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映画 「ゲーマー」 発想は面白いけど、やっぱりイマイチ乗れない近未来SF。 [映画]

のっけから本題ではないハナシで恐縮ですが、夏に公開され、見逃していたシチュエーション・スリラー「フローズン」を先日、浅草の名画座で拝見したのです。冬のスキー場で、リフトに乗ったまま置き去りにされた若者3人の脱出劇・・・うーん、出来ばえがよかったせいか、ダイレクトに寒さと恐怖が身にしみる佳作でありました。おお、思い出しても痛いぞ、寒いぞ、ぶるぶる~~。

身も心も冷え切ったキャッチ・ア・コールド気分を払拭すべく、あっけらか~んを期待して次に拝見したのが、本日ご紹介の「ゲーマー」というわけ。

「ゲーマー」主演俳優ジェラルド・バトラーさん、ワタクシ、大好きなんです。マスクで顔半分隠してた「オペラ座の怪人」の”怪人役”は別として、「Dear フランキー」の不器用な優しさは絶品だし、一転、「300」のマッチョ・アクションは迫力満点。イマイチ食いつけなかった「PS.アイ・ラブ・ユー」でさえ、バトラーさんの笑顔と存在感は光っていましたからね~。

バトラーさん目当てながら、映画にもちょっぴりは期待した「ゲーマー」でしたが・・・。

ゲーマー 2009年米

監督 マーク・ネヴェルダイン&ブライアン・テイラー 出演 ジェラルド・バトラー、アンバー・ヴァレッタ、ローガン・ラーマン、テリー・クルーズほか

ゲーマーP.jpg今から数十年後の「近未来」・・・と書いただけで、フローズン的なお寒い気分になりましたが・・・いかん、ここで頑張らねば!

デジタル技術、通信技術、医療技術の進歩により、人々は自宅にいながら、別人を操りバーチャルな別世界「ソサイアティ」を満喫できるようになっています。あれれ?それってブルース・ウィリスが出てた「サロゲート」っぽくね?・・ま、いいか。

ここで究極のゲームが登場します。死刑囚の脳を遠隔コントロールし、生き残りゲームをさせる「スレイヤー」です。生身の囚人たちが殺し合うわけですから、当然、撃たれれば「人間」が死ぬ。30ゲーム生き残った戦士(囚人)には無罪放免の特典があるもののクリアはほとんど不可能。そしてスレイヤーは、リアルタイムで全世界に放映されて、莫大な利益を生む”番組”でもあるのです。

殺人犯ティルマン(ジェラルド・バトラー)はスレイヤーを27ゲーム勝ち続けているスーパーヒーロー。あと3ゲームを生き延びれば自由の身となり、別れた妻子と会える・・・それだけを心の支えに毎週繰り返される地獄を戦ってきました。

サバイバル・ゲームをデジタル仮想キャラに闘わせずに、”生身の人間”を使うという点が、一応は新機軸(のつもり)なんでしょうね。たしかに戦闘シーンは戦争映画さながら、派手にドンパチやってくれます。個人的には戦闘に重点をおいたSFアクションで良かったと思うのですが、悲しいかな、本作は「やっぱりソッチに進むのね・・・」というイケナイ方向に展開するのでした。

ゲーマー1.jpg

ティルマンは、「人間を遠隔操作する研究」で実験台にされた元軍人なのです。実験の不都合を隠ぺいするため無実の罪を着せられ、刑務所送りになったのでした(まあ、そんなことじゃないかと誰でも思いますがね)。その敵こそ、まさにスレイヤーを造った男・・・。

ティルマンに残りの3ゲーム勝ち抜かれては困る「企業側」は、刺客を送り込みティルマンを無きものにしようと画策します。一方、人間をモノのように操る世界に反対する地下抵抗組織「ヒューマンズ」はティルマンを脱獄させるべく、彼を”操作”する17歳のサイモンに接触します。

さまざまな思惑と陰謀をはらみながら、いよいよ、”残り3ゲーム”が幕を開けるのでありました。チャンチャン!!

ゲーマー2.jpg

さて、この映画。

ミもフタもない言い草ですが(予想通り)目新しさはほとんどなく、定番近未来SFの「焼き直し」の感は免れません。「サロゲート」と「デスレース」を足して二で割ったみたいな。悪役が、人間操作技術で世界征服をもくろむ・・・って設定があまりにもベタで、口数の多い厭味ったらしい阿呆なのも、寡黙な主人公と対比を狙ったとはいえトホホ~~な気分。

ティルマン抹殺の指令を受け、刑務所に送り込まれた黒人マッチョマンは顔面に力入れ過ぎの高血圧野郎で、たいした働きもしないまま、返り討ちにあってオダブツ!それって、ある意味リアルですが、普通に言えば「腰砕け」。添え物キャラにもほどがあるぞ!

ティルマンの妻子にも、さっぱり感情移入できません。感動の家族対面シーンはヘタな寸劇を見せられた気分です。(年端もいかないとはいえ、あの子役、なんとかならんのか!)

加えて、私の好みの問題ですが、やたらに画面を明滅させたり、アップと引きを繰り返す映像編集が気に入らないです。「これが近未来気分だ」とでも言うのでしょうかね?ひじょうに煩わしい、というか趣味が悪い。失礼ながら妻役アンバー・ヴァレッタは若手女優ではないんだから、お顔のアップはほどほどにしたほうがヨロシイです、監督。

ゲーマー4.jpg

ジェラルド・バトラーという実力派を主役に据えたのだから、変に映像に凝らず、むしろ、彼のキャラを活かし、じっくり主人公の怒りや悲しみを語る手法がベターだったのではないかな?

こんな雰囲気に引っ張られ、バトラーさんまで不完全燃焼っぽいのは残念であります。カタルシスを感じるはずのラストシーンだって、唐突だし無理があるし・・・。

文句ばかりもなんですが、全体に重苦しくて、後味が悪い点もマイナス評価ですねえ。

ということで、褒めどころを見つけにくい作品ながら、「フローズン」で冷え切った体はなんとか温まりましたよ。ありがとう!!って、評価ポイントはそこなのかい!


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映画 「マチェーテ」 デ・ニーロさえも脇役に押しのけ、ダニー・トレホさんの堂々たる主演アクション! [映画]

前回ブログ更新が10月28日・・・おお、約1か月振りの更新!定期読者はいない(と思われる)本ブログですが、一応、ご無沙汰してすいません。

11月上旬に自宅を引越しバタバタしていたのが主因ですが、それとは別に、新居の界隈に映画館が無いのがイタイ・・・正確に言えば、あるけど少々遠い。なにせこれまでは徒歩でシネコンに行けましたからねえ、「映画ファン的には」不便な新居なんですよ。

そんなことも言ってもいられません。新たな映画館開拓に乗り出します。通勤路を迂回し「こち亀」で有名な、JR常磐線(千代田線?)の亀有(かめあり)駅で下車。徒歩3分のMOVIX亀有に行ってきました・・・って、映画館のハナシはどうでもいいですね。ははは。

マチェーテ5トレホ.jpgさて本日ご紹介の作品は(上映終わってて恐縮ですが)、ロバート・ロドリゲス監督、主演ダニー・トレホ、知ってる人はメンツを見ただけで血が騒ぐであろう、B級テイストのアクション大作「マチェーテ」であります。

ダニー・トレホって誰だあ?なんて言ってる人、まさかいませんよね?困りますよ、そんな低アンテナっぷりでは!

見るからに武骨、兇暴なご容姿で、多くのB級(失礼)映画でステキな脇役(ほぼ悪役)を演じてきた66歳!出演数の膨大さから「アメリカの田口トモロヲ」と勝手に私が呼んでいる御仁です。ちなみに今年公開された「プレデターズ」でも、”彼らしい”雄姿をみることが出来ますぞ(当然、脇役です)。

2007年、ロドリゲス&タランティーノ監督の確信犯的チッキュでチープな2本立て映画「グラインドハウス」で流れた”偽の”映画予告編「マチェーテ」でブレイク(?)。予告編から、あれよあれよと本編が出来あがったというわけ。日本の諺では、これを「ひょうたんからコマ」という・・・ま、それは良いとして。

ロドリゲス監督といえば、なんでもありの無礼講な痛快作が大好きですが、”やり過ぎ”についていけないケースもあり(「デスぺラード レジェンド・オブ・メキシコ」など)、少々、不安な気持ちで映画館へ向かったのであります。

マチェーテ 2010年米

監督 ロバート・ロドリゲス&イーサン・マニキス 出演 ダニー・トレホ、ジェシカ・アルバ、ミシェル・ロドリゲス、ステーヴン・セガール、ロバート・デ・ニーロ、リンジー・ローハンほか

マチェーテP.jpgいやあ、驚きました!これほど面白いとは!本作を見逃した方、実に残念でした(合掌)。

メキシコとアメリカの国境を舞台に、元連邦捜査官マチェーテ(ダニー・トレホ)が巨悪に挑む!(おっと、一行で映画を総括してしまった!)

捜査官時代に、妻と子を麻薬王トーレス(ステーヴン・セガール)に殺され、怒りと恨みを持ち続けながらも、生きるために日雇い労働者にまで身を落としたマチェーテ。違法移民締め出しに野心まんまん(実は悪党)の上院議員(ロバート・デニーロ)の暗殺を引き受けたことから、陰謀渦巻く世界へいやおうなく巻き込まれます。

移民たちを守る地下組織の首領ルース(ミシェル・ロドリゲス)。実直な正義の捜査官サルタナ(ジェシカ・アルバ)らを加え、ワクワクドキドキの大活劇が展開します。撃ちまくり、爆発しまくり、収拾つかないドンパチ状態を締めるのは、善代表のダニー・トレホさんと、悪代表のステーブン・セガールさんの刀を使っての一騎打ちなのだ!

それまでさんざんマシンガンで撃ちまくっていたのに、「刀」ですかあ?・・・と、セガールちっくなテイストも嬉しいですよねえ。ちなみに題名であり主人公のニックネームでもある”マチェーテ”とは南米で使われる刃の大きな刀のことだそうです。

いずれにしても、オスカー俳優ロバート・デ・ニーロを尻目に、B級俳優(?)どうしがスクリーンを支配する様は、千葉ロッテマリーンズ日本一に匹敵する「下剋上」的痛快さ。

お約束とはいえ「どうしてそうなるの?」とツッコミせざるをえないエンドシーン。ジェシカ・アルバちゃんが、マチェーテにメロメロになってバイク上で「正対」して闇夜へ消えていく・・・おいおいっ!ねえさん!そのオッサン、66歳だぞっ・・・って俳優の実年齢を言ってどうする。ジェシカ・アルバちゃんの熱烈ファンのワタクシとしては、納得できかねる展開ではあった。

マチェーテ1.jpg

すでにかなり書いちゃいましたが、とにかく出演者がスゴイ!主演ダニー・トレホさんのことは後にして、まずは脇役。これが実に良いんです。「良い」という意味は、顔見せで終わらずに、それぞれが見事に役にはまっててイキイキと楽しそうだから。映画は俳優が楽しむものではなく、観客が楽しむものだろ!というご批判あろうかと思いますが、「俳優が輝いていないと」映画はダメですよ~~。

ジェシカ・アルバちゃんは準主演級の大活躍です。頑張っているけどイマイチな若手捜査官。予想不能なマチェーテに翻弄される「いいヤツ」がはまって、笑顔は当然GOOD。出産のハンデ(?)を感じさせない可愛らしさにマチェーテでなくてもヨロっときますわなあ。

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目力抜群のミシェル・ロドリゲスさんはお約束どおりの強い姐御(あねご)を熱演。顔面を撃たれても復活するゾンビ!?なパワーがスゴイ。ラストの銃撃戦でのへそ出し=無意味なセクシールックスに監督のサービス精神をみた!いいんじゃないですかーーー。

マチェーテ4.jpg

小心でズルがしこい政治家役を、本来ありえない超ビックネーム=ロバート・デ・ニーロが決めてくれるのも嬉しい!処世術でコソクに銃撃戦を生き抜いたものの、もちろん・・・ですよね!デ・ニーロにとっては端役といっても良いわけですが「ジャッキー・ブラウン」と同様、”主役でない楽しさ”をご堪能されているようで。いいねえ。

マチェーテ9.jpg

で、いよいよ主役二人。

マチェーテ=ダニー・トレホさんと、宿敵トーレス=ステーブン・セガールさん!!

はいっ。ワタクシの文章力では、本作の彼らの魅力を伝えきれません。

脇役街道をまっしぐら、主演などありないとご本人も思っていたであろうトレホさん。

一方、ここ何年、米国で劇場公開作のない(ビデオ・ストレート作品のみ)「過去のスター」セガールさん。

お二人の豪華(?)対決は、「椿三十郎」の三船敏郎と仲代達矢に匹敵する、映画史に残る名シーンとなりましょう・・・・ならないか。

てなわけで、どこを切ってもロドリゲス。なんだかわからんけど溜飲下がった「マチェーテ」。無茶苦茶なストーリーにもなんのその、個人的に120点を差し上げましょう!パチパチ。予告編は以下であります。

 

「ガンガンいくぞーー!」という雄たけびが聞こえそうなトレホさん。いいねいいね!

マチェーテ7.jpg

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映画 「エクスペンダブルズ」 スタローンは終わった?とんでもない!痛快活劇に感激の一作。 [映画]

映画「エクスペンダブルズ」、いやあ、面白かったなあ。痛快だったなあ。いろいろな意味で・・・・。

まずは主演スタローンさんについてです。世の中には「旬を過ぎる」という、残酷/意地悪/ミもフタもない言葉があり、野菜や果物にならまだしも、ワレワレは芸能人にも適用してしまう。

本作の主演シルベスター・スタローンさん、はっきり申し上げて、10年前の時点で既に「旬を過ぎて」いたのであります。「ランボー」「ロッキー」シリーズというビック・ヒットの功績はあるものの、逆にその栄光が”お寒い感”を醸し出すバッド・スパイラル。

アクションスターの「老年」とは難しいものですねえ。若手の台頭は無視できず、苦肉の策(?)として演じる役柄に、俳優のスタンスを重ね合わせる(ややこしく言ちゃった!)。「かつて名を成した●●が、やんちゃな若手に手を焼きながらも最後にスゴイ底力を見せる」というパターンですな(●●には職業や特技が入る)。クリント・イーストウッドの「ルーキー」「目撃」しかり。ケビン・コスナーの「守護神」しかり。ブルース・ウィリスの「アルマゲドン」・・・枚挙にいとまなしです。

では御大スタローンさんはどうか?95年「暗殺者」(共演アントニオ・バンデラス)はまだしも、02年「ドリヴン」あたりから、後進育成(?)の隠居道に入り、もはや「アクション映画で主演を張る」など夢のまた夢に思えたものです・・・・。

それがどうでしょう!

還暦(60歳)間近を逆手に「ロッキー・ザ・ファイナル」で世界を泣かせ、あげく「ランボー」新作まで作ってしまう無礼講っぷり。それも先人が歩んだ”ジジイ懐古録”な駄作でなく、しっかりした作品。堂々たるアクションスターとしての復活に恐れ入りますなー。

そしてついに出ました、スター新境地(!?)。64歳の御大の、日本でいえば「年金受給者」目前ながら、体を張った超絶アクション大作「エクスペンダブルズ」!(少々、興奮気味です)

前置きが長かったですが、観ないわけにはいかないですよね~~これは!

エクスペンダブルズ 2010年米

エクスペンP1.jpg監督 シルベスター・スタローン 出演 シルベスター・スタローン、ジェイソン・ステイサム、ジェット・リー、ドルフ・ラングレンほか

自らを「エクスペンダブルズ(消耗品)」と呼ぶ命知らずの傭兵軍団。もちろんスタローンさんはその頭領である。配下には見た目スタローンと同年代(実は若い)ジェイソン・ステイサムさん。そして中国の至宝こと、ジェット・リーさん、などなど。

こやつらが、アクション映画の定番どおり、「この人数では不可能でしょう」とツッコミを入れたくなるムチャ振りミッション(南米の独裁政権崩壊)に挑みます。スパイ大作戦的姑息な「ズル」「ヒッカケ」「ダマシ」はなし。生身の正面突破であります。弾丸&爆弾ですべての事を成す。あってないような作戦・・・いや、あの、その・・・という間もなく、悩み無用の痛快アクションなのであります。(間違っても、登場人物たちの正気を疑ってはいけません)。

スタローンさんのそこまでやるか?の肉体改造と、(それなりに)キレのよいアクションは「かつての」スターではなく、バリバリ現役感を発散しており、「ロッキー」」世代のワタクシは涙涙の大感激です。一筋縄ではいかない傭兵たちをまとめるリーダーシップにも違和感なしの貫禄。いやあ、カッコいいわあ!

スタローンさんを支える傭兵メンバーも大活躍です。ジェイソン・ステイサムさんは、第二の主演と言うべき暴れっぷりがスガスガしい。敵国への潜入調査から、重火器携えての殴り込みまで、スタローンと行動を共にする盟友という役どころを、きっちりこなす。さすが!

