SSブログ

ブログ更新さぼりがちなワタクシでありますが・・・・ [映画]

いやあ、前回のブログアップ(昨年12月)から、ホントに2カ月経過してしまいましたねえ。どんなん不精だよって。

すなわち、2カ月に1回更新のペースすらおぼついていないイイカゲンな本ブログであります。

コメントくださった方への返信も遅くって、ほんとうにすいません。

映画ファンとしては、映画は観ているんですが、「心境の変化」か「ブログに書きたいと思う映画に遭遇しないのか」(たぶん両方かな?)ブログ更新が異常に滞っている、という体たらくであります。強制されるものでもないし、それはそれでいいのかな?と考える次第ではありますが。

しかし!

さきほど、久しぶりにこの映画ブログのアクセス数をチェックしたら、おお!もうすぐ累計100万アクセス!ちなみに(全然、記事を更新していない今でも)1日に1000アクセスくらいあることを知り、かなり驚いたのです。

いまだにワタクシのブログをのぞいてくださる方がいる、という事実に「これではいかん!」と反省しました。幸い仕事も少し落ち着き、これまでのような、1週間に5日間出張という無茶はなさそうなので、是非、記事更新のペースアップをしたいと思っております。

本日は、特に映画を語るわけでもなく、そんな「決意表明」で終了であります。ちゃんちゃん!

と言いつつ、映画の話題をひとつ。

70年代にワタクシが大好きだった少年キング連載の漫画「ワイルド7」が映画化されました(公開は数ヶ月前か?)。主演の瑛太さんを嫌いではないのですが、ヒバちゃん=瑛太さんは、どうも結びつきません。

映画をまだ観ていない(たぶんこのまま観ない)のですが、ご覧になった方の感想をお聞きしたいものです。ちなみに、細かいことですが、ヒバちゃんはコルトのウッズマン(拳銃の名称)を使っていたでしょうか?ワタクシにとっては、そこはひじょうに重要であります。

では本日はこのへんで。

映画、万歳!ビバ、ビバ。

・・・って、そんなまとめかよ。と自分にツッコミ。


nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

映画 「カウボーイ・アンド・エイリアン」 後半はトホホでも、ダニエル・クレイグのカッコ良さでOKとしましょう! [映画]

本ブログの前回記事アップ、な、なんと「9月」じゃないですかあ!(って、自分でも忘れてたのかいな)

ということは丸2カ月間も、更新をせず、酒ばかり飲んで放置プレーってこと。不精も度が過ぎる・・・と反省(感心?)しきりです。まあ、誰かに期待されてるブログでもありませんから、忘れた頃に、ぽっ、と更新する姿こそ奥ゆかしけれ・・・日本のわびさびってこと。って、何の言い訳だよ。。

ブログ更新をさぼってた2カ月の間も、しっかり映画は観ていました。ツボにはまったのは断然、「スーパー!」でしたねえ。低予算のミニシアター系映画ゆえ、見逃した方も多いでしょう。それは残念。コスプレヒーローのパロディ・コメディで、設定はニアリー「キック・アス」ですが、下品でグロなフレーバーがなんともいえずナイスでした。最後はポロッと泣かせるとこも良い。エレン・ペイジちゃんのファンには絶対に観てほしいです(ワタクシが、まさにそうですが・・・)。あと、ケヴィン・ベーコンのファンの方にも。

「スーパー!」を褒めときながら、これから書くのはメジャー映画「カウボーイ・アンド・エイリアン」についてであります。なんだったんだ、さっきの前振り・・・。

「カウボーイ・アンド・エイリアン」の舞台は19世紀末、アメリカ開拓時代。つーことは「西部劇」なんですね。でもストーリーは、人間VSエイリアンの戦い・・・あれまあ、SFでしたか。殺人鬼ジェイソンが宇宙に行ったり、エイリアンとプレデターが戦ったりと「なんでもあり!」の映画界ですが、その中でもかなり奇抜な設定と言えましょう。よく企画が通ったものだ。

とんでもないC級映画?と思いきや、人間側(という表現も変だけど)を演じるのが最新007シリーズの主役をはるダニエル・クレイグさん。それに「インディ・ジョーンズ」ことハリソン・フォードさん。ビックネーム二人の競演となると、いくら「すべってる予感」がしようと、映画館に行かずにはいられません!

カウボーイ・アンド・エイリアン 2011年米

監督 ジョン・ファヴロー 出演 ダニエル・クレイグ、ハリソン・フォード、オリビア・ワイルド、サム・ロックウェル、ほか

カウボーイ&エイリアンP.jpg19世紀末の北米アリゾナ。一人の男が砂漠でハッ!と目覚めるシーンから物語は始まります。この男ロレガン(ダニエル・クレイグ)は、自分が何者で、ここで何をしているのか、全く覚えていません。そして左腕には謎の金属の腕輪・・・。やがて、ある町に流れ着いた彼。そこで地元権力者ダラーハイド(ハリソン・フォード)の不遜な息子とひと悶着を起こし、さらに、自分がお尋ね者の大悪党であることを知るのでした。

凄腕のロレガンも、多勢に無勢、保安官に逮捕され馬車に押し込められます・・・そこに、ダラーハイドが現れます。ロレガンは全く思いだせないのですが、彼はダラーハイドの金貨を強奪したらしい。緊迫した空気のなか、突然、夜の空に現れる飛行物体の群れ。それらは地上を攻撃しながら、次々に人間を捕獲していきます。

敵に対し拳銃、ライフルはまったく歯が立たず、ただただ逃げまどう人々・・・しかし、ロレガンの腕輪の光が点滅すると、そこから発射される光線が、敵の一機を見事に撃墜します。いったい、この腕輪は何か?ロレガンは自らの過去を解き明かすため、ダラーハイドは連れ去られた息子を救うため、未知の強敵を追って彼らは砂漠へと向かいます・・・・。

・・・と、ここまでのストーリーをなぞってみましたが、ハッキリ言って、この映画、スリリングで面白いのは「ここらあたり」までです。敵(題名まんま「エイリアン」なんですがね)の正体が分からずに、いったい、この先どうなるの?どう戦うの?と、登場人物も観客もハラハラしているうちが花ってこと。

前半、姿をみせないエイリアンですが、話を進める都合、いつかはスクリーンに登場しますよね、で、その造形がねえ~。あのぉ、そのぉ、ちょっとぉ~、もはやツッコミようがない(惨憺たる)レベルというか。

他の星を侵略(?)するような悪~いヤツらだとしても、あれだけの飛行船を飛ばす「科学力」「文明」は持ってるはずですよね。しかし造形がバケモノというか、ゲテモノというか。腹がパクっと割れて追加の2本の手が出てくるとこなんざ、誰だよ、お前って。イイカゲンにしなさいって感じです。

カウボーイ&エイリアン4.jpg

百歩譲って「進化の不思議」と、エイリアンの「お姿」を許しても、彼らの「腰砕け」っぷりというか、「脇の甘さ」には、つくづくイラっときちゃいます。レーザー光線まがいの強力兵器を持っているくせに、人間側の浅知恵に、まんまとしてやられる阿呆っぷり、どうかしてますよ。責任者、出てこいって。

自分たちのアジト(ベタな洞穴的加工)に容易に人間の侵入を許したうえ(セキュリティ・システムもないのか?)、中で待ち構えるロレガンに、なんの工夫もなくイノシシのように突進し、TVゲームよろしく次々に殺されていくんです。思いだしました、これ「ゾンビ」のシーンと同じです。あるいは「沈黙のテロリスト」でセガールに特攻し”順番に”せん滅させられるテロリストたち。まったくもって「やられ上手なエイリアンさん!」と一声かけたくなる体たらくです。

カウボーイ&エイリアン3.jpg

共通の敵を倒すため、対立していた白人どうし、さらには、白人とインディアンまでが力を合わせる・・・というくだりは、それなり感動場面であり、一応、その盛り上がりにに乗っかった私ですが、後半がこれじゃあねえ・・・終わってみれば、エイリアンに「愛」と「勇気」と「友情」で打ち勝つというコンセプトがどだい無茶なんじゃないのって。

いかんいかん、非建設的なツッコみばかりでは、世の中、何も始まりません。

前向きに、この映画の素晴らしい点を書きましょう。それは、

ダニエル・クレイグさんがめちゃくちゃカッコいい!

