映画 「特攻野郎Aチーム」 これはこれでOK。80年代のTVシリーズと比較なんてねえ。 [映画]
過去の大ヒットTVシリーズの映画化作品といえば、たとえば、「チャーリーズ・エンジェル」、「ミッション・インポシブル(スパイ大作戦)」、「スター・トレック(宇宙大作戦)」、「ハルク」・・・いろいろありますよねえ。ネタ不足に苦しむハリウッドにおいて、過去のヒットシリーズのリメイクは、魅力的に感じるようです。うまくすれば、当時のファン&新たなファンを一挙両得に劇場に呼べる・・・
しかし、「二兎を追うもの、一兎も得ず」とはよく言ったもので。世の中そう甘くありません。
「サンダーバード」実写化は酷すぎて当然でしたが、TVシリーズ・ファンは思い入れが強いだけに、映画化に違和感を感じやすく、厳しい批判をしたがるもの。
ストーリーやテイストはまだしも、20年以上前のドラマの映画化なのに「俳優が違う」と言われては、返す言葉もないでしょう。永遠の女忍者こと由美かおるでさえ、水戸黄門レギュラーを降板するのですぞ。時の流れとは残酷なもの・・・諸行無常、ああ、南無阿弥陀仏。
で、そこのアナタ!
キャメロン・ディアスより、ファラ・フォーセット・メジャースのほうが良い!とか言ってませんか?フェルブス君は、ジョン・ヴォイドではなく、ピーター・ブレーブスだろ!とか。逃亡するのはデビット・ジャンセンであり、ハリソン・フォードじゃねえよ・・・って、古すぎて訳わかんない?
個人的には映画「カムイ外伝」に水原弘の主題歌を付けてほしかった(あまり関係ないけど、言いたかった)。
余談はこれくらいにして「特攻野郎Aチーム」についてです。
オリジナル(左写真)は、80年代、とぼけたブームを巻き起こしたジョージ・ペパード主演のTVシリーズ。勧善懲悪&超ご都合主義な痛快アクション・シリーズ(1回1時間、毎週放映)です。
TV放映時点で、すでに成人していたワタクシが素直に驚いたのは「あのジョージ・ペパードが何やってんねん?」でした。60年代を代表する二枚目俳優ですよ。名作「テイファニーで朝食を」ではオードリー・ヘップバーンのお相手ですよ・・・といえば、お分かりでしょう。まあ、どうでもいいけど。
さてTV版の「特攻野郎Aチーム」とは、どんな番組だったを一応、ご紹介しましょう。冤罪で政府から追われる身となった元特殊部隊4人が「Aチーム」と称して、奇想天外・支離滅裂・行き当たりばったりの大作戦を展開します。巨悪を懲らしめ一件落着、チームのボス(ジョージ・ペパード演じるスミス大佐)が葉巻をくゆらせてEND・・・が、毎週繰り返される、なんとも関西風なコミカル・アクションドラマなのでありました。
「感動」とは程遠いTVシリーズでしたが、やりたい放題のスッキリ感に溜飲を下げる、多くのファンがいたと思いますね。Aチームメンバーのキャラクターが実に良く、バカをバカで通す不思議なパワーがありました。さあて、そのあたり、リメイク映画版で、どうなっているのでしょうか?
特攻野郎Aチーム THE MOVIE 2010年米
監督 ジョン・カーナハン、出演 リーアム・ニーソン、ブラッドリー・クーパー、シャルト・コプリー、ジェシカ・ビールほか
TVシリーズの骨子そのままに、メンバーを刷新した映画版でした。チームのボス、ハンニバルことジョン・スミス大佐は、ジョージ・ペパードから、リーアム・ニーソンへ。ちゅーか「テイファニーで朝食を」から、「シンドラーのリストへ」・・・おお、混乱させてスイマセン。
他メンバー3名=二枚目フェイス(ブラッドリー・クーパー)、メカの天才B・A(クイントン・ランペイジ・ジャクソン)、奇人パイロットのマードック(シャルト・コプリー)もハンニバルと同様に、TVシリーズのキャラをきっちり踏襲した特技&性格となっており、にやりとさせられます。
「Aチーム」が冤罪の汚名返上と、悪を倒すため、ご都合主義にもほどがある大作戦を敢行し、もちろん成功してチャンチャン・・・お約束どおりで嬉しくなりますねえ。
ハンニバルの名言「作戦は奇をもって良しとすべし」が重要キーワードとして再三登場しますが、そこへのツッコミとしては、せっかく立てた綿密(なはずの)計画が、途中で頓挫、最後は勢いと成り行きで収拾する「結果オーライ」な展開にも、そこはかとない懐かしさを感じます。。
欲をいえば、マードックは日本版”クレイジーモンキー”の名を出してほしいし、B・Aはコングと呼びたい。フェイスには「ブラジャーからミサイルまで調達」の能書きが・・・言い出すときりがないのも確かですね。
まあ、ワタクシと似たマニアが多いのでしょう、冒頭書いたように、巷の評判は意外にも微妙で、「映画版は、TVシリーズに比べて〇〇だからダメ!」と、オリジナルとの比較に基づく、みもふたもない批評も多いようです。
しかし、ワタクシは申し上げたい。
TVシリーズはTVシリーズ。映画は映画。きっぱり割り切って虚心に映画版(のバカバカしさ)を楽しむのがよいと思いますよ~~。
だってさあ、比較して粗探したって、つまんないじゃないですか~~。入社試験の面接官じゃあるまいし「自分の尺度と期待」で相手を測らず、良いところを見つけて楽しんだほうが絶対に得すよ。なにせ、鑑賞代金=1800円も払っているんだし。
逆批判ではありませんが、オリジナルTVシリーズの魅力(だと考えるファンが多いらしい)、「あり得ないバカバカしい作戦」。あれだって、TVだからギリギリ許せるレベルであり、まんま映画でやったら、ただのチープ&子供だましですよ。(「スパイ大作戦」にも同じことが言えるね)
映画版は、なんだかんだ言っても、映画なりのスケールアップはしているわけです。俳優にしたって、リーアム・ニーソンはオヤジながらに大健闘。ブラッドリー・クーパーは「イエスマン」以来のツボにはまった役どころ。「第9地区」でエビ騒動に巻き込まれたシャルト・コプリーの壊れっぷりも、マードック役はあんたしかいない!と思わせる適役です。
とにかく、近視眼的にオリジナル(TV版)と映画版を比較したところで生産的ではありません。むしろ、映画版を大ヒットさせ、映画「Aチーム」をシリーズ化し、より製作費をかけた第2作、第3作で、パワーアップした「バカ世界」を見せてもらおうじゃありませんか!
てなわけで、続編、おおいに期待しております!(続編あるよね?たぶん)
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