エクスペン5.jpg

この手の映画、新旧対照(対決?)を強調しようと、深く考えずに共演に「若手」を持ってくるケースが多いですが、その愚を犯していない点は評価したいっす。集客狙いなら活きのいいイケメン俳優、アストン・カッチャーとかシャイア・ラブーフあたりを据えたいところでしょう。そこをあえて、オジサン=ジェイソン・ステイサムをぶつける英断には拍手拍手であります。

ステイサムさんの「男臭さ」&スタローンさんとの「波長バッチリ感」が心地よいんですなあ。それに比べるとジェット・リーさんの添え物感は少々問題ではないかな?スタローン監督。

エクスペン1.jpg

さて、お約束のツッコミタイムであります~~。

本作にはスタローンさんと人気を二分したアーノルド・シュワルツェネガーさんが「顔見せ」程度に登場します。このシーンが笑えましたねえ。政治家へ転身したとはいえ、シュワちゃんとて「俳優だった」わけです。ところが彼ったら・・・ハッキリいって、長嶋茂雄さん(野球選手)がドラマにチョイ役で出たような違和感、つーか所在なげ、つまりは、まるっきりの演技シロートっぽさがヤバイのです。

同じシーンのスタローンさん、ブルース・ウイリスさんという「現役」は当然フツーの芝居をするわけですが、シュワちゃんの「素人っぽさ」と相まって実~に変な空気になっちゃってる・・・これ、ある意味、映画史に残る名場面ですぜい。いや、マジで。

エクスペン8.jpg

さて、ツッコミの2番目(ネタばれです)は、これまた懐かしいドルフ・ラングレンさん。ロッキー3作目?でスタローンの敵ボクサーを演じた能面無表情なお方。今回の彼の役どころは、傭兵軍団の一員でしたが、ドラッグ中毒で破門されて逆恨み。こともあろうに、敵に寝返りエクスペンダブルズを襲うのです(映画ポスターで彼が並んでいていいのか?)。敵としてさんざんご迷惑をかけておきながら、一件落着後のラストシーン、ワタクシは目を疑いました!

ドルフさん、「いやあ、ごめんごめん」みたいに苦笑いしながら仲間に戻ってるぞ!エクスペンダブルの面々もドルフ君に対して「だめだぞぉ!あんなことしちゃ!」。「あはは、面目ないっす。許してチョンマゲ!」・・・って、こりゃインド映画ですかあ!?

エクスペン4.jpg

「ハリー・ポッター」シリーズでこれをやったら、観客、大暴動ですぞーーー。

てなわけで、結論=エクスペンダブルス、バカにせずに必ず劇場で観るようにねっ!スッキリしますよん。


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映画 「シングルマン」 なんという素晴らしい映画!コリン・ファースの名演に涙涙です! [映画]

2週間ほどブログ更新をさぼりました。その間も、映画はポツポツ観てたのですが、出張と飲酒に忙しくってブログ放置状態というわけ・・・。ま、このイイカゲンさが楽しいのですな。

上映終了が迫った作品で恐縮ですが、本日は映画「シングルマン」について書きます。

結論から言っちゃうと、映画好きを自称される方なら、絶対に観るべき作品と申し上げましょう!ワタクシの本年観た映画TOP3(現時点)内にランクインです。(ちなみにTOP3他2本は「オーケストラ!」と、「瞬(またたき)」)

おおげさに聴こえるかもしれませんが、「シングルマン」観賞の1時間半、脳天がじーんとシビレルような感覚を味わいました。感動というか呆然というか。あまりに苦しく、切なく、それでいてどこか滑稽で滅裂で・・・矛盾や不条理をひっくるめた「人生そのもの」のダイレクトな迫力。

主演コリン・ファースさんの言葉を失うような名演技・・・こんなスゴイものを見せられたら、いったいどうすれば良いのだ!ため息しか出ません。ベネチア国際映画祭など賞総ナメも納得です。米アカデミー賞(主演男優賞)はノミネートはされたものの受賞は逸しましたが・・・(なぜ、受賞できなかったのだ!?プンプン!)。

いずれにしても、本作が目指した美意識・人間観に、コリン・ファースさんの存在感・経験が、天文学的確率でばっちりはまって生まれた稀有なる「結晶」であります。

こんな見事な映画がポコン!と登場するから、映画ファンはやめられないっすね!

シングルマン 2009年米 

監督 トム・フォード 出演 コリン・ファース、ジュリアン・ムーアほか

シングルマンP.jpg1960年代前半のロサンゼルス。ゲイの大学教授ジョージは、16年間を共に過ごしたパートナー(男性)を突然、交通事故で失います。大邸宅に住み、尊敬される社会的地位を持ち、傍から見れば何不自由のないジョージですが、深い悲しみと喪失感から、現世で生きる意味を見つけられず、ついに自殺を決意するのでした。

映画はジョージがピストル自殺を決意してからの1日を描きます。自らの手で死を選んだ彼の目にうつる、ごく日常の風景や人々。そして「彼」との記憶。いとおしくも、悲しい、セピア色の映像が胸に迫ります。(この映像の「色」にも工夫が感じられます)

隣家の子供たちの無邪気な笑い声。大学の講義で質問してきた美貌の男子学生へのふっとよぎる「想い」。かつてつきあい破局した女性チャーリー(ジュリアン・ムーア)との感情剥き出しの会話・・・主人公の末路はどうなるのだろう?という興味だけではなく、次々に現れるこうした一瞬一瞬の命の輝き、それが、映像に刻み込まれているのです。

繰り返しになりますが、ゲイの大学教授を演じたコリン・ファースさんは素晴らしいの一言に尽きます。一人芝居といってもよいほどの出ずっぱり状態。主人公の絶望を言葉でなく視線、表情、微妙な所作で表現する、この力量はなんだ!?

コリン・ファースさんといえば、「ブリジットジョーンズの日記」の弁護士、「真珠の耳飾りの少女」のフェルメール、「恋に落ちたシェークスピア」の領主とプチ情けない役どころのイメージがあったワタクシですが、「シングルマン」では一転、傲慢ともいえる初老の教授役です。本来ならガチガチのシリアステイストになるところですが、そこを彼独特の「情けないフレーバー」(?)をちょっとまぶすことで、この映画は光り輝いたのでありますね。まさに絶妙です!

シングルマン1.jpg

お気付きの方もいるでしょうけど、1950年代に「鬼火」というフランス映画がありました。「シングルマン」と同じように、ピストル自殺を決意した男(モーリス・ロネ)の1日を描いた作品です。「鬼火」は主人公のブッチョーヅラも災いし、救いようのないダーク&ウエットなハナシに仕上がっています。一方、「シングルマン」は、決してそうではありません。

シングルマン7.jpg

「シングルマン」は底なしの絶望を描きつつ、しっかり希望も描いている。そこが見識でありツボなのですね、で、話が戻りますが仮に主演がコリン・ファースさんでなければ、この成功はありえなかった、と断言したい。

愛とは、人間とは、生とは、そして死とは・・・・これほど核心に突っ込んでくる映画的アプローチもめったにお目にかかれません。ややもすると大上段に構えたくなるテーマを、過剰に演じず「空気」で表現するコリン・ファースさん・・・ああ、どこまで褒めても褒め足りないなあ!

シングルマン2.jpg

監督トム・フォードさんはファッション・デザイナーとして世界的に有名な方らしい。ワタクシ、全く存じ上げませんでした。「そちら業界」で功なり名を挙げ、趣味で映画監督に挑戦かよ、オイオイ、と色眼鏡で観ていたワタクシでしたが、映画を観終わって大反省です。脚本や俳優の見事さに加えて、監督の美意識とこだわりが、明らかに成功に一役買っているといえるのですから。

スイマセン、この手の映画にワタクシが駄言を弄したところで、未見の方を混乱させるばかりですね。とにかく、ぜひ映画館で本作を観てほしい。ひさしぶりの大推奨作品でありました!

名実ともに「名優」となった(?)コリン・ファースさんですが、是非とも、いままでどおりの(?)情けないコミカルな役もお願いしますねっ!!


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映画 「ナイト&デイ」 トム・クルーズとキャメロン・ディアズのスター共演も、このテンポと脚本じゃあ・・・ねえ? [映画]

ワタクシのブログ記事は長い・・・と反省しきりの今日この頃ですが(ウソです)、今回はすっきりとまとめられそう、といいつつ書き始めると長くなるかな。スイマセン。

トム・クルーズキャメロン・ディアズ、ハリウッドスターが約10年ぶり共演!という宣伝文句につられ”それなりの”期待をもって臨んだコミカル・タッチのアクションムービー「ナイト&デイ」であります。さ~てその結果は!?

ナイト&デイ 2010年米

監督 ジェームズ・マンゴールド 出演 トム・クルーズ、キャメロン・ディアズ、ピーター・サースガードほか

ナイトP.jpg平凡な女子・・・ならぬ独身女性ジューン(キャメロン・ディアズ)は、空港でイケメン男性ロイ(トム・クルーズ)と偶然知り合います。同じボストン往きのヒコーキに乗り合わせ、ウキウキ気分のジューン。しかし、彼女が機内トイレに入っている間にロイは、他の乗客、CA、パイロット、すべてを射殺・・・。何が起きたかサッパリ分からず呆然のジューン。

不時着して爆発するヒコーキから、ロイに助けられたジューンですが、今度は彼女自身が謎の組織につけ狙われます。拉致されかけたジューンを間一髪で救ったのは、またしてもロイ。はたしてロイは何者なのか?ジューンにとっての騎士(ナイト)なのか?それとも・・・。

というわけで、この映画。

めまぐるしく変わる展開、北米から始まりアルプス、オーストリア、スペイン、南米・・・と世界を駆け巡る二人の冒険活劇です。元スパイのトラブルに巻き込まれる一般女性・・・という設定ですが「ボーン・アイデンティティ」「ソルト」のようなシリアス・ドラマではありません。

ずばり、コメディ。ケレン味たっぷりの確信犯的な荒唐無稽&無茶苦茶アクションなのであります。

それはそれで良い。主人公が死なないハッピー映画と割り切れば、ハラハラドキドキはない分、ゆるい会話とギャグに身を任せ、しっかり苦笑いできるというもの。

しかし、そうだとしても、本作は基本、ダメ映画!でありまして・・・。

ナイト1.jpg

まずは、ダル~いテンポがいけません。のべつまくなし走ったり、騒いだり、撃ったりしてるから本来ならスピーディのはずなんです。ところが合間の「小芝居」がいけないんですよ。小芝居をまぶす割りに、説明すべきポイント(たとえば、敵に捕まったロイはどうやって脱出した?などなど)がオザナリになってる。あれ?あれ?と引っかかるので「気持ちが乗らない」のであります。

一刀両断で言っちゃうと脚本が雑だってこと

絶体絶命のピンチに、なぜ余裕しゃくしゃくなの、トム君?圧倒的多数の敵からマシンガンで銃撃されまくる中でプチ・ラブシーン・・・いらねえよっ、そんなもん!そもそも、敵さんたちときたら、トム君&キャメロンの引き立て役でしかないので「撃って下さい」と言わんばかり。ゲームセンターの標的なみの撃たれ上手ですぜ。そこのおじさん、危ないから銃口の前に立たないでください~って「20世紀少年」のトヨエツかよっ!

コメディと割り引いても、あまりに緊張感なさすぎだって。少なくとも「敵(のひとり)は、もっと狡猾で手ごわく」しないとさあ。偶然にはじけて飛んだナイフに刺さってアギャー・・・ってギャグかよ?情けないよ。もう、お笑いのステージ観ているようだもんな(それも、出来の悪い)。

ナイト2.jpg

さらにツッコむと、トム君、キャメロンちゃんの行動に必然性が感じられないのもイタイ。とにかく、なんか雑で。ストーリーを進める都合、映画的な無理も多少は分からんでもないが、違和感がありすぎで素直に映画に入り込めないっす。あ~イライラ・・・。

自殺行為としか思えぬ「殴りこみ」を連発するロイ、ラストまで生きのびたのは奇跡でしょ。

ジューンがロイに心惹かれていく過程だって無理矢理はめこんだよう。ジューンが平凡女から「脱皮」する流れだって強引な印象がぬぐえない。こいつ、頭が狂ったのか?と思いましたぜ。

見どころをベタ連打せずに、しっかり伏線を作って「メリハリ」をつけてほしかった。ま、この手のスター映画(死語?)に何を言ってもしょうがない・・・のかあ。

ナイト3(J).jpg

とはいえ、本作の最大のツッコミどころは、ここです!

ピーター・サースガードが登場したとたん、悪党に違いない、と確信しちゃったぞ!キャスティング的にどうなのよ?それ。

ナイトピーター.jpgだってえ、彼の顔つきと芝居が「フライト・プラン」の悪役のときと、全く同じなんだもん(ジョディ・フォスターに意地悪してたよな~)。

ピーターさんったら・・・この正直者!

蛇足ですけど、ワタクシ、トム・クルーズさんと同い年であります(自慢だぜ)。あのさわやか~な笑顔は、今後の人生のためにも、しっかり学ばねばならんなあ、と、素直に尊敬であります。あはは。


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映画 「TSUMANI -ツナミ- 」 韓国の本格的ディザスター・ムービー、いいんじゃないですか~~。 [映画]

ワーナー・マイカルシネマ妙典に行きました。映画を「5回見たら1回タダ」のポイントカードを使って、金を出してまで観たくはないタクランケ映画「バイオハザードⅣ」を拝見しようと・・・・しかし劇場窓口のおねえさん、「このポイントカードは、3D映画に使えません」という・・・。

おいおいっ!別にワタクシは3Dを観たいわけじゃない。2Dで上映しないのはソッチ(劇場)の都合ですぜ。それに最近公開されるファンタジーやアクションは3Dばっかじゃん。。。

2秒ほどムカっとしましたが、事を荒立てずに「じゃ、バイオハザードではなく、TSUNAMIでお願いね♪」と軽~く方向転換のワタクシ with ニコッと笑顔。窓口のおねえさんは、思いっきり無視。こらーあ!

てなわけで、韓国のディザスター(災害)ムービー、TSUNAMIを拝見した次第であります。

TSUNAMI -ツナミ- 2009年韓国

監督 ユン・ジェギュン、出演 ソル・ギョング、ハ・ジウォン、パク・ジュンフンほか

津波P.jpg韓国のTVドラマには食いつけないワタクシですが、映画は別。とりわけ狂気の人間愛憎劇に強く心惹かれます。たとえば「オールド・ボーイ」「スカーレット・レター」「親切なクムジャさん」「シルミド」・・・憑依したかのような俳優さんのやり過ぎ演技(素?)に、うーん、このジャンルでは日本は絶対に韓国に勝てんな・・・と、毎回痛感です。

一方、韓国の恋愛ドラマは、私のメンタリティと相いれないようで、ベタさと、お決まり設定にゲンナリが多い(もちろん例外はあります)。

今回の「TSUNAMI(津波)」。題名まんま、よーするに韓国の大都市、釜山(プサン)に高さ100m、時速800km(!)の”メガ津波”が押し寄せ、ビルも家も人も流しちゃう、という自然大災害のオハナシです。韓国のパニック映画って、これまで観た記憶がないのでワクワク・・・。

さっそく感想を。

類似の米映画「デイ・アフター・ツゥモロウ」とつい比べちゃうんですが、どうしてどうして「TSUNAMI」は凄かった。負けちゃいけませんでしたね。ドラマ部分は後述しますが、CG津波の迫力、半端ではありません。圧倒的水量が街を襲うシーンは、かなり金を使ったな~という感じ。

津波災害を研究した成果でしょう、やみくもに大波が襲ってくるのではなく、リゾートビーチの水際がいったん沖にぐぐーっと下がり、「およ?」と間をつくってから、やおら真打(大津波)が登場する!演出が上手いですなあ。

役者がビシャビシャになる実写場面を比較します。ハリウッド映画だと、プールの水をひっくり返したような映像が、いかにもスタジオ撮影ですが、「TSUNAMI」は街に流れ込む水がちゃんと「濁流」です。つまり泥水。濁った水流に木の箱とか、看板とか、人の死骸なんかが、どぉーと流れている。

こうした「こわだり」が個人的にツボにはまりましたねーー。丁寧につくっている感じがするじゃありませんか。

ビルにいた人たちは、高いところを目指して必然、屋上に避難しちゃうのですが、なにせメガ津波はビルをまるごと飲み込むほどの高さです。そのうえ繰り返し襲ってくる。この場面では、1回目の津波が通過したビルの屋上に「泥」が広く溜まっているんですよ。アメリカ映画なら、そんなディテールは演出しないですよ。そこかあ?と言われそうですが、細部への気配り、良いじゃないですかあ!

津波3.jpg

ところでこの映画、津波がくるまでの「前段」が1時間以上あります。そこではフツーのホームドラマが展開されているのですよ。この箇所は、少々、コメントがやっかいです。

「日本沈没」と同じく、異端の地質学者がメガ津波を予測し、政府に働きかけるが全く相手にされない・・・という定番ヤリトリはあるものの、彼(学者)は主役ではないのです。

主役は市井の人々です。元漁師マンシク(名優ソル・ギョングさん)と海難事故で親を亡くしたヨニ(美人のハ・ジウォンさん)のブキヨーな恋愛模様が軸です。そこに魚市場をつぶし、リゾート開発という社会派テーマが絡みます。さらに、マンシクの弟は海難救助隊員、つまり「海猿」しており、さらにさらに、海猿君は加藤あいよりブサイクでナマイキな予備校女と出会い、金持ちの嫌味なボンボンとの三角恋愛模様の青春劇を展開・・・・。

ちょっとお~、ネタをテンコ盛りにしすぎじゃん?