ということに尽きます。

カウボーイ&エイリアン2.jpg

無表情、無感動、孤独でクールな「できる男」を演じ切っておりますね。007シリーズのジェイムス・ボンドを演じた俳優たちは、その呪縛に苦しんだものですが、ダニエル・クレイグさんにそんな心配は無用でしょう。役選び&役作りが上手いですよ、彼は。申し訳ないけど、ハリソン・フォードさんは「添え物」に感じちゃいました。

カウボーイ&エイリアン5.jpg

もうひとつ、マニアックなツボですが、「グリーンマイル」で凶悪異常犯を、「アイアンマン」「チャーリーズエンジェル」で小悪党を演じたサム・ロックウェルさんが、本作では、気の弱い善人役なのであります!そ、そんなバカな!最初気がつきませんでしたもん。まあ、ゲイリー・オールドマンさんが「ダークナイト」で正義感あふれる警部を演じたり、「コントロール」ではウィレム・デフォーさんが”あの顔”で善人役ですから、映画のキャスティングというのは実に奥が深いですなあ。

以上、収拾つかないまとめでスイマセン。ブログアップ2カ月ぶりのブランクのせいかしらん?

次回のブログアップは、きっとまた2か月後でしょう。おいおい、今からそれですかい。


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

ジョン・カーペンター監督最新作 映画「ザ・ウォード 監禁病棟」が素晴らしい! [映画]

今回は手抜きです。ワタクシのやっている別ブログから、記事をそのままコピペ&修正します!うーん、省力化。なんとエコなブログだ・・・って、不精なだけだよ。

別ブログの7月8日記事で、大好きな映画監督ジョン・カーペンターさんをご紹介しました(記事はこちら→クリック)。私にとって、カーペンター監督といえば80年代の名作「遊星からの物体X(原題The Thing)」です。SFホラーの金字塔であります。ちなみに、そのリメイク版が、来月からアメリカで公開です、監督はカーペンターさんじゃないけど・・・。

本題に戻りましょう。

カーペンター監督9年ぶりの新作「ザ・ウォード 監禁病棟」が公開されたという話題です。ファンのワタクシ、さっそく拝見しました!ほぼ全編、閉塞された精神病院内を舞台に展開するサスペンス・ホラー。逃げ場のない中で追いつめられる主人公、という設定は、同監督の「遊星からの物体X」「要塞警察」「パラダイム」に通じます。監督、9年ぶりのメガホンでも、ぶれることなく、ご自分の土俵で勝負した、といったところでしょう。さて、その出来栄えは・・・。

ザ・ウォード 監禁病棟 2011年米 

監督 ジョン・カーペンター 出演 アンバー・ハード、リンジー・フォンセカほか

ファンのひいき目をぬきにしても、新作は、予想以上に素晴らしかったです!

ザ・ウォードのポスター.jpg最近多い「ドキュメンタリーを模したバカホラー」や「やたら大きな音で観客を脅かすビックリホラー」とは違います。古典的ともいえる、プロット重視。観客をじわじわ追い込むタイプの作品で、これぞ、”私が待っていた映画”なんですね。

農家に放火した女性クリステーン(アンバー・ハード)が精神病院の監禁病棟に収容されます。彼女はなぜか過去を覚えていません。しかし「自分は狂人ではない」と信じている。何度か脱走を試みますが失敗。やがて、彼女は気付きます。そこ(監禁病棟)には患者以外の「不気味なもの」がいることを。

クリステーンの訴えを、狂人の妄想と一蹴する医者と看護士。病棟の患者たちも同じです。が、やがて「不気味なもの」は病棟の患者を一人づつ殺しはじめます・・・このプロットは、同監督の名作「ハロウィン」「遊星・・・」の流れを汲んでいます。しかし決して自作のマネに終わらないのがカーペンター監督なんですねえ。さすが!

映画後半は逃げるクリステーン、追う看護士たち、そして「不気味なもの」の三つ巴の逃走劇となります。緊張感抜群で、主人公の恐怖もリアルです。そしてラストは・・・。

うーん、素晴らしい!女優さんたちの演技といい、テンポといい、オチといい・・・この記事を読んだ方、すぐに地下鉄 東銀座駅近くの「銀座シネパトス」に向かうように。早くしないと上映が終わってしまいますよーーーー。

主人公クリステーンを演じたアンバー・ハードさん、お顔に記憶がないのですが、水川あさみさんに似た美人。本作の成功の多くが彼女のおかげですねえ。お見事です。今後、間違いなくブレイクします(断言)。容姿だけの女優ではなく、しっかりした実力を感じますもん。今後、大注目です。

ザウォード2縮.jpg

いずれにしても、老いてなおジョン・カーペンター監督の「ホラーの帝王」の座は揺るがない、ということです。サム・ライミ監督に負けるな!!(なんのこっちゃ)

以下は映画と直接関係ないおまけネタです。「ザ・ウォード」のPVで、カーペンター監督が日本のファン向けに語っているのですが、いい感じなので、それを紹介しましょう。

PVは監督の下手な日本語「ニホンのミナサン、コンニチワ・・・」で始まります。最後は「映画、ぜひ観てね!」みたいに締めくくるのですが、ツボにはまるのは”中間部分”です。

日本のことを褒めようとしたのでしょう、「日本は美しい国です」と、切り出した監督。

その次のコメントが渋い。

「何といっても、ゴジラ、ラドン、キングギドラ・・・」

ん?日本ってそのイメージなの?さらに監督はこう続けます。

「そしてAKB48の生まれた国です」

ガクッ!これ比喩でなく、ほんとにガクッ!と来ました。キングギドラ発言も凄いけど「AKB48を生んだ」ことで日本が褒められちゃたよ~~。うーーん、カーペンター監督の自発的発言なのか、誰かの入れ知恵かは分かりませんが、笑えるPVに仕上がりましたね。以下、YouTubeより、「問題の箇所」抜粋です。あははは。

カーペンター監督のおちゃめ.jpg

nice!(3)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

映画 「シャンハイ」 残念ながら駄作。本年観たワースト映画です・・・とほほ。 [映画]

自称映画ファンのワタクシ、大不評の映画で、実際に観て「ひでえなあ」と思っても、上から目線でけなしたり、おとしめたりするのは気が引けるわけです。だって、どんな映画も作り手は熱意と努力をつぎ込んだ(はず)ですから・・・そんな建前発言の一方、「1800円払うからには、最低限の水準はキープしてほしい」という本音もありますね。

本日、ご紹介する「シャンハイ」という映画。

残念ですが、ずばり、ひどい映画、ひどすぎる映画です。未見の方に先入観を与えたくないですが、チケット代が500円としても、ご勘弁いただきたい低レベル。大戦前夜のシャンハイを舞台に、ある女性の悲劇が描かれます。しかし、本当の悲劇は、1800円を払った観客に降りかかった、といえましょう。

「シャンハイ」は今年観た映画のなかで断トツのワースト作品です。なお、ワースト2は「ザ・ライト エクソシストの真実」なんですが、なんと同じ監督の作品です。うわあ、なんなんだ、この一致は!

