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映画 「人生万歳!」 ウディ・アレン好きのみツボにはまるロマンチック・コメディ?一般の映画ファンにはキツイ? [映画]

首都圏でも1,2館でしか上映されてない、とってもマニアック~なロマンチック・コメディ(と言うべきか?)、ウディ・アレン監督40作目「人生万歳!」であります。

・・・と書いておいて、唐突に違うネタで恐縮ですがゴールデン・グローブ主演男優賞、コリン・ファースさん受賞。やりましたね!おめでとうございます。この勢いで「シングルマン」で逃したオスカー(アカデミー主演男優賞)を、新作「キングス・スピーチ」で是非ともゲットしていただきたいっ!応援しております。

話は戻って「人生万歳!」です。(コリン・ファースさんは出演していません、念のため)

ウディ・アレンが久々にニューヨークを舞台に撮ったコメディだそうです。どこかで「やっぱりウディ・アレンにはNYが似合う」なんつー分かったふうなコメント見ましたが、ワタクシには「?」です。この話にニューヨークの必然なんて全く感じません・・・と大人げなくツッコミ。第一、ニューヨーク行ったこともないし。ユニクロは東京にもあるし。

何を言いたいかというと、そこで納得してちゃあ正しい(?)ツッコミは出来ませんぜ、ダンナ、ということ。あれ、ちょっと上から目線かな、ごめんなさい。

人生万歳! 2009年米

監督・脚本 ウディ・アレン 出演 ラリー・デヴィッド、エヴァン・レイチェル・ウッド、パトリシア・クラークソンほか

人生万歳P.jpgこれから本作を観ようとしていた方に先入観を与えてしまいそうですが、ハッキリ言って”コメディ”とはいえ、あまりにエキセントリックな設定と展開にギャフンです。違和感から脱却するには、スクリーンの登場人物に(少しでも)感情移入せねばなりませんが、それができるのか?まさに映画ファンにとっての「試金石」!

もっといえば、ウディ・アレン教の教徒かどうかを判断する「踏み絵」とさえ言えましょう。ちなみに私は平気で踏みつけますがね・・・。

高慢で頑固な老人ボリス(ラリー・ディビッド)は”自称”ノーベル賞レベルの知性を持つ元物理学者。偏見に満ち、あらゆるものを否定する厭世的で傲慢な性格に加えパニック障害、潔癖症、自殺癖と問題山積の男なのです。当然、妻とも別れ、職も失い、汚いアパートで冴えない一人暮らしの日々。

映画はボリスの人物紹介から始まりますが、のっけから、ウディ・アレンらしく一筋縄ではいかない演出が飛び出します。まずはボリスの演説調毒舌マシンガントークに周囲(映画の登場人物&観客)が辟易したうえで、彼がスクリーンから「観客に話しかける」という禁じ手まで使います。

これから始まる物語は、とんでもないよ、という監督からのご親切な「予告」かもしれませんが、この時点で(開始15分)、「ああ、オレ、この映画ダメだわ」と思う観客も多いはず。うーん、今回もハードルが高いなあ~~。

親からの束縛を嫌い、田舎からNYにやってきた家出娘メロディ(エヴァン・レイチェルウッド)が、ひょんなことから見ず知らずのボリスの家に転がりこみます。ボリスからの罵倒、皮肉、毒舌を浴びながら、おバカなメロディは、いつしかボリスを運命の相手と勘違い(?)してプロポーズ。(←おいおいっ!!そのジジイと結婚したいかよ!?)

人生万歳1.jpg

バカはよせと諌めるボリスですが、結局、二人はご結婚です(←おいおいっ!!!)。うーん、こんな老人福祉、あっても良いカモ。率直に言ってうらやましい。

メロディを追ってNYへ乗り込んできた彼女の母親は、娘がヘンクツ老人と結婚していると知り、この手の映画のお約束どおり卒倒・・・。ところがこの母親、娘以上にNYで「大化け」しセックスに趣味にと大開花。さらに彼女を追ってメロディの父親が登場しますが、この父親が母親以上にNYで「大化け」し新たな性癖大開花。ああ~なんたる節操の無さ、アメリカ人家庭の脆いこと。

一方、理屈っぽいボリス老人にイゴゴチの悪さを感じてきたメロディは、俳優志望の若いイケメンとサックリと不倫。やっぱ会話もセックスも若いもん同士が一番だよね、あははは、って、ボリスはどうなるのよ!?

人生万歳2.jpg

品のない集団乱交的人間模様をどう収拾するつもり?・・・と思いきや、驚愕のラスト(ってほどでもないけど)には、強引な「誰も傷つかないハッピーエンド」が待っています、これウルトラCですよ。

長々書きましたが、要するに「勘違い娘のありえない恋愛とその終焉」&とってつけたようなハッピーエンドという、ツッコミ以前のガタガタ物件です。ワタクシ、友人の誰一人に対してもこの映画は薦めませんでしたね。

・・・と、さんざんぱら否定コメントしておきながら、恐ろしいことに、ワタクシ、この映画がけっこう好きなんですねえ。

人生万歳3.jpg

具体的にどこが良いかサッパリ説明できないですが・・・強いていえば、SFなみに無茶な話を、金をかけ、職業俳優を使って、コメディ映画に仕立てたウディ・アレン監督(脚本も)の「面の皮の厚さ」が痛快なのでしょう。アレン・マジックにかけられたでも言いましょうか・・・。

観客席の不気味な静けさをよそに、ワタクシ、後半は大笑いしちゃいましたもん。

そのうえ、観終わって、やけにハッピーな気持ちになりましたもん。

メロディや、その母親、父親にはもちろん、高慢ちきなボリスに対してさえ「頑張ってね!」と応援したくなる爽快気分。同監督「カイロの紫のバラ」を観終わったときと似ています。ファンのひいき目かもしれませんがやはりウディ・アレン監督はさすがです。スゴイ才能です。

それに、この映画、アッケラカンと楽天的なのが良い。手数(セリフ)は多いですが、実はたいしたことは言っておりません。エラソーな人生哲学も教訓もなく「あるがままに生きればいい」みたいなザックリした感じ・・・。いかにも、といった深~い人生ドラマもいいけど、こんなザッパな映画もあっていいんじゃないですかね。

さんざんツッコンどいて、最後は褒めちゃう不思議な記事になりました。あはは。

ご興味のある奇特な方、あと2週間ほど、恵比寿ガーデンシネマで上映してます。不思議な気分を味わいつつ、アレン教の「踏み絵」を踏むかどうか、ご自身を試してみてはいかがでしょう?


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