良く言えば一粒で二度美味しいグリコ、だけど、悪く言えば余計なオカズ。なにせ長いホームドラマ部分は津波自体と直接関係なく、随所に漂う70年代の日本のホームドラマ的コミカルテイスト。主人公は石立鉄男かあ?しかしそんなカラミも空しく、結局のところは、これ。

ま、いろいろあったけど、最後は津波が押し流しちゃいました。チャンチャン

生き残る人は生き残り、死ぬ人は死ぬ・・・ハリウッド映画にはない、東洋的諸行無常テイストです。ペキンパー監督作品の題名「わらの犬」を連想しました。中国の哲学者、老子いわく、「天地は非情であり、万物をわらの犬のようにあつかう」。ああ、わらの犬。ストロー・ドッグ。

主人公(?)マンシク、恋人ヨニを絶対絶命のピンチから救うのかと思いきや、そんな「映画のヒーローみたいな活躍」はありません。逆に親戚のおじさんに助けられ、セミのように電柱にしがみついた状態で、濁流に流された親戚に向かって「おじさん~、おじさん~」・・・うーん、リアル、ここに極まれり、ってかあ。ちょっと違うような気もするけど・・・。

津波2.jpg

いろいろ書きましたが、マンシク役のソル・ギョングさんは「シルミド」のシリアスな雰囲気から一転、人の良いビンボー人を見事に演じ、でも要所で目の光は凄いっ。さすが名優!(以下の写真は「シルミド」から)

ハ・ジウォンさんは、TVドラマ、ファンジニの主演女優ですね。こちらさんもビンボー人役ゆえ、ほぼスッピンの熱演ですが、それでも美しいですねえ。

津波4.jpgハジウォン.jpg

つかみどころのない面もありますが、メガ津波の映像迫力に「おおっ」と驚き、ホームドラマにジーンとなる(?)、ハリウッド映画とは違った切り口のヒューマン・パニック映画でありました。

ポイントカードで「ただ」で観たし、良いんじゃないですか~と申し上げておきましょう。


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映画 「ミックマック」 アメリの監督が放つ、アメリの痛快エスカレート版!ダニー・ブーンがいい! [映画]

フランスの痛快ハートウオーミング・コメディ(←宣伝コピーそのままです)、「ミックマック」のご紹介であります。

最近観たフランスのコメディ映画は「アデル  ファラオと復活の秘薬」なんですが、ボケるもツッコむもできない寒すぎるギャグ連発に、大人のガマンはしたものの「今後、フランスのコメディは見るもんかい!」と拳を固くしたワタクシ(記事はこちら→クリック)。しかし、フランスは「オーケストラ!」のような名作も作ってるし、「いかん、映画に偏見は禁物」と我にかえったところで・・・

ん??

こだわり職人監督、ジャン=ピエール・ジュネさんが新作を撮ったと?題名「ミックマック」、それ何?ビックマックかあ・・・みたいな。気がついたら舞浜シネマイクスピアリでチケット購入。そして2時間後。「アデル」のトラウマを完全払拭する「ミックマック」のナイス出来栄えに、ご満悦のワタクシは叫ぶのでありました、

「これからもフランスのコメディ映画をみるぞーーー」

って、ゲンキンにもほどがあるよ。ま、君子は豹変する、ってことでご容赦を。

ミックマック 2009年フランス

監督 ジャン=ピエール・ジュネ 出演 ダニー・ブーン、アンドレ・デュソリエ、ドミニク・ピノン、オマール・シーほか

ずばり「ミックマック」、良いです(キッパリ)。

ミックマックP.jpg主演ダニー・ブーンさんが冴えないおっさんを大好演。ブーンさんといえば、06年「僕の大切なともだち」で演じた陽気で(実は孤独な)タクシー運転手が素晴らしく、監督としてはフランスで記録的ヒット作を作る才人なんです。ちなみに奥様が凄い美人。

コメディアンらしいしつこ~い芝居を随所で披露しますが、「銃弾が脳にささったままで、ちょっとイカレテる男」の役ゆえ違和感ありません。まわりの俳優さんたちが、しっかり場を作っているので、ダニーさんもいい感じにしょぼけている・・・つーか、輝いておりますよお。

主人公バジール(ダニー・ブーン)は幼いとき、父を地雷で失い、30年後に今度は自分が流れ弾に当たり九死に一生・・・。家も仕事もなくし、その日暮らしのホームレスになっちゃいます。世の不幸を一身に背負った孤独な彼に、ひょんなことから、廃品修理で生計をたてる7人の「明るい仲間」が出来ます。

ある日。バジールは父を殺した地雷のメーカーと、自分の頭に刺さった銃弾のメーカーを発見します。

不幸の元凶、ふたつの巨大兵器産業にむらむら湧き上がる復讐心・・・・7人の仲間の協力のもと、メーカーに「いたずら(ミックマック)」を仕掛けるのです。ただ映画を観れば分かりますが、これ、いたずら、というより完全な「復讐」ですから~~。

同監督の出世作「アメリ」もそうでした。それって、やばくね?的なヒロインのきわどいイタズラっぷりに背中が寒くなる・・・そう、「ミックマック」は、アメリのイタズラが、組織的かつ極限までエスカレートしたハイパーバージョンとも言えましょう。なんせ死人まで出ちゃってるし(悪人だけど・・・)。

ミックマック1.jpg

映画は、予想通り、お寒いギャグをまぶしながら展開します。これフランス国民のお約束(病気)なんでしょうか。たとえば、バジールが空港で仲間に、指で方向を指示するシーン。無関係な観光客の一団がバジールの指示に従って、無言で移動するベタ・ギャグ(それも何度も)。。。うーん、どこが面白いのかサッパリわからんぞ。おフランスな笑いのツボは、一生かかっても私に理解できないな・・・。

一方、嬉しい事は、過去の名作映画を露骨に下敷きにしてるとこ

ホームレスたちは兵器産業のトップを騙して自滅させるのですが、仕込みといい(映画的には伏線、というべきですか)、メンバーがそれぞれの特技を生かす点といい、鉄壁のチームワークといい・・・思いっきり「スパイ大作戦」です。にわか作りの兵器は出るわ、変装は出るわ、ありえないけど、そんなことどうでもいいや、と思わせる勢いが良いんです。

エラソーな敵を騙しすプロットは「スティング」「オーシャンズ」シリーズのノリ。「ミックマック」は、ほのぼの、とはしてますけどね。

ミックマック2.jpg

二つの敵(兵器メーカー)に対して、別々に餌をしかけ、お互いを疑心暗鬼にさせ闘わせる作戦は、そう、三船敏郎主演「用心棒」(洋画でいえば「荒野の用心棒」)、まんま、です。

いやはや、ここまでヌケヌケとやられちゃあ脱帽するしかありません。

ラストシーンの、敵への「とどめの一撃」は現代的。味方につけるべきは警察権力ではなく、世論ってわけね。ベタだけど、素直に溜飲が下がってしまったワタクシであります。

必見の名作とは申しませんが、ちょっとばかりスキッとしたい方、ぜひ劇場へいきましょう!ダニー・ブーンさん、これからも応援しちゃいますよ~~。


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映画 「特攻野郎Aチーム」 これはこれでOK。80年代のTVシリーズと比較なんてねえ。 [映画]

過去の大ヒットTVシリーズの映画化作品といえば、たとえば、「チャーリーズ・エンジェル」、「ミッション・インポシブル(スパイ大作戦)」、「スター・トレック(宇宙大作戦)」、「ハルク」・・・いろいろありますよねえ。ネタ不足に苦しむハリウッドにおいて、過去のヒットシリーズのリメイクは、魅力的に感じるようです。うまくすれば、当時のファン&新たなファンを一挙両得に劇場に呼べる・・・

しかし、「二兎を追うもの、一兎も得ず」とはよく言ったもので。世の中そう甘くありません。

「サンダーバード」実写化は酷すぎて当然でしたが、TVシリーズ・ファンは思い入れが強いだけに、映画化に違和感を感じやすく、厳しい批判をしたがるもの。

ストーリーやテイストはまだしも、20年以上前のドラマの映画化なのに「俳優が違う」と言われては、返す言葉もないでしょう。永遠の女忍者こと由美かおるでさえ、水戸黄門レギュラーを降板するのですぞ。時の流れとは残酷なもの・・・諸行無常、ああ、南無阿弥陀仏。

で、そこのアナタ!

キャメロン・ディアスより、ファラ・フォーセット・メジャースのほうが良い!とか言ってませんか?フェルブス君は、ジョン・ヴォイドではなく、ピーター・ブレーブスだろ!とか。逃亡するのはデビット・ジャンセンであり、ハリソン・フォードじゃねえよ・・・って、古すぎて訳わかんない?

個人的には映画「カムイ外伝」に水原弘の主題歌を付けてほしかった(あまり関係ないけど、言いたかった)。

余談はこれくらいにして「特攻野郎Aチーム」についてです。

Aチームオリジナル.jpgオリジナル(左写真)は、80年代、とぼけたブームを巻き起こしたジョージ・ペパード主演のTVシリーズ。勧善懲悪&超ご都合主義な痛快アクション・シリーズ(1回1時間、毎週放映)です。

TV放映時点で、すでに成人していたワタクシが素直に驚いたのは「あのジョージ・ペパードが何やってんねん?」でした。60年代を代表する二枚目俳優ですよ。名作「テイファニーで朝食を」ではオードリー・ヘップバーンのお相手ですよ・・・といえば、お分かりでしょう。まあ、どうでもいいけど。

さてTV版の「特攻野郎Aチーム」とは、どんな番組だったを一応、ご紹介しましょう。冤罪で政府から追われる身となった元特殊部隊4人が「Aチーム」と称して、奇想天外・支離滅裂・行き当たりばったりの大作戦を展開します。巨悪を懲らしめ一件落着、チームのボス(ジョージ・ペパード演じるスミス大佐)が葉巻をくゆらせてEND・・・が、毎週繰り返される、なんとも関西風なコミカル・アクションドラマなのでありました。

「感動」とは程遠いTVシリーズでしたが、やりたい放題のスッキリ感に溜飲を下げる、多くのファンがいたと思いますね。Aチームメンバーのキャラクターが実に良く、バカをバカで通す不思議なパワーがありました。さあて、そのあたり、リメイク映画版で、どうなっているのでしょうか?

特攻野郎Aチーム THE MOVIE  2010年米

監督 ジョン・カーナハン、出演 リーアム・ニーソン、ブラッドリー・クーパー、シャルト・コプリー、ジェシカ・ビールほか

A.jpgTVシリーズの骨子そのままに、メンバーを刷新した映画版でした。チームのボス、ハンニバルことジョン・スミス大佐は、ジョージ・ペパードから、リーアム・ニーソンへ。ちゅーか「テイファニーで朝食を」から、「シンドラーのリストへ」・・・おお、混乱させてスイマセン。

他メンバー3名=二枚目フェイス(ブラッドリー・クーパー)、メカの天才B・A(クイントン・ランペイジ・ジャクソン)、奇人パイロットのマードック(シャルト・コプリー)もハンニバルと同様に、TVシリーズのキャラをきっちり踏襲した特技&性格となっており、にやりとさせられます。

「Aチーム」が冤罪の汚名返上と、悪を倒すため、ご都合主義にもほどがある大作戦を敢行し、もちろん成功してチャンチャン・・・お約束どおりで嬉しくなりますねえ。

ハンニバルの名言「作戦は奇をもって良しとすべし」が重要キーワードとして再三登場しますが、そこへのツッコミとしては、せっかく立てた綿密(なはずの)計画が、途中で頓挫、最後は勢いと成り行きで収拾する「結果オーライ」な展開にも、そこはかとない懐かしさを感じます。。

欲をいえば、マードックは日本版”クレイジーモンキー”の名を出してほしいし、B・Aはコングと呼びたい。フェイスには「ブラジャーからミサイルまで調達」の能書きが・・・言い出すときりがないのも確かですね。

まあ、ワタクシと似たマニアが多いのでしょう、冒頭書いたように、巷の評判は意外にも微妙で、「映画版は、TVシリーズに比べて〇〇だからダメ!」と、オリジナルとの比較に基づく、みもふたもない批評も多いようです。

Aチーム2.jpg

しかし、ワタクシは申し上げたい。

TVシリーズはTVシリーズ。映画は映画。きっぱり割り切って虚心に映画版(のバカバカしさ)を楽しむのがよいと思いますよ~~。

だってさあ、比較して粗探したって、つまんないじゃないですか~~。入社試験の面接官じゃあるまいし「自分の尺度と期待」で相手を測らず、良いところを見つけて楽しんだほうが絶対に得すよ。なにせ、鑑賞代金=1800円も払っているんだし。

逆批判ではありませんが、オリジナルTVシリーズの魅力(だと考えるファンが多いらしい)、「あり得ないバカバカしい作戦」。あれだって、TVだからギリギリ許せるレベルであり、まんま映画でやったら、ただのチープ&子供だましですよ。(「スパイ大作戦」にも同じことが言えるね)

Aチーム3.jpg

映画版は、なんだかんだ言っても、映画なりのスケールアップはしているわけです。俳優にしたって、リーアム・ニーソンはオヤジながらに大健闘。ブラッドリー・クーパーは「イエスマン」以来のツボにはまった役どころ。「第9地区」でエビ騒動に巻き込まれたシャルト・コプリーの壊れっぷりも、マードック役はあんたしかいない!と思わせる適役です。

とにかく、近視眼的にオリジナル(TV版)と映画版を比較したところで生産的ではありません。むしろ、映画版を大ヒットさせ、映画「Aチーム」をシリーズ化し、より製作費をかけた第2作、第3作で、パワーアップした「バカ世界」を見せてもらおうじゃありませんか!

てなわけで、続編、おおいに期待しております!(続編あるよね?たぶん)

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映画 「花と蛇3」 見どころは主演の小向美奈子さん以上に、火野正平さんなのだ! [映画]

ブログ更新をさぼりっぱなしです。2週間に1回の更新でブログといえるのか!反省しきり・・・って、誰に対しての反省だよ?さて、本日はマイナー&マニアックながら巷の注目(というか下世話な興味)を集めるあの作品。そう

小向美奈子主演「花と蛇3」

であります。団鬼六のメガヒット(?)原作。料理上手で知られた杉本アヤヤこと、杉本彩さん主演の前2作につづき、主演女優を変え「3」が登場であります。前作は杉本さんの体当たり演技が潔く、なかなか充実の内容でした(宍戸錠さん、遠藤憲一さんのサポートも見事だった)。

しかしワタクシは申し上げたい、これからご紹介する小向美奈子さん主演の最新作こそ必見であると!

花と蛇3 2010年日本

監督 成田裕介 出演 小向美奈子、本宮泰風、火野正平、水谷ケイほか

花とP.jpgクラシックチェロ奏者で、老富豪の妻である美女、静子(小向美奈子)。彼女の美貌と、貞淑の陰に隠された「才能」に惹かれた財閥の若き頭首、近藤(本宮泰風)は、卑怯な手を使い静子の夫を死に追いやったうえ、彼女を拉致します。

人里離れた山奥の別荘に軟禁された彼女は、そこで「調教」されるのでありました。静子を「真の女にする」役を担うのは、天才緊縛師の鬼源(火野正平)。必死に抵抗する静子も、鬼源の芸術的な縄芸と、アブノーマルな責め苦に、いつしか、禁断の世界へと呑みこまれてゆくのでした・・・チャンチャン。

内容は「花と蛇」シリーズの定番どおり、縛り、責め、変態技、悶絶→才能開花!という流れですから、観客の期待のツボは、まず満たしてくれます。

主演、小向美奈子さんのハッキリ申し上げて、ヘタッピな芝居さえ、ある意味、新鮮で(ちょっとAVビデオっぽい?)、これはこれでアリなのでしょう。

しかし、ワタクシが食いついた点はそこではない。

この手の映画に芸術ぶった分析のつもりはありませんが、映画作りのスタンスに好感を持ちましたね。成田監督の「主演女優(小向美奈子)の話題性だけの駄作にはしないぞ!」という強い決意を感じました。

映画の前段はもったいぶらずにサクサクと素早く流して、拉致された静子の心理描写に重きを置く演出。題名にある「蛇」とのからみも上手い。さらに山奥の森閑とした風景が丁寧に美しく描かれ、映画に「品」を与えています(褒めすぎ?)。

花と3.jpg

「調教」の舞台も凝っていますね。歴史の重みを感じる和室、明治風の洋室、一転して湿った地下室などリアルでありながら幻惑的、こだわりがにじみ出てますね。いいんじゃないですか~~。

煽情的だった2作目にはなかった落ち着いた演出に、「おらあ、そんなこたぁ、どうでもいいんだ!裸見せろや!」と思う観客もいるでしょうが、ワタクシはプラス評価したい。ラストの「オチ」は、もうちょっとなんとかならんか・・・という恨みはありますが。

花と2.jpg

さて本作の最大の見どころであり、最大限の賛辞を贈りたいのは、第二の主役である縛り師、鬼源を演じる

火野正平さんであります!

実にもう、ホントに素晴らしいのだ!(うーん、語彙貧困)

この圧倒的な存在感はなんだ!自然体というより、体の中から湧き上がっているような本物の雰囲気・・・たまりません。声の抑揚、動きの「間」、微妙な表情、どれもが意味にあふれている。はっきり申し上げて日本アカデミー助演男優賞は火野正平さんで決定でしょう!