シャンハイ 2010年米 

監督 ミカエル・ハフストローム 出演 ジョン・キューザック、コン・リー、チョウ・ユンファ、渡辺謙ほか

シャンハイP.jpg観終わって、あまりにもガックリきたので、何も書く気が起きない映画ですが、一応ワタクシなりに「何が悪かったか」を考えてみたいと思います。

まず本作のあらすじです。舞台は1941年の中国上海。大戦前夜のシャンハイには不穏な空気が充満しています。支配を強める日本軍、日本軍に抵抗する中国レジスタンス、そして列強国のスパイ達が暗躍しています。さて、アメリカのスパイ、トニーが何者かに殺されます。殺人犯と背後の真相をさぐるべくトニーの親友ポール(ジョン・キューザック)が、新聞記者(じっさいはアメリカのスパイ)としてシャンハイに派遣されます。

ポールは地元の実力者ランティン(チョウ・ユンファ)とその妻アンナ(コン・リー)と知己を得ます。実はアンナは日本軍に抵抗する組織のキーメンバー。日本軍の将校、田中(渡辺謙)は抵抗組織を根絶やしにするべく、行方不明になったひとりの女(菊池凜子)を探しています。彼女はすべてを知る女・・・抵抗組織と、日本軍の間で、彼女をめぐる「戦い」がはじまります。

一方、ポールは親友の死を調査するうち、日本軍の大きな「計画」を知ることになります。こうして、映画は複数の登場人物の思惑を軸にして、悲劇の結末へと突き進んでいくのです。

・・・と聞くと、なんとな~く異国を舞台にしたスリリングな群像劇を想像するでしょう。

とんでもございません!登場人物はステレオタイプに「役を割り付けられた」かのごとく、奥行きがまったくありません。ジョン・キューザックは、世界崩壊パニック映画とおんなじ”能面演技”をご披露、コン・リーはもったいつけてるわりに芝居は一本調子(ジョン・キューザックの病気がうつった?)で、結局は「ただの浅はかな女」だし・・・。スリリングどころか、映画に感情移入できないのです。救いといえば、日本軍将校を演じた渡辺謙さんの熱演くらいでしょう。存在感じゅうぶん、お一人で気を吐きましたね。

シャンハイタナカ.jpg

何から何までひどいので、思い出すだけで疲れますが、出来事のうわっつらをなでた平板な脚本は大問題。眠気を催すに低レベルに加えテンポの悪いこと。こうゆうのを「観客をバカにした本」というんですよね。

日本軍に疑われ(かつ夫にも疑われ)監視されているアンナが自由に(?)活動する「無理」を、どう説明するのか?事件に深入りしたポールは、トニーが殺されたのと同じ理由で殺されて仕方ないはずなのに、どうして生きながらえているのか?そして田中の言動ときたら支離滅裂ではないか?要するに、ストーリー以前の「設定」がユルイんです。

シャンハイ1.jpg

それ以上にひどい点は、魔都と呼ばれたシャンハイの混沌とした空気、一触即発の緊張感、不安感・・・これらが画面から全く感じ取れないこと。街の俯瞰シーンもほとんどなく、やたら登場人物をアップで撮るために、場面に広がりがありません。あえて「閉塞感」を表現しているのかといえば、そうではない。

舞台は中国でも、アメリカのスタジオでテキトーにセット組んで撮りました、あはは・・・というキッチュでチープな仕上がりは噴飯ものです。まじめに映画の途中で、頭が痛くなってきましたね。

作り手を弁護するとしたら「予算の関係」と想像するしかありません。大スターを並べた結果、出演料だけで膨大な出費となり、シャンハイの俯瞰シーンも撮れず、雰囲気を醸し出すセットも組めなかったんでしょう。もしそうだとしたら、存在意義が不明の添え物キャラ=チョウ・ユンファ演じるランティンなど、まるごと削ればよかったんです。

シャンハイ4.jpg

戦時(または戦前&戦後)の”不安な空気”を表現した名作は、過去にいくらでもあるわけです。たとえば同時期の中国を舞台にしたアン・リー監督「ラスト・コーション」(2007年)。トニー・レオン、タン・ウエイの究極演技が注目されますが、なんといっても時代の空気感が見事ですよね。ベルナルド・ベルドリッチ監督の「1900年」「ラスト・エンペラー」も素晴らしい。70年代だとビスコンティ監督「地獄に堕ちた勇者ども」が圧巻でした。73年にはシャーロット・ランプリングが究極の狂気を演じた「愛の嵐」がすごかった・・・・。映画の出来を決定的に左右するのが、戦争にからむ抑圧感や不条理だとしっかり認識し、重要視しているから名作となりえたわけです。

どうして、「シャンハイ」製作スタッフは、過去の名作を参考にもせず、高額ギャラ俳優を「並べただけ」の駄作を作っちゃったのでしょうか?主演がジョン・キューザックというだけで「終わったな・・・」という予感はしてましたが、ここまで、その通りとは。ある意味、確信犯かい?

いやはや、いまどき珍しく「作り手にこだわりのない映画」でした。どうせなら、主人公がエイリアンだった、とか、すべては渡辺謙の睡眠中の「夢」だった、とか、大逆転のオチをつけてほしかったなあ。いくらなんでも、それは無理か、あははは。では本日はこのへんで。

シャンハイ3.jpg

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

映画 「ゴーストライター」 絶対に観るべきです。これぞ、ロマン・ポランスキー監督の美学! [映画]

ベルリン国際映画祭銀熊賞(最優秀監督署)を獲得したユアン・マクレガー主演のサスペンス「ゴーストラーター」について書きます(公開2週目)。

ずばり、映画好きの方なら、絶対に観るべき作品!

この記事を読んだら、すぐに劇場へ行きましょう!!

個人的には、今年観た映画で(現時点で)ベスト作品であります。

映画館でクラッと来ましたもん。御歳80歳、人生いろいろのロマン・ポランスキー監督の映画観と美学がスクリーンから溢れだし、ぐんぐん迫ってくるわけです。

比較は酷でしょうけど、今どきのハリウッド映画って、監督が誰であろうと変わりありませんよね?だって監督の役目はスター俳優のご機嫌を損ねずに、期日までに決められた予算で仕上げ収益を上げる・・・要するにルーチンワークをそつなくこなせば「良い監督」です。監督のこだわり=作家性、など、むしろ百害あって一利なし、とみなされる時代なんですから。

予算と出演者がちがうだけでTVドラマと大差ない映画ばかり・・・それに慣れて、われわれ観客の「感性」も鈍った、というと、風呂敷を広げ過ぎでしょうか?

ロマン・ポランスキー監督ときいて、私がまっさきに思い浮かべるのは、ジャック・ニコルソン、フェイ・ダナウエイ共演の探偵映画「チャイナ・タウン」。ミア・ファロー主演のホラー「ローズマリーの赤ちゃん」です。どちらも古い。ちなみに2000年以降の作品、「戦場のピアニスト」はエイドリアン・ブロディがあまりに痩せすぎ(そこかよ!)で食いつけず、ジョニー・デップ主演「ナインズ・ゲート」は、おどろおどろしさを強調して空回り・・・ポランスキー監督は”やっぱり昔が良い”と(ゴーストライターを見るまでは)思っていたわけです。

少々分析チックになりますが「チャイナ・タウン」「ローズマリーの赤ちゃん」の何がすごいかというとそのテイストなんですね。どちらもストーリーはグズグズ、なんだかよく分からんのです。ハリウッド映画的な”分かりやすさ”と相いれません。ところが映画全体に漂う雰囲気が絶妙で、各シーンに意味がある(ような、ないような)、そこから生まれる不安、緊迫感、リアル感・・・これがスゴイんですね。観客の想像力をかきたてるんです。

どんどん話が脇道にそれますが、ウイリアム・フリードキン監督「エクソシスト」は煽情的なテーマや、悪魔祓いシーンの凄まじさだけでなく、スクリーンからにじみ出る「あの空気」が肝なんですよね。”事が起きる前”から漂う尋常ならざる空気、これが観客に伝染するんです。

ルキノ・ヴィスコンティ、フェデリコ・フェリーニ、ルイス・ブニュエル、ルイ・マル、デヴィッド・リンチ、ヴィム・ヴェンダース、サム・ペキンパー、黒沢明、ヴェルナー・ヘルツォーク・・・彼らには独特の雰囲気と語り口つまり「作家性」があり、それが”唯一の映画”たらしめているんです。ハリウッド職業監督のベタ映画に見慣れたワタクシ、そのことをすっかり忘れていた次第。うーん、恥ずかしいぜ。

が、ついに出ましたね~。やってくれましたね~。ロマン・ポランスキー監督!本作「ゴーストライター」は見事なまでにポランスキー色。元祖アンチ・ハリウッドの気骨を見せていただきました。

そして、主演ユアン・マクレガーさんが素晴らしいのだっ!

