映画 「ミックマック」 アメリの監督が放つ、アメリの痛快エスカレート版!ダニー・ブーンがいい! [映画]
フランスの痛快ハートウオーミング・コメディ(←宣伝コピーそのままです)、「ミックマック」のご紹介であります。
最近観たフランスのコメディ映画は「アデル ファラオと復活の秘薬」なんですが、ボケるもツッコむもできない寒すぎるギャグ連発に、大人のガマンはしたものの「今後、フランスのコメディは見るもんかい!」と拳を固くしたワタクシ(記事はこちら→クリック)。しかし、フランスは「オーケストラ!」のような名作も作ってるし、「いかん、映画に偏見は禁物」と我にかえったところで・・・
ん??
こだわり職人監督、ジャン=ピエール・ジュネさんが新作を撮ったと?題名「ミックマック」、それ何?ビックマックかあ・・・みたいな。気がついたら舞浜シネマイクスピアリでチケット購入。そして2時間後。「アデル」のトラウマを完全払拭する「ミックマック」のナイス出来栄えに、ご満悦のワタクシは叫ぶのでありました、
「これからもフランスのコメディ映画をみるぞーーー」
って、ゲンキンにもほどがあるよ。ま、君子は豹変する、ってことでご容赦を。
ミックマック 2009年フランス
監督 ジャン=ピエール・ジュネ 出演 ダニー・ブーン、アンドレ・デュソリエ、ドミニク・ピノン、オマール・シーほか
ずばり「ミックマック」、良いです(キッパリ)。
主演ダニー・ブーンさんが冴えないおっさんを大好演。ブーンさんといえば、06年「僕の大切なともだち」で演じた陽気で(実は孤独な)タクシー運転手が素晴らしく、監督としてはフランスで記録的ヒット作を作る才人なんです。ちなみに奥様が凄い美人。
コメディアンらしいしつこ~い芝居を随所で披露しますが、「銃弾が脳にささったままで、ちょっとイカレテる男」の役ゆえ違和感ありません。まわりの俳優さんたちが、しっかり場を作っているので、ダニーさんもいい感じにしょぼけている・・・つーか、輝いておりますよお。
主人公バジール(ダニー・ブーン)は幼いとき、父を地雷で失い、30年後に今度は自分が流れ弾に当たり九死に一生・・・。家も仕事もなくし、その日暮らしのホームレスになっちゃいます。世の不幸を一身に背負った孤独な彼に、ひょんなことから、廃品修理で生計をたてる7人の「明るい仲間」が出来ます。
ある日。バジールは父を殺した地雷のメーカーと、自分の頭に刺さった銃弾のメーカーを発見します。
不幸の元凶、ふたつの巨大兵器産業にむらむら湧き上がる復讐心・・・・7人の仲間の協力のもと、メーカーに「いたずら(ミックマック)」を仕掛けるのです。ただ映画を観れば分かりますが、これ、いたずら、というより完全な「復讐」ですから~~。
同監督の出世作「アメリ」もそうでした。それって、やばくね?的なヒロインのきわどいイタズラっぷりに背中が寒くなる・・・そう、「ミックマック」は、アメリのイタズラが、組織的かつ極限までエスカレートしたハイパーバージョンとも言えましょう。なんせ死人まで出ちゃってるし(悪人だけど・・・)。
映画は、予想通り、お寒いギャグをまぶしながら展開します。これフランス国民のお約束(病気)なんでしょうか。たとえば、バジールが空港で仲間に、指で方向を指示するシーン。無関係な観光客の一団がバジールの指示に従って、無言で移動するベタ・ギャグ(それも何度も)。。。うーん、どこが面白いのかサッパリわからんぞ。おフランスな笑いのツボは、一生かかっても私に理解できないな・・・。
一方、嬉しい事は、過去の名作映画を露骨に下敷きにしてるとこ。
ホームレスたちは兵器産業のトップを騙して自滅させるのですが、仕込みといい(映画的には伏線、というべきですか)、メンバーがそれぞれの特技を生かす点といい、鉄壁のチームワークといい・・・思いっきり「スパイ大作戦」です。にわか作りの兵器は出るわ、変装は出るわ、ありえないけど、そんなことどうでもいいや、と思わせる勢いが良いんです。
エラソーな敵を騙しすプロットは「スティング」「オーシャンズ」シリーズのノリ。「ミックマック」は、ほのぼの、とはしてますけどね。
二つの敵(兵器メーカー)に対して、別々に餌をしかけ、お互いを疑心暗鬼にさせ闘わせる作戦は、そう、三船敏郎主演「用心棒」(洋画でいえば「荒野の用心棒」)、まんま、です。
いやはや、ここまでヌケヌケとやられちゃあ脱帽するしかありません。
ラストシーンの、敵への「とどめの一撃」は現代的。味方につけるべきは警察権力ではなく、世論ってわけね。ベタだけど、素直に溜飲が下がってしまったワタクシであります。
必見の名作とは申しませんが、ちょっとばかりスキッとしたい方、ぜひ劇場へいきましょう!ダニー・ブーンさん、これからも応援しちゃいますよ~~。
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