比較は酷だけど、小向美奈子さんのチェロ演奏シーンが、いかにも付け焼刃なのに対し(ほほえましいとは言えるが)、火野正平さんが静子を縄で縛りあげるシーンは、本職か!?とみまごうばかりの見事な手さばきと手際の良さです

彼の縛り作業にエロテイストは皆無、職人による高度な「実務」いや「芸術」であり、ここまでを体現できる俳優は彼しかいないですよ。過去、多くの女優と浮名を流した火野正平御大だからこそ、到達し得たストイック職人ワールド!

もともと大好きな俳優ですが、改めて火野さんの偉大さを痛感した次第。

というわけで「花と蛇3」。

火野正平さんを見るだけで、映画館に行く価値がある!!

感動しつつ銀座シネパトス前で記念写真をパチリ・・・。 

花と蛇シネパトス.jpg

ちなみに、9月11日PMに、銀座シネパトスで本物の縛り師さんを交えたトークイベントがあるそうです。見逃したくない企画ですねえ!

花と蛇シネパトス2.jpg

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映画 「シュアリー・サムデイ」 小栗旬監督の才能と熱意があふれる一作。 [映画]

公開が終わりましたが、俳優 小栗旬さん好きのワタクシとしては書かざるをえません!そう、小栗さん初監督作品「シュアリー・サムデイ」であります。

小栗さん自ら、活発にTVや雑誌でプロモーションをされていましたね~。彼がクレバーで熱意にあふれているのは分かりますが、作品を観るまではかなり不安でした。(結果は杞憂に終わりましたけどね)。

なにせ、過去に、俳優やミュージシャンが映画監督に挑戦して「滑った」(沈んだ?)事例は数知れず・・・ホント、思い出しても怖いくらいです。

ファンの方には申し訳ありませんが、サザンの桑田佳祐さんが監督した「稲村ジェーン」、いやはや最悪でしたよねえ。さらに上をいく(下をいく?)のはオフコース小田和正さんの監督作「いつかどこかで」・・・まあ、当時の邦画は、本職の映画監督のも酷かったけど・・・。ジョニー・デップが初監督した「ブレイブ」、かなり微妙でした。自分が前面に立って表現する俳優やミュージシャンと、現場を統率して作品を作り上げる監督とでは、必要な才能が違うのでしょう(製作上の諸事情もあるでしょうし・・・)。

もちろん、俳優が監督した映画にも素晴らしいものは沢山あります。今や大御所クリント・イーストウッドの初監督作「恐怖のメロディ」は見事だった。ロバート・レッドフォードもしかり。昨年公開の岸谷五朗さん監督「キラー・ヴァージンロード」(2009年)も良かったです。ケビン・スペイシー監督「アルビノ・アリゲーター」、ビル・パクストン監督「妄執 フルエルティ」などはマイナーながら必見ですよ~~。

おっと、そろそろ話を戻し、小栗旬さん初監督作「シュアリー・サムデイ」について書きましょう。

シュアリー・サムデイ 2010年日本

監督 小栗旬 出演 小出恵介、小西真奈美、勝地涼、綾野剛、竹中直人、遠藤憲一、吉田鋼太郎、モト冬樹、岡村隆史、妻夫木聡、津田寛治、上戸彩、ほか

シュアリーP.jpg名作とは言いませんがこの映画素晴らしい!コミカルでありながら、シリアス・フレーバーを随所にまぶし、確信犯的「ベタ」っぷりすら心地よい。どちらかといえばワタクシの苦手な「暴走系青春映画」ですが、今回ばかりはめちゃくちゃ気に入りましたね!

ストーリーは割愛し(末尾の予告編を参照ください)、小栗監督を中心に書きます。

これほどストレートに言いたいこと、やりたいことを映画という「有形」に出来たとは、小栗旬監督バンザイ!と言いたい。

前出の「稲村ジェーン」「いつかどこかで」といった駄作の何が悪いのか?といえば、各シーンの意味が不明確で、ノリで作った雰囲気がアリアリという点なんです。悪い意味で勢いまかせなんですよ。勘違い映画(マスタベーション映画?)の元凶は、まさにそことにらんでいます。

一部の作り手が考えるほど、観客はバカじゃない、(結果的であっても)作りが雑な作品に対しては、素直にネガティブな反応をしてしまうものです。感性の赴くままに撮った・・・と言えば聞こえはよくても、そりゃあ他人に見せるもんじゃないだろうって。

一方、小栗旬監督。素晴らしいのは展開をしっかり把握しながら、勢いに流されず場面をきちんと丁寧に作りこむ点です。クドイ、とも言えますが「一貫性」「ブレの無さ」はおおいに評価したい。シーンが映画全体に与える意味を掴んでいるから、映像として具体化するうえでメリハリのつけ方、カメラアングル、俳優の動きに工夫が生まれるのですね。

逆にいえば「工夫が見えちゃう」のを、あざとい、と感じる方もいるでしょう。まあ、そこは初監督作ということで全然OKと言っちゃいましょう!

シュアリー2.jpg

主役の小出恵介さんは大健闘です、俳優としての力量ゆえですが、小栗監督とのコンビネーションが彼の輝きをさらに増したと思います。

シュアリー4.jpg重要な脇役の小西真奈美さんが愛らしく美しく撮れているのも小栗監督のこだわりでしょう。

主人公のバカ仲間もイキイキとしていますよね。勝地涼さんのケレン味たっぷりなオーバーアクションは、冒頭こそ「ゲッ」となったものの後半にいくほど味になるし。綾野剛さんのカッコ良さもツボをはずしてませんね。大竹しのぶさんや、上戸彩さんが「落ちる」のも無理はない??

最後に、本作に対して、そうなんだよねっ!と快哉あげたくなった評価ツボは、これだけ多くの出演者がいながら、それぞれのキャラとスタンスを明確に描き分けている点です。

え?そんなの当たり前じゃん?と思う方もいるでしょうけど、それは甘いぜ!

アメリカのコメディ映画で、常々、不思議に思うのは出演者全員が「ボケる」ことです。(欧米にボケ&ツッコミという概念がないため?)。シリアス&コワモテな登場人物がギャグかましたり、よーするにバカは全員でやろうぜ!みたいな・・・そーゆーシマリの無さがズルズル感を醸し出して嫌いなんですよね。

シュアリー3.jpg

「シュアリー・サムデイ」は、そうではありません。おちゃらけキャラと、シリアスキャラは、しっかり役割分担されているんです。勝地さんは基本おちゃらけ。岡村隆史さんはモロにお笑いキャラ。

一方、元刑事役の竹中直人さんは、お笑いを完全封印したクールな演技で見事です。三枚目キャラのモト冬樹さんを悲劇の主人公に据えたのもいい。凶悪顔面王こと、遠藤憲一さんは期待通りの冷血&残虐っぷりで、もちろんお笑い要素は一切無しです。

特筆すべきは、ヤクザの組長役の吉田鋼太郎さん。軽妙なしゃべりでありながら、やってることは狂気に近いモンスターを演じ切っています。素晴らしい!

コメディだからといって、みんなでギャグせず、役柄ごとメリハリつける(本来は当たり前の)見識。これは完全にワタクシのツボにはまりましたよ。

完璧な映画とは申しません。ストーリーは粗を探せば突っ込めるし、演出にもぎこちないところや、気持ちが空回りしているな~と思えた場面もあります。しかし、小栗旬さんの熱意と才能、実務能力をまざまざと感じさせる作品だと高評価しちゃいます。強いて難を言えば、上映時間が長めかな~~。全シーンに思い入れが強いので編集(カット)できなかったんでしょう。とはいえ、全然OKですよ、小栗さん。

俳優活動でお忙しいとは思いますが、早く監督第2作目を作って欲しい、期待を抱かせる小栗旬さんの初監督作品でありました!素直にアッパレです!


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映画 「ゾンビランド」 ゾンビ映画史上最大のヒット作?はグダグダコメディながら気に入りました! [映画]

都内でさえ3か所のみで上映のマニア向け(?)ホラー・コメディです。アメリカではゾンビ映画史上、最大ヒットを記録したらしいですね。

さて、本作を、これから観に行こうとしている奇特な方に申し上げたい。

ご友人と一緒には行かないこと!ましてや恋人を誘うなどアウト・オブ・ロンガイ!(←論外の外、つまり「論外の最上級表現」です)。なにも、映画館の暗闇で、同伴者がゾンビになるという脅しではありません。

理由を説明しましょう。「ゾンビランド」を”面白い”と感じる人間は100人に一人、確率1%でしょう。したがって任意抽出された二名ともに面白いと感じる確率は0.01×0.01=0.0001 → 0.01%という低さなのです!

言い換えれば、二名のうち一人または両者ともツマラン!と思う確率99.99%・・・これでは、終映後に「会話がはずむ」ことはほとんど期待できません。むしろ気まずさは筆舌に尽くしがたいことでしょう。苦し紛れに「焼肉屋」で内臓系(モツ、ハツ、センマイetc)を注文したら、そして同伴者があなたの恋人だったら、破局は約束されたようなもの。そう、ゾンビ映画後に焼肉は禁物なのである。ははは。

てなわけで、くれぐれも、この映画は一人で観るように!一人で観れば滑っても怖くないからだ!

ストーリーもギャグもグダグダ、下品でグロなテイストゆえ、全くお薦めできない本作ではありますが、実はワタクシ、この映画を意外に気に入ったのであります。

ゾンビランド 2009年米

監督 ルーベン・フライシャー 出演 ウディ・ハレルソン、ジェシー・アイゼンバーグ、アビゲイル・ブレスリン、エマ・ストーン、ビル・マーレイ他、ゾンビの皆様

ゾンビP2.jpgゾンビウイルスの蔓延により人類は壊滅、ゾンビだらけとなったアメリカが舞台です。胃弱で童貞のニート青年、コロンバス(ジェシー・アイゼンバーグ)は「32のルール」を自分に課し、西を目指して旅を続けています。

トイレに入ってはゾンビに襲われ、駐車場ではゾンビに追いかけまわされ・・・間一髪セーフの繰り返し。そんなときガンマン風のマッチョ男(ウディ・ハレルソン)と知り合い彼の車に同乗します。

反りの合わない二人は、ショッピングセンターで出会った詐欺師姉妹(エマ・ストーン、アビゲイル・ブレスリン)にだまされて車を奪われます。しかし、すったもんだで、その後、再び出会った4人には、いつしか不思議な連帯感が生まれるのであった・・・

目指すゾンビのいない「夢の遊園地」は存在するのか!?彼らは、そこにたどり着けるのか?

さてこの映画。

ゾンビだらけのアメリカを、デコボコ4人組が横断するロード・ムービーの体裁をとっています。ゾンビとの戦いを通じ、利己主義だった面々が結束し「心を通じ合わせ」ファミリーになってゆく過程はゾンビ映画らしからぬヒューマン・テイスト、でも、そこが皮肉っぽくバカバカしくてよいのです

ゾンビ2.jpg

ストーリーもエピソードもメチャクチャだけど、なんとな~く許せるのは、キャラクターの設定でしょうね。コワモテのガンマンは、ワルぶっているけど実は良い人。「リトル・ミス・サンシャイン」の子役アビゲイルちゃんの生意気っぷりはスパイスになっている。 語り部である主人公(?)の気弱なダメにいちゃんときたら、この期に及んでセックス妄想ときている。

どうせなら、ゾンビ映画なんぞにせず、この4人で「人間ドラマ」を作れば良いんじゃ?と思いますが、やっぱアメリカ人はゾンビ好きってことなのか!?

ゾンビ5.jpg

ユルいボケ倒しエピソードは、次第に映画館を苦~い空気に満たしていきます。それもまた良し!好奇心で観に来たカップルが、そろそろ「いたたまれなく」なってきたようだな、ふふふのふ。

ところで、ゾンビといえば「ショッピングセンターに集まる」のが相場。で、マッチョなガンマンときたら、店のど真ん中で、こともあろうにバンジョー(!)を弾いて、寄せ集めたゾンビさんたちをバットで滅多打ち!おいおいっ、ストレス解消かよ!?

映画後半、ハリウッドについた4人はセレブ気分を満喫しようと映画スター、ビル・マーレイの豪邸に侵入します。無人と思いきや、「ゾンビは共食いしない」ことからゾンビメイクで生き延びていたビル・マーレイ(ご本人)に遭遇。「ゴーストバスターズ」ごっこで大盛り上がり。ところが、ジョークのつもりで、ゾンビメイクでコロンバスを驚かそうとしたビルは、あっけなく散弾銃で撃たれて死亡!おいおいっ!このネタに、どうツッコめばいいんだよっ!

ゾンビ3.jpg

いったいどうなる、この映画?と不安に思う間もなく、ラストは(お約束どおり)、夜の遊園地で無数のゾンビたちとの壮絶な戦い・・・・つーか、あんたら、自分でゾンビを呼んだも同然だろうって!

まともなコメディを期待する方には悪ふざけとしか思えないはずの本作ですが、いちいち怒らず、寛大な心で楽しもうではありませんか。ん?楽しめないって?まあ、そう言わず。

そうそう、人間どうしはボケたり、ツッコンだりですが、ゾンビさんたちは普通に怖いです。血まみれゾンビが襲いかかってくるシーンは、ちゃんとホラーなんですよね。ゾンビにはギャグをさせないのが、本作の最も評価できる点ではないでしょうか。そこまではワルノリしない、という最低限の節操ってやつですかね。深読み?

では、最後に映画の予告編をどうぞ。


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映画 「ソルト」 アンジェリーナ・ジョリーの頑張りには大喝采。でも映画の内容は忘れそう・・・。 [映画]

ブログ更新をさぼって2週間。「ザ・ウォーカー」の精神的ダメージが大きかったのでしょうか・・・って、そんなおおげさなもんかい!

さて猛暑にはヒューマンドラマよりは、あっけらか~んとしたハリウッド・アクションがよかろう、ということでアンジェリーナ・ジョリー主演の「ソルト」を拝見しましたよ。

どうでもよい話ですが、友人がアンジェリーナ・ジョリーのラストネームを、ジョリーナ、だと勘違いしてました。あははと笑いつつ、アンジェリーナ・ジョリーナ。なんとも語感が良いではありませんか?しっかり韻を踏んでいるぞ!ベルナルド・ベルドリッチ!段田男!古田新太!・・・おっと、しつこくてスイマセン。

さらにどうでもよい話ですが、ワタクシが以前書いたブログ記事で某女優さんの名前を間違えているよと、0.1tonの男様より鋭いご指摘をいただきました。こっそりなおしましたぞ。あはははのは。

話を戻して、映画「ソルト」です。

当初、トム・クルーズ主演で企画されたそうです。諸般の事情でトム君が降板し、主人公ソルトの性別を女性に変えて、アンジェリーナ・ジョリーナ主演で完成。正直、トム君よりジョリーナさんのほうが断然良いと思う。(トム君版は実現していないので、あくまで私の推測ですが)。

彼女の頑張りは絶賛に値します。イヴリン・ソルト(彼女の役名)の行動が主題ゆえ、ジョリーナさんは全編出ずっぱり状態です。ソルトの出ないシーンはほとんど無いくらい。それだけでも大変でしょうに、アクションシーンは基本「生身」。スター女優となった38歳の彼女、若手でもあるまいし、そこまでアグレッシヴにやるかい!と感心しますね。ジョリーナさんの女優魂には誠に頭が下がりました。日本の女優で、ここまで映画に懸ける人がいるのでしょうか・・・・。

で、映画そのものは、どうかというと・・・これはまた違った話でして。

ソルト 2010年米

監督 フィリップ・ノイス、出演 アンジェリーナ・ジョリー、リーヴ・シュレーバー、キウェテル・イジョフォーほか

ソルトP.jpgイヴリン・ソルト(アンジェリーナ・ジョリー)は石油会社勤務のOL・・・は表の顔で、実はCIAの有能なスパイです。ある日、アメリカ亡命を希望するロシアスパイの尋問を行いますが、彼は「イヴリン・ソルトという名のロシア側スパイが、訪米するロシア大統領の命を狙っている」と告げます。

ロシアのスパイと名指しされたソルトは、必死に濡れ衣と主張しますが、聞く耳をもたない当局に危険を感じ逃亡します。CIAの上司ウインター(リーヴ・シュレーバー)、ピーポディ(キウェテル・イジョフォー)に追われるソルトは、髪を染め、変装し「ある目的」のため、たったひとりの戦いを始めるのでした。

って、「ランボー」のシルベスター・スタローンかいっ!

さてこの映画。

ソルトの命がけ逃亡劇にくわえ、凝ったプロットや、ミステリアスな行動がほどよい刺激となり、中だるみもなく楽しめました。メインテーマを逃亡アクションとせず、「ソルトって何者なの?」という謎解きに置いたのは大正解だったと思いますね。

とはいえ(そこを言っちゃお終いだけど)、ソルトはたった一人で大人数の敵を倒すのですが、いくら優秀だからって、相手も訓練受けたプロですよね?ランボーのように敵に忍び寄るのではなく、彼女、基本「正面突破」攻撃なんですよ!多勢に無勢。銃撃戦の最中に流れ弾で死ぬことだってあるわけで・・・どう考えても自殺行為ですぜい。

強いフィジカルだけでなく、「カイジ」なみの強運まで身につけているという設定なのか?