とにかく観ていただきたい名作なんです。

ゴーストライター 2010年 フランス・ドイツ・イギリス合作

監督 ロマン・ポランスキー 出演 ユアン・マクレガー、ピアーズ・ブロズナン、オリビア・ウィリアムズ、トム・ウィルキンソンほか

ゴーストライターP.jpg主人公(ユアン・マクレガー)は、有名人に変わって自伝などを代筆する「ゴーストライター」。元英国首相アダム・ラング(ピアーズ・ブロズナン)の自伝依頼を引き受けた主人公は、ラング一家が滞在する、アメリカ東海岸の孤島に向かいます。

自殺した前任者が残した草稿を読み、不足があればラング元首相にインタビュー。たった1か月で、自伝を仕上げるのが彼の仕事です。元首相、その妻ルース、女性秘書アメリア・・・と、一筋縄ではいかない面々と苦労しながらも仕事を進める主人公。ところが、ラング元首相が、在任中に戦争捕虜拷問を指示した疑惑が持ち上がり、マスコミが島に押し掛けるなどの大騒ぎが始まります。

一方、主人公は、自分の前任者の自殺に疑問を持ち始めます。前任者が残した”不自然な”自伝草稿・・・部屋に隠してあった資料・・・泥酔してフェリーから落ちたという「死に方」、前任者は取材を通じて知ってはならない”国家機密”を知り、殺されたのでは?

やがて、主人公にも、じわじわと迫る危険・・・はたして真実は?そして、主人公の運命は?

さて、この映画。

映画全体をおおう、寂寥とした空気、そのリアル感からして素晴らしいんです。主人公たちが過ごす孤島のモノトーンで悲しげな風景、吹きすさぶ風、冷たい雨、映画のイヤ~な展開を見事に象徴していますもんね。

ゴーストライター2.jpg

そして、映画の「語り口」の上手さといったら!

結論を急がず、じわじわと満ちてくる不穏な感じ。分かりそうで分からない「前任者の残した謎」のもどかしさ。誰が敵で、誰が味方なのかも分からない・・・・。

身に迫る危険を感じ、島を脱出しようとする主人公に迫る追手。無人の暗いフェリー乗り場を走る主人公の切なさと孤独が、映像からじわーーっとしみ出してきます。追手は鍛え抜かれたエージェント・・・ではなく、(影だけ見えるのが)ふつうのオッサンぽくって、そのリアルが、ああ、怖い、怖い。

ゴーストライター3.jpg

国家機密を知ったため、当局に追われる「ふつうの人」というコンセプトは、ハリウッドが大好きですよね。数年前「イーグル・アイ」なんて映画ありました。でもハリウッドだと、即物的で、携帯電波から居場所を特定し、完全武装の特殊部隊が乗り込んできたり、対戦ヘリで追いかけてきたりと、派手な娯楽アクションに堕しています。

ところが、「ゴーストライター」には、そんな大仕掛けはありません。フツウさが素直に怖いんです。映画が終わったとき、前の座席にいた女性2人の会話、「鎌を持って追いかけてくるよりも、こっちのほうが怖いよね」・・・うーん、いい発言です。

ゴーストライター5.jpg

主人公を演じるユアン・マクレガーさんは、シリアスなストーリーの中に、彼らしい「乾いたユーモア」を漂わせ好感が持てます。「スターウオーズ」などメジャー作品でも活躍する大スターですが、本作のような「こじんまりした」ヨーロッパ映画でこそ、彼の小粋な良さが光りますね~。

元ジェームス・ボンドのピアーズ・ブロズナンさんが、にやけた元英国首相を、いかにも外面の良い政治家に演じていて、はまり役。悪党っぽさがいい感じであります。さらに、ラング元首相の妻ルース役のオリビア・ウィリアムズさんが、分裂症気味で怪しい感じがまことにヨロシイ。登場人物の描き方も、上手いなあ~と感心しきり。

ゴーストライター6.jpg

脚本よし、映像よし、俳優よし、で、ロマン・ポランスキー監督まだまだ現役!を印象づけた作品です。変に難解ではなく、(ハリウッド映画ほどではないけど)分かりやすいドキドキに、すっかり嬉しくなりました。たぶん、昔のポランスキー監督のような「変化球」は、今の時代は受け入れられないでしょうからね。80歳にして、バランス感覚もアッパレ!であります。

繰り返しますが、是非、劇場公開が終わる前に、観てほしい映画であります。


nice!(2)  コメント(5)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

映画 「マイティ・ソー」 すでに公開終わりましたが・・・これは素晴らしい!! [映画]

夏です。暑いです。関東は連日30℃超・・・外に出ると体が溶けますぜ!って「プラネット・テラー in グラインドハウス」のブルース・ウイリスかっ! 

前々回記事に書いた気もしますが、この時期、深遠なる人間ドラマはご遠慮し、なーんも考えずにスカッと観てスカっと忘れるような映画をチェックしちゃいます。そういえば、ただでさえ演技が暑苦しいショーン・ペン出演「ツリー・オブ・ライフ」を、猛暑の日本で公開した配給会社の英断には、皮肉をこめた拍手を送りたいですねぇ。夏休みお子様映画に対抗するなら「オープン・ウォーター3 赤い珊瑚礁」しかないでしょうが・・・って、なんの話でしたっけ?

そう、夏はスッキリ、後をひかない映画が良いという私見をご披露したのでした。

そんなわけで公開は終わりましたが「マイティ・ソー」というアメコミ原作ファンタジーを拝見したので感想書きます。予告編を観た限り、神話をベースにしたコスプレ系の駄作に思えたのですが、とんでもない!駄作どころか、コミック原作のヒーロー映画で、これほど見事な作品は久しぶりでした。素晴らしいっ!

ストーリーが分かりやすいうえに、よく練られています。「X-MEN ファースト・ジェネレーション」よりも良く、現在公開中の「トランスフォーマー ダークサイド・ムーン」などは足元にも及ばない、観る価値アリの力作(断言!)。さて、「マイティ・ソー」、なにがそんなに良かったのか?

