでメリハリのつけ方、カメラアングル、俳優の動きに工夫が生まれるのですね。

逆にいえば「工夫が見えちゃう」のを、あざとい、と感じる方もいるでしょう。まあ、そこは初監督作ということで全然OKと言っちゃいましょう!

シュアリー2.jpg

主役の小出恵介さんは大健闘です、俳優としての力量ゆえですが、小栗監督とのコンビネーションが彼の輝きをさらに増したと思います。

シュアリー4.jpg重要な脇役の小西真奈美さんが愛らしく美しく撮れているのも小栗監督のこだわりでしょう。

主人公のバカ仲間もイキイキとしていますよね。勝地涼さんのケレン味たっぷりなオーバーアクションは、冒頭こそ「ゲッ」となったものの後半にいくほど味になるし。綾野剛さんのカッコ良さもツボをはずしてませんね。大竹しのぶさんや、上戸彩さんが「落ちる」のも無理はない??

最後に、本作に対して、そうなんだよねっ!と快哉あげたくなった評価ツボは、これだけ多くの出演者がいながら、それぞれのキャラとスタンスを明確に描き分けている点です。

え?そんなの当たり前じゃん?と思う方もいるでしょうけど、それは甘いぜ!

アメリカのコメディ映画で、常々、不思議に思うのは出演者全員が「ボケる」ことです。(欧米にボケ&ツッコミという概念がないため?)。シリアス&コワモテな登場人物がギャグかましたり、よーするにバカは全員でやろうぜ!みたいな・・・そーゆーシマリの無さがズルズル感を醸し出して嫌いなんですよね。

シュアリー3.jpg

「シュアリー・サムデイ」は、そうではありません。おちゃらけキャラと、シリアスキャラは、しっかり役割分担されているんです。勝地さんは基本おちゃらけ。岡村隆史さんはモロにお笑いキャラ。

一方、元刑事役の竹中直人さんは、お笑いを完全封印したクールな演技で見事です。三枚目キャラのモト冬樹さんを悲劇の主人公に据えたのもいい。凶悪顔面王こと、遠藤憲一さんは期待通りの冷血&残虐っぷりで、もちろんお笑い要素は一切無しです。

特筆すべきは、ヤクザの組長役の吉田鋼太郎さん。軽妙なしゃべりでありながら、やってることは狂気に近いモンスターを演じ切っています。素晴らしい!

コメディだからといって、みんなでギャグせず、役柄ごとメリハリつける(本来は当たり前の)見識。これは完全にワタクシのツボにはまりましたよ。

完璧な映画とは申しません。ストーリーは粗を探せば突っ込めるし、演出にもぎこちないところや、気持ちが空回りしているな~と思えた場面もあります。しかし、小栗旬さんの熱意と才能、実務能力をまざまざと感じさせる作品だと高評価しちゃいます。強いて難を言えば、上映時間が長めかな~~。全シーンに思い入れが強いので編集(カット)できなかったんでしょう。とはいえ、全然OKですよ、小栗さん。

俳優活動でお忙しいとは思いますが、早く監督第2作目を作って欲しい、期待を抱かせる小栗旬さんの初監督作品でありました!素直にアッパレです!


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