ツッコんでも大人げないですが、あまりの無敵っぷりに、セガール色が入り過ぎていませんかね?と・・・おっと思い出しました。映画前半、ソルトがCIAビルから脱出するくだり、追いつめられた彼女は、その辺にあった塗料やシンナーで即席爆弾を作りバズーカ砲よろしく発射!ドッカーン!!このシーン、「沈黙の戦艦」でライバック(ステーヴン・セガール)が料理素材(?)を電子レンジに仕込んで爆発させるシーンとソックリではないか!やはり、ソルトは女セガールってこと!?

ソルト3.jpg

ラストのどんでん返し(?)は驚くというより、呆れ気味か。まあ、そんなわけで映画館ではけっこうワクワクしましたが、終わってから2時間もたつと急速に印象が薄らぎましたね。良い意味でも悪い意味でも「後を引きずらない」作品ですね。でも、こうゆう映画、嫌いじゃないす。

ソルト2.jpg

以下、映画の内容と無関係ですが、個人的に「おお!」と感激したこと。ソルトを追うCIAエージェント、ピーボディを演じている俳優さん。キウェテル・イジョフォーさんだ!イギリスのコメディ好きならご存知の方も多いでしょう。下写真の方です。

ソルト7.jpg

2005年の名作コメディ「キンキー・ブーツ」でド派手な女装姿とステージパフォーマンスで感動を呼んだ、おかまのローラを演じた俳優さんです。「ソルト」では脇役ゆえ、「キンキー・ブーツ」ほどの押し出し(強引さ?)がなく残念ですが、さすがラストシーンで良い味出してました。いやはや、久しぶりにイジョフォーさんを拝見できただけで大きな収穫でしたよ。ちなみに下写真が「キンキー・ブーツ」でのイジョフォーさんです。

キンキーブーツ1.jpg

「キンキー・ブーツ」を未見の方、是非観てください!「フル・モンティ」「カレンダー・ガールズ」のように下ネタが下品に堕ちず、心がほんわりするイギリスらしい佳作コメディ・・・って、本題の「ソルト」はそっちのけかよ! 

「キンキー・ブーツ」後半シーンをYouTubeで観つけました。興味のある方は観てくださいね!(ネタばれでスイマセンが)。女装イジョフォーさんの堂々たる歌唱、ご堪能あれ~~。

 

「キンキー・ブーツ」のストーリー:潰れかけた靴工場の経営を引き継いだ若いダメ経営者が、わらをも掴む思いで社運をかけた、おかまバーのステージ用「キンキー・ブーツ」。おかまのローラに協力を仰ぎ試作品完成にこぎつけ、シューズショーで大々的な宣伝を打つことになります。ところがモデル役のローラが行方不明・・・追いつめられた経営者は、自らキンキーブーツを履いてステージに登場しますが・・・(この続きが上記のYouTube画像です)。

キンキーブーツ.jpg

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映画 「ザ・ウォーカー」 言いたいことは分かるけど、ありえねえよ!とツッコンで終わった残念作。 [映画]

上映が終わった映画ですので、タイムリーではありませんが、前回絶賛した「インセプション」と全く逆の、イタ~イ作品として取り上げたくなりました。

「ザ・ウォーカー」。例によって(?)核戦争で壊滅した地球(戦争後30年が経過)が舞台。わずかに残った人類は、定番の「北斗の拳」的世界をサバイバルに生きています。つまりは弱肉強食。弱い人間は強盗に無残に殺されます。道徳も正義も存在しない荒廃した世界。(このベタな設定で、気分が限りなくダウナーなワタクシではありますが・・・・)。

生き残った人類が「ゾンビ」にならないだけでも良いか、と、妥協に向かったワタクシですが、その前向きな気持ちを「ザ・ウォーカー」は次々に打ち砕いていくのです。あぎゃーー。やめてくれーーー。

いやあ、いいんですよ~、言いたいことはよ~く分かるんですけどね。映画的には無茶苦茶なんですよ。

「インセプション」が、巧妙なプロットと、スピーディな展開で、無理を無理と感じさせない優れた作品だとすれば、「ザ・ウォーカー」は正反対。妙な世界観をもったいぶって押し付けることで、無理がより無理として感じられる怪作といえましょう。

そりゃ無茶ってもんでしょ?とツッコミ連発しているうちに、主演のデンゼル・ワシントンが、スティーブン・セガールに見えてきました。名優デンゼルまでが・・・ああ、悲しい・・・・。

ザ・ウォーカー 2010年米

監督 ヒューズ兄弟 出演 デンゼル・ワシントン、ゲイリー・オールドマン、ミラ・クニス、トム・ウエイツほか

ウオーカーP2.jpg冒頭のごとく、核戦争でほとんどの人類を失った地球。その戦争から30年後の世界が描かれます。街も、人心も、すさみきったアメリカ大陸を、30年間、ひたすら西に向かって歩き続ける男イーライ(デンゼル・ワシントン)・・・て、いくらなんでも30年はないだろっ!

彼は自分でも分からない「声」の導きにより、ある本を、西に運んでいるのです。・・・って、ここが既に「???」なのであるが。

以下、思いっきりネタばれですが、その本とは、聖書なのであります。どうやら30年前の戦争は宗教的背景があったようで、戦争の元凶として、聖書はすべて焼かれてしまったのです。イーライは世界に一冊しか残っていない聖書を、ひたすたハンドキャリーしているのです。

行く先々で強盗団に襲われるイーライですが、超人的な強さで(セガール的?)、5人だろうと、10人だろうと敵を一瞬にして始末します。

ここで登場するのが不毛の荒野に「街」を作り、新たな世界の征服を夢見る、冷酷な独裁者カーネギー(ゲイリー・オールドマン)。彼は疲弊した人心を自らに集め、神のごとき存在となるために、「聖書」を血眼になって探しているのでした。野蛮な部下どもに聖書を探させるものの、空振りばかり。

たまたま自分の街を通ったイーライが「聖書」を持っていることを知り、彼を殺し聖書を奪おうと襲いかかります。こうして、イーライと、カーネギーの聖書をめぐる戦いが始まります。

ウオーカー4.jpg

と、書いている先から「いくらなんでも一冊残して聖書が全部無くなるかよ」とか、「聖書があれば世界を征服できるのかよ」とか、草津温泉の源泉のように、どんどん湧き上がるツッコミ。

カーネギーの娘(血はつながっていない?)が、イーライ側につき、すったもんだの末に彼女の運転する車で目的の「西」まで連れて行ってもらうイーライ。ありゃ?30年も歩き続けていた割りには、車で1日もかからずにゴールに到達!って・・・そんなに近くまで来てたんかい!つーか、歩かずに車使っていいなら、さっさと使っとけよ!

ウオーカ-6.jpg

で「西の果て」に何があったか?とえいば、案の定、世界を憂い、新たな文化を生み出そうとする「心ある人々」のコミュニテイが・・・・って、独裁者カーネギーもすぐご近所にいるんだろって!?

イーライ君、あんなに大切にしていた「聖書」はカーネギーに強奪されちゃって・・・でも、その後の痛快な「オチ」・・・それもやっぱり無理だろうって。で、ラストシーン、おねえさん、今度は東に向かって歩くのでしょうか?ひゃー残念賞!

ウオーカー3.jpg

しいて、この映画でよかったといえば、優柔不断っぽい技師を演じるトム・ウエイツ御大でしょうか。

言いたいことが分かりやすいだけに、映画としての粗が目立つ、そんなセガールちっくな・・・じゃなく、デンゼルな作品でありました、あはは。

ウオーカー2.jpg

ちなみに、「核戦争で崩壊した世界を生き抜く」という類似設定の「ザ・ロード」という映画が公開中です。「ザ・ウォーカー」の悪いイメージを払拭できた頃、ゆっくり見に行くこととします。


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映画 「インセプション」 独創的なアイディアと、完璧なバランス!2度観たい必見作! [映画]

ずばり、この映画は素晴らしい!

以下、ベタ褒めしちゃいますね。クリストファー・ノーランさんの脚本・監督作品ですから、はずれることは無いと分かってはいましたが、ここまでハイレベルとは予想外です。

上映が終わる前に、もう一度観たいっす!

褒めたいことだらけですが、まずはコンセプト。すなわち「発想」の見事さ。主人公の生業は「夢に侵入してアイディアを盗む」ことですが、映画自体が、まさしく「卓抜なアイディア」に支えられています。昨今のハリウッド映画の多くが、既成パターンの焼き直しで、「どっかで観たようなストーリー」に堕している現状を考えると、本作のオリジナリティあふれる発想には、心底、うなりましたね。

やられた!って感じです。一部の海外メディアが「ジェームス・ボンドが、マトリックスに出会ったような映画」と評しているようですが、そんな枠を超えた傑作だと思いますよ!まあ、強いて言うなら、「スパイ大作戦が、エターナル・サンシャインに出会ったような映画」・・・って、誰も分かんないよ!

斬新すぎて、普段あまり映画を観ない方には「凄さ」が分からないかも・・・おっと、あまりマニアックに走ってはいけませんな。

インセプション 2010年米

監督・脚本 クリストファー・ノーラン 出演 レオナルド・ディカプリオ、渡辺謙、ジョセフ=ゴードン・レヴィット、エレン・ペイジ、マリオン・コティヤール、キリアン・マーフィー、ほか

インセプションP.jpg「メメント」で複雑な”時間軸のシャッフル”を披露したノーラン監督の独壇場といえましょう。

ターゲットの夢に侵入して、潜在意識から情報(アイディア)を抜き取るスパイ・・・という主人公の設定に、すでにノーランさんらしさを感じます。

その道のスペシャリスト、コブ(ディカプリオ)は国際指名手配の犯罪者ですが、犯罪歴抹消を条件に、日本の大企業の社長サイトー(渡辺謙)から究極のミッションを依頼されます。

なんと、アイディアを「盗む」のではなく、ターゲットの潜在意識に侵入して、概念を「植え付ける(インセプション)」という超高難度の離れ業。インセプションのターゲットは、世界的大企業の御曹司ロバート(キリアン・マーフィー)です。余命短い寝たきりの父親から受け継ぐ「企業帝国」を、ロバートの手でつぶさせるのが、サイトーの目的なのです。

首尾よくロバートを眠らせ、夢に侵入したメンバーたち。コブは、夢世界を設計するアリアドネ(エレン・ペイジ)、相棒アーサー(ジョセフ=ゴードン・レヴィット)、サイトーらとロバートの潜在意識に侵入します。インセプション(植え付け)のためには、夢の中の夢(2階層)、その夢の中の夢(3階層)と、深く潜行せねばなりません。

ところがロバートの潜在意識に入ったとたん、襲い掛かってくる武装集団・・・夢の中で殺されれば、意識は行き場を失い、現実の肉体には「心」が戻らず虚無に堕ちる・・・逃げ道のない状況のなかで、ターゲットの潜在意識に翻弄され、次第に追い詰められるメンバーたち。ついには、コブの死んだ妻モル(マリオン・コティヤール)までがミッションをつぶそうと潜在意識世界に登場します。

現実に戻るための「キック」時間までに、果たしてインセプションは可能なのか?

そして、コブの夢である、別れた子供たちに会うことは「現実世界」でかなうのか?

インセプション5.jpg

さて、この映画。

他人の夢に侵入し、潜在意識に細工するという途方もない(荒唐無稽な)コンセプトゆえ、細かいツッコミはいくらでも出来るのです。だが、そんなツッコミが無意味なくらい、「独創的」で「勢い」があるんですよ。これなんですよ、SF映画に必要なのは!

細かい設定がよく出来ているんですよね~。神は細部に宿る・・・の諺どおりです。

そもそも、他人の夢(潜在意識)に侵入する行為自体が、なんとも艶めかしくエロティックではないですか!夢といえばボンヤリとりとめが無いイメージがありますが、本作では、夢世界を現実同様のリアリティに満ちた「別世界」として捉えたところ、目のつけどころが良い!

潜在意識の反映が実体化し、「今いる世界は現実か、夢か」が混沌となる・・・中国の思想家、荘子のいう「胡蝶の夢」そのものです。(ということで、ワタクシ、この映画は、東洋哲学に通じるものがあると思うのです)

インセプション2.jpg

別世界の象徴は「時間経過のズレ」。潜在意識の階層が深くなるほど、時間の過ぎるスピードが速くなるのは新機軸です。たしかに、実体験でも、うとうとした短い間に、長い夢をみた(気が)すること、ありますよね。これを敷衍し、映画では潜在意識の4階層まで深くなると、現実時間の数時間は、夢世界の数十年に相当することになる。夢世界にとどまることは、精神的な浦島太郎になるわけで・・・・その伏線がラストで活きるですよね~。

インセプション3.jpg

小道具にも気を使っています。自分が現実にいるのか夢にいるのかを判別するため、彼らは「トーテム」を使う・・・この小道具がラストシーンで活躍(?)します。いやあ、憎いくらいに、したたかだなあ、ノーラン監督!

スイマセン。複雑なストーリーを文章で長々書くのは無意味で野暮ですな。失礼。

俳優について書きます~~。

シビレルほどキャストが良いんです。僭越ですがノーラン監督と私、俳優の好みがピッタリですよ~~。主役レオナルド・ディカプリオ、渡辺謙さん、マイケル・ケインは別格ゆえ、あえて取り上げません。個人的な見どころは脇役なのです!脇役が全員、持ち味を発揮できるのも監督が自ら脚本を書いているからではないでしょうか?

コブの相棒アーサー役のジョセフ=ゴードン・レヴィット!「(500)日のサマー」で初めて観て、うおおお~と唸りました(記事は→ここ)。今回は準主役ともいえる活躍っぷり。嬉しいなあ~。気弱な兄ちゃんっぽいけど、知的な雰囲気で、微妙な表情も良し。良い味出してますよ!

次は、大好きなエレン・ペイジちゃん!これまた良いんだわ~!多くの方は「ジュノ」の彼女を評価しますが、ワタクシは絶対に「ハード・キャンディ」をお薦めしますね。エキセントリック(つーか狂気)に大ファンになりましたが、今回、打って変わって優秀な女子大生役。美人じゃないけど独特の魅力と、存在感がありますよ~。セクシャル過ぎないとこもプラス効果。主人公コブの「罪悪感」を唯一理解する、ストーリーを推進する役どころ、はまってましたねえ。後半の大活躍がいいんです!

ところで、ジョセフ=ゴードン・レヴィットと、エレン・ペイジのキスシーンは不要ではないのか!

コブの死んだ妻モルを演じるマリオン・コティヤールも良いね~。アカデミー主演女優賞を取った演技派だからこそ「潜在意識の生み出した反映」という難役(?)を完璧にこなしました。それにしても怖い~~。恨みが深いのでしょうけど、包丁持って夢に出るのはやめようよ、「エルム街の悪夢」のフレディーか、お前は!

彼女は飛ぶ鳥落とす勢いですねえ。駄作「NINE」でさえ彼女だけ(?)輝いていましたね~(記事は→ここ)。

インセプション6.jpg

「インセプション」のターゲット、ロバートを演じるキリアン・マーフィー!ああ~、いいよなあ~~、屈折した若者っぽい、頼りなさげで、でも純粋な「目」がいきてますよね~~。彼の潜在意識に、あの屈強な武装集団・・・いくら訓練されていてもちょっと無理ないか?

こうなったらどこまでも書きますが、ロバートの父親役(病気で寝たきりの役)が、うわあ出た、ピート・ポルトスエイトですよ!岩石削ったような特殊なお顔で、寝たきり役とはいえ、久しぶりの雄姿(?)を拝見できただけでも感謝であります。ちなみに、この人です(↓)。

ピートポスルセイト.jpg

取りとめなくなりましたが、絶対観るべき傑作と言い切ってしまいましょう。

ワタクシは、新たな気持で、劇場でじっくり「2度目」を観ることにしますね~。一度観ているのに、次に観るのが楽しみですよ。ふふふ。


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映画 「踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!」 映画としては・・・ですが、俳優のはまりっぷりに感激! [映画]

踊る大捜査線シリーズ。そうすかあ、いつの間に「3」とは。。。

ワタクシには食いつけないタイプの映画です。TVで観る分には良いけど、映画館だと「TVテイスト」(当然、製作側は狙ってやっている)が、正月の芸能人かくし芸大会っぽくて、むずむずしちゃうんですね。

でも、この映画、好きですよ~~。

なぜなら、お気に入りの俳優さんがツボにはまっているから。一方、ツボをはずしている(としか私には思えない)出演者も、引き立て役として有効に作用している・・・おいおいっ!そこまで狙っているのか、この映画?・・・と、あまり深読みしてはいけません。

踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ! 2010年日本

監督 本広克行 出演 織田裕二、深津絵里、小栗旬、柳葉敏郎、内田有紀、小泉今日子、ユースケ・サンタマリアほか

踊るP.jpg湾岸署の新建屋が完成、青島(織田裕二)や、すみれ(深津絵里)ら署員は、引っ越しに大わらわ。ところが引越しの混乱のなか、実弾入りの拳銃3丁が盗まれるという不祥事が発生します。犯人は、青島が逮捕した犯罪者たちの釈放を求め、拒否すれば盗んだ拳銃で無差別殺人を始めるという。

ハイテク最新装備の新湾岸署で、犯人との交渉が始まります。しかし犯人グループは既に次の手を考えていました。湾岸署の完全コンピュータ制御を逆手にとり、セキュリティシステムに細工していたのです。

犯人の策略で、署のドアはロックされ、分厚い防護壁が下りてきます。署内のメンバーは、完全に建物に閉じ込められてしまうのでした。

犯人が署内に仕掛けた時限爆弾のカウントダウンが始まります。

犯人の「本当の」目的は何なのか?閉じ込められた署員は救出できるのか?政府は、犯人グループの要求を全面的に受け入れようとします。しかし、そこには、さらなる裏が・・・

・・・とストーリーを書いてたら「大空港」「ザ・ロック」「ダイ・ハード」のようなスリリングなサバイバル・アクションのように思えますが(書いてる自分でも、つい錯覚しました)、もちろん、そんなことはございません。「踊る」シリーズらしいといえば、らしい、アッケラカンというか、アッパッパーなテイストに彩られているんですなあ。

シリアスなど狙ってないのは明白だし、戯画化された登場人物の「キャラ」と「絡み」を楽しめば良い、頭では割り切ってても、もうちょっと、ハラハラドキドキさせてよぉ、と言いたくなります。

踊る3.jpg

ドラマのテイストを守らねばならない諸事情は察しますが、青島刑事(のキャラ)が、あまりに幼稚なのは、なんとかできないのでしょうか?こんな同僚、いてほしくないよ~というタイプです。壊せるはずのない防護壁を、角材でしつこく叩いて「俺の思い」をアピールするのはいいけど、あのぉ~、できれば、その時間をもっと別に使ったほうがいいんちゃいます?