マイティ・ソー 2011年米

監督 ケネス・ブラナー 出演 クリス・ヘムズワース、ナタリー・ポートマン、アンソニー・ホプキンス、浅野忠信、トム・ヒドルストンほか

マイティソーP.jpgまず、浅野忠信さんハリウッド進出第一弾!という宣伝文句が日本人ココロをくすぐりましたね。でも映画はしょうもないんでしょ?くらいの冷やかし気分で拝見したんですね・・・ところがどっこい!前述のとおり、マジ、感動しちゃったワタクシであります。

ラストでナタリー・ポートマンの背中から真っ黒な羽がどばーっと生え・・・あれ、それは「ブラック・スワン」だよ、あっはは、と、ややこしいボケをかましている場合ではありません。

まずハッキリ申し上げて、「マイティ・ソー」、設定はめちゃ子供っぽいのです。

「神の国」の偉大なるオーディン王(アンソニー・ホプキンス)が老年を迎え、二人の息子のどちらかに王位を譲ることになりました・・・と、もろに中世騎士物語のノリであります。

老王が王位を譲ろうとする長男ソー(クリス・ヘムズワース)ですが、こいつが超問題児なんですね。ワガママ放題の暴れん坊。休戦中の巨人族の星に「俺様流」で仲間とのりこみ、無敵のハンマー”ムジョルニア”を振り回し大暴れ・・・ここに至り、老オーディン王の堪忍袋の緒が切れます。

ソーは「神の力」を奪われ追放、人間になって地球に落ちます。隕石よろしく地面に激突した彼は、異常を追跡していた天文学者ジェーン(ナタリー・ポートマン)たちに助けられます。しかし「俺様No1」のソーは感謝するどころか、横暴な言動で周囲をウンザリさせるのでした。

無敵のハンマー”ムジョルニア”が地球に落ちたことを知り、意気揚々と現場に乗り込んだソーですが、地面に刺さったムジョルニアを微動だにできず困惑、周囲からは狂人扱いを受け、自分の無力さと傲慢さを思い知り、深~く落ち込んでしまうのでした。

一方、ソーがいなくなった神の国では、ソーの弟が、敵である巨人族と手を結んで、老王から全権力奪おうと画策をはじめます。謀略に気付いたソーのかつての仲間たち(浅野忠信もこの一人)は、ソーを連れ戻そうと、王の命に背き地球へやってきます。

地球で「正しい人間」として生きることを決意したソー。しかし、邪魔者ソーを抹殺しようと弟の放った刺客(化け物)が地球に降り立ちます。神の力を失ったソーは対抗できるのか?ソーの追放は解かれるのか?「神」に戻って、弟の邪悪なもくろみを打ち砕けるのか?

マイティソー1.jpg

本作は傍若無人のワガママ坊主が千尋の谷(って地球だけど)に突き落とされ、初めて挫折を経験、しかし周囲の愛で「改心」し「成長」、ついには世界を救うという、ベタベタ・ヒーローストーリーなんです。ワガママ・ソーが中盤、ジェーン博士の優しさにふれて「オレ、マジ反省します、ごめんなちゃい」とばかりに、良い人(良い神?)へ急変貌するのはあまりに単純、ご愛嬌以上の無理を感じます。

(まあ、ナタリー・ポートマンさんの目で見つめられれば、どんなバカも心を入れ替えるてか?)

ところがですね、この映画、そんな無理すら吹っ飛ばす素晴らしさに満ちているんです。

ひとえにケネス・ブラナー監督の見識と思うのです。ケネス・ブラナーさんといえば、天才と称されたシェイクスピア俳優。さらに映画監督でもあります。シェイクスピア映画だけでなく、人生はいいよなあ~と思わせるキュートな佳作も作る才人です。

CG満載のアドベンチャー映画「マイティ・ソー」の監督依頼には、ご本人も驚いたようですが、さすがは天才と呼ばれるお方。CGは添え物にすぎず、肝は「親子の確執」「兄弟の嫉妬」「立場を超えた愛」すなわち人間の本質的ドラマと見極めておられますね。そこをおろそかにせず、しっかり描くから、観客が登場人物にシンパシイを感じることが出来るわけです。

マイティソー5.jpg

場面切替が良い意味で「演劇的」なのも見事。神の国と、地球上が、交互に描かれますが、ストーリーを進めるだけの説明シーンに陥らないよう、場面ごとに「山場」「決めセリフ」をもってくるのは、脚本の妙であり、かつ、監督のこだわりと思いますね。もしも「スター・ウォーズ」シリーズのスタッフに、こうした脚色センスがあったら、あれ、どんな名作になっていたか・・・うーん、ルーカル監督、残念なり!

「マイティ・ソー」のラストは、言うまでも無く、お約束どおりのソー大奮闘のカタルシス!無敵のハンマーも大活躍!臆面もなくCG映像の連発連発で嬉しくなります。大暴れだけのアッケラカン~で終わるのではなく、ソーとジェーンのほろ苦い恋ネタをまぶすなんざ、ああ、いいですねえ~~。

ソー役クリス・ヘムズワースさんは美男子ではありませんけど、格闘技系男臭さがいい味出してて、ちょいとチープな「神の衣装」もお似合い。まさに適役です。目が涼しく、笑顔が意外に可愛いので、ファンが増えそうですね。

ナタリー・ポートマンさんは「ブラック・スワン」の狂気の女から一転、彼女らしいチャーミングさで、奥手の女のコ(?)にバッチリはまっています。まあ、こんな可愛い天文学者が、現実のアメリカにいるもんか!という素のツッコミはしたくなりますが・・・。

マイティソー2.jpg

浅野忠信さん、出番はそれほど多くはないですが、邦画での「ヤサグレ感」が皆無で、清潔な雰囲気がはまってます(彼、いつもこうだといいのにねえ)。ソーに忠誠を誓う神の戦士をカッコ良く演じており、今後、ハリウッドからゾクゾク出演オファーが舞い込むことでしょう!パチパチ!

マイティソー4.jpg

ということで、「マイティ・ソー」を見逃した方、今は劇場で観れませんが、DVD化されたときには是非観てくださいっ!

ところで本編終了後、「ソーはアベンジャーズに登場する」という予告が出ます。ついに来ますかあ、ヒーロー大集合映画「アベンジャーズ」!アイアン・マンはすでに2作が作られていますので、今回の「マイティ・ソー」が揃えば、あとは日本公開を待つ「キャプテン・アメリカ」でいよいよ・・・楽しみですね。これは絶対に見逃せません!


nice!(2)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

映画 「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」 なんだかだまされたような、こんなんで良いのか? [映画]

あまりにも超メジャー、集客数でも興業収益でも文句のつけようのないファンタジー・シリーズの最新作にして、最終作(完結編)であります。しかし・・・困ったもんです、この作品は。。。

ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2 2011年

監督 デビッド・イエーツ 出演 ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン、レイフ・ファインズ、アラン・リックマン、マギー・スミス、ヘレナ・ボナム・カーター、ほか

ハリーP.jpg大人気シリーズにツッコミ入れるなんて怖れ多くて出来ません・・・な~んて気を使うような私ではございません!だって、この映画、スティーヴン・セガール主演「沈黙の宿命」以上にワタクシをガクーーッ!とさせましたからね。

問題は映画というより原作側にあるのかもしれません。(一冊も「ハリー・ポッター」を読んだことがないので分かりません、スイマセン)。

映画ファンを自認する以上、ワタクシも「ハリー・ポッター」シリーズは一作目から劇場で拝見してきました。ここまで延々と続くと、さすがに愛情というか独特の感情が湧いてきて、(どなたも同じでしょうけど)ラドクリフ君は大人になったなあ、とか、ハーマイオニー役のエマ・ワトソンちゃんは美人になって良かったなあ・・・などと、もはや父親気分になっているのであります。

しかしこれにはマイナス効果もあるわけです。

登場人物への思い入れが強くなるほど、観客はそこばかりに注目して、映画の出来が甘くてもOKしちゃうわけです。それじゃダメじゃん、って。

森繁久弥と小林桂樹さえが出てれば「社長シリーズ」はOKってこと・・・たとえがあまりにも古いわいっ!