底の浅~いヒューマニズムをかざして悦にいる主人公・・・織田裕二ならいいんじゃない?という甘えに立脚しているのでしょうけど、正直、ゲンナリ。。。それやって許されるのは、スティーブン・セガール御大だけですよ。

青島と絡む女性刑事すみれも連鎖反応的(連座的?)に、つらい空気に巻き込まれます。「海猿」シリーズの伊藤英明&加藤あいコンビと双璧をなすイタさ満開といえましょう。

踊る1.jpg

圧巻は、異常性格(?)の犯罪者、日向真奈美(小泉今日子)と青島の絡み。意味不明の車中トークは良いとしても、ラストは(別の意味で)痛快そのものです。

あのーー、時限爆弾の爆発まで残り3分なんですよね?この切羽詰まった状況で「じっくり構える」のは止めませんか?長い人生で、この時ほど、一分一秒を争わなくてはいけない状況はありませんよね?ポーズを決めたり、決意表明は、後ほど思う存分やっていただくとして、まず行動しようじゃありませんか、ね、青島さん!?

そんな観客の思いをあざ笑うかのように、みのもんたが名セリフ「正解!」を言うまでの「ため」以上に、「ためこむ」青島クン(これで確実に2分はロスしたね)。危なく爆死するところでしたなあ。ギリギリ・セーフってやつかあ。

フツーのサードゴロを、わざと遅く動き出し、ファインプレーに見せた長嶋茂雄の「美技」に匹敵する荒技?・・・いや、そうじゃないだろって!

踊る4.jpg

ツッコミ底なしですが、でもワタクシはこの映画が好きだ!(決意表明?)

なぜなら、鳥飼管理補佐官役の小栗旬さんが良いからである!いかにも罠というPC画面アイコンをクリックし、やっぱり負傷かよ!?というお茶目はあるものの、沈着冷静、状況を適確に読む「政府側」の切れ者を見事に演じています。いやあ、良いなあ!

スピンオフ映画で主役を張ったユースケ・サンタマリアさんは、自然体がばっちりはまってあれ、活躍が少ないな・・・と思いきや、ラストでやってくれる、この感じが良いですよね。

そして、コワモテ一倉管理官役の小木茂光さん。相変わらず良い!一世風靡セピアのリーダー・・・といっても誰も知らないか。いまや名脇役の小木さん、ローカルTVで放映されていたドラマ「ネコナデ」の鬼塚部長役(主役です)は、ほんと良かったですよね~~。青島刑事よりも、鬼塚部長のほうが、よっぽど「人間味」にあふれてましたし。

ネコナデ.jpg

というわけで、好きな俳優さんの活躍を楽しむ、そんな観方で良いんじゃないでしょうか!ちゃんちゃん。


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映画 「レポゼッション・メン」 近未来&形勢逆転パターンに食傷気味ながら、なかなか良し。 [映画]

身もフタもない切り口で恐縮ですが「レポゼッション・メン」という映画、基本テクスチュアは、トム・クルーズ主演「マイノリティ・レポート」、まんま、なのであります。

アメリカ映画には、いくつか「定番のパターン」がありますよね。なぜ米国人のツボにはまるのか、理解に苦しみますが、「レポゼッション・メン」は定番パターンのひとつに、バッチリはまっているのです。そのパターンとは・・・・

権力側の遂行者(諜報部員、刑事、取締官など)の男が、罠にはめらたり、人生観が変わることで、一転して「追われる身」となる。かつての仲間が追手として迫る。命がけの逃亡を図る彼は、生き残れるのか?あるいは彼を待つのは死なのか?

さっくりと「レポゼッション・メン」を総括しちゃいました~。チャンチャン。

おいっ!それで終わりかよ!・・・これではあまりに味気ないので、少々、語りますね。

レポゼッション・メン 2010年米 

監督 ミゲル・サポチニク 出演 ジュード・ロウ、フォレスト・ウィテカー、アリス・ブラガほか

レポP.jpg近未来のアメリカ。ユニオン社製人工臓器の普及で、大幅な延命がはかられた人類。しかし高額な人工臓器のローンに滞納者は後を絶ちません。

滞納者に対し、ユニオン社はレポ・メン=回収人を送り込み、有無を言わさず人工臓器を「回収」するのでした。

レミー(ジュード・ロウ)とジェイク(フォレスト・ウィテカー)は、回収率No1の腕利きレポ・メン。ところが作業中の事故でレミーは心停止し、ユニオン社の人工心臓を埋め込まれた状態で目覚めます。高額な臓器ローンを支払うため、今まで以上に「回収業務」をこなさねばならないレミーですが、自ら人工臓器で生きる彼には、もはや非人道的な回収行為が出来ません。

ローン滞納は限界に達し、ついに最終通告。

レミーはレポ・メンからの「回収ターゲット」になります。肉切りナイフをかざして、かつての仲間が襲い掛かかってきます。廃墟で知り合った滞納者の女性(アリス・ブラガ)と心を通じ合わせ、二人で逃亡を図るレミー。

ユニオン社は執拗に追いかけてきます。ついに、かつての相棒、ジェイクが、レミーの心臓を回収すべく現れます・・・。

冒頭に書いたように、主人公が強者(権力側)から弱者(逃亡者)へ転落する定番パターン。追う者→追われる者への逆転ですよね。

同類映画は、ここ数年間に公開されただけで、「リベリオン」「交渉人」「極大射程」「ボーン・アイデンティティー」「マイノリティ・リポート」、と枚挙にいとまがありません。近日公開のアンジェリーナ・ジョリー主演「ソルト」も然り、でしょう(たぶん)。

レポ0.jpg

罠にはめられる、とか、過去の非人間的行為を反省し、結果、四面楚歌に陥る生きざまを、米国人はよっぽど好きなんでしょう。あるいは「そんな状況への恐れ」が潜在意識にあるのかもしれません。なかなか奥の深いテーマですなあ。ま、それは良いとして。

定番パターンをなぞりつつ、映画ごとに「差別化ポイント」があります。それは、①設定の差異、②世界観の差異、③ラスト(のオチ)、となりましょう。

「レポゼッション・メン」の場合はどうかというと・・・。

レポ4.jpg

スパイスは主人公の業務=臓器回収の特殊性(目新しさ)でしょう。回収シーンは、かなり刺激が強いです・・・。ローン滞納者を待ち構え、麻酔銃で眠らせ、生きたまま(!)手際良くメスで解剖し、ぐいっと手づかみで人工臓器を取り外します。こりゃ、けっこうエグイっすよ。

多くの滞納者が潜伏する廃屋や古船には、レポ・メンは重装備で乗り込みます。歯向かう者は容赦なく殺しまくります。まさに戦場の様相です。

こうした残酷フレーバーに彩られるため、吹っ切れたアクションテイストは求めるべくもなく、陰惨で救いのない空気にならざるを得ません。

あまりに、リアル&ダークはマズイと思ったか、ユーモラスな回想シーンが挿入されますが、焼け石に水・・・つーか場違いも甚だしい!中途半端なおちゃらけは、かえって見苦しい、不要じゃ!ポール・バーホーベン映画(ロボ・コップや、スターシップ・ツゥルーパーズ)じゃあるまいし、そんなボケをかますと、生ぬるい雰囲気になっちゃうじゃんか!プンプン。

ネガティブにツッコミましたが、映画そのものは悪くはありません(無理やりフォロー?)。

ジュード・ロウは久々の迫真演技だし、一緒に逃げるアリス・ブラガ(最近はアリシー・ブラガに改名?)の切なさも良い。人のよいおっちゃん風のフォレスト・ウィテカーは、さすがアミン大統領役でオスカーとっただけあって後半の「威圧感」が素晴らしい。

レポ1.jpg

ラストのどんでん返し(?)に対しては「そりゃないじゃん・・・」と思う方もおられましょうが、ワタクシは、それもアリ、と許せましたよ~~。

恋人や家族と観るのは避けたい作品ですが、ジュード・ロウのアクションを堪能できるし(そこがメインじゃないけど)、近未来リアルSFにしては悪くない。観て損はないでしょう。ただし、「後味の悪さ」はご容赦いただくとして・・・。

最後に予告編をつけておきますね。


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映画 「プレデターズ」 原点回帰、いいんじゃないですか~~。気に入りました! [映画]

先日の「エルム街の悪夢」が好例ですが、最近、80年~90年代の有名キャラのリメイクor続編映画が活発ですよね~~。スケールを大きくして滑った過去の愚を犯さず、オリジナルに近いテイストに仕上げてる点は見識といえましょう。

今日取りあげるのは、ワタクシの大好きなキャラ=プレデターの復帰作(?)。

題名、ずばり「プレデターズ」おお、期待が膨らむぜい。

「プレデター」は、ご存じのように、87年のアーノルド・シュワルツェネガー主演作にして代表作。余談ですが、87年はワタクシが社会人になった年です。横浜上大岡にあった会社の寮から、プレデターを観に、横須賀の映画館(当時、封切りで二本立て)に行ったのが懐かしいっす~~。シュワちゃん主演作らしからぬ(失礼)、スリリングな面白さに心底ビックリしましたよ。プレデターの造形も、生々しくて良かったなあ。

ところが、その「プレデター」、あれだけの美味しいキャラなのに続編は不発・・・。「プレデター2」のトホホ気分はまだしも、20年後のスピンオフ企画(?)「エイリアンVSプレデター」は、うぐぐ、そっちに行くかよ?と悩み、「AVP2」のグダグダ青春劇で怒り心頭、バカヤロー!と怒鳴りそうになったワタクシです。

しつこいですが、「AVP2(エイリアンVSプレデター2)」など、製作側が「エイリアン」の良さも、「プレデター」の良さも全く分かっておらず、看板キャラを並べ集客を狙っただけの超駄作。思い出しても、むかつくわ、悲しいわ・・・。

ま、昔のグチは止めましょう。

7月10日公開の最新作「プレデターズ」どうだったのか!

はいっ!ワタクシ個人としては期待どおりでしたね~。いいじゃないですか!ヘタにSFに流れず”原点回帰”が気に入りました。新機軸はほとんどなく極論すれば、オリジナルに比べてプレデターの数が増えただけ・・・とも言えますがね。期待以上でも、期待以下でもない、そこが良いんですよっ(断言)。

なにごともオリジナル「プレデター」へのリスペクトと、前向きに受け取ろうではありませんか。映画ファンの皆様、瑣末なことにとらわれず、そこんとこ、どうかヨロシク。。。

プレデターズ 2010年米

監督 ニムロッド・アーントル 出演 エイドリアン・ブロディ、トファー・グレス、ローレンス・フィッシュバーン、ほか

プレデターズP.jpgお互い見ず知らずの8人の人間が、ジャングルに「落ちてくる」ところから物語が始まります。本人たちは何が起きたのか、ここがどこなのかすらサッパリ分かりません。

しだいに事情が見えてきます。ここは地球外惑星。集められたメンバーは、傭兵、凶悪犯罪者、狙撃手、日本のヤクザ・・・など「殺しのプロたち」。集められた目的は、何者かが「狩りの獲物」とするためです。

敵は高い知能を持ち、巨大で残酷です。人間が動物を狩るように、見えない敵は8人を追いたて、分散させ、一人また一人と殺していきます。

敵の選んだ土地で、敵のルールで戦わねばならない8人。勝算のない絶望的状況で、果たして生き残ることは出来るのか?ジャングルを逃げまわるだけでは確実に殺されると気付いたロイス(エイドリアン・ブロディ)のとった行動とは・・・・。

プレデターズ4.jpg

さて、この映画。

オリジナル(87年)と同じくジャングルが舞台です。敵(プレデター)に一人づつ狩られていくというシークエンスもオリジナルと同様。主人公がマッチョなシュワちゃんから、貧乏が絵になる男=エイドリアン・ブロディになった事が違いといえば違いですが(それ、かなり大きな違いだよな)、映画全体はしっかりオリジナルテイストを踏襲していますね。

でも、ここが評価の分かれるところかもしれません。現在のCG技術なら、もっと派手な映像も出来たはずが、確信犯的に、アナログっぽさを「あえて」残していますから。

さて、中盤、登場人物のひとりが、87年の「あの事件」を語るシーンがあります。なるほど、そうつながるのか、と納得です。87年に、グアテマラで特殊部隊が「何か」に遭遇し、1名を除いて全滅した事件です(そこで生き残ったのがシュワちゃん演じるシェイファー隊長)。

プレデターズ1.jpg

重要なのは、彼が「生き残った方法」なんです。(オリジナルを観た方はおわかりですね)。

「プレデターズ」では、この情報がラストへの伏線になるのですが、ヒネリとして、プレデター側も過去の失敗事例を「学習」し、対抗策を練っている、という点。そう、同じ手は二度通用しないぜ、ってことでしょう。

こうして、生来の殺し屋=プレデターと、人類代表(?)の殺し屋たちとの、知恵比べ&ガチンコ対決が緊迫のなか、佳境に入っていきます。だが、敵はプレデターだけではありません。仲間の人間の中にも、実は・・・

プレデターズ5.jpg

いろいろ書いたものの、冷静に考えちゃうとですね。身体能力&武器どれをとってもプレデターが楽勝だろうって・・・と、大人げないツッコミがふつふつ湧き上がります。

いっきに相手の息の根を止めないせいで、自爆巻き添えで一匹オダブツ・・・「過去の失敗事例を学習していた」わりには情けないんじゃないか、プレデター君よ!?

まあ、そこを見る映画ではないので(と勝手に決め付け)、これ以上のツッコミはやめましょう。

「エルム街の悪夢」と同様、オリジナルの素晴らしさを理解したスタッフによる”まともな”続編が、登場したことを、素直に喜ぼうではありませんか!チャンチャン。。。


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映画 「アデル」 この映画を楽しめるとは、自分も大人になったなあ~と感慨ひとしお。 [映画]

ずばり「10年前の自分なら、絶対にガマンできなかった類の映画」です。

「アデル」を楽しめた自分に驚き、俺も大人になったな~~と感慨ひとしお。自分探しの映画だ!ブラボー!・・・って、そんな大げさなものではないすね。

何言ってるかというと、この映画、エジプトとパリを舞台にした一応アドベンチャーですが(予告編もそこを強調)、ふたを開けるとフランスらしい(?)ズタズタのユル~いコメディなのであります。

フランス人と日本人は別生物なのか?と思うくらい、随所にまぶされた小ネタ(ギャグ)は笑えません。主人公アデルの言動がトホホなのはまだしも、最悪なのは、脇役たちの超イライラ・テイストです。リュック・ベッソン監督らしいですが「タクシー」シリーズと同様、どいつもこいつも間抜けで目は節穴、エラソーで阿呆・・・。イタイです!イライラを通り越し、映画館にいることが苦痛です。

・・・と、書きたいところですが、冒頭のように意外にも、このズルズルを楽しめました。楽しめたというより「許せた」というべきか。越えられなかった壁をついに克服です!サッカーワールドカップのベスト8・・・じゃなくフランスのイライラ系コメディ映画を許容すること!

そこかよ!とツッコまれそうですが、数十年、映画ファンやってて良かったあ、と心底、嬉しくなりましたね。あはは。

アデル ファラオと復活の秘薬 2010年フランス

監督 リュック・ベッソン 出演 ルイーズ・ブルゴワンほか

アデルP2.jpg1911年。フランスの美人ジャーナリスト、アデル・ブラン=セック(ルイーズ・ブルゴワン)は、エジプトの砂漠にある王家の谷で、必死にミイラを探していました。彼女が狙うのは王のミイラではありません。王の「侍医」のミイラです。不幸な事故で植物人間となった妹を治療すべく、「古代エジプトの医学」に精通した医師を見つけようというのです。

宿敵(いかにも、というキャラ)の横槍を受けながらも、命がけで目的のブツを手に入れた彼女。次なるハードルはパリに持ち帰ったミイラを「蘇生」させること。

世間からつまはじきの天才科学者に協力を仰ぐつもりが、その科学者、アデルがエジプトに行っている間に「蘇生術」を試し、博物館のジュラ紀の翼竜の卵を孵化させちゃってました。

孵化した翼竜は空へ飛び立ち、パリの街を大混乱に陥れています。

ここからは、阿呆な登場人物の目白押し、物語はドタバタ度を急加速させます。もはや誰にも止められない~~。

翼竜騒ぎの収拾に乗り出す警部は「ピンク・パンサー」のクルーゾーなみのダメっぷり。翼竜退治にやってきた猛獣ハンターは超すっとぼけ。アデルに思いを寄せる博物館職員の情けないテイスト・・・。

死刑宣告された科学者を脱獄させようと、変装したアデルが刑務所に何度も潜入するくだりは、吉本芸人でなくても「いいかげんにしなさい!」と、終わらせたくなるユルユルっぷり。

なんだかんだで、やっと復活させたミイラは「ボク、医者じゃないよ」ときた。

どひゃーーー。どうにかしてよ~~。

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主人公アデルは、トゥーム・レイダーのアンジェリーナ・ジョリーのような派手なアクションを披露するでもなく、ドレスで着飾った気が強いだけのねえちゃんなのである。おいおいっ!

どーでもよい気分になったのに、意外や意外、ラストは(むりやり)落ち着くべきところに落ち着き「まあ、いいんじゃないの?」って感じになる。ある意味、すごい脚本ですな。

強いて見どころといえばハリウッド並みのCG映像でしょうけど、そこに金かけても、俳優たちのあまりにもベタ&古臭い芝居を見せられると、むしろ微妙な空気といえましょう。

ま、世の中にはいろんな映画があって良いわな・・・と、強引にまとめたところで、本日はチャンチャン!であります。

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映画 「エルム街の悪夢」 名作ホラーのリメイク!これが意外に面白い。 [映画]

絶叫系ホラーの恐怖ヒーローといえば、「13日」のジェイソン、「ハロウィン」のブギーマンなどが思い浮かびますが、やっぱり「エルム街の悪夢」のフレディ君でしょう!

(そういえば、数年前、ジェイソンVSフレディって映画ありましたね。あの頃って、エイリアンVSプレデターとか、要するに昔キャラのごった煮状態だったのか?)

フレディ君って、鉤爪&焼けただれた顔という恐怖アイテムの一方、横縞ボロボロセーター&フェドラー帽なるユーモラス要素も持つ絶妙キャラです。被害者の「夢」に現れて殺すという設定もヒネリがあって良いし。前作シリーズが大人気になったのは納得ですね。

ただし「エルム街の悪夢」シリーズ、回を重ねるごとご多分にもれずマンネリ感が加速します。阿呆なスプラッタームービーに堕し、最後(第5作?)は、正直、記憶にもありませんもん。

ですから、フレディ君が人気キャラだとはいえ、今更、リメイクする意味はサッパリわからんかった。ネタに困った映画製作者が、昔のファン狙いで作った駄作だろ?と、たかをくくり、ほとんど期待せずに映画館に向かったワタクシです。

エルム街の悪夢 2010年米

監督 サミュエル・ベイヤー 出演 ジャッキー・アール・ヘイリー、ルーニー・マーラ、ケイティ・キャシディほか

エルムP(J).jpgエルム3(J).jpg 

どうしてこの映画、なかなか面白い!この手の映画にしては、チープ感がなく、しっかりと作りこまれた印象です。殺されていく被害者(高校生たち)も、ノーテンキ・バカばっかりではなく、生き残りを賭けた必死さがリアルなんですよね。

ストーリーは皆様ご存じのオリジナル版と、ほとんど変わりありません。

ある町の高校生数名が、同時期に悪夢にうなされるようになります。夢には焼けただれた顔の不気味な男が登場します。やがて、夢の中で、鉤爪に襲われたひとりが無残な死を遂げます。これを皮切りに一人、また、一人と「夢の中の男」に殺されていく仲間たち。

彼はいったい誰なのか?なんのために自分たちを襲うのか?生き残る唯一の手段は「眠らない」ことですが、人間は、70時間以上覚醒していることは出来ず、うとうととした瞬間、襲いかかってくる鉤爪の男・・・・。絶望的な状況の中で、生き残ることは出来るのか?

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さて、この映画。

良い意味で、オリジナル・シリーズを踏襲しており、作り方は古典的。奇をてらうところはありません。しかし、細かい点にしっかり気を配っており、脚本に「リズム」があることから、だれることなく一気に観終わりました。お約束の「オチ」でさえ、ワタクシとしては、安心材料としてポジティブに受け止めましたね。

なるほど、映画と言うのは、何を作るか?も重要ですが、「どう作るか」で、良くも悪くもなるんですねえ(当り前だけど)。

変態的ねちっこさで、高校生たちを震え上がらせ、きっちり惨殺する狂気のヒーロー=フレディ・クルーガーを演じているのは、な、なんと、アカデミー助演男優賞候補になったこともあるジャッキー・アール・ヘイリーです。「ウオッチメン」のロールシャッハ役もエキセントリックでしたが、フレディも、ばっちりはまってますねえ。続編(あるのか?)でも、大活躍してほしいなあ!

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あと、「被害者」の女の子がいいんですねえ。

どーせ死ぬ役なんだから、誰でもいいじゃん、と思うことなかれ。被害者役にシンパシィを感じられるかどうかが、ホラー・スプラッターにおいて、ひじょーーーに重要なのですぞ。

エルム4(J).jpg

ナンシー役のルーニー・マーラは知的な美人。クリス役のケイティ・キャシディはブロンド美人で「絶叫」担当であります。お二人とも初めて観た女優さんですが、不安げな表情から、絶望に変わっていく様子が実に良し。ラストシーンを、しっかり絶叫で締める演出も憎いですね~~。

というわけで、ホラー嫌いの方には、まったくお薦めしませんが、「どうせリメイク」と思って見逃すのはもったいない、そんな映画でしたよ。では最後にワタクシから絶叫を。

ぎゃああーーーーーーー。

 


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映画 「瞬 またたき」 本年の暫定ベスト1とします!映画館で号泣です。 [映画]

北川景子さん主演「瞬 またたき」を拝見しました。

個人的な好み、ではありますが、ズバリ申し上げたい!

本作、震えるくらい、素晴らしかったです。

邦画では、昨年の「空気人形」以来の猛感動でした。本年観た映画暫定ベスト1、とさせていただきます。正直なところ2010年ベストは「オーケストラ!」だろうと、たかをくくっていただけに本作は衝撃でしたね。

まず、主演の北川景子さんの熱演に、大きな拍手を送りたい。セリフ棒読みとかネガティブ評価もあるようですが、恋人をなくした失意、自分だけ生き残った後ろめたさ、現実に立ち向かおうとする意志・・・その機微を、演技を超えた「気持ち」で表現した彼女は、すごいと思います。彼女はキムタク主演のベタドラマに脇役で出てるような女優ではないね。

韓流恋愛ドラマのお涙頂戴&上っ面テイストに堕することなく、淡々と、主人公と周囲の人々の「心の痛み」をあぶりだした、脚本と演出も褒めたいです。あっぱれです。

物語の舞台が私の地元、北海道ということもあって、ものすごいシンパシーを感じました。涙線が弱っているせいか、中盤からポロポロと涙が出て、後半はガタガタに号泣。まぶたが腫れるくらい泣いた映画は久しぶり。ああ、一人で観てよかった(鼻水ずるずるだったもんなあ)。

ワタクシが日本の恋愛映画に求めるものが、まさにここにありました。

観る方によって評価は様々でしょうけど、だからこそ多くの方に観てほしい作品です。

またたき 2010年日本

監督 磯村一路 出演 北川景子、岡田将生、大塚寧々、清水美砂、田口トモロヲ、ほか

瞬P.jpg舞台は北海道。たぶん札幌でしょう。泉美(北川景子)と、淳一(岡田将生)は恋人同士。誠実な美大生の淳一と、車修理工場の娘でまじめな泉美。彼らの将来は輝いているように見えました。

ところが、ある日。桜を観るためバイクに二人乗りして出かけた彼らは、トンネルで悲惨な交通事故にあうのです。

バイクを運転していた淳一は死に、後ろに乗っていた泉美は生き残ります。

生き残った泉美は、悲しみ、後悔、申し訳ない気持ち、寝るたびに見る悪夢、何を観ても淳一を思いだす失意のうち、神経科に通い始めます。しかし彼女の落ち込んだ精神は容易に元に戻りません。

泉美を苦しめる最大の問題。それは事故直後の記憶がない事です。医師は衝突時の衝撃で失神してたのだろう、という。しかし、泉美は感じている。思い出せないだけで、いや、思い出したくないだけで、あのトンネルで何かがあった。自分は何かをした。そこで何を見たのか。何を聞いたのか。

偶然知り合った弁護士、桐野真希子(大塚寧々)に頼み込み、泉美は「事故直後の記憶」を取り戻そうとするのですが・・・・。

さてこの映画。

冒頭では、事故前後の映像を錯綜させる、いかにも映画的な手法を駆使します。お、そーゆう手で来るのね、と身構えちゃいましたが、どっこい、それは「つかみ」で、じっくりと泉美の「思い」にスポットを当てる正攻法に変わります。この切り替えがいい。

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愛する人を失った喪失感、悲しみ、「自分こそ事故で死ぬべきだったのでは」という忸怩たる思い。事故を思い出せないもどかしさ・・・こちらも心がヒリヒリしてくるのです。

ところが、記憶を取り戻そうと桐野弁護士と調査を始めるあたりから、悲恋物語に、サスペンスの要素が加わります。事故現場の状況、淳一の司法解剖所見から浮かび上がる「謎」。トンネルで起きたことは、泉美だけでなく、われわれ観客の関心時にもなり、いやおうなくストーリーに引き込まれていきます。

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エピソードとして添えられる桐野弁護士の重たい過去。これを「人生誰しもつらいのよ」というベタな雰囲気にしなかった絶妙な匙加減。うーん、こうなると、どこまで泣かせるんだよ!と涙ながらにツッコむしかありませんな~。

映画はラストへと向かいます。

現実に向き合う辛さに一度は逃げ出した泉美が、勇気をもって対峙した真実。

思い出せなかった、事故直後の記憶。

トンネルで起きたこと。

そこで浮かび上がるテーマは「愛とは、なんなのか」「人を愛するということは、どうゆうことか」。

淳一が命をかけてでも言いたかったこと。「淳ちゃん、何?」と問い続けてきた泉美が、ラストシーンで感じた(聴いた)それこそ、まさに、愛そのものであると。。。。

もーー、こんなことされちゃあ、ラスト30分は、ただただ涙するしかないじゃんか!

瞬3.jpg

いやあ、素晴らしい映画でした。心にダイレクトに響きました。しょせんベタな恋愛話だとか、ありえないとか、暗いという評価はありましょうが、私は「愛」に真剣に向き合った佳作だと評価します。改めて北川景子さんにも感謝です。素敵な映画をありがとうございました。

おっと、忘れてはいけません。淳一役の岡田将生さんも良かったです。見なおしました。そして短い出番ながら菅井きんさんがいい味を出しています。上手い!

最後に、映画の予告編を・・・。


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映画 「アイアンマン2」 そこまでやるか?とツッコミつつも、楽しいパート2! [映画]

忙しさにかまけ、ブログ更新をさぼって、1か月。ブログを書く「行為」すら忘れかけてましたが(さすがに、それはないか)、出張中に拝見した「アイアンマン2」の、あっけらかんテイストにいたく感激。久々に記事を書こうと思った次第であります~~。

最近のヒーロー映画って、CGが異常に発達しているので、観客もよほどの映像でないと、驚きもしなくなりました。特に「アイアンマン」の場合は、前作(第一作)が、映像的にも内容的にも、濃かったので、第2作は、いったいどうなるかと思いきや・・・・。

いやはや、アッパレ、「ワルノリ」といっても良いほどの突っ走り。嬉しいじゃないですか~。前作パワーもそのままに、いや、それを上回るパワーで、アイアンマンが大迷走・・・いえ、大活躍でありましたね!

アイアンマン2 2010年米

監督 ジョン・ファブロー 出演 ロバート・ダウニー・Jr、ミッキー・ローク、グイネス・パルトロー、スカーレット・ヨハンソン、サム・ロックウェルほか

アイアンマン2P.jpg仮面系ヒーローって、バットマンしかり、スパイダーマンしかり、タイガーマスクしかり(ちょっと違うか?)、表の顔(一般人)と、裏の顔(スーパーヒーロー)を使い分けるのが定番ですわね。

主人公は、かなりのエネルギーを、「自分がヒーローだという事を隠す」のに消費しますよね。悪党たちとの戦いに集中したいだろうに、まったくご苦労なこったね、と、つねづね思うワタクシでありましたが。

ところが、トニー・スターク社長ときたら、前作のラストで、思いっきり「俺がアイアンマンだ!」と全世界にカミングアウトしちゃう・・・・・。この開き直りっぷりこそ、アイアンマン・シリーズを象徴しているんですね。

かつてのヒーローものに不可欠の「主人公がスーパーヒーローだと、ばれそうになるドキドキ感」という定番スパイスを、のっけから排除する潔さ!

そうなると、悪党どもは、アイアンマンだけでなく、トニー・スターク個人をターゲットに攻めてくるわけですよね。これが、過去のヒーローものと違った新鮮な切り口でしたねえ。

「アイアンマン2」には、悪党が二人登場しますが、まず、お一人目は、天才物理学者でスターク社長に恨みをもつ、イワン・ヴァンコ(ミッキー・ローク)。アイアンマンの動力源でもある、アーク・リアクターを自らも製作し、電子鞭を武器するウィップ・ラッシュとなって、トニーの命を狙います。

ミッキー・ロークの「やさぐれ感」が、たまらなく良いのです。人生ヤケクソ的な生きざまに、猫パンチ俳優ミッキー・ロークの、愁いのある目&メタボなボディが、ばっちりはまっているのです。もう怖いくらいですね。モナコ・サーキットで、走ってくるレースカーを、次々に電子鞭で切断するウィップ・ラッシュの雄姿、カッコよかったねえ~~。

アイアンマン21.jpg

しかし、ワタクシが注目する悪役は、ミッキー君ではない!

トニーの天才に嫉妬する、ライバル兵器会社の社長、ジャスティン・ハマー(サム・ロックウェル)であります。卑怯な手を使って、自尊心を満たそうとする小悪党っぷりが、堂に入っているのです。

サム・ロックウエルといえば、「チャーリーズ・エンジェル」でドリュー・バリモアさんをたらしこむなどスケールの小さな悪党を演じた、典型的主人公引き立て役。しかし、「グリーン・マイル」の凶悪犯は凄い迫力でしたよね~~。主演トム・ハンクスを食うほどの切れ演技でしたから。

というわけで、「アイアンマン2」でも、サム・ロックウエルさんの「小悪党っぷり」に当然、着目していたのですが、いやはや期待以上でしたねえ。やることが、いちいちセコい&ショボい。観客をイライラさせる点でも、このキャスティング大正解です。続編が出来るなら、サムさんには是非また登場していただきたいものだ!

サムロックウェル.jpg

悪党2名に対する「正義側」は、アイアンマン=トニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)のほか、友人の中佐(今回からドン・チードル)、秘書ペッパー(グイネス・パルトロウ)。まあ、そこは良いとして、注目は当然、初登場のブラック・ウィドーです。演じるは、ワタクシが偏愛するスカーレット・ヨハンソンちゃん

運動神経、鈍そうな女優ですが、そこは映画撮影技術にものを言わせ、アイアンマンを援護する凄腕エージェントを見事に演じております。黒いレザーのコスチュームが実にお似合いで、実に素晴らしいではないか!

アイアンマン26.jpg

・・・と、例によって、まとまりなくなりましたが、恒例「最後のツッコミ」で締めましょう。ラストで、敵たち(無人ドローン)と展開する、アイアンマンの壮絶な戦いっぷりを拝見し、ひとこと・・・・

パワード・スーツを装着しているからって、中身は、生身の人間でしょうが!いくらなんでも、そこまでされたら死んでるよ!!

おっと、そこにツッコンではいけませんね。今後も引き続き、元気いっぱいのアイアンマン=トニーの大暴走?に、おおいに期待いたしましょう~~。

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映画 「鉄男 THE BULLET MAN」 あの、カルト映画の名作の心機一転のリメイク! [映画]

20年以上前は、「カルト系」と呼ばれたインディーズな映画がけっこうありました。洋画なら「ピンク・フラミンゴ」とか(極端すぎるか)、デヴィッド・リンチ監督の初期作「イレーザー・ヘッド」とか・・・誰が観るんだよ!?とツッコミつつ、自分がしっかり観ているという・・・うう悲しい。

さて、カルト系の「邦画」といえば、なにがあったでしょう?

「恐怖・奇形人間」?「マタンゴ」?(古いな~)。つーか、当時の邦画って、作り手の真面目な意図とうらはらに、「カルト映画に変貌しちゃった」怪作が多すぎます・・・選ぶのに困ってしまいます。

SFとかホラーはヤバかったなあ。大林宣彦監督「漂流教室」や、小松左京原作「エスパイ」「さよならジュピター」・・・・。観客は苦笑を通り越し、怒りに拳を硬くしたものです。ズバリ、子供だましの詐欺みたいな映画ですから。

ところが!その後、カルト邦画界(そんなんあるか?)に激震が走ったのであります。水野晴郎センセイによるシベ超こと「シベリア超特急」シリーズの登場です。シベ超は「カルト云々以前の、すっとこどっこいな無茶苦茶さ」が度を越して凄く、グーの音も出ません。強いて言えば、堀ちえみの「スチュワーデス物語」のトホホ部分だけをパワーアップしたかのようなテイスト・・・・しかし、これが、真のカルト、でしょうか?