まあ、製作側の苦労も分からないではありません。最初の4作目くらいまでは、一話完結的な雰囲気でまとまりがあったのが、後半は「連続もの」です。公開間隔が数カ月もあると観客の緊張感が維持できなくなる(というか前回のストーリーを忘れてしまう?)。そのうえ、演じているのが子供たちなので、1年も経てば成長し、声や容姿が変わっちゃうし。テンションとテイストを維持しつつ、シリーズを作り続けるのが難しいですよね。

ハリー2.jpg

しかし、そんなご苦労を割り引いても、この映画はトホホ~な出来に思えます。最大の問題は、

悪役が弱い!ということ。

「名前を口に出すのもはばかられる」ほど恐れられている闇の魔法使いヴォルデモート。こやつがハリー・ポッターの宿敵ですが、終わってみれば、このオッサン、腰砕けにもほどがあるわけです。

ヴォルデモートおじさんときたら「ハリー~~、お前は死ぬのだあ~~、生き残るのは俺様だあ~~、うひひひ」と余裕の発言をかますわけですよ。どうでもよいですがヤツの衣類は「たまには洗濯しようよ」くらい煤けてて、違った意味でも怖いですが、まあ、とにかく強気強気のおっさんなのである。

ところが、映画の顛末をみるに、まったく脇が甘い、のであります。

ハリー1.jpg

ハリー・ポッターごときコワッパ相手に、やることなすこと後手後手にまわり、魂の入った分霊箱を次々に破壊されるわけです。相手(ポッター)のほうが一枚上手で、余裕をかましてるうちに「ん?まじ?やばくね?」みたいに追いつめられちゃう。ヴォルデモートさん、そこまで尻に火がついているのに、まだ「ハリー~、お前は死ぬのだぁ~~、ふふふ~」・・・って、もうそれはいいから!さっさと目先の状況を把握&分析して、適切に対処しなさいってば!

部下のしつけといい、蛇のしつけといい、リスク管理能力を疑わざるを得ないのであります。

一番のボケは(ネタバレになりますが)、本作のラストでしょう。ヴォルデモート率いる「悪の軍団」がホグワーツ魔法学校に乗り込みます。ハリー・ポッターは、すでに殺されている・・・高らかに勝利を宣言するヴォルデモートですが、な、なんと!実はハリーは生きていた!(そりゃそうだ)

おいおい・・・どんなん甘いんだよ、って。

「ゾンビランド」というコメディホラーでさえ、「ゾンビに対しては、必ず銃弾を2発撃ちこんでトドメを刺す」と主人公は言いきっております。ヴォルデモートほどのお方(?)が、そんな重要な手順を抜かしてどうするのよ?

甘い、甘い、甘すぎるぞ!

挙句の果て、最後の分霊箱までコワッパどもに破壊され・・・うーん、だからさあ、蛇のしつけがなってないのよね!ヴォルデモートさんには「アナコンダ」「アナコンダ2」のDVDを観ていただき、蛇の生態に精通してほしいものです。

ハリー3.jpg

ヴォルデモートの右腕の女魔法使い(ヘレナ・ボナム・カーター)も口ほどにもなく、あっけなくヤラレてオダブツし・・・スネイブ(アラン・リックマン)も分かったような分からんようなオチで、はい、さようならだしなあ。

ああ、なんてことでしょう。最後の最後にこの腰砕けは・・・。

「ガンツ PERFECT ANSWER」の星人のほうが、まだ粘りがありましたよね。松山ケンイチさん、ほんとにお疲れ様でした・・・って、ここで言ってどうする。

「変な自信とプライドを持った敵(悪)が、なんだかんだ言いながら、結局は正義の前に敗れ去る」というワンパターン、イイカゲン、見なおしたほうが良いのでは?

「ドカベン」という懐かしい野球マンガがあります。主人公の所属する明訓高校野球部は、甲子園で常勝を誇る強豪なんですよ。ところが、試合前に余裕あるのは敵校のほうで、「ふふふ、明訓、破れたり!」なんて意味不明の強気をかましているんです。色めき立って動揺する明訓ナイン(なぜだ?)。でも結局は、勝つのは明訓であって。。。おいおい、敵校の「明訓、破れたり!」はブラフだったのかい!

「ドカベン」当時は良いとして、今でも、同じようなベタ流れでしか、ドラマを盛り上がげるすべはないんでしょうか?

ハリー4.jpg

ハリー・ポッターシリーズ、10年近くもネタを引っ張ったわりに最後に、あ~あ、てなもんです。

ということで、本作から得た教訓を現場KY風にまとめました(専門ネタでスイマセン)。

蛇のしつけはしっかりしよう!ヨシ!

敵を倒したあとはトドメを刺そう!ヨシ!

無意味な余裕をかますヒマがあったら仕事をしよう、ヨシ!

ご安全に!


nice!(3)  コメント(3)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

映画 「沈黙の宿命 TRUE JUSTICE PART1」 もはやコメント不要(不能?)のセガール軍団! [映画]

日本の夏。暑いです。強引ですが、そんなときこそ映画を観るべきでしょう。

なぜなら映画館は冷房が効いているからだっ・・・うわっ、なんて即物的な理由だ!

シリアスなサスペンス映画や、心打つ人間ドラマは猛暑には向きません。暑さを吹き飛ばすには、豪快で無茶苦茶で支離滅裂な作品ほど良い。要するにバカバカしい映画でないとね!その条件にぴったりの作品はこれしかありません!

スティーヴン・セガール御大ご主演「沈黙シリーズ」最新作である!

「沈黙シリーズってまだ作ってんのぉ?マジィ~?」と失礼な驚き方をしたアナタ。本来ならアナタの顔面にセガール御大の「沈黙拳」が炸裂するところですぞ。

アナタの疑問に対してワタクシはこう答えましょう、「都内で唯一、セガール映画を公開し続ける聖地、銀座シネパトスに行ってみたまえ」と。そこは怪しい異空間。セガールを師を仰ぐ屈強な男たち(平均年齢70歳?)が座席を埋め尽くして・・・はおらず、せいぜい10名程度のオッサンがユルユルとスクリーンの「沈黙・・・」を眺めているのである。

バカにしてはいけません。劇場がガラガラだろうと御大の評価に揺るぎなしであります。セガール師は「世評」など関心はなく、とうの昔に俗世を超越した存在なのだから。ブッダの悟りの境地!というよりは、

やりたい放題、好き放題の仏像オヤジなのである!

駄言を弄している場合ではありません。御大の最新作について語りましょう!!

沈黙の宿命 TRUE JUSTICE PART1 2010年米

監督 キオニ・ワックスマン 出演 ステーヴン・セガール、ミーガン・オリー、ウォーレン・クリスティー、サラ・リンド、ほか

沈黙の宿命P.jpg

嬉しいくらいお約束どおりの「セガールちっくな映画」であった・・・ああ、あっけなく作品を総括しちゃった。以上です。つーのもソッケないので一応、グダグダ書かせていただきます。

今回の御大はシアトル警察の特別捜査隊(SIU)のボスであります。4人の若い部下(といっても30~40代ですが)を率い、アジア人夫婦の射殺事件を捜査するうち、冷酷なマフィアの存在に辿り着くのであります。悪党どもの資金源である麻薬取引を阻止し、キャツラにふさわしい制裁を加えるべく最強チームは「決戦」に挑むのであった・・・チャンチャン。

うーん、熱く語ったつもりが、うわっつらストーリーをなぞっただけになったなあ。

沈黙の宿命1.jpg

今回の目玉はオヤジ最強チームともいうべき、捜査隊の活躍です。メンバーに個性があって(セガール映画らしからぬ)良い味出してるんです。特に女性捜査官2名は、分かりやすい美人であります、たぶん御大の好みの俳優なのでしょう。さすが、体はブクブクになっても、スケベエ根性は健在でありますな、このオヤジっ!

これまでのセガールさんといえば、一匹狼を演じるイメージじゃないですか。たとえ捜査チームの一員だとしても、他人の助けなどいらん!と、単独強引に暴れちゃう。ところがですよ、今回はチームの部下たちに「役割を分担させ」「適確な指示」をするんです。無能っぽい上司に対しては、大人の対応まで見せるのです(けっして殴ったりしません)。

要するに、しっかり管理職してるのです。「あこがれの上司といえば」星野仙一か、セガールかってなもんですなあ。

御大、ついに第一線を退き、後進育成に特化する決意をしたのか?・・・と油断させといて、この映画のラスト。最大の敵である、大物ロシアン・マフィア、ニコライへの鉄拳制裁&逮捕は、若手には任せず、きっちり自分でカタをつけるのだった・・・うーん、結局、最後は自分かよ!

部下に花を持たせる気は無いのかよ!あくまで「一番美味しいところはオレがいただくぜい」ってかあ。

ま、究極の「ご都合主義映画」、かつ御大がすべてを支配する映画ゆえ、深く考えず楽しめばヨロシイ!ってことですかね。あははは

沈黙の宿命2.jpg

全体にユルユル展開ですが、どんな映画にも「ここは」という見応えのあるシーンが存在します。本作では、女性捜査官二人が、マフィアの取引場所であるクラブに潜入、悪党ボスとテーブルをはさんで会話するシーンが良かった。すでに敵に、潜入捜査官ということがばれているわけです。腹の探り合い会話はスリリングですよ~~ドキドキしましたね~。クエンティン・タランティーノ監督「イングロリアス・バスターズ」を彷彿とさせる・・・・おっと、それは褒めすぎですね。

沈黙の宿命3.jpg

書けば書くほどだらしない記事になってきたので、そろそろ終わるとしましょう。

本作は「PART2」があるらしい。次回の「最強チーム」の活躍にもおおいに期待!(ホントはそれほど期待してないけど)、静かに続編をお待ちするとして。

最後にエールを送りましょう!

セガールオヤジ、まだまだ枯れず!

あと100本は「御大らしい無茶映画」お願いしまっ!


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

映画 「ブラック・スワン」 予想外のホラーテイストに嬉しくなりました! [映画]

映画「ブラック・スワン」であります。そろそろ公開も終わりですね、多くの映画ファンは観終わったでしょうから、今日は思いっきりネタバレでいくぞ~~。わはは、気持ちいい。

可愛いお嬢ちゃんイメージの女優ナタリー・ポートマンさんの「別の顔」を前面に打ち出し、彼女にアカデミー主演女優賞を、映画に大ヒットをもたらした、過去1年で最も成功した作品といえましょう。

しかし、私は、見事にこの映画にしてやられましたね。「レクイエム・フォー・ドリーム」のダーレン・アロノフスキー監督作ですから、一筋縄でいくまい、と予想はしてましたが、まさか、ここまでダークかつ、サイコな作りとは・・・一歩間違えたら、B級ホラーになりかねない危険な賭けにアロノフスキー監督と、主役ナタリーさんは果敢に挑戦し、見事「勝った」と断言しましょう!アッパレなり!

ブラック・スワン 2010年米

監督 ダーレン・アロノフスキー 出演 ナタリー・ポートマン、ミラ・クニス、ヴァンサン・カッセル、ウィノナ・ライダーほか

ブラックスワンP.jpg有名クラシック・バレエ団の頂点(プリマ)を目指し、しのぎを削る若いバレリーナたちのドロドロした確執と葛藤を描く人間ドラマ・・・前宣伝から、そんな内容を予想していたワタクシです。いわゆる北島マヤと姫川亜弓の「紅天女」の主役争いってかぁ・・・うわあ、たとえが古いわっ!

たしかに、「ブラック・スワン」でも、主人公ニナ(ナタリー・ポートマン)とライバル、リリー(ミラ・クニス)のトップ争い、具体的に言えば「白鳥の湖」のスワン役をめぐる確執が描かれます。しかし、驚いたことに、この映画、ニナとリリーのライバル対決は、しょせん添え物にすぎないのであります。

では、この映画の核心は何か?といえば。

ずばり、主人公ニナの狂気、に尽きます。

愛情を押しつけ何事にも干渉してくる母親に「監視」され精神の自由を奪われ、一方で、有名バレエ団の海千山千の同僚たちと役を争わねばならないストレス。ひとつの目標に対し、あまりにもストイックに努力するニナの鬱屈した精神・・・映画の前半でこれらが見事に描かれます。

バレエ「白鳥の湖」に登場する、善と美の象徴=白鳥(ホワイト・スワン)と、悪の象徴=黒鳥(ブラック・スワン)が、同じバレリーナによって演じられるというアンビヴァレンツな設定こそが、まさにニナの精神の分裂そのものなのです。そう、やがて狂気の「黒」が彼女の「白」を覆い尽くしてしまうことになる・・・。

ホント、脚本が上手いわっ!

ブラックスワン3.jpg

劇中にも出るセリフですが、彼女の敵はライバルのリリーでもヴェロニカでもなく、「彼女自身」だということです。

胸はぺったんこ、やせっぽち、セクシャル・アピール要素はゼロ。女性なら当たり前の化粧すらおぼつかない。セックスどころか、男性とのキスも出来ない未熟なニナ。自分に自信がもてず、いつもオドオドし、二言目には「ごめんなさい」と言って演出家から怒鳴られる始末。ナタリーさんが、このグズグズ・キャラをあまりにも上手く演じるため、オボコ(死語?)カマトト(死語?)っぷりにイライラ~としてくるんですけどね。

ところが映画はゆっくりと、しかし確実に、彼女の妄想と幻覚をスクリーンにあぶりだしていくんです。うわあ、このあたりから、かなり怖いぞ、怖いぞ・・・。

まずはサスペンス映画のように地味に・・・たとえば、ニナが、暗いガード下で、自分とそっくりな女性とすれ違い「あっ」と驚く場面。かつてアラン・ドロンが演じたウイリアム・ウィルソン(主人公が自分の分身=ドッペルゲンガーに悩まされる)を思い出させる卓抜なシークエンスです。「狂気」の発端を描くとともに、その後の伏線にもなってるんですから。

ブラックスワン4.jpg

主役スワンの座に大抜擢され、突然、注目の的となるニナですが、今度は主役を演じるプレッシャーに押しつぶされそうになり、練習でミスを連発します。同僚の言動は、自分を主役から引きずり降ろそうとする悪意に満ちたものに思え、公演初日に向かって彼女の狂気は加速しはじめます。

精神を崩壊させていくニナの目に映る、血しぶき散るホラーのごとく、凄惨な幻覚・・・。

ニナがトップの座を奪う形になった、元プリマのベス(ウィノナ・ライダー)は自暴自棄となり交通事故で両足の機能を失います。過去に出来ゴゴロからベスの持ち物を盗んだニナは、罪悪感にさいなまれ、ベスの病室を訪れて謝罪しようとする。ところがニナのこの行為は逆効果で、ベスは自らの顔に何度も刃物を突きさし血まみれになる・・・こんな悪夢の光景を生むのであります。うひゃーー怖い。

こうした節操のない盛り上げっぷり、大歓迎であります。

ところで、偉大な映画の条件のひとつは、「細部が徹底して作り込まれていること」ですが、本作はそこも抜かりはありません。ニナは寝ている最中、無意識に、血が出るくらい肩甲骨のあたりの皮膚をかきむしるのです(幼少期のトラウマをにおわせている)。不安定な情緒を象徴するシーンなんですが、これが凄まじい伏線になっているわけです。

いよいよ「白鳥の湖」の公演直前、プレッシャーとストレスと幻覚からボロボロになっているニナですが、自傷した肩の引っかき傷から黒いものが「生えている」のを発見するんです。愕然とするニナ・・・。

すでに、自分の精神の異常に気づいている彼女ですが、もはや、後には引けません。

「白鳥の湖」初日。自分の役を奪おうとしたライバル リリーを殺し、死体をクローゼットに隠したニナは、白鳥(ホワイト)としてステージに登場します。精神の混乱と、自分のバレエに自信が持てないため、踊りは精彩を欠き、あげく、見せ場のリフトシーンで床に落ちてしまう・・・。

極度のパニック状態のなか、今度は、衣装と化粧を変え、黒鳥(ブラックスワン)としてステージに出なくてはなりません。

そして、映画の最大のハイライトです。

最初は動きの硬いニナですが、次第に「ブラック・スワン」が”乗り移ったように”踊りは熱を帯び、やがて凄まじい表情と踊りへと変貌していきます。鬼気迫る迫力と表現力に、公演会場は大熱狂に包まれます。そして、圧巻は、例の肩の傷から、真黒な大きな羽が、どばーーっと生えてくるシーン!