と、長々と前振りをした理由があります。

今回ご紹介する「鉄男 THE BULLET MAN」を観て、”真のカルト邦画”が何かを改めて確信したわけです。それこそが、80年代の塚本晋也監督、田口トモロヲ主演による「鉄男」(オリジナル)です。 

「鉄男って、石立鉄男かあ?」という時代にあって、「人間が鋼鉄に変化する」という、SFともホラーともとれるコンセプトを、個性的映像で存分に見せてくれた名作。作り手と観客の間のズレを楽しむカルトではなく、商業映画にない「個性」で観客をしびれさせた、それこそが、カルト・スリピッツ、だと!

その名作「鉄男」が、20年ぶりに帰ってきたうえに、海外展開を意識し全編英語(舞台は日本)という。塚本晋也監督のファンでなくとも、観ないわけにはいかんでしょう!!

鉄男 THE BULLET MAN 2010年日本

監督・出演 塚本晋也 出演 エリック・ボジック、桃生亜希子、中村優子ほか

てつおP2.jpgオリジナル「鉄男」をすっかり忘れたので、前作とのストーリー差異は書けません(スイマセン)が、かなり、内容が違っていたような(気がします)。

アンソニー(エリック・ボジック)は、日本で働く米人サラリーマン。日本人の妻ゆり子(桃生亜希子)と、3歳の息子トムの3人で、普通の幸せな日々を送っていました。ところが、息子が何者かにひき逃げされ殺されます。犯人を見つけてやるといきり立つ妻。

必死で平静を保とうとするアンソニー。しかし、ふつふつと湧きあがる殺人犯への怒り・・・頭の中に鳴り響く大音響と、体の痛みに苦しむ彼の体に、大きな変化が起き始めます。

体表から黒いオイルを流しながら、歯が金属に変わり、顔半分に金属が「生え」、肉体が鋼鉄化してくるのです・・・恐怖におののくアンソニーに襲いかかる、謎の特殊部隊。息子を殺した犯人は誰か?その意図は何か?地下室から発見された「鉄男プロジェクト」とは何か?

本作は、スリリングにスピーディに展開します。一気呵成、という表現がピッタリ。この「暴走感」は実に心地よい。

上映時間は、最近の映画としては、かなり短めの1時間半程度。でも、不足は感じませんね。予算の都合でしかたなく、だったかもしれませんが、ワタクシは「短さ」を積極的に評価したい。ダラダラ長いより(たとえば「キャシャーン」のような)、短いほうがスッキリする映画もあるってこと。

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人間が金属に変化(トランスフォーム)する荒唐無稽な現象を、中途半端に説明しようとする点には、若干の無理を感じましたが、映画にとって大きな傷ではありません。なぜなら、本作はストーリーより、劇的・破壊的な映像表現に力点を置いているのですから。言ってみれば、ストーリーの無理を、映像でねじ伏せてしまう、というか。。。。

人物の動き以上に激しく揺れる映像、大音響の金属音と、フラッシュバックのような明滅。登場人物にやたら接近するカメラワーク・・・・インディーズ映画っぽい撮影手法には、ゲゲッと拒否反応を示す観客もいるでしょうね。

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しかし!ワタクシは、ものすごーーーく、この映像、というか、映画(のテイスト)を新鮮に感じましたね。

CGのリアル変身シーンを売りにするハリウッド映画より、良い意味の「手作り感」が漂っているからです。塚本監督のように、CGに依存しすぎない映像作家、は、今後、減っていくと思いますので、若い映画ファンにも、本作は是非観てほしいです。

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ひとつ難を言えば、ラストのご都合主義は米国を意識しすぎではないでしょうか?ステーブン・セガールの映画か!?とツッコミを入れたくなりましたよ。塚本監督!

あと、内容とは関係ないですが、主演のエリック・ボセックさんという俳優、ユアン・マクレガー似ですね。塚本晋也監督(重要な役で出演もしている)は、妙に、古田新太に似ている・・・・という2点が、どうも気になってしまった本作でありました。

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映画 「パリより愛をこめて」 久しぶりに吹っ切れた捜査員コンビもの。ジョン・トラヴォルタがいい! [映画]

刑事や諜報部員が活躍する映画で、主役がコンビ(2名)なのは、もはや定番と言えますね~~。

思いつくだけでも、スタスキー&ハッチ、ブラック・レイン(マイケル・ダグラス&高倉健)、セブン(ブラピ&モーガン・フリーマン)、ルーキー(クリント・イーストウッド&チャーリー・シーン)、ラッシュアワー(ジャッキー・チェン&クリス・ロック)、トレーニング・デイ(デンゼル・ワシントン&イーサン・ホーク)、そして、相棒(水谷豊&寺脇康文)などなど・・・・・

ワタクシが一番好きな刑事コンビは、マイナーなんですが「フリービー&ビーン」のアラン・アーキン&ジェームス・カーンなんですけど・・・・ううっ、誰も知らないすか~ネタ古すぎ?

さて、リュック・ベンソン製作「パリより愛をこめて」であります。

久々にベタ~なコンビ捜査員ものに嬉しくなってしまいました。2名のCIA捜査官が、テロリスト組織を向うに、パリの街で、撃つわ、走るわ、爆発させるわ、の大活躍(大暴走?)。爽快アクションであります。

コンビ映画の「肝」は、二人のキャラが対照的でありながら、変に相手を「食わないこと」でしょうか。言いかえれば、互いが相手を引き立てられるか?脚本や演出も重要ですが、極論言えば、主役2名を誰が演じるかに成功の半分がかかっていますね。

さあて、今回のコンビはどうなのか!?

パリより愛をこめて 2010年仏 

製作 リュック・ベンソン 監督 ピエール・モレル 出演 ジョン・トラヴォルタ、ジョナサン・リース・マイヤーズ、カシア・アナ・スムートニアックほか

パリよりP.jpgすばり、捜査官を演じる二人の俳優が良かった!!

ひとりは、サタデーナイト時代を完全に払拭した(と、今更いう必要もない)、ジョン・トラヴォルタ

もうひとりは、「マッチポイント」でスカヨハちゃんの顔面を撃った(この紹介もどうかと思うけど)、ジョナサン・リース・マイヤーズであります。

トラヴォルタは威圧感いっぱいのスキンヘッド。任務遂行のためには手段を選ばない凄腕&暴走タイプのCIA諜報員ワックスを演じます。しかし、ステーブン・セガールのように苦虫噛みつぶしではありませんよ。どなるわ、わめくわ、笑うわ、実に表情が豊かなのです。ユーモラスとさえいえるテイストは、トラヴォルタならではで、はまりまくってますなあ。

一方、ジョナサン・リース・マイヤーズ演じるリース君は、ワックス(トラヴォルタ)とは対象的に、地味な駐仏大使補佐官(でCIA諜報員)のインテリあんちゃん。人など撃った事もないのに、ワックスとコンビを組まされたため、否応なく烈しい銃撃戦やら、カーチェイスに巻き込まれていくのであります。

彼の情けな~い「事務職」テイストが、「現場系」ワックスの無謀&強引な捜査っぷりを、見事に引き立てておりますよ!いいね、いいね。

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映画のストーリーは、予想どおり、新機軸はほとんどありません。ダメ諜報員のリース君が、ワックスの過激な「ご指導」により、精神的に成長、二人団結してテロリスト組織を壊滅!つーか、ほかのヤツラは何やってんだよ、とツッコミたくなる大活躍ですよ、結果オーライ~~チャンチャン。

ということで、近頃気分がウザウザしている方、「パリより愛をこめて」で、気分スッキリしてくださいませ!

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映画 「オーケストラ!」 クラシック音楽好きでなくても、必見のハートフルコメディ! [映画]

ワタクシ、この映画を2回、観たのです。

最初に観たとき、あまりにも感動、ブルブルと肩が震え、ボーボーと涙を流し、ブログに書かねば!と大興奮したのですが、いや、ちょっと待てよ。と。

ワタクシ、クラシック音楽マニアなので、オーケストラの奮闘や、演奏家の芸術魂に過剰反応したのでは?「感動が本物だったか」を自らに問うため(かっこいい表現だ!)、先週、改めて、銀座シネ・スイッチで2回目を観たわけです。

結果・・・・一度目以上の大感動でありました。

めちゃくちゃ良い。やはりワタクシのツボにはまりまくり。

2度目ですから、会話の細部さえ覚えているのに、またしてもボーボーと頬を伝わる涙・・・ヨーロッパって、どうしてこんなチャーミングで、心打つ名画を作れるのか、と、感動の二乗状態、であります。

未見の方。本作を見逃してはいけません~。ラストのチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲の演奏シーンはDVDではなく、劇場の大スクリーンで観て頂きたいっ!

ストーリー良し、演出良し、俳優良し、公開が終わる前に、もう一回、観にいっちゃおうかな~~。

オーケストラ! 2009年仏

監督 ラディ・ミヘイレアニュ 出演 アレクセイ・グシュコフ、メラニー・ロラン、フランソワ・ベルレアン他

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ロシアの名門オーケストラ、ボリショイ管弦楽団。30年前、天才指揮者とうたわれたアンドレイ(アレクセイ・グシュコフ)は、いまは劇場の清掃員。当時、ブレジネフ体制に逆らい、ユダヤ人演奏家を擁護してコンサートを開いたことから「国民の敵」と指弾され、楽団員たちとともに解雇、音楽家としての道を閉ざされたのでした。

ある日。

パリの有名コンサートホールから、急な、ボリショイ管弦楽団への出演依頼が舞い込みます。掃除中に、依頼FAXを見つけたアンドレは、天の与えたチャンスとばかり、支配人に内緒で、30年前の団員たちを寄せ集め「ボリショイ管弦楽団」と偽り、パリ公演に乗り込もうと奮闘します。

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演奏曲は、30年前、政府に踏みにじられたコンサートの演目、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。ソリストに選んだのは、フランスの若手天才ヴァイオリニスト、アンヌ=マリー(メラニー・ロラン)

クラシック音楽演奏どころか、救急車運転手、ポルノ映画のアフレコ、不法携帯電話売買などで、糊口をつないできた団員たちに、果たして、一発逆転はあるのか!?

本作は、(フランスの)コメディらしく、登場人物たちは戯画化され、ケレン味たっぷり。感情の起伏が大きく、実にわかりやすいお芝居をしてくれます。つかみ合いの喧嘩どころか、銃撃戦など、観る人によってはついていけないでしょう。

なんたって、天才指揮者と優秀な楽団員もいえども、30年間のブランクを、たった2週間でとり戻せるかよ!とか、ビザや契約問題といった事務手続きは「偽者」には無理だろ!という突っ込みもありましょう。

ところが、この映画。

そんな瑣末なことはぶっ飛ばしてしまう「情熱」と「愛」に満ちているのです。

それは、人間への愛であり、音楽への愛。

音楽を愛するものの誇り。

「映画はストーリーを楽しむ娯楽」と思っている観客には、粗ばかり見えて、この映画の「心」はけっして届かないでしょう。まあ、そんな人は、DVDで「アバター」を楽しんでいればよい。

「オーケストラ!」には褒めたいことが山のようで、困ってしまうのですが・・・

まずは脚本、とくに会話シーンが絶品です。個人的な泣きツボは、指揮者アンドレイと、ソリストのアンヌ=マリーが、公演前日に食事するシーン。アンヌに尋ねられるまま、30年前の「事件」、当時のソリストにおきた悲劇を語るアンドレイ・・・これは映画的なハイライトですが、ワタクシが泣いたのは、その前の会話からなんです。

アンドレイが淡々と音楽の素晴らしさを語る場面。音楽とは、人と人の心がつくるハーモニー・・・「調和」である。その究極が協奏曲なのだと・・・上から目線でなく、芸術への愛にあふれる、とつとつとした語りに、ワタクシ、涙ボーボーであります。

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なにせアンヌ=マリー役の、メラニー・ロランが素晴らしい。「イングロリアル・バスターズ」の凛とした美しさに、すっかりファンになったワタクシですが、本作は、それ以上に光り輝いています。すごいオーラですよね~~この女優さん。

と感動させといて、ノーテンキな「にせ」楽団員たちはリハーサルにも現れず観光三昧・・・。さすがに、無謀な計画だったと、後悔しはじめるアンドレイ。アンヌ=マリーまでキャンセルすべき、と言い出し、コンサート直前に絶体絶命の大ピンチです。

それを救うのは、かつての盟友。そして、30年前に政府の手先となって、アンドレイの音楽人生を奪った共産党幹部すら・・・。

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紆余曲折を経て、ついに、パリのステージに立った「にせ」ボリショイ管弦楽団。

振り下ろされるアンドレの指揮棒に、ダメ楽団、というより、ニセ楽団の面々、やっぱり30年間のブランクは大きくガタガタの音。観客席からもれるのは苦笑です。

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登場人物のひとりがつぶやきます。「神よ、もしも、おられるのなら、いまこそ、そのことをお示し下さい!」

オーケストラの音がパウゼ(休止)してから、アンヌ=マリーの弾く、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲の、あの低い、ゆったりした最初の音が入ります・・・・そして、優しく加わるオケの音・・・・

「神は・・・・いた」

それからは、指揮者、オケ、ヴァイオリンソロの怒涛の感動ハーモニー。結果オーライどころではない劇的一発大逆転!に、びりびり震える大団円なのであります。

・・・・と、興奮して、もろにネタばれ記載してしまいました。

うひゃーー、申し訳ありません!・・・てなわけで予告編は以下です。

 

 


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映画 「ゼブラーマン2 ゼブラシティの逆襲」 みどころは、仲里依紗さんのエロっぷりで決まり! [映画]

前作「ゼブラーマン」を観たのは数年前でした。シリアスなヒーロードラマではなく、コメディなのは分かりますが、それにしても、ユルくて絶句しました。ストーリーなど、ほぼ完全に忘れております。

そのゼブラーマンに、まさか、続編登場とは・・・。期待はゼロですが、怖いもの見たさで映画館にいくしかないでせう!

ゼブラーマン2 ゼブラシティの逆襲 2010年日本

監督 三池崇史 出演 哀川翔、仲里依紗、阿部力、ガダルカナル・タカ、田中直樹、ほか

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さえない小学校教師 市川(哀川翔)がスーパーヒーロー、ゼブラーマンとなり、紆余曲折の末、エイリアンから地球を救い一件落着・・・までが前作でありました。

続編である本作。世間から消えた市川は、15年後の2025年、記憶喪失となって路上で目を覚まします。市川の目にうつった東京は「ゼブラシティ」と改名されています。犯罪を公然と許容し、弱者抹殺を掲げる狂気のゼブラシティを支配するのは、相原首相(ガダルカナル・タカ)と、娘のゼブラ・クイーン(仲里依紗)。

市川の失った記憶とは何なのか。彼の隠された秘密と、ゼブラ・クイーンとの因縁は?

謎の少女すみれ、避難病院のヒューマンな医師たちをからめながら、映画は予想不可能(というか、訳分からん)に展開していきます。

正義のヒーロー、ゼブラーマンは蘇るのか?本当に倒すべき敵は誰なのか?

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と、ヒーロー映画っぽくストーリーを書きましたが、相も変わらず、全編を覆うダル~いテイスト、笑うに笑えないギャグ、子供だましの小ネタっぷりは、今回も健在(?)です。

正直、この、しまりの無さは、好みに全く合いませんでした。

作り手は「確信犯的」にやってるのでしょうから、まあ、目くじらたてなくてもいいんじゃない、と、自分を納得させたいのですが、それにしても・・・・もっとテンポ良くするとか、脚本にメリハリつけるとか、なんとか出来ないもんでしょうかね。

本来、ゼブラーマン(前作)のツボは、ヤクザ風貌の哀川翔さんが、お茶目な3枚目キャラを演じちゃう「ズレ」にあったわけです。ただし、その意外性とて、1作目はいざ知らず、続編ともなると、浮いて見えてしまいました。さらに、残念なのは、芝居の上手い役者が誰もいないことです。脇を固める俳優には、しっかり演技派を選んでほしかった。横浜八千代区のシーンなど、あまりにも学芸会っぽい、お寒い小芝居であり、背中がザワザワしちゃいました。

しだいに解明される謎・・・・その内容たるや、あまりに荒唐無稽。あまりにシュール。映画中盤で、こんなストーリーについていく気は、完全に失せました。

と、むちゃくちゃ書いたようですが、実は、ワタクシはこの映画、気に入ったのであります!

なぜか!?

それは、ゼブラクイーン=仲里依紗(なか りいさ)ちゃんが、めちゃエロいからである

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「時をかける少女」ではセーラー服の似合う、ごく普通の女の子だった彼女。そこまで方向転換するのかよ!と言いたくなるほど、本作では、思いっきりエロい。黒レザー、網タイツを着用しての悩殺ダンシング。フェロモン発散しまくりつつ、安っぽいアイドルテイストが、みごとに、はまっているのであります。

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「ヤッターマン」の深田恭子さんと双璧をなす、感動でありましたね。

ということで、本作の見どころは、ずばり、仲里依紗ちゃんである!

そこに注目すれば、他の欠点など相殺され、満足いっぱい、という映画であります。

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今回はゼブラ・クイーンの登場で、なんとか様になった「2」ですが、さすがに、さらなる続編、ゼブラーマン3、は無いですしょうねえ~~。

では、最後に「時をかける少女」の、仲里依紗ちゃんをどうぞ。

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