「うわあ、出たぁーー!」と叫びそうになりましたね~。

ブラックスワン1.jpg

そう、ニナは狂気の果てに、自らの殻を破り、ついに「本物」に変身した、というわけです。

脇道にそれますが、本作の海外版ポスターは以下で、日本版よりも内容を適確に表現した良いアートワークだと思うのですが。。日本じゃあ「ひび割れた主演女優の顔」のポスターは受け入れられないでしょうけどね・・・。

ブラックスワン2.jpg

さて、映画は、悲愴な結末ながらも、それまでのエキセントリックさを埋め合わせるかのように、ニナの平和と愉悦に満ちた表情で締めくくられるのでありました。いやあ、満足満足。パチパチ・・・・。

他出演者、たとえば、ニナの母役や、ライバルのリリー、演出家のトマ(ヴァンサン・カッセル)も大健闘ではありますが、究極、この映画はナタリー・ポートマンさんの「ひとり芝居」であります。バレエシーンも見事であり、ここは素直に主役にエールを送ることにしましょう。パチパチ・・・・。

ここまでやっちゃと、ナタリーさん、次の出演作選びが大変じゃん?と思ったら、なんと、SFアドベンチャー「マイティ・ソー」(公開中)ですからね、彼女、頭がいいわ、やっぱり。ここでもパチパチ・・・・。


nice!(2)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

映画 「X-MEN ファースト・ジェネレーション」 ヒットシリーズの前日譚としてはベストの出来! [映画]

ハリウッドのヒットシリーズ映画って、しばらくすると「前日譚」(時間を遡って「以前」の出来ごとを描く)が登場しますよね。

二匹目のドジョウ、ってやつなんでしょうけど、不思議と邦画には少ないです。「フーテンの寅さん、ビキニング」、とか、「釣りバカ日誌、浜ちゃんライジング」・・・たしかに違和感ありますね。

邦画の場合、キャラクターと俳優が分かちがたく結びついてて、同一キャラを俳優を変えて別映画にすることに無理があるんでしょうね。大河ドラマのように、主人公の幼年時代と、成年時代を別俳優が演じ分けたとしても、それ「全体」で1本とみるのが、日本人感性だと思います。

ま、そんな小理屈は別として、もともと「前日譚」映画に違和感のあった私です。

特に若い頃の主人公が、お馴染みの「後の姿」と、あまりに落差があると、それだけで違和感ぬぐえませんよね~~。たとえばこの例はどうだあっ!

ハンニバル1.jpgハンニバル2.jpg

上左=「ハンニバル・ライジング」の20代のレクター博士(ギャスパー・ウリエル)。そして数十年たつと、上右=おなじみのハンニバル・レクター(アンソニー・ホプキンス)に変ぼう・・・映画的にはアリなんでしょうけど、長顔イケメンが、丸顔オヤヂになるなんて100年たってもありえんぞ。このキャスティングには無理あるでしょうがっ!

そこをツッコムのも大人げないと自覚しつつ、4本を数えるヒットシリーズ「X-MEN」の、数十年「前」を描く「X-MEN、ファースト・ジェネレーション」。どんな出来栄えだったのでしょうか?

X-MEN ファースト・ジェネレーション 2011年米

監督 マシュー・ヴォーン 出演 ジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、ケヴィン・ベーコンほか

X-MENP.jpgミュータント軍団 VS 人類・・・というより、プロフェッサーX率いる「善側」 VS マグニートー率いる「悪側」の壮絶なミュータント戦争を描くSFアクション・シリーズの「そもそもの始まり」であります。

「前日譚」映画には目を覆いたくなる駄作も多いですが、「X-MEN ファースト・ジェネレーション」は、ずばり、ひじょうに良く出来ていると思いましたね。既公開作品のテイストをしっかり踏襲し、人物の描き方も丁寧。満足しました。

反目するプロフェッサーXと、マグニートーが、かつて盟友だった事は、以前も触れられており、サプライズはありません。

本作のメインテーマは、むしろエリック(後のマグニートー)の個人的復讐なんですね。エリックは、ドイツの収容所で母を殺したミュータント(ケヴィン・ベーコン)を追いかけて、彼を殺すことに全霊を傾けているのです。ケヴィン・ベーコンが「インビジブル」のとき以上に、”こいつ殺したろか”と思わせる完璧な悪役っぷりで嬉しくなります。うーん、彼の俳優キャリア的には、いいのか、悪いのか。

復讐劇の結末は、映画館でご覧いただくとして、エリックが人類総てまでを憎むようになる背景が分かりやすく、かつドラマチックに説明されています。それゆえ、映画に一本芯が通った印象でした。CGや派手なアクションに走りそうな作品にも関わらず、節度があるなあ、と感心しきり。

X-MEN6.jpg

復讐に燃えるエリックをいさめて、ミュータントと人類の和解を解くのが優等生的な物理学者チャールズ=のちのプロフェッサーXです。人間相関図も上手く、出来ております。チャールズと兄妹同然に育った全身青色のミュータントのレイブンが、チャールズではなく、エリック側につく顛末も「なるほどねえ」と腑に落ちましたよん。

X-MEN2.jpg

結局、ふたりのカリスマ・ミュータント(チャールズとエリック)は互いの考えを受け入れず、映画ラストで、袂を分かつ、のですが、「その先」を観たいとワクワクさせる作り方が上手い。「その先」の映画って、すでに観ちゃってるんですけどね。あはは。

要するに、SFアクションは「ハナシがしっかりして、かつ、分かりやすくなければダメ」ってことですね。本作はホントに、その点が良かったです。

と、強引にまとめて、書くことが無くなりました。以上です。

X-MEN3.jpg

・・・・おおっつと冒頭のネタを忘れてはいけませんね。

主人公チャールズ(後のプロフェッサーX)を演じているのは、ジェームズ・マカヴォイさん。ナルニア国のタムナスさんです(そこかよ!)。そして「ラストキング・オブ・スコットランド」ではアミン大統領にボコボコにされる青年医師を演じ、「ウォンテッド」でもボコボコな目にあうという、ワタクシ大注目の、映画界一のやられ上手な若手俳優であります。

(「ウォンテッド」のブログ記事はこちら→クリック

体に染みついた「いじられテイスト」を払拭すべく、本作では堂々の主演です。リーダーっぷりも頼もしく、オレをやられ上手とは言わさないぞ、という強い決意を感じました(ホントかよ)。

X-MEN4.jpg

これも10年間、「かわいがり」されたおかげでしょう。なるほど、「若い頃の苦労は買ってでもしろ」というのは正しかったのですね。

さあて、X-MENシリーズのプロフェッサーX。童顔はいってるマカヴォイ君が、果たして数十年後に、こんなツルパゲのコワモテになるものでしょうか?問題はそこだっ!・・・って、結局そのツッコミかよ?あはは。

X-MENパトリック.jpg

nice!(3)  コメント